空中で戦いを繰り広げていたピッコロとクウラだが徐々にピッコロが押され始めていた。と言うよりはクウラが少しずつ手加減を止めているだけなのだが。
「くそったれが!」
「貴様は小綺麗に纏まりすぎだな。いざという時の判断が遅い」
クウラの指先から放たれるエネルギー波に体を複数箇所貫かれ落下していく。
「ピッコロ!」
「奴は……フリーザ以上の化物だ……」
落下していくピッコロを悟空が受け止め、受け止められたピッコロは悟空にクウラがフリーザ以上の実力者である事を告げる。
「当然だ……俺を弟と同じに見るな」
「よしっ……だったら次はオラが相手だ!」
ピッコロを悟飯と同じくスーナに預けた悟空はクウラと対峙する。
「貴様……そうか、あの時の赤子か……」
悟空と対峙したクウラは悟空を見て、何かを呟いたが、その呟きは誰にも聞こえなかった。
「行くぞ!」
「ほぅ……ぐおっ!?」
悟空の特攻に中々速いなと思ったクウラだったが、その加速が予想以上だったのか顔面に拳が叩き込まれる。
「だららららららっ!せりゃぁ!!」
「ぬぐっ!?」
更に腹部にラッシュを加えられ、トドメばかりに回し蹴りを見舞う叩き込まれる。蹴り飛ばされたクウラが宙を舞い、悟空が更なる追撃をしようとするが、その拳はクウラに防がれる。
「俺を弟と同じに思うなよ!」
「うわぁ!?」
悟空の拳を受け止めたクウラは悟空の腹部に蹴りを見舞う。その蹴りが悟空の腹部に突き刺さり、悟空が吹き飛ばされる。
「ずあっ!」
「なっ!?くっ!」
クウラは吹き飛ばされた悟空目掛けて両手からエネルギー波を放ち、悟空はそれを両手で受け止めるが勢いは止まらず、悟空は岩山に叩き付けられる。
「ぐぅ……りゃあ!」
悟空は受け止めたエネルギー波を上空へと投げ飛ばし、投げ飛ばされたエネルギー波は岩山を破壊し、その瓦礫が悟空とクウラに降り注ぐ。
「ふん!せやっ!」
「くっ!」
瓦礫が降り注ぐ中、クウラと悟空の戦いは続く。クウラの拳や尻尾の攻撃を避けた悟空はクウラの胸に一撃を食らわせる。
「うりゃあっ!」
「な、ぬぅっ!?」
その一撃に怯んだクウラの尻尾を掴むと悟空は回転を加えて投げ飛ばす。投げ飛ばされたクウラは身を翻しながら川辺に着地する。
「中々やるな……我が弟を倒しただけの事はある」
「オラ……結構修行して強くなったけど……まだまだ修行不足って実感してっぞ……」
互いに睨み合うクウラと悟空。そして互いに知らない事だがまだまだ実力を隠している。クウラは更なる変身を。悟空は超サイヤ人を。
そして二人は隠した実力を解放しようとした時だった。
「はい、そこまで!そこまでです!」
「なんだ、スーナ?」
「止めんなよ、桃香」
更なる激闘を繰り広げようとしたクウラと悟空を止めたスーナ。
「回りを見てください!伐採用の材木や畑までめちゃくちゃなんですよ!悟飯やピッコロさんの時みたいな手合わせだと思ったら本格的な戦いになったから周囲への被害が凄まじいんです!」
「お、おお……悪りぃ悪りぃ……」
スーナの指摘に周囲を見渡した悟空は荒れ果てた山々や畑を見て、あちゃー……と頬を掻いた。
「俺達が戦うには少々手狭だったらしいな」
「もう……フリーザ軍に居た頃もギニュー特戦隊もこうでした……私の忠告を無視して資源惑星を半壊させたり……」
クウラの一言にスーナはズーンと過去を思い出して沈んでいた。
「あ、あれが今の悟空の実力か……」
「くっ……まだ孫との差が激しすぎる……」
「悟空の奴……ナメック星で戦った時よりも強くなってる……」
そして戦いを見ていたヤムチャ、天津飯、クリリン達は次元の違う戦いに呆然としており、ベジータに至っては戦いの途中で観戦を止めて自身の修行へと旅立っていた。
「ちっ……フリーザ以上の実力の兄に……本来は最下級戦士のカカロットが伝説の超サイヤ人……ふざけやがって……俺は……俺がナンバーワンだぁーっ!!」
飛びながら叫ぶベジータ。ベジータは気付いていなかった。怒りに震える、その体が僅かに金色を帯びた光を纏っている事に。
「はぁ……山の資材とかは明日以降、私が見ておきます。仕事が増えました」
「その事だが……スーナよ」
ベジータが叫びを上げていた頃、スーナはめちゃくちゃになった山や畑の損害を軽く確認しようとしているとクウラが話し掛ける。
「貴様も孫悟空達と共に修行に参加しろ。貴様はフリーザ達に甘やかされ、戦いに参加していなかったが貴様には武の才能がある」
「……………え、私にですか?」
クウラの発言に目を丸くして自分自身を指差すとスーナ。それほどまでにクウラの言った事が信じられなかったからである。