ドラゴンボール ギニュー親子の物語   作:残月

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地獄での再会

 

 

 

 

ギニュー特戦隊が認めた事でフリーザ軍の亡者達から騒めきが起こる。元とは言えど人事のトップが目の前に急に現れれば当然の反応だろう。そんな中、セルが一歩前に出る。

 

 

「ふ、慌てる事はない……奴を殺したのは私なのだからな。今度こそ、貴様に対する雪辱を晴らしてくれる!ぶるわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

「パイクーハンさん、お願いします」

 

 

セルは羽を広げてスーナに迫っていく。スーナは助けた鬼を共に来ていたパイクーハンに投げ渡すと、金棒を握り締めた。スーナは金棒をセルの顔面に叩き込むがセルにダメージは無く、金棒を敢えて受けたセルは笑みをこぼした。

 

 

「フハハハッ!そんなものが私に効くとでも……ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

「金棒は効かなくとも殺虫剤は効きましたね。てりゃ!」

 

 

金棒こそ効かなかったセルだったが、金棒を敢えて受けたセルの隙を突き、スーナはセルに殺虫剤を浴びせた。嫌がらせ程度のつもりだったがセルには効果抜群だったらしい。目潰し程度の効果でも動きの止まったセルの腹にスーナの蹴りが突き刺さり、セルは血の池地獄へと落ちていった。

 

 

「この小娘が!」

「覚悟しろ、スーナ!」

 

 

セルが倒されたと同時に隠れていたスラッグとターレスが左右からスーナに迫る。その背後にはドクターウィローのバイオ戦士のキシーメ、ミソカッツン、エビフリャーも迫ってきていた。

スーナは着ていた黒の着物をバッと脱ぎ捨てる。黒の着物の下にはチチに用意してもらった道着を着ていたスーナ。

 

 

「やはり、私はこの道着の方が落ち着きますね……はっ!」

「ごふっ!?」

「ギィ!?」

「ギャァ!?」

「ヒギィ!」

 

 

スラッグを左膝蹴り、キシーメを右ストレート、ミソカッツンを右回し蹴り、エビフリャーを左エルボーでそれぞれ一撃で倒していき、血の池にドボドボと落ちていくスラッグ達。最後に残されたターレスは冷や汗を流しながらスーナを見つめていた。

 

 

「さ、流石は俺が見込んだ女だ……どうだ?セルに成り代わって地獄を支配しないか?」

「貴方も変わりませんね、ターレスさん。私をフリーザ軍からスカウトした時と本当に変わらない。女性の扱いももっと勉強してから口説きなさい!」

 

 

あまりにも苦しい誘い方にスーナは溜息を零しながら、パァンとターレスの頬にビンタをした。

 

 

「今のはナメック星で私に無理やり抱き付いた分です。こっちは暴動の罰です!」

「ぐわぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

 

ナメック星での恨みを晴らしたスーナは踵落としでターレスを地面に叩き落とした。叩き落とされたターレスは地面にクレーターを生み出す程の威力で叩きつけられ動けなくなってしまう。

 

 

「テメェ……スーナに無理やり抱き付いたってのは、どう言う了見だ?」

「セルって奴は地獄を支配するって聞いて言う事を聞いてりゃスーナを殺したとか調子に乗りやがって……」

 

 

そこでスーナから事の一部を聞いたバータとリクームが指の骨をバキボキと鳴らしながらターレスに歩み寄る。それを止めたのはコルド大王だった。

 

 

「待て、貴様等!我々は地獄を制圧する為に動いているのだぞ!仲間割れを起こしている場合か!」

「仲間割れ……ですか。フリーザ軍の経費を競馬に突っ込んで給料未払いだったコルド大王様がそれを言いますか?大方、地獄を制圧した後で適当な言い訳を挟んで口答えさせないつもりだったんでしょうけど、私が来たからには地獄の制圧もさせませんし、生前の給料未払いと経費を競馬に注ぎ込んた件も許しません」

 

「お、おお……コルド大王様が言いくるめられている」

「確かにセルやコルド大王様に従っても待遇は良くはならなそうだよな」

「だったらスーナ様に着いていって罪を償った方が良くないか?」

「そうだな……そうするか」

 

 

兵士達を威圧しようと叫んだコルド大王だがスーナの一言に兵士達はコルド大王から離れていく。元々、経費の使い込み等で人望の薄かったコルド大王。力での支配が叶わないとなれば離れるのも当然と言える事だろう。兵士達はセル、ターレス、スラッグ、コルド大王を除いて次々にスーナの側へと着く事となった。当然ながらギニュー特戦隊のメンバーとザーボン、ドドリアも同様だった。

 

 

「舐めるな!此処で貴様を倒せば俺達の天下だ!」

「シャーベさん……貴方の後輩のタゴマさんやシサミさんは立派に成長なさってましたよ」

 

 

スーナ如きに舐められたまるかとシャーベが襲いかかって来たが過去の強者のシャーベと今のスーナでは力の差がありすぎた。シャーベの拳をスッと顔を逸らしただけで避けたスーナはカウンターで膝を腹に叩き込む。更にシャーベの足を掴んでコルド大王の方へと勢い良く投げ飛ばした。

投げ飛ばされたシャーベはコルド大王と針山の方へと勢い良く突っ込んで沈黙した。

 

 

「さて……まだ反乱に参加したい方はいらっしゃいますか?」

 

 

パンパンと手を払うスーナに、その場の全員が首を横に振った。そもそも生前は上司であり、元々逆らう事すら考えようとも思わなかった人物が自分達の戦闘力を遥かに超える強さを持っているのだ。彼等からすればフリーザに単身で逆らう様なものだ。それはフリーザ軍の兵士達にはありえない考えと言えるだろう。因みに止める者がいなくなった為にターレスはギニュー特戦隊にリンチの憂き目に遭っていた。

 

 

「ぶるわぁぉぉぁぁぁぁっ!この程度で私を倒せると思ったか、孫桃香……がはっ!!」

「やはり、あの程度ではダメですか……ならば、っと?」

「見物ばかりでは来た意味が無くなりそうだからな。少し手伝うとしよう」

 

 

血の池地獄から這い上がってきたセルは先程とは違い、気を全開にした状態でスーナに迫って来た。ヤバいと感じたスーナはスーパーサイヤ人になろうとしたが、それよりも先にパイクーハンの蹴りがセルを捉えた。呆気に捉えたスーナに対してパイクーハンはセルに手刀で針山の方へと叩き落とされた。

 

 

「ギャァァァァァァァァァァッ!」

「これにて一件落着……ですね」

「そのようだな」

 

 

針山に落下していくセルの叫びを聞きながらスーナはやれやれと溜息を零す。そして次の瞬間、セルは針山の針に背中から突き刺さった。

地獄の反乱騒ぎの主導者であったセル、コルド大王、ターレス、スラッグはスーナとパイクーハンに制圧され失敗に終わった。

 

 

「それにしても……お久しぶりです皆さん。お元気でしたか……と聞くのはちょっと違いますね」

「俺達が死んでる間に随分成長したんだなスーナ」

「ふっ……美しく成長したな」

 

 

ペコリと頭を下げたスーナにドドリアとザーボンが真っ先に口を開いた。二人は一番長くスーナの面倒を見ていただけに成長を喜んでいた。特にザーボンはスーナのポニーテールに手を添えて、髪を撫でた。

 

 

「確かに背が伸びたなスーナ。こりゃギニュー隊長も喜んでたんじゃねーか?」

「だけど俺の背よりは低いぜ!まだまだ負けねーぞ」

「そりゃ、リクームとは体付きが違うからだろ」

「へっ……スーナも死んだんなら関係ないぜ」

 

 

ターレスのリンチを終えたバータ、リクーム、ジース、グルドも話に参加する。因みにセルやターレス達は傷付き身動きが取れなくなっていたのでスーナの指示でフリーザ軍の兵士達が鎖で拘束していた。反乱を扇動していた者達が末端の兵士達に捕まる光景は悲惨な一言に尽きる。

 

 

「私が死んだのも理由があるんです。死んだ後に言うのもなんですが、また会えて嬉しいです、皆さん」

「かーっ!相変わらず硬いね、お前は!」

 

 

ペコリと頭を下げたスーナの頭を乱暴にバータが撫でる。乱暴に撫でられていても何処か懐かしい感覚にスーナは笑みを溢した。

 

 

「私が死後の世界で調べたかった事が沢山あって、それを調べる為にも地獄へと来たかったんです。それで……サイヤ人の皆さんは何処に?」

「ああ……サイヤ人共なら地獄の端のエリアに纏まっている筈だ」

「なんだ?サイヤ人について調べたかったのか?」

 

 

スーナは地獄の反乱騒ぎにサイヤ人が参加していなかった事を疑問に思っていた。戦闘民族であるサイヤ人が反乱騒ぎに参加していなかったとは思わなかったのだ。特に自身の知るナッパ辺りなら騒ぎに確実に参加していると思っていたからである。

 

 

「フリーザ軍の頃からサイヤ人について気になる事が沢山あったので。あの頃は仕事と……フリーザ様がサイヤ人について良い顔をされなかったので調べられなかったんです。お父さんも私がサイヤ人の事を調べようとすると邪魔しに来てましたから」

「そうだろうな。スーナ……お前がサイヤ人の事を調べるのもフリーザ軍所属のサイヤ人にも接触させない様にと命令も下されていたからな」

 

 

スーナの呟きにザーボンが頷いた。あの頃の話ではあるが……とザーボンが語る。フリーザはスーナがかつてのサイヤ人と同じ様に自身に反抗しない様にとサイヤ人に関する知識を与えない様にしていたのだ。

 

 

「やはりそうでしたか……フリーザ様は現在、地獄の最下層にいらっしゃいます。今は無理ですが後程、挨拶に向かわせてもらいます……ですが、それまでに調べたかった事は全部調べようと思っていました……私の出自も気になっていたので」

 

 

スーナはフリーザが隠そうとしていたサイヤ人。そして惑星ベジータの秘密を解き明かそうと考えていた。その理由の一つが自分自身の出自に関してだった。スーナはギニューを父と慕っていたし、悟空も同様の目線で見ていた。しかし、自分の本当の両親に関しては一切の情報がないのを疑問に思っていた。

 

そんな時だった。鎖でグルグル巻きに拘束されたセル、コルド大王、ターレス、スラッグ達が運ばれていく。セルに至っては針山で貫かれた穴が他人に見せられない状態になっていたからなのか獄卒の鬼達が着ていたシャツを着させられていた。それを見たスーナはクスクスと笑みを零す。

 

 

「hellのシャツを着たセル……お似合いじゃないですか」

「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!」

「鼻血出しながら逃げていきやがった!」

「本っ当に役に立たねぇな、アイツ!」

 

 

スーナの一言に鼻血と涙を流しながらセルは獄卒鬼に連行されて行き、それを見たスラッグとターレスは呆れながらも叫んだ。

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