ドラゴンボール ギニュー親子の物語   作:残月

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精神と時の部屋へ

 

 

精神と時の部屋に入ったスーナは修行を始める為にスーパーサイヤ人になり、気を高め始めた。

 

 

「私は……自分の限界も知らずに生きていました。ですが、今は……何憚れる事もなく自分の為に成すことを成さねばなりません!」

 

 

スーパーサイヤ人状態のスーナの気はビリビリと空気を震わせる。精神と時の部屋の中では外部への影響が無い為にスーナも気がね無く気を高められた。

グングン気を高めるスーナ。筋肉が肥大化し、高まるパワーに今までに感じた事の無い感覚に見舞われるスーナは一直線に走り、急停止した。再び走り、急な方向転換をする。

 

 

「パワーが上がっても私程度では意味がありませんね。トランクスのパワーでもセルには通用しなかった訳ですし。筋肉が肥大化した分、パワーは増しましたが小回りが効かなくなるのが欠点ですね」

 

 

肥大化した筋肉ではスピードが失われてしまう、とセルの指摘や悟空が考察していた通り、パワーだけに片寄ったパワーアップでは意味がない。

今、スーナが試したのはパワーに片寄った変身の利点と欠点の確認だ。直線的な動きなら速度は増していたが、方向転換や戦闘力のコントロールは乱れていた。

 

 

「と、なれば悟空さんや悟飯の様に自然にスーパーサイヤ人になれる様になるべきか……それとも」

 

 

 

自分の戦闘スタイルは確立していない。今まではフリーザの下にいてドドリアやザーボンの師事の下で戦っていた。その頃はザーボンのテクニックとドドリアのパワー戦法を主体にしていた。トレーニング相手にギニュー特戦隊とは模擬戦はしていたが、間違ってもギニュー特戦隊の真似はしないと誓っていた。

 

 

「それに……お父さんとトレーニングしていると中断が多かったですからね」

 

 

ギニューは過保護でトレーニング中にスーナが僅かに怪我をしようものならトレーニングを中断し、スーナを抱えて医務室へと駆け込んでしまうからである。昔の事を思い出したスーナはクスリと笑みを溢した。

 

 

「理想としては通常状態で先程のパワーを引き出せるのが良いのですが……」

 

 

先程のパワーを引き出しつつ、筋肉の肥大化をしないパワーアップ。そんな都合の良い方法があるものか、とスーナは首を横に振る。

 

 

「と、なれば戦闘力のコントロールを極めるべきですね」

 

 

スーナは瞳を閉じて心を静めながら体外に放出していた気を内側に内付する様に抑え込む。

 

 

「一年もあるんです……色々と試してみましょう」

 

 

スーナは今まで師事を受けた者達の教え以外の力の引き出し方を模索するスーナ。

力の引き出しを模索する精神と時の部屋の中での一年はあっという間に過ぎていった。

 


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