ドラゴンボール ギニュー親子の物語   作:残月

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最強のバイオ戦士

 

 

十数体のバイオマンを倒したスーナはDr.コーチンと向かい会う。

 

 

「サイバイマンの劣化版程度の実力しか持たない彼等では無駄ですよ」

「ほ、ほっほっほっ……流石は女子とはいえどサイヤ人。見事な腕前ですな」

 

 

スーナの発言にDr.コーチンは拍手をしながら褒め称える。苦笑いを浮かべてはいたが。

 

 

「バイオマンで相手にならぬのならば……出でよキシーメ!エビフリャー!ミソッカツン!」

「ギシシシッ!」

「キシャー!」

「グフフッ!」

 

 

Dr.コーチンの叫びに緑色とピンク色と黄色の戦士が複数のバイオマンと共に現れる。

 

 

 

「な、何よアイツ等……」

「バイオマンはサイバイマンを解析して産み出したと言っていましたから、その強化版なのでしょう。バイオマンよりも強そうですが私達よりも戦闘力は低そうです」

 

 

バイオ戦士達の登場に驚くブルマにスーナは冷静に相手の事を見ていた。新たに現れたバイオ戦士達もバイオマンよりも強いと判断したスーナだが、悟空達には確実に劣ると感じていた。

 

 

「その判断はこやつ等と戦ってから判断してもらおうか、お嬢さん。やれ!」

「ブルマさん、すぐに悟飯がヤジロベーさんを連れて戻ってきます。悟飯には仙豆を受け取ったら悟空さん達の方に行く様に行って下さい。ブルマさんはヤジロベーさんに守ってもらってください」

「ちょ、ちょっと!桃香はどうすんのよ!?」

 

 

Dr.コーチンの指示にバイオ戦士達はスーナに襲い掛かる。ブルマはそんなスーナに焦りながらもトランクスを抱えて物陰に隠れていた。

 

 

「私は彼等を倒します。人造人間じゃなかったとしても彼等を放置するのは脅威となりそうですから」

 

 

スーナはニコリと笑みをブルマの方に向けた後にバイオ戦士達と向かい合った。

 

 

「ギギィ!」

「見た目の割には素早い……」

 

 

最初にスーナに襲い掛かったのは黄色で大柄のミソカッツンだった。太っているような容姿の割に素早い動きでスーナに攻撃を繰り出すミソカッツン。

 

 

「………似ていますね」

 

 

スーナはミソカッツンが嘗ての上司であるドドリアに似ていると思っていた。

 

 

「ですが……ドドリアさんには及びません!」

 

 

スーナはミソカッツンの拳を受け止めると、流れる様に投げ飛ばす。ミソカッツンはバイオマン達の群れに投げ飛ばされる。

 

 

「キシャアッ!」

「ヒャアッ!」

「氷を放つ?……いえ、氷結させる技ですね。そっちは電撃ですか」

 

 

ミソカッツンと入れ替わりにエビフリャーとキシーメが襲い掛かる。

エビフリャーは凍結拳と呼ばれる冷気を放つ技でスーナを凍らせようとし、キシーメは腕から電撃を放つ鞭でスーナを捕らえようとする。スーナは技の一つ一つを観察しながら避けていく。

 

 

「ギシシシッ!」

「おっと、しつこいですね……っと?」

 

 

立ち上がって再びスーナに襲い掛かろうとするミソカッツンを迎え撃とうと拳を腹に叩き込んだスーナだが、ミソカッツンの体は異常に柔らかく、スーナの拳が沈んでしまう。しかもミソカッツンにはダメージが無かった。

 

 

「想像以上の強さだが、私の作り上げたバイオ戦士達には特殊能力が備わっている!貴様の強さでは太刀打ち出来まい!」

「成る程……ミソカッツンは柔軟性。エビフリャーは氷結。キシーメは電撃って事ですね。バイオマン達はサイバイマンを参考にしてると言っても地球の技術で産み出された存在……」

 

 

Dr.コーチンは得意気にバイオ戦士達の特性を叫ぶ。スーナはそれを聞いて何処か納得した様子でバイオ戦士達を見渡す。

 

 

「今更後悔しても遅い!やってしまえ!」

「ギシシシッ!」

「キシャアッ!」

「ヒャアッ!」

 

 

Dr.コーチンの叫びにミソカッツン、エビフリャー、キシーメがスーナに襲い掛かる。

 

 

「失礼。お体、お借りしますよ」

「ギシッ!?」

 

 

スーナは襲い掛かってきたミソカッツンの体を抱えるとそのままエビフリャーに迫る。

 

 

「キシャアッ!」

「ふん、エビフリャーの凍結拳を凌ごうとミソカッツンの体を盾にしようとは姑息な!だが、凍結拳は防げんぞ!」

「防ぐ為ではなく、砕く為です」

 

 

エビフリャーの凍結拳をミソカッツンの体で防いだスーナ。しかし、真の目的はそこではなかった。スーナは凍結拳を受けたミソカッツンの体に連打を叩き込む。するとミソカッツンの体は先程と違い、ダメージが蓄積されていき、遂にはミソカッツンの体は穴だらけになり動かなくなった。

 

 

「な……バカな!?」

「味方の技で倒されるような仕様じゃないとは思っていましたよ?ですが、凍らせる技で僅かにでも柔軟性を失わせる事が出来れば技は通じると思っていました。思った通りでしたね。凍結拳でミソカッツンの体は凍らせる事は叶わなくても柔軟性を損なわせる事は可能でした」

 

 

驚くDr.コーチンにスーナは自身の考えを説く。味方の技は完全に通じなくても僅かに通じれば良いと考えたスーナの考えは当たっていた。

 

 

「だが、エビフリャーとキシーメに弱点は無い!」

「ええ、ですから……普通に倒します」

「キシャ……ア」

 

 

スーナはDr.コーチンの叫びの途中でエビフリャーの腹に拳を叩き込む。凍結拳を放つ前に素早い動作でエビフリャーの動きを止めていた。

 

 

「ヒャアッ!」

「味方もろともですか……ですが、甘い」

 

 

キシーメは電撃の鞭を両腕から放ち、左右からスーナを捕らえようと振るう。するとスーナはエビフリャーの体をキシーメに突き飛ばす。突き飛ばされたエビフリャーはキシーメに覆い被さり、スーナを捕らえようとした両腕の電撃の鞭はスーナを捕らえる事無く空振り、空振った鞭はエビフリャーとキシーメの体に巻き付いていく。

 

 

「これで終わりです……波っ!」

「キシャアッ!?」

「ヒャアッ!?」

 

 

宙に浮いたスーナは身動きの取れなくなったエビフリャーとキシーメに向けて悟空から学んだ、かめはめ波を放ち、エビフリャーとキシーメを撃破した。

バイオ戦士達を倒したスーナは空中から降りて地面に着地すると呆然としているDr.コーチンと再び向かい合う。

 

 

「これで終わりですか?」

「よもや……これ程とは……」

 

 

スーナの強さが完全に予想外だったのかDr.コーチンは信じられない物を見る目でスーナを睨んでいた。

 

 

「ならば……取って置きのバイオ戦士を使うとしよう。本当なら孫悟空と戦わせる為に用意したバイオ戦士だ!」

「彼等の戦闘力から判断しますが……今までのバイオ戦士では悟空さんは勿論、私ですら倒せませんよ」

 

 

Dr.コーチンはまだバイオ戦士を隠していると言うがスーナは今までのバイオ戦士の強さから、自分の強さにすら届かないバイオ戦士では孫悟空を倒す等、夢のまた夢だと告げた。

 

 

「コイツの姿を見ても、それが言えるかな!出でよ、最強のバイオ戦士よ!」

「な……そ、そんな……」

「嘘……アイツって……」

 

 

Dr.コーチンの叫びに現れた最後のバイオ戦士にスーナのみならず物影から隠れていたブルマも驚いていた。スーナには昔から知っている人物でブルマは数年前に恐怖を味わわされた人物だったからだ。

 

 

「何故、アナタが……ラディッツさん!」

「…………」

 

 

スーナの問い掛けに無言のまま構えるバイオ戦士。その姿は地球に来襲した孫悟空の兄ラディツだった。


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