ドラゴンボール ギニュー親子の物語   作:残月

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戦いの決着

 

完全体のセルがニヤリと笑みを浮かべると自身の指で頭を叩く。

 

 

「私の頭の中には私の全てを形成するコアが存在する。これを破壊しない限り私は何度でも再生出来るのだ。私が自爆した際にコアが運良く傷付かずに残ったのだ。計算した訳じゃない……運が良かったのだ。しかも私の体は18号抜きでも完全体となって再生した。死の淵から回復すると戦闘力が増すサイヤ人の細胞が成した事だろう。更に私は孫桃香や孫悟空が使用していた瞬間移動も体得した。つまり、孫桃香は私を倒す所か、色々とプレゼントしてくれた訳だ」

「く……くくっ……」

 

 

セルの独白にスーナの死が無駄に終わってしまったと悟空達の心が絶望に塗り替えられていく。そんな中、悟飯は静かに笑みを浮かべると再びスーパーサイヤ人2になる。

 

 

「どうした?姉の死に気でも触れたか?」

「嬉しいんだ……僕の傲慢で死なせてしまった姉さんの仇を討てて……貴様はこの手で是非殺したいと思っていたんだ」

 

 

闘気を漲らせる悟飯に対し、スーナの死に胸を貫かれ倒れたトランクス。ベジータの頭の中に様々な感情が渦巻いていた。

 

 

「くっそぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

「ベジータっ!?」

「ベジータさん!?」

 

 

気を昂らせ、スーパーサイヤ人になったベジータはセルに立ち向かっていく。特大の気功波を浴びせた後に連続でエネルギー弾を次々にセルに放つベジータ。

 

 

「完璧になる前の私になら通用したかも知れんが無駄だ。消えてろ、ベジータ!」

「がはぁっ!?」

「ベジータさん!」

 

 

エネルギー弾の雨を物ともせずベジータに接近したセルはベジータを蹴り飛ばし、地面に叩き付けた後、指先からエネルギー波を放ちベジータにトドメを刺そうとする。しかし、直前で悟飯が間に入りベジータを庇う。

 

 

「おやおや、これは思った以上の収穫だ」

「ば、馬鹿野郎……桃香もトランクスもドラゴンボールで生き返る事が出来たってのに……」

「ぐ、くそ……思った以上にセルがパワーアップしてた……」

 

 

悟飯の左腕が使用不能になった事にニヤリと笑みを浮かべたセル。クリリンはベジータに悪態を突き、悟空は未だに茫然自失となった状態のままだった。悟飯は傷ついた左腕に手を添えながら立ち上がるが闘志に揺らぎが生まれていた。

 

 

「少々、つまらん幕引きとなったが……これで最後だ」

「な……」

「やれよ……もう抵抗しても無駄だって分かってるんだから……」

 

 

セルが腰を落として球を掴む様な構えになると、その場の全員が察した。今のセルが完全に気を解放した、かめはめ波が撃たれるのだと。悟飯は既に完全に諦めてしまっていた。

 

 

「まさか……この俺が足手纏いになるとはな……すまなかったな、悟飯」

「いえ……向こうに行ったら一緒に姉さんに謝らなきゃですね」

 

 

プライドの高いベジータが素直に謝るなんて今までになかった事態に、悟飯は完全にどうしようもないのだと察してしまっていた。そして悟空も先程からピッコロ、ヤムチャ、天津飯が声を掛けても無反応であるなど、未だに茫然となっていたままである。

 

 

『何を悟った様な顔をしてるんですか、悟飯。貴方のプライドは簡単に折れ過ぎですよ、ベジータ王子。己の不甲斐なさを自覚したのであれば、立ち上がってください、悟空さん!』

「ね、姉さん?」

「スーナ……何故、声が……?」

「とう……か?」

 

 

悟飯、ベジータ、悟空の耳に死んだ筈のスーナの声が届く。あまりの事態に驚き辺りを見回す三人。

 

 

『界王様にお願いして声の中継をしてもらっています。まったく……私の死に嘆くのは嬉しく思いますが、それでセルに屈するのは私への侮辱となりますよ』

「ね、姉さん……でも僕は腕を……それに気も半分以下に……」

 

 

界王を介して会話をするスーナと悟飯。その会話は悟空とベジータにも伝わっていた。

 

 

「ふん、恐怖のあまり狂ったらしいな孫悟飯!」

『悟空さんも言っていたでしょう。貴方の中には眠っていた力があるんです。それは、あのナマモノよりも強大な力なんですよ。自分を信じなさい、悟飯。貴方の力は私と悟空さんが信じた力なんですよ』

「姉さん。やれるだけ……やってみます!」

 

 

セルは悟飯が独り言を言っているのだと笑うと更に気を高め始めた。悟飯は優しく諭す様なスーナの言葉を飲み込むと拳を握った。

 

 

「ごめんなさい、姉さん。僕のせいで……」

『寧ろ、悟飯に頼らねばならなかった私達の落ち度ですよ。ですから、貴方達もいつまでもへこんだままではなくシャキッとしなさい!私が命を賭したのに、そんな態度では私の死が無駄な物になるだけですよ』

「ちっ……戦闘力が低くて泣いていたガキが言ってくれるじゃないか」

「オラの情けなさで……死なせちまって悪かったな、桃香」

 

 

謝罪する悟飯を諭した後に悟空、ベジータに叫ぶスーナ。長年、付き合いがあるサイヤ人であるベジータと仮にも二人目の父と認めた悟空が沈んだままなのは許せなかったスーナ。その叱咤にベジータはゆっくりと立ち上がり、悟空の瞳にも漸く光が戻り始めていた。

 

 

「死者と会話とは気が早いな!急かさなくても、すぐにあの世に送ってやるぞ!波ぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

『やってみなさい、貴方の全力で!』

「はい、姉さん!波ぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 

セルから放たれたかめはめ波をスーナの言葉を受けて片手で放つ悟飯。拮抗したかに見えたかめはめ波だが悟飯の方が押され気味だった。

 

 

「だ、駄目だ!やはり悟飯が押されている!」

「くそっ……恨むぞ俺達の力の無さを……」

「お、おい悟空!?」

「何をする気だ!」

 

 

クリリン、ピッコロ、ヤムチャ、天津飯の順に対峙するかめはめ波に対するコメントが溢れた。そして目に力の戻った悟空が悟飯の方へと飛び上がった。

 

 

「お、お父さん……」

「すまなかったな、悟飯。桃香やピッコロに言われるまでオラは悟飯の事を軽く見ちまってた。これからはオラも父親らしくすっぞ……波ぁぁぁぁっ!」

「無駄だ、孫悟空!今の貴様が加わった程度ではこのパーフェクトセルには勝てんぞ!ぶるぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 

悟飯の背後に立った悟空は悟飯に懺悔をしていた。悟飯の潜在能力を引き出す為とは言えど息子を危険な目に遭わせ、挙句に娘を死なせてしまった。その事で薄かった悟空の中の父親としての責任感が悟空にのしかかっていたのだ。

悟空は父親としても責務も含めて悟飯の背後からかめはめ波を放つ。しかし今の消耗した状態での悟空のかめはめ波では大した加算にはならず、セルが更に気合いを入れると更に押され始めてしまう。

 

 

『もっと力を解き放ちなさい悟飯!贖罪の為だと言うならセルに勝ってください悟空さん!』

「ぐ、ううぅぅぅぅぅっ!」

「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

「これで最後だ!地球諸共、塵に……がはっ!?」

 

 

スーナの叱咤激励に力を限界近くまで引き出す悟飯と悟空。しかし、後一歩セルに圧倒されたままで負けそうになっていた。その時だった。セルの側頭部に一発のエネルギー弾が叩く込まれた。セルが視線を移すと、息切れをしながらもエネルギー弾を放ったベジータの姿が映った。

 

 

『今です!全てを解き放ちなさい、悟飯!お父さん!』

「「波ぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」」

「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?ば、バカな……この私がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

 

その隙を見逃さなかったスーナの叫びをキッカケに悟飯と悟空は残りの全ての気を解放した。それを見ていたクリリン達は悟飯と悟空で放っていた筈のかめはめ波の筈なのに、悟飯と悟空に並んでスーナが、かめはめ波を放つスーナの幻影を見た。

親子姉弟かめはめ波に完全に負けて、かめはめ波に飲み込まれていったセルはその身が崩れ始め最後には完全に消滅した。

 

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