スーナは信じられない物を見る目で目の前のラディッツを見た。以前、フリーザ軍に居た頃にラディッツが死んだ事はスカウターでの会話で確認済みな上にラディッツにトドメを刺したピッコロから直接話を聞いたので間違いない。しかも界王星に行った際にラディッツはナッパ共々地獄に落ちたと聞いているのだ。ならば、目の前のラディッツは何者なのか。
「驚いた様だな。このラディッツは孫悟空とピッコロに敗れ、放置されていた遺体を我等が回収し、バイオ戦士としての改造を施した改造戦士バイオラディッツだ!コイツの実力は最早、ベジータを上回る程にまで高めておるのだ!」
「………そうですか。あの時、放置されていたラディッツさんを」
無表情でスーナを睨むラディッツにスーナは俯き気味にDr.コーチンの説明を聞く。
「精々、絶望するがいい!やれ、バイオラディッツよ!」
「オオオオオオッ!」
「速い……それにパワーも上がっている様ですね」
Dr.コーチンの叫びにバイオラディッツはスーナに襲い掛かる。スーナはバイオラディッツの攻撃を捌きながら生前のラディッツとは比べ物にならない程に強さを増しているバイオラディッツに驚いていた。
「そうだ。孫悟空とベジータの戦いを計算し、奴等を倒せる程にまで強化したラディッツには勝てまい!」
「確かに悟空さんやベジータ王子以上の強さだったと思います。あくまで地球に来た頃のデータですけど」
Dr.コーチンは自慢気に叫ぶがスーナはバイオラディッツの動きを見切って次第に攻撃を避けていく。
「バ、バカな……今のバイオラディッツは孫悟空やベジータのデータを上回る程にまで強化を……」
「ラディッツさんの眠っていた才能を目覚めさせたのは見事ですが……ナメック星での戦いを計算に入れていないのは迂闊でしたね。確かに今のラディッツさんは地球に来た時のベジータ王子をも上回る戦闘力になっています」
Dr.コーチンが驚愕する最中、スーナはバイオラディッツの右拳を受け止め、動きを封じた。
「……ラディッツさん。私は元々、戦士では無かったですし、修行を積んだのは最近の話です。ですが、戦士としての誇りはフリーザ様やお父さんから学んでいたつもりです。だから……今のラディッツさんが心無い科学者に悪用されているのは我慢なりません」
「ふん、何が悪用だ!私達以外の人間がどうなろうと知った事か!」
「オオオオオオッ!」
スーナの語りを下らないと吐き捨てたDr.コーチンとその意思に同調するかの様にバイオラディッツは右拳以外の箇所でスーナを攻撃する。
「今の貴方には魂がない。魂は確実に地獄にある訳ですから。空っぽの体の貴方の誇りが汚されるのは……我慢なりませんね」
「オオオオオオッ!」
スーナは掴んだバイオラディッツの右拳を離そうとしなかった。次々に繰り出されるバイオラディッツの攻撃を食らいながらも、その瞳はバイオラディッツを捉えていた。
「ですから……貴方を終わらせます。ハアアアアアアァァァァァァァッ!!」
「な、なんだっ!?」
「グァァァァァァァァッ!?」
スーナの叫びと共に、その体から金色のオーラが放たれる。それと同時に掴んでいたバイオラディッツの右手は骨が折れ、あり得ない方向に曲がる。
スーナは悟空達との修行でも無し得なかったスーパーサイヤ人への覚醒を自分自身の意思で果たしたのだ。
「は、はったりだ!金髪になんぞになって、不良気取りか!やれ、バイオラディッツ!」
「グァァァァァァァァッ!」
「さようなら……ラディッツさん。波ァァァァァァァッ!!」
Dr.コーチンの命令で襲い掛かってきたバイオラディッツをスーナは蹴り上げ、宙に浮かせたと同時に、かめはめ波を放ち、バイオラディッツの体を空の彼方まで飛ばしバイオラディッツの体を完全に消滅させた。
「それと……貴方の申請していた有給は受領しておきましたよ、ラディッツさん」
空に向かって放った、かめはめ波を見送りながらスーナはスーパーサイヤ人の状態でありながら優しげな笑みで空を見上げていた。
そろそろギャグりたい……