ドラゴンボール ギニュー親子の物語   作:残月

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スーナのこれから

 

 

 

 

セルを倒した悟空達は神の神殿に戻り、各人はデンデに傷を治してもらっていた。18号は傷を治した後、周囲からクリリンが必死に庇っていた事を告げられたが特に感謝もせず悪態を吐いてから神殿から去ってしまう。

へこむクリリンだが、ピッコロから死者を生き返らせるのが先だと告げられ、神龍を呼び出し、『セルに殺された者達を生き返らせて欲しい』と願った。

その結果、地球上でセルに殺された者達が生き返ったが、スーナの気は感じ取れなかった。

 

 

「な、なんで桃香が生き返らないんだ?」

『その者から蘇りを拒否された。さあ、次の願いを言うが良い』

 

 

ヤムチャはスーナが生き返らない桃香の事を疑問に思うと神龍から返答が出る。神龍の力に逆らえるものなのだろうかと疑問は生まれるが、過去に悟空も地球への帰還を拒んだ例もあるので決して不可能では無いのだろう。

 

 

「そ、そんな……姉さんが生き返るのを拒否するなんて……」

『その件ですが、少々込み入った事情が出来ました』

「桃香!」

 

 

悟飯がスーナが生き返る事を拒否した事にショックを受けていると先程同様に悟空達の頭に直接、スーナの言葉が響く。

 

 

『界王様にお願いして、あの世から中継をしてもらってます。私が生き返るのを拒んだ件ですが、あの世……地獄で少々問題が起きていまして。その解決を界王様と閻魔大王に頼まれました。その問題はフリーザ軍の兵士達が仕出かしてる事なので私が直接担当に向かう事になりました。それに私は界王様の死亡に関与していますから罪滅ぼしの意味も込められています』

「それは桃香が関わらなきゃならないのか?確かに界王様の件は罪になるのだろうが……」

『元フリーザ軍の人事として……やらねばいけない事なんです。それに生者では、あの世の事に関わる事が出来ません。ならば私は死者のままで対応せねばなりません。界王星も吹っ飛んでしまったので界王様も当面は天国で過ごされると仰ってますし』

 

 

スーナの発言に天津飯が疑問を口にする。しかし、次に告げられた言葉に全員が黙ってしまう。スーナはフリーザ軍があの世で悪事を重ねている事への対処と界王殺しの罪を償おうとしているのだ。そして、それは生き返ってからでは叶わない事でスーナの決意が強く感じられた。

 

 

『それに調べたい事もあるんです。それは、あの世である方が都合の良いと言う事もありますが。悟空さん、約束通り働いてくださいね。お母さんには謝っておいてください。悟飯、これからは平和になるんですから、貴方の願った将来の為に勉学に励むと良いでしょう……貴方達と共に過ごせなくなるのは少々……いえ、凄く寂しいですが仕方の無い事です。ですが……いつの日にか、また会える事を願います。クウラ様には軟弱だと怒られてしまうそうですね。そうならない様に逃げちゃうとしましょう。では……さようなら』

『あ、あの……次の願いを待ってるんだけど……ずっと』

 

 

そしてスーナから別れの言葉が告げられ最後は冗談めかした事を言ってから、あの世からのメッセージは幕を閉じた。なんとも言えない空気が漂う中、神龍が口を開いた。

この後、ヤムチャが神龍に高級なネックレスを頼もうとしたりしたが、クリリンが『17号と18号を元の体に戻して欲しい』と願うが、神龍からは人造人間の力は神龍の力を超えている為に不可能とされた。再度、『17号と18号の体内の爆弾を取り除いて欲しい』と願った際には願いは聞き届けられ17号と18号の体からは爆弾が取り除かれた。

今のやりとりを神殿の柱から覗いていた18号はクリリンにツンツンとした態度ながら礼を言い、ヤムチャがそれを冷やかしていた。ピッコロは「恋愛とやらは分からん……」と頭を悩ませていた。

 

セルを倒した事や地球の人々を生き返らせた事。そして17号と18号の体内の爆弾を取り除いた事は喜ばしい事だったが、全員が素直に喜べなかった。一番の功労者となったスーナが死んだままになっている事や自分自身の無力を痛感した戦士達の心中は計り知れないものがあった。

 

 

しかし、いつまでもそのままと言う訳にはいかず、それぞれが行動を起こす事に。ピッコロは神殿にそのまま住むと決めており,天津飯は修行の為に下界に降りる事に。トランクスはカプセルコーポレーションに戻り、一晩寝てから明日未来に帰る事になった。ヤムチャは見送りの事もあり、共にカプセルコーポレーションへ。クリリンは一先ず亀ハウスへ帰り、亀仙人に今までの事を報告する事に。

16号は行く宛もないと言っていたがスーナへの恩義もある事からカプセルコーポレーションへと行く事となった。その際に「俺はもう孫悟空を殺そうとは思わん。死んだ孫桃香への義理もあるが……これは俺自身の意思だ」と告げてからトランクスと共にカプセルコーポレーションへと同行した。

 

そして悟空と悟飯は孫家へと帰り、チチにスーナの事を告げた。スーナの事を聞いたチチは泣き崩れてしまう。牛魔王も言葉が出ない様でショックを受けていた。

悟空はチチに己の力不足を嘆いたり、悟飯も自身の傲慢で姉を死なせてしまったと自責の念に囚われていた。だが、チチは泣き崩れながらも悟空と悟飯を抱きしめた。

 

 

 

翌日になり、トランクスが未来へと帰る事となり悟空達は見送りに集まっていた。スーナの死もあり、見送りではあるが喪中の服装ではあったが皆が笑顔でトランクスを見送った。ベジータも普段の態度からは考えられないが見送りに顔を出しており、最後に手向けとしてピッと人差し指と中指を立てていた。

 

 

トランクスを見送った悟空……と言うよりもチチにブルマから書類が大量に手渡された。それはスーナが何かあった時の為に自身の口座を孫家名義に変更する書類や悟飯が高校生くらいの年頃になったら、街へ通う為の手続きの案内等が記されていた。

スーナは自身に何かあった時の為にブルマに様々な事を遺言として頼んでいたのだ。本来ならば家長である悟空に渡されるべきなのだが、悟空では書類の内容も意味も理解しないだろうからとチチ宛になっていた。

 

その事にチチは再び泣き崩れてしまい、悟空や悟飯も涙ぐんでいた。

そんな事もあり、孫家のリビングにはスーナが掛けていたメガネと家族一緒に過ごした写真が飾られる事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇その頃、あの世◆◇

 

 

 

「さ、お仕事しましょうか」

「似合いすぎだぞ、お前……」

 

 

スーナは今まで着ていた様なスーツや道着ではなく獄卒として黒の着物を身に纏い、巨大な金棒を肩に担いで地獄へ行こうと意気込んでいて界王はそんなスーナを見て若干引いていた。

 


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