ドラゴンボール集めを終え、孫夫婦の仲を取り持ったスーナは再び、精神と時の部屋に入っていた。セルゲームまで後二日となったのでスーナは一日入り、セルゲーム前日に出てくる計算になる。そして一日、体を休めてセルゲームに挑むつもりである。
「ふ……はぁぁぁぁぁ……」
気を高めながらも、心が高ぶらない様に細心の注意を払う。悟空と悟飯がしていた修行と同じ様に精神的な修行と仮想敵のイメージと戦う訓練を繰り返す。ひたすら、それを繰り返していた。
仮想している相手は悟空やベジータ、ピッコロと言った強者であり、時にはフリーザやクウラをイメージして戦っていた。
「イメージでも私はフリーザ様やクウラ様に敵いませんね。しかし、セルの強さはそれを上回ると考えるべきなのでしょう」
フリーザを倒した悟空やトランクスよりも強かった人造人間達。それを更に上回るセルの強さはいくら強さを仮定してもそれは想像でしかない。いくら特訓しても、不安が拭えないのだ。
「基礎的なトレーニング以外となれば後は技の研鑽でしょうか。私は人真似ばかりでしたからね」
スーナが今まで使用していた技の数々は悟空のかめはめ波が主な物で、後はフリーザ軍時代のドドリアやザーボンと言った幹部の真似ばかりだ。因みに、威力が高くてもギニュー特戦隊の技は絶対に使用しないと心に誓っているスーナでる。
「フリーザ様やクウラ様の様に基本パワーが高ければ指先からの気功波でも凄まじい威力になるのですが……」
フリーザのデスビームやデスボール。クウラのスーパーノヴァの様な桁外れの破壊力の技は、あの一族でなければ不可能だろう。
「セルに対して確実に効く技を生み出さなければ意味がありませんね」
因にだが、現状でセルに一番のダメージを与えたのはスーナの一言だったのだが、本人もまさか、そんな状態だとは思ってもいなかった。
「かと言ってパワーボールで大猿になるのもリスクが高いですね。パワーの消費が激しいのもそうですが、大猿化は隙が大きい……単独での戦闘には向きません」
悩む仕草を見せながらも実戦に向いていそうな技を試行錯誤で描いていくスーナ。そう言った意味では、かめはめ波はシンプルながらに万能な気功波なのだと実感していた。
前回、精神と時の部屋に入った時はひたすら自身の強さを追及したが、今回はクウラに言われた事を念頭に様々な事を考えながら修行に励むスーナ。
「もしも……クウラ様と一緒にトレーニングをしていたら変わっていたのでしょうか?いえ、強くなる前に私の身が保たないですね」
クウラと共に鍛練に勤しむ自分を想像したスーナだが、クウラの強さと性格を考えれば強くなる前に潰されてしまうだろうと想像した。
「修行よりもクウラ様と二人きりの方が大変かも知れませんね。気難しい方ですから」
クウラの無愛想を考えると一年も二人きりの状況の方がキツいのでは?と考えるスーナ。
余談だがクウラはクウラでスーナにそれなりに気を遣っている。以前、スーナの様子を見に孫家に行ったのが良い例であり、クウラが他者にアドバイスを送るなど、あり得ないのだから。
そんな思いに気付かないままスーナは一年と言う時間を精神と時の部屋で過ごした。修行を終えたスーナは下界へおり、最後の日を孫家で過ごした。