ドラゴンボール ギニュー親子の物語   作:残月

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未来の話と瞬間移動

 

 

 

クリリン達から事情を聴いた桃香だが、ベジータはすぐさま飛んで何処かへ飛んでいってしまう。

 

 

「おい、ベジータ!」

「あの様子なら心配要りませんね。フリーザ軍時代、あの顔をしていた時はフリーザ様やお父さん達との力の差を感じてトレーニングに打ち込んでいましたから」

「さ、流石……元人事……」

 

 

天津飯の叫びを無視して飛んでいったベジータをスーナは心配ないと告げ、クリリンは流石だと感じていた。

ピッコロはピッコロで別方向に飛んでいってしまう。クリリンの説明ではピッコロと神様は元々は一人のナメック星人だったが、過去に善と悪で二人に分かれてしまったらしい。それが再び一人のナメック星人に戻ればサイヤ人はおろか、フリーザ以上の力を持っていたとの事だった。

 

その後、各自で人造人間対策として修行をする事と悟空の心臓病の治療に専念する事となった。天津飯は別行動し、クリリンとトランクスは孫家に現状を伝える為と悟空を亀仙人の家へ移動させる為だ。

 

 

「しっかし、さっき凄まじい気を感じたけど、お前だったんだな桃香」

「私もスーパーサイヤ人へ覚醒しました。ですが、悟空さんやベジータ王子には遠く及びませんが」

「そ、そんな……桃香さんはスーパーサイヤ人に成れなかったのに……」

 

 

 

桃香達はベジータが人造人間と戦っている最中に感じた凄まじい気の正体が桃香である事と話していた。未来の桃香はスーパーサイヤ人になれなかったのかトランクスは驚いていた。

 

 

「過去と未来で歴史がズレているとしか思えませんね。トランクスの話から察すると人造人間の出現時期、悟空さんの心臓病のタイミング、新たな人造人間、そして人造人間の強さの違い……それらを考えれば未来の私が無し得なかったスーパーサイヤ人への覚醒を果たしたとしても不思議はないでしょう……」

「そ、そうですね……やっぱり、桃香さんは桃香さんだ……」

 

 

スーナは自身の考察を説明すると、トランクスは過去でもやはりスーナはスーナなのだと再認識していた。

その後、孫家に到着した桃香達は悟空とチチを連れてカメハウスへの移動を開始。悟飯も合流し、カメハウスへの移動の最中、大型のスカイカーの中でスーナとトランクスは未来での話をしていた。

 

 

「つまり……私の目の前でフリーザ様を切り裂いたのは未来のブルマさんの指示であったと?」

「は、はい……母さんに言われて……俺も概ね同意してしまいました」

 

 

スーナが聴いていたのは何故、フリーザをスーナの目の前で惨殺したか、それが誰の意思による物か、スーナが地球にいる事を何故望んだのか。それらを話したトランクス。スカイカーの中で正座をしながらトランクスはスーナに全てを話していた。

 

 

「だとすれば……妙ですね」

「妙……ですか?」

 

 

トランクスの話を聞き終えたスーナはトランクスの話の中の矛盾を感じていた。

 

 

「未来のブルマさんの指摘通り、私は地球に留まり続けて今に至ります。ですが、私がフリーザ様の敵討ちとして再び、フリーザ軍に戻る可能性を無視してるんです」

「そ、そうだよな……言われてみれば親同然のフリーザを殺されたとあれば桃香がフリーザ軍の再建に戻っても可笑しくはないんだ」

「た、確かに……でも、だったらどうして未来で母さんは俺にフリーザを桃香さんの目の前で倒せなんて指示をしたんでしょうか……こうすれば間違いないとまで言っていたんです、母さんは」

 

 

スーナが推理した様に、未来のブルマがトランクスに指示した事は穴だらけの予想図に過ぎなかった。にも拘らず、ブルマは自信気に『こうすれば間違いない』とすら言いきったのだと言う。

 

 

「恐らくですが……未来のブルマさんは何かを隠しているのかも知れませんね。トランクスにも話さなかった重要な事があるでしょう。ですが、それを話さなかったのは今は必要ない、または知るべきでは無い事かも知れませんね。今はこの話は終わりにしましょう。未来の事よりも今をどうにかしなければ」

「は、はい……」

 

 

スーナは有無を言わせぬ雰囲気で未来の話を打ち切った。この話をしている最中、クリリンはブルマに今の現状を報告する。するとブルマから告げられたのはトランクスが乗ってきたタイムマシンが田舎の山中で見付かったとの話だった。

トランクスはその話を聞くと現場に行きますと告げ、悟飯も付いていってしまう。チチが危ないからと止めようとしたがスーナに『危なくなったら気を高めて呼びなさい。瞬間移動で迎えに行きますから』と言って見送ってしまう。

 

 

「便利だなぁ……瞬間移動が出来るってのは」

「口で言う程、簡単じゃないんですよ。気を探り、気を捉え、気をコントロールして、その身を運ぶ。瞬間移動はそれらをほぼ同時に扱い、気をブレ無いように扱うんです。少しのミスも許されないんですよ」

 

 

クリリンが悟空と共に瞬間移動の使い手となったスーナに感心していると、スーナからは瞬間移動は実はかなり難しい技なのだと説明された。

 

 

「そ、そうなのか?悟空はヒョイヒョイ使えてたみたいだけど」

「悟空さんは感覚だけで、それをしているんです。私は考えに考えてから行っているので精神的な負担が大きいんです」

 

 

悟空は感覚的に本能で気のコントロールをしているがスーナは元々理詰めで行動をするタイプであり、正反対なのだ。故に感覚的に瞬間移動をしている悟空と違って、考えながら複数の思考と行動をしているスーナでは使い勝手が違う。

因みに、スーナが瞬間移動で一番苦労したのは悟空が普段から感覚で気のコントロールをしている為に口頭で瞬間移動の説明を学んでいる時だったりする。

感覚で物を言う悟空と理詰めのスーナ。日常生活では問題ないが物を学ぶに辺り悟空とスーナの相性はかなり悪かったりする。

 

 


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