目付きの悪い悟空に頭から地面に突き刺さっているラディッツ。スーナには状況がまるで理解出来なかった。
「何故、こんな状態に?それとそちらの方は悟空さんそっくりですね」
「そいつはバーダック……カカロットの父親だ」
隣に立つナッパに問うと意外と言うかやはりと言うべきか……目つきの悪い悟空は悟空の父親の様だった。その特徴的な髪型は親子以外何者でもないだろう。
「悟空さんの血縁とは思っていましたが肉親でしたか。それにバーダックと言う名にも聞き覚えがあります。フリーザ様に最後まで抵抗したサイヤ人だと」
「フリーザ?テメェ、フリーザのなんなんだ?地獄でフリーザに『様』付けで呼ぶサイヤ人なんか見た事無いぞ」
するとスーナとナッパの会話が聞こえたのかバーダックはギラリと鋭い視線をスーナに送る。
「私の名はスーナ。フリーザ軍の人事のトップを務めておりました。今は孫悟空……アナタの知る名で言うカカロットの義娘になります」
「カカロットの娘だと?」
「おい、俺がベジータに殺されてから何があった?」
スーナの自己紹介に興味が出たのかバーダックはスーナに歩み寄る。ナッパもその後の事情を知らなかっただけに驚きを隠せなかった様だ。
「お話しするのは構いませんが……まずはラディッツさんを助けましょう?」
未だに頭から地面に突き刺さっているラディッツに苦笑いをしながらスーナは何処から話をしようかと頭を働かせていた。
因みにラディッツはバーダックとのトレーニングの結果、叩きのめされ最終的にパイルドライバーで地面に突き刺さったのだと言う。肉体だけとなったラディッツは地球侵略に来た頃のベジータ並に強くなったのに魂は何故こんなに弱いのか。スーナはラディッツのプライドが問題だと考えていた。
ラディッツは自分より強い者には強気になれず弱い者には高圧的な態度を取る。その性格が自身の才能に蓋をしたのだろうと推測していた。
それからスーナの話を聞く為にバーダックとその仲間も集まっていた。トーマ、パンブーキン、トテッポ、セリパと昔、バーダックとチームを組んでいた仲間らしい。加えてナッパとラディッツもその場に留まり話を聞くつもりの様だ。
スーナは語った。自身が赤ん坊の頃に冷凍装置で眠らされていた惑星でギニューに拾われて親子になった事。フリーザ軍で育った事。フリーザから人事を任され、フリーザ軍の事務のトップに立っていた事。ナメック星での戦い。フリーザが悟空に倒された事。記憶を無くして地球で住んでいた時の事。地球にフリーザが襲来し、トランクスに倒された事。クウラからの師事を受け、本格的に戦士として目覚めた事。人造人間との戦い、バイオラディッツとの戦い。スーパーサイヤ人への覚醒。セルとの戦いと自身の死。あの世で界王や閻魔大王の仕事を手伝う傍ら、自身の事を調べる為にあの世に滞在する事を決めた事。
それら全てを話し終えるとそれぞれが嬉しい様な複雑な様な顔をしていた。
フリーザが倒された事への喜び。最下級兵士であるカカロットがフリーザを倒す程への成長。そのフリーザや悟空を上回る存在が居た地球への驚き。特にラディッツは自身がベジータ並の強さを得られる可能性に大いに喜んでいた。
「大体の話は分かったが……お前は古参のサイヤ人に何を聞きたかったんだ?」
「私のルーツ……私の肉親の事で知っている事があれば教えて頂きたいと思っていました」
話を聞き終えたトーマにスーナが地獄に集まったサイヤ人達に何が聞きたいのか問われ、スーナは元々地獄に来た理由の一つを話した。フリーザ軍に居た頃でも調べはしていたが情報がまるで無かったのだ。
「そうか……だが俺達も分からない。俺達の知るサイヤ人の誰にも似ていない。それに冷凍装置で眠っていたと言うなら、どの時代のサイヤ人かも予想は出来ないからな……」
「そうだね。それにこんな可愛い娘なら話題に上がっていただろうからね」
トーマの話にセリパも同意しながらスーナの顎を指先で撫でた。スーナの容姿もさることながらスーナの纏う雰囲気はサイヤ人特有の荒々しい気性性が薄く穏やかな雰囲気を持っている。全く居なかった訳ではないがサイヤ人としては珍しいだろう。それ故に自分達が知らないと言う事はスーナはバーダック達の世代よりも古い世代のサイヤ人なのだと言うのがトーマ達の予想だった。そして、その世代のサイヤ人の殆どは地獄での刑罰を終えて転生をしている為に話を聞くのは実質不可能と言えた。
「そうでしたか。ですが、こうして話が聞けただけでも私にとっては有意義なお話しでした」
「そうか……俺もカカロットが……フリーザを倒したって話を聞けただけでも十分だ」
「けっ……俺はフリーザよりもベジータが気に食わないがな」
スーナが礼を述べるとバーダックがその場を代表して満足のいく話だと言っていた。フリーザに虐げられていたサイヤ人達なら当然の反応と言えるだろう。ナッパはフリーザよりもベジータに恨みがある様だが。
「そう言えば、悟空さん……いえ、カカロットさんのお母さんはどちらに?まさか天国の方にいらっしゃるんですか?」
そこでスーナは気になっていた事を尋ねた。悟空の父であるバーダック、そしてチームであったトーマ達が地獄にいる以上、母親も地獄に滞在しているのだろうと考えていたが、この場に居ない。ならば天国に居るのだろうかと思ったのだ。
「いや……ギネは死んじゃいねぇ。生きている筈だ」
「そうなんですか?」
「「「はあっ!?」」」
バーダックの発言にスーナは小首を傾げ、ギネを知るトーマ達やラディッツはまさかの告白に大声を上げた。
ギネさん生存ルートに突入しました。