スーナはギニューに付いて宇宙を回り、仕事をする。その傍ら、トレーニングをしたり星の管理をしている城にいたりと忙しくしていた。
そしてトレーニングをする傍ら自身の弱点を鍛えていた。その弱点はサイヤ人特有の弱点……即ち。
「ふ……う……くぅぅ……」
スーナは自分の尻尾を力強く握っていた。サイヤ人特有の弱点とは尻尾だった。サイヤ人は尻尾を強く握られると全身の力が抜けるという弱点を持つ。大人の戦士はその弱点を鍛えて尻尾を握られても平気だが、幼いスーナはまだその弱点を克服出来ていなかった。
「ぷあ………もうダメ……」
スーナは自分の尻尾を離すとペタンと座り込んでしまう。息も途絶えながらスーナは自分の尻尾を揺らす。
「もう……まだダメだなぁ」
スーナは以前から尻尾を鍛えようとしていたのだが未だに進展は見えず。
「ベジータ王子やナッパさんは平気だって言ってたし……頑張らなきゃ」
そう言いながらアドバイスをしてくれたサイヤ人を思い出す。一流を目指すなら尻尾を鍛えようとスーナが決心したのも、その時だった。
※スーナはラディッツが尻尾を鍛えていないのを知らない。
「おーい、スーナ?そろそろオヤツの時間……何やってんだ?」
「あ、バータさん。その……尻尾を鍛えようかと思いまして」
そんな中、トレーニング室にバータが入ってくる。どうやら三時のオヤツに誘いに来たらしいのだが、スーナが自身の尻尾を握っている様子を見て疑問を持ったようだ。
「尻尾を鍛える?……ああ、サイヤ人は尻尾を握られると力が出ないんだったか。不便だねぇ」
「ええ、ですから鍛えようと思って……あ、そうだ」
良い事を思い付いた様にスーナはポンと手を叩いた。
「バータさん、私の尻尾を握って貰えませんか?」
「な、なんだって?」
スーナの突然の提案にバータは慌てた。
「その……自分で握るから鍛えられないんじゃないかと思って……お願いします」
「あ、ああ……まあ、俺で良ければ」
スーナの態度に思わず了承してしまったバータ。しかもスーナはお願いしますと言って四つん這いになって、お尻を向けてきている。
ここで再確認だがスーナはトレーニングの為にTシャツにスパッツという姿である。そして幼いながらにもスーナの体つきは女性特有の物に成長し始めた頃。そんな光景を目の前にしたバータは意を決してスーナの前に片膝を突いた。
バータはギニュー隊長に知られたら殺されるかもしれんな……と思いながら突き出された尻尾に手を伸ばす。
「よし……握るぞスーナ」
「は、はい……お願いします」
頼まれたバータはそっとスーナの尻尾を握る。最初は力を入れないように軽く握った。
「ふ……ん……」
「だ、大丈夫か?」
尻尾を握られたスーナは小さく息を漏らす。バータは心配になり声を掛けるがスーナは首をフルフルと横に振る。
「だ、大丈夫です……も、もう少し……」
「お、おう……任せろ」
頬を赤くして続きを促すスーナ。バータは恐る恐る握る力を強めた。
「はひゃん!?……も、もっと優しく……ん……」
「わ、わかった……力加減が難しいな……」
力を入れ過ぎたのかスーナが悲鳴を上げた。バータは慌てながらも力を調節する。
「はふぅ……はぁ……これなら……なんとか……」
「お、おぅ……これくらいの力なら大丈夫なんだな」
スーナの様子を見ながら手に込める力を調節するバータ。しかし、ここで不運な事が起きた。突如、城が大きく揺れたのだ。
「な、なんだ!?」
「ひきゃあん!?」
突然の事態に、バータは思わず握っていたスーナの尻尾を強く握ってしまう。尻尾を強く握られたスーナは悲鳴を上げた。
「な、なんだ今の揺れは……」
「ふ……く……うぅぅ……」
スーナはこれ以上声を出さないように手で口を押さえるが声が漏れていた。しかもバータはその事に気づいていない。
「もしかして敵襲か!?スーナ、お前は……スーナ?」
「ら、らめぇ……尻尾はらめぇぇぇぇぇぇっ!」
「何をしてるか貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
遂に我慢できなくなり、声を上げたスーナ。この直後、スーナの様子を見に来たギニューがスーナとバータを見て誤解し、バータをミルキーキャノンで吹っ飛ばした。
因みに城が揺れたのはリクームがトレーニングとして放った技が思いの外、威力を発揮して城全体が揺れたとの事だった。またバータはミルキーキャノンの直撃は食らったが、スーナが近くに居た事もあり、ギニューが手加減したのか軽傷だった。
この後、誤解は解けたがスーナとバータは互いに暫く顔もマトモに見れなくなった。