ドラゴンボール ギニュー親子の物語   作:残月

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Dr.ウィローと人造人間の目覚め

 

 

 

バイオラディッツを撃破したスーナはスーパーサイヤ人の状態から通常状態に戻り、一息着く。

 

 

「ふぅ……さて、後は貴方だけですねDr.コーチン」

「あ、ああ……バカな私の作ったバイオ戦士達が……」

 

 

バイオ戦士達をあっという間に倒してしまったスーナにDr.コーチンは腰を抜かしたままだった。

 

 

「ス、スゴいわね……強くなっちゃったのね」

「ブルマさん……それにヤジロベーさんも」

 

 

声を掛けられたスーナは振り返るとそこには岩影からブルマとヤジロベーが戦いを見ていた。

 

 

「悟飯君がヤジロベーを助けた後にヤムチャが人造人間にヤられちゃったのよ。それでクリリン君がヤムチャを連れて仙豆を取りに来たんだけど、孫君達が戦う場所を変えるって飛んで行っちゃったのよ。悟飯君は桃香が戦ってたから残ろうとしたんだけど結局、クリリン君とヤムチャと一緒に孫君達との行っちゃったわ」

「私が戦ってる間にDr.ゲロの人造人間との戦いにも動きがあった様ですね。ですが、Dr.ゲロの方はお願いします。私はDr.コーチンとDr.ウィローを倒してきます」

 

 

ブルマから聞いた説明にスーナは納得するとDr.ゲロの人造人間は悟空達に任せると言い、自分はDr.ウィローの一派は自分が倒すと宣言する。

 

 

「スーナ一人じゃ……大丈夫そうね」

「はい、ヤバくなったら逃げますので、ご安心を。私は逃げたDr.コーチンを追いますので。ヤジロベーさんはブルマさんを守ってください」

 

 

スーナ一人では危険だと言おうとしたブルマだが、今のスーナのスーパーサイヤ人の強さを見たので一人でも問題は無いだろうと判断できる。そしてスーナはスカイカーで逃げ出したDr.コーチンの後を追って空を飛んだ。

Dr.コーチンが乗っていたスカイカーは改造車だったのか、普通よりも速度が出ていたが今のスーナには追い付けない速度ではなかった。暫く後を追っているとDr.コーチンが逃げ込んだのは氷の大陸でスーナにはその場に見覚えがあった。その場所はカプセルコーポレーションで様々な資料を見せて貰っていた時に見た、永久氷壁と呼ばれる強固な氷が聳え立つ地だった。

 

 

「なるほど……永久氷壁の中に研究所が埋まってるんですね。Dr.コーチンとバイオ戦士は僅かに出来た隙間から脱出して地表に出てきたんですね」

 

 

氷の中には人造物らしき建物が埋まっているのが見えた。恐らく、Dr.コーチンは何らかの切っ掛けで永久氷壁に出来た隙間から脱出したのだろう。その証拠にDr.コーチンが乗っていたスカイカーが乗り捨てられた形で放置されていた。恐らく、初見では分からないように入口は偽装されているのだろう。

 

 

「ま……今の私には関係ありませんが」

 

 

スーナはスーパーサイヤ人になると気を高め、永久氷壁を睨む。そして玉を掴むような仕草で腕を伸ばした後に自身の腰元へと引き寄せる。

 

 

「かぁ……めぇ……はぁ……めぇ……」

 

 

スーナの掛け声と共に手元が輝きだし、パワーが集まっていく。

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

『不手際だったなDr.コーチン』

「も、申し訳ありませんDr.ウィロー」

 

 

永久氷壁内のDr.ウィローの研究所では巨大な脳ミソと機械の体のDr.ウィローがDr.コーチンの失敗を咎めていた。

 

 

『まあ、良い……サイヤ人の強さを改めて確認出来た』

「は、はい!更なるバイオ戦士を産み出して、今度こそ……」

 

 

Dr.ウィローとDr.コーチンの会話の最中、ゴゴゴっと研究所が揺れ始めた。

 

 

『外から攻撃を加えているらしいな』

「は、ははは……無駄な事を。私達の科学力ですら、この永久氷壁を破壊しきる事が出来なかったのだ……サイヤ人とは言えど、あんな女子に何が……」

 

 

Dr.コーチンのセリフの最中、揺れがより一層強くなり、次の瞬間にはDr.ウィローとDr.コーチンは光に包まれた。

 

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

スーナは大穴の開いた氷の大陸を宙に浮きながら眺めていた。スーナの放った、かめはめ波は永久氷壁を砕いて埋もれていたDr.ウィローの研究所を破壊し、大穴を開けていた。開けた大穴からは周囲の水や砕かれた氷が流れ落ちていく。

 

 

「今の私の戦闘力の高さは凄まじいですね。昔の私だったら不可能です」

 

 

研究所もろともにチリにしたDr.ウィローとDr.コーチンを哀れに思いながらも今の自分の強さを再確認したスーナ。

 

 

「フリーザ様やお父さんもこんな気分だったんでしょうか……」

 

 

自分の中にある『強さ』という優越感。それは今までのスーナには無かった戦士としての高揚感だった。

 

 

「さて……私も悟空さん達と合流しましょう」

 

 

スーナは自分の額に指を押し当てて悟空達の気を探る。すると悟空とヤムチャの気は離れた地点に移動しており、悟飯の気も移動していて、ピッコロ、クリリン、天津飯、ベジータの居場所は一ヶ所に纏まっていた。未来から来たと言う少年の気も同じ場所にあった。人数が集まっているピッコロの所が一番、説明を受けて分かりやすいだろうと判断したスーナは瞳を閉じる。

次の瞬間、スーナの体は氷の大地からピッコロ達がいる地点に瞬間移動していた。

 

 

「おわっ!?スーナ!?」

「お待たせしました。少々、別の事件を片付けていましたが終わりましたので此方に来ましたが……何事だったんですか?」

 

 

突如現れたスーナに大袈裟に驚くクリリン。スーナが辺りを見渡すと田舎の道路の近くだった。クリリン達は道路下の瓦礫の上に居た。

 

 

「カカロットの瞬間移動か……いつの間に覚えたんだスーナ」

「ベジータ王子が修行で別の惑星に赴いている間に学びました。それで、この状況はいったい……」

 

 

悟空の瞬間移動を修得していたスーナに驚くベジータ。スーナはその場に居た者に事情を聴き……呆れ返った。

 

 

「悟空さんが心臓病になり、現れた人造人間はDr.ゲロ本人で、トランクスが未来で遭遇した人造人間は別にいて、その人造人間が目覚める前に破壊すべきだったのにベジータ王子が邪魔して人造人間17号、18号が目覚めて未来では存在しなかった16号が目覚めてしまったと……まったく、フリーザ軍時代からベジータ王子は余計な事ばかりしますね」

「言葉の端々にトゲを感じる……」

 

 

スーナがピッコロや天津飯から事情を聴いて、溜め息を溢す。トランクスの事も改めて未来から来たブルマとベジータの子供で悟飯とスーナが師匠だったと説明を受け事情を理解している。クリリンはそんなスーナを見て若干怯えていた。

 

 

「ベジータ王子……サイヤ人の矜持も結構ですが、それ以前に取り返しの付かない事態を引き起こすのは止めてください。それにトランクスにも助けられたのであれば言う事があるでしょう」

「ふん、俺は助けを求めた事なぞないし、必要ない」

 

 

スーナから怒られたベジータは鼻を鳴らすと、そっぽを向く。

 

 

「ま、そんな事がなくても人造人間の攻撃なんぞ、簡単に避けたがな」

「今はやめておきなさいトランクス。後で私も手伝ってあげますから」

 

 

そう言ったベジータにトランクスは怒りと共にエネルギー波を放とうと構えていた。しかし、スーナに止められて放つのはやめたが、後で二人係りでベジータを叩きのめすと決意していた。


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