ブラック家の御曹司   作:修造

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こんにちは。potetaです。
初投稿です。
豆腐メンタルなので優しいご指摘をお願いします。


プロローグ

グリモールド・プレイス。

ロンドンの北西に位置する廃れた住宅地である。

そこには昔からなぜか「12番地」が存在せず、11番地と13番地が隣り合わせになっていた。

しかし、住民は何も不思議に思っていなかった。

もともとそういうものだろうと。

尤も、廃れた現在では疑問に思う住民自体存在しないのだが。

 

しかし、本当は「12番地」は存在した。

昔のことである。現在の家主の先祖は、知り得る全ての保護魔法を施した。

そのためにマグル、魔法使い構わず無関係な人間には一切見えないのだ。

そう、何を隠そう「12番地」は魔法使いの土地である。その「12番地」――ブラック邸では現在、封筒を持った屋敷しもべ妖精と美しい少年が向かい合っていた。

 

その少年はブラック家直系によく見られる灰色の瞳を持ち、艶のある黒髪と、父というよりは母に似た整った容貌、年齢的には随分と高身長だ。

 

「お坊ちゃま。

こちらがホグワーツから届きました。

ご入学おめでとうございます。」

 

灰色の瞳をした少年は、どこか憂いを帯びた顔を浮かべてそれを見ていた。

とうとうこの時が来てしまった…と。

 

普通の魔法使いの子どもは件の封筒を見るとたいていは喜びを爆発させるだろう。

―――ほんの少しの例外を除いて。

 

この少年、シグナス・ブラックは、ほんの少しの例外に入る珍しいケースの1人だ。

なぜなら、現在のブラック家は世間的に風当たりが強く、敵も多いからである。

「ブラック家」と聞くと、巷では皆顔をしかめてしまう時代なのだ。

 

闇の帝王―――ヴォルデモート卿が「生き残った男の子」に倒されて9年、当時闇の帝王に味方していた魔法使いたちは名家だろうが構わず揃って捕らえられ、一家もろとも没落の憂き目にあっていた。「純血主義」を家風に掲げるブラック家は、自然と闇の陣営の中心に入っていたため、後ろ盾が少ない。

当時よろしくしていた名家は揃って没落しているからである。

 

ブラック家の血を引く女性が嫁いだマルフォイ家はシグナスが頼れる数少ない名家の1つであったのだが、現在は闇の陣営に関与していたことを疑う追求から逃れ、英魔法界での影響力を取り戻すことに躍起になっているため大っぴらに頼ることはためらわれた。

 

また、常に背後を気にしなければならない状況だけでなく、「高貴で由緒正しい」ブラック家は有名である。

それが良い意味であれ、悪い意味であれ、有名であるが故にこれからの身の振り方をよく考えなければならなかった。

―――シグナスは、闇の帝王が「倒された」ことは知っているが、「死んだ」とは考えていない。

 

魔法界は既に9年も前のことなど忘れて今を生きようとしているが、(もちろんかつて魔法界を闇に陥れた元凶を「例のあの人」と呼び恐れている)魔法界唯一の新聞である日刊預言者新聞にも闇の帝王が「死んだ」とは報道していないし、魔法界の権威ダンブルドアもそんなことは言っていない。

また、シグナスの元には父が闇の帝王から盗み出し、死んだ母に託された闇の帝王の宝というべき物がある。

ある時からシグナスは日々そのブツを解析しているが、未だにその正体は分かっていなかった。

 

つまり、シグナスは闇の帝王はまた現れる(復活する)と思っている。

そのとき、自身はどちらの側に付けば良いのか、ただその事を考えてきた。

わずか11歳にしてこんなことを考えるとは、普通の子供ではないと思うだろう。

しかし、シグナスにはそうならざるを得ない事情があった。

 

お腹の中にいる頃に父を亡くし、自我が芽生えてまもなく、5歳のときに母が病死した。

最愛の次男と義娘を亡くした祖母のヴァルブルガは、間もなくやってくる死期を悟った。

今までは初孫をとにかく甘やかしてきたが、ブラック家の存続のためには、シグナスを育て上げるしかないのである。

そしてヴァルブルガは心を鬼にしてシグナスに教育をはじめた。

生半可な強さではブラック家を支えることなど出来ない。

だったら"とにかく強くすればいい…"。

 

シグナスが7歳の時にヴァルブルガは死去するが、"とにかく強くなれ"というヴァルブルガの教えは、まだ純粋な子どもだったシグナスに強い影響をもたらした。

彼女が亡くなる前には、ホグワーツの2年生までに習う魔法を習得し、貴族の名に恥じない立ち振る舞いができるようになっていた。

そしてなにより、この教えが魔法界全体をみる視野を作り上げた。

"全てはブラック家のために"。

祖母が亡くなってからは地下の図書室に籠りきり、外出することは無くなった。

 

そしてホグワーツからの封筒を受け取った今日ではホグワーツの7年生に勝るとも劣らない技量を身につけ、今ではオリジナルスペルも開発するまでになった。

シグナスにとってはまだまだ不満であったが、クリーチャー曰く

――やりすぎだそうだ。

そんなに鍛えてどうする?ホグワーツの新入生がこんな強いとかみんなに引かれてしまう。

 

しかし――シグナスとしてはいつくるか分からない闇の帝王の再来に備える必要がある。

もっと"強くなくてはならない"のだ。

年相応に過ごしてほしいとクリーチャーには言われているが、それでは生き残ることは出来ない。

ホグワーツでは、なまじ力を見せつけ過ぎると警戒され、自由に動きづらくなるだろう。

 

それならただの優秀な生徒でいよう。

だが、"力は付けなければ"ならない。

教師たちの目に見えない所ではしっかりと鍛えようではないか。

 

結局、この教えの呪縛からシグナスを解放したのは、クリーチャーでも、祖母が亡くなった後、家族ぐるみの付き合いをするようになったマルフォイ家でもない。

それは両親の親友であった男――不器用ながら自分のことを心配してくれる文通相手だ――であり、ホグワーツで魔法薬学を教えている"彼"でもなく、

―――ホグワーツに入学予定の純血の子どもたちが集まるパーティで出会った、2歳も年下の少女であった。

 

…尤も憂鬱になっているのは、今までの籠りきっていた生活のおかげで付き合いが限られており、同年代の知り合いが家族ぐるみの付き合いである2歳年下の男の子と、唯一と言っていい外出する機会――純血魔法族のパーティーで出会った、件の2歳年下の少女のみということからくる不安もあるのだが。

封筒を差し出してからしばらく何も動かない主人を不思議に思ったのか、クリーチャーが何やら問いかけてくる。

ようやくそれに気づいたシグナスは、ごまかすよう「ありがとう。」と微笑みながら礼を言い、それを受け取った。

丁寧に封を切って中身を開くと、

 

ホグワーツ魔法魔術学校 校長アルバス・パーシバル・ウルフリック・ブライアン・ダンブルドア

 

マーリン勲章、勲一等、大魔法使い、魔法戦士隊長、最上級独立魔法使い、国際魔法使い連盟会長

 

―――親愛なるブラック殿

この度ホグワーツ魔法魔術学校にめでたく入学を許可されました事、心よりお喜び申し上げます。教科書並びに必要な教材のリストを同封致します。新学期は九月一日に始まります。七月三十一日着で梟便にてお返事を御待ちしております。

 

敬具 副校長ミネルバ・マクゴナガル

 

と書かれた入学許可書を一瞥して、すぐに興味を失ったように一枚めくった。

そして、その紙――入学に必要な物がリストアップされているものだ――をまじまじと見つめた。

(屋敷にあるのはもう古いしとりあえず持っていくものは全て新調しよう。あとは入学するんだし自分の杖が欲しいな。)

 

 

傍から見ると、紙を見つめて突っ立ったままでいる美しい少年と、それを見つめる屋敷しもべ妖精というなかなかシュールな光景である。

しかし、それを指摘するものはここにはいない。

シグナスは、どうやら考え始めると思考の渦に囚われるようである。

 

「クリーチャー、今日はダイアゴン横丁に行こうか。さあ、入学の準備だよ。」

「かしこまりました。お坊ちゃま。

道中はこのクリーチャーにお任せ下さい。」

 

 

その日、ブラック邸では真新しいカバンと傍らに並ぶ学用品…とその隣で新しく手に入れた杖を手に持ち、何やら感慨深げにそれを見つめるシグナスと、そんな主人を見つめるクリーチャーの姿があった。

 

 

 

―――

 

 

クリーチャー、僕は明日からホグワーツだ。

留守の間は頼んだよ。

 

はい。もちろんでございます。

お坊ちゃまの帰りを心待ちにしております。

 

ありがとうクリーチャー。

君は本当に良い家族だ。

 

 

「ここ」「いいかな?」

「「他はどこもいっぱいで」」

――「「ありがとう。」」

 

 

「なあなあ」「シグナス」「「君はどこの寮をご所望かい?」」「「え?スリザリンだって?」」「ああ、家柄で言ってるなら」「問題要らないぜ」「「組み分けは自分の意志を汲んだ結果になるからさ」」「まあ、もしシグナスがスリザリンでも」「俺たちは」「「友達さ」」

 

 

 

ほほう、これはまた難しい子が入ってきたな。

君はブラック家の子だね?最後に組み分けしたときは随分と昔のことだが…ああ、そうとも。君のご両親を組み分けたことがつい昨日のようだ。

君はなかなか面白い子だ。勇気に満ちておる。

知恵を求める心を持ち、とても優しい。

狡猾な面も持ち合わせているが何より真の友を求めておる。

家柄だけならスリザリンでもレイブンクローでもやっていけるだろうがね。

――ん?そうかね。そういうことなら…

 

 

スリザリィィィン!!

 

 

やあ、君があのブラック家の子かい?

俺はジャック。ジャック・ハワードだ。

ああ、俺もスリザリンに選ばれたんだ。

これからよろしくな。

 

 

Mr.ブラック、久しぶりだな。母親の葬儀以来か。

…ああ、手紙のやり取りはしていたが…ここは学校だ。いくら親友の息子だろうと贔屓はできん。

これから頑張りたまえ。

何?授業では贔屓ばかりしているクセに…だと?

――ふん、スリザリンから1点減点。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?
次回から2年後に入ります。
感想待ってます。

設定
シグナス・ブラック

本作の主人公。
近い肉親を既になくしており、クリーチャーを実の家族のように思っている。
純血主義かどうかは現時点ではまだ分からない。
家族についてはいずれ詳細が出てきます。
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