ブラック家の御曹司   作:修造

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こんにちは。
ようやく予告していたドラゴン回です。
そしてある人物の心の闇をクローズアップしています。少しこれから嫌なキャラになってしまうかも…

でも決して嫌いなわけではないので!はい。

途中からハリー視点です。


ドラゴンと亀裂

「すっげえんだぞシグナス!」

「ハリーに送られてきたプレゼント!」

「「透明マントだ!!!」」

 

 クリスマス休暇が終わってホグワーツに帰ってくると、また騒がしい日時が戻ってきた。

 

 一時は、少々気まずくなっていた双子との関係もすっかり修復し、イタズラに夜間徘徊(あくまで校内探検)に忙しい日々を送っていた。

 

 互いにクリスマス休暇にあったことを報告していると、あのハリー・ポッターのプレゼントの山の中から、例の透明マントが発見されたという。

 

「俺たちも使わせてもらったんだぜ。」

 

「もうすげぇってもんじゃねぇんだ。あれは…そう!ヤバい!(興奮による語彙力の低下)」

 

 ──俺らの活動にもってこいだよなー。とボヤく双子たちに苦笑しながら、今日は8階まで来ていた。

 

「厨房は果物皿の絵がヒントだったろ?8階にも怪しい絵があるんだ。まあ同じフロアに我らのグリフィンドール寮があるんだけどな。」

 

「でも、今ならスリザリンだって我らが獅子の縄張りに足を踏み入れても大丈夫なわけだ。」

 

「なるほど、この3年間ずっと温めてきたとっておきのスポットってわけだな。」

 

「「そういうこと!」」

 

 そして例の絵の前に立つ。

 

「このタペストリーが?トロールが変なポーズ取ってるっていう。」

 

「フッフッフ。聞いて驚くなよ。」「アホなバーナバスが「バレエを教えようとしてるんだってさ」」

 

「はは、そりゃ傑作だ!誰だいそんな話思いついたの?」

 

「そりゃ俺たちにも」「分かんねぇ。」

 

「でも厨房の屋敷しもべ妖精に聞いたんだ。」

 

「あのタペストリーなんだい?ってな。」

 

「ふーん。でも何も仕掛けとかなさそうだよな。」

 

『はぁーーー。』

 一斉にため息を付いた時、「うわっ。」とフレッドが叫んだ。

 

「どうしたんだ兄弟。」

 

「フィルチにでも会いたくなったか?そんな大声出して。」

 

「いや、違うんだよ。どこかの不埒者がガムを捨てていったみたいだ。このクツやっとお袋が買ってくれたのによ。」

 

 どうやら、万年家計が火の車のウィーズリー家から、何とか捻出して買ってもらった靴のようだ。

 

「そうだフレッド。洗浄呪文でも試してみようぜ。」

 

「そりゃいい。たのんだz……ん?なんだありゃ!?」

 

 異変は、何の変哲もない向かい側の壁にて起きていた。

 

「おいおいマジかよ。」「本当にこんなものがあるなんてな。」

 

 広がっていたのは、どこまでも続く立派な水道の蛇口に、新品同様のブラシ(無駄に装飾が激しくサイズもバラバラだ)が大量に転がっている。さらに魔法使い御用達のミセスゴシゴシの魔法万能汚れ落としが何本もピラミッドのように重ねてある。

 

 背が高い俺らでも頂上に手が届くかな?

 

 壁のイタズラ書きを始め、この双子が日々改良に取り組んでいる糞爆弾も簡単に消してしまう文字通りの万能洗剤だ。

 

「魔法省にもこんなにストックはないだろうな。」

 

「ハハハ。そうだな。」

 

「善は急げだ。早速洗ってくるよ。」

 

 フレッドは嬉しそうに靴を洗い出した。

 

「ジョージ。ここって何の空間だろうな。単なる隠し部屋って訳でもなさそうだけど。…無駄に豪華だし。」

 

「んー確かに無駄に豪華すぎるんだけど……。あ、フレッド!この部屋ってあれじゃないか?屋敷しもべ妖精が言ってた"あったりなかったり部屋"って言うのは。」

 

 何か初めて聞こえるワードが聞こえてきた。

 

「あったりなかったり部屋?なんだそr「それだ!!!通称"必要の部屋"って言ってたよな?きっとそうだ!こんなにも豪華の無駄遣いしてるもの!!」

 

「いや、それは関係ないと思うぞ。」

 

 

 

 あっという間にフレッドの靴が新品同様に磨きあげられた。

 

「良かったな。兄弟。」「おうとも。兄弟。」

 

「そういえば2人とも。その必要の部屋っていうのをもっと教えてくれないか?うまく利用できたらもっと大規模なサプライズをお届けできるぞ!」

 

 みるみる双子の顔が喜色に染まっていく。

「そりゃいいな。乗った!」

 

「でも俺らも存在しか知らなかったんだ。」

 

「なら知っている人に聞くしかないな。」

「「ん?」」

 

「そうだ、厨房行こう。」

「「それだ!」」

 

 結局この日は夜更けまで探索を行うことになり、帰ったのはすっかり明るくなった頃だった。こっそり部屋に戻ると、寝ぼけ眼のジャックに不審な目で見つめられたが……全然問題ない。全く問題ない。

 

 

 

 ──成果はあった。屋敷しもべ妖精によると、壁の前を三回歩き回りながら、自分の目的を心に強く思い浮かべる事が必要であるらしい。

 

 早速例のタペストリーのところまで戻ってきたはいいものの、厨房は地下にありここは8階。流石に往復をダッシュしてくるにはキツいものがある。

 

 休んでから試そうか。と言っていると、その思いに反応したのか必要の部屋の扉が開いた。

 

 内装は随分と様変わりしており、フカフカのキングサイズのベッドにクッション付きのソファ。高そうなヨガマットにお風呂やシャワーまでもが併設されており、一同を感激させた。

 

 汗を流してすっかりリフレッシュした3人は、どの範囲までの要求が反映されるのか検証してみることにした。

 

 まず、確実に実現不可能なことは反映されなかった。

 

 それもそうだろう。"ピアノが弾ける環境が必要だ。"と願うと、無駄に豪華なグランドピアノにコンサートホールのような会場が広がった。

 

思わずその場で1曲披露してしまったくらいだったのだが、

 

 "ピアノとヴァイオリンの音を同時に出せる楽器が必要だ"と願っても、そんな夢のような楽器はない。……エレクトーンとかいったか?

 

 否、マグルの世界には最近電気で動くピアノが開発され、やろうと思えばできるらしい。

 

 がここは魔法界。電気なんて概念はあるはずもないので反映されなかった。

 

 また、実在が危ぶまれているものは大体出てこなかったし、イタズラ用具の開発に必要な"魔法薬の調合がしたい"と願っても実験器具と最高の環境が用意されただけで、魔法薬の原料など有機物は一切出てこなかった。

 

 食べ物に関しては厨房の力を借りればいいのでそれはいいとして。

 

 既に人が入っている場合にも部屋に入ることができた。全く願っていることが同じだったら部屋の中で会うこともできたし、異なっていたとしても別の空間に飛ばされるようだった。

 

 ‘‘忍びの地図‘‘で表示される人物が重なっていようとも、実際には互いに姿さえも捉えていないのだ。

 

 すっかり検証し尽くした3人は、最後に"今日の授業を寝ずに乗り切れる秘密兵器が必要だ。"と願って、出てきた足つぼマッサージを手に各々の寮に帰っていった。

 

 トゲトゲが足の血流を良くして気持ちがいい。血の巡りを感じた3人は、完徹の影響を出すこともなくむしろ絶好調で1日を乗り切った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――

 

 

 楽しかったエキシビションマッチのあと──。

 

 ハグリッドから"例の部屋"で守られているものがニコラス・フラメルに関するものだと突き止めた僕たちは、学校の図書館をそれはそれは探し回り、クリスマス休暇には禁書の棚にまで侵入して彼のことを探していた。

 

 おそらく、クリスマス休暇前からなら僕らが1番図書館に入り浸っているのではないだろうか。ガリ勉(1人いたな)でもないのに。

 

 結局は、蛙チョコレートについているカードから分かってしまうという不完全燃焼な結末だったが、それでもようやくニコラス・フラメルの詳細が掴めた。

 

 何でも有名な錬金術師で、ダンブルドアとタッグを組んで賢者の石なるものを開発したそうだ。それはほぼノーリスクで寿命を伸ばしたりできるらしい。まさに命の水だ。

 

 その恩恵を受けている発明者ニコラス・フラメルは御歳665歳を迎えたそうだ。

 

「そうか!スネイプが狙っていたのは賢者の石だったんだ!!こんなすごい石、誰だって欲しいもの。」

 

 一層容疑が高まった…というか僕とロンの中では確定しているスネイプが審判をすることになった次のクィディッチ戦。相手がスリザリンじゃないだけマシだけどどんな難癖をつけてくるか分からない。

 

 というわけで試合が始まってからすぐにスニッチを狙っており、5分で手に入れてみせた。

 

 通常はもっと点差を広げてから試合を終わらせるものだけどこればっかりは仕方ない。

 

 そして試合後に見てしまったのだ。

 スネイプが賢者の石のことでクィレルを脅しているところを。なんでクィレル?と思ったけど、仮にも彼は闇の魔術に対する防衛術の授業を持っている。

 

 もしかしたらダンブルドアから守るように言われているのかもしれない。

 

 僕らは確信を強めた。やはりスネイプだったんだと。

 

 今のところクィレルは口を割っていないけど、これは時間の問題だ。僕らの見立てでは3日と持たないだろうと予想していたのだが、数週間経っても秘密を守っているようだ。

 

 クィレルがげっそり痩せており、スネイプのいつも不機嫌な雰囲気が、最近はブリザード並になっているから良く分かる。これにはスリザリン生もビクビクしているほどた。意外にも、授業を真面目に受けているマルフォイは例外だったが。

 

 でも僕らにやれることは余りにも少なかった。先生に言ってもまともに受け入れない今、八方塞がりだ。

 

 さらに学年末テストが近づいているので、僕とロンはハーマイオニーに半ば強制的に引きずられ、再び図書館の住人になったのである。

 

 

 

 そんなある日──

 

「あれ、ハグリッド?ハグリッドじゃないか!!!図書館にいるなんて珍しいね。」

 

「いや。ちーっと見てるだけ」

 

 退屈な試験勉強のなかでようやく刺激になるものを見つけたロンは大喜びだ。なんの本を借りようとしているのか詰め寄ったけど煮え切らない態度で隠され、代わりに小屋に行くことになった。

 

 思わぬ招待をうけて試験勉強から解放された僕とロンは大喜びだった。

 

 

 

 そして夕方。久しぶりにハグリッドの元へ訪れた。

 

──のだが。

 

 

「何ここあっつい。こんなに蒸し暑いのになんで暖炉を付けているんだい?」

 

「あっ、ああ。まあな。ちょいとやんねぇといけねえことがあってな。」

 

 何やら歯切れ悪く口ごもるハグリッド。

 

 ハグリッドは、僕らを座らせて、すっかりお馴染みの紅茶とロックケーキを出してくれた。僕らはこの際だからとハグリッドに"アレ"をぶつけてみることにした。

 

「ハグリッド、賢者の石のことなんだけど」

 ガシャン!

 

 ハグリッドがその手に持っていたカップを落とした。中の液体(熱湯)が飛び散って一部がロンに降り注いだ。

 

「お前さん、どうしてそれを…。」

 

 ごめんハグリッド。その前にロンを何とかして。

 

❁❀✿✾❁❀✿✾❁❀✿✾❁❀✿✾❁❀✿✾❁❀✿✾

 

 

 その後、僕らは粘り強く追求し、いくつかの情報を引き抜くことに成功した。

 

 まず、隠されているのは賢者の石で間違いないこと。そしてそれには各先生が防衛の措置をとっていること。

 

 ハグリッドのは僕らが見た三頭犬であること。そしてその対処方法はダンブルドアと2人しか知らないこと。

 

 更にはそれにスネイプも参加していること!

 それがスネイプを信用できる何よりの証拠だとハグリッドは豪語していたけど、日頃のスネイプの横暴を目の当たりにしている僕らは信用できなかった。

 

 そしてダメ押しに………

 

「ねぇハグリッド。ここ暑いから開けていい?」

 

「いんや。それは出来ん相談だ。」

 

 ハグリッドは意味ありげに暖炉の方に目線を向けた。そこには──

 

「ハグリッド……あれどこで手に入れたの?すっごく高そうな卵だね!………食べるの?」

 

「そんなわけねぇ。賭けに勝ったんだ。昨日の晩にホグズミードで。ちぃーと酒を飲んでたらトランプしねぇか?ってな。奴はこれで厄介払いができて良かったと喜んどったが俺には理解できないね。こんなに素晴らしいもんを手放すなんて有り得ねぇ。」

 

 心底嬉しそうに卵を茹でているハグリッドに、僕らは何かを察した。あっこれアカンやつや。

 

 

「さっき図書館から借りたもんはこれが孵った時のためのものた。ほれ。」

 

 ハグリッドが自慢するように見せてきたのはドラゴンの本。もう1度言おう、ドラゴンの本。

 

「え?本気で孵すの?」

 

「モチのロンだとも。ここまで来たら放り出す訳には行かんだろ。」

 

 僕らはハグリッドに繰り返し説得を試みたけど、取り合ってくれなかった。

 

「フン♪フン♪フン♪もう少しで会えるぞぉ。」

 

 下手な鼻歌を歌うご機嫌なハグリッドには、もはや卵しか映っていないようだった。

 

「フン♪……ん?おい、お前さんたち早く透明マントの中に隠れて裏口から出ろ。誰か来る。」

 

「え?何を言ってるんだい?」

 

「聞こえんか?もうすぐ外出禁止時間だ。こんな時間にここにいるのはマズい。今日はここまでだ。また孵りそうになったら呼んでやるからな。」

 

 そう言って異論は受け付けないとばかりのハグリッドに困惑しながら、僕らは透明マントに手をかけた。

 

 ハグリッドの見送りで裏口を開けて──そのまま閉じて近くの樽に身を潜めた。

 

 

 やがてノックが響き渡った。本当に来るなんて!ハグリッドの野生の聴覚はすごいらしい。そして入ってきたのは──

 

 

 何かと因縁が多いシグナス・ブラックだった。

 

 

「やあハグリッド。うっなんだここ。こんなに暑苦しかったか?」

 

「あっああ。まあな。ほれ、まあ中に入れや。」

 

 いつもの雰囲気とは全く違い、どうやら素を出しているらしいブラックに驚きが隠せない。

 

「全く、こんな時間に来るなんてお前らしいな。ええ?今年来るのは初めてか。まあ勉強にクィディッチによく頑張っているさ。あの頃とは違ってな。」

 

「ハグリッド。それはもう蒸し返さないでくれないか?今でも煮えたぎっているんだ。」

 

「お前さん、まだ……」

 

 意味深な会話が続いたあと、何やら近況報告に入る。

 

 

 昔からの幼馴染の後輩が2人入ってきて毎日が楽しいこと。

 

 12教科も取らされた(その瞬間ハーマイオニーがピクっと反応した)けど、その後輩のおかげもあってなんとかなっていること。

 

 やがて話はクィディッチに移っていき、例の話になった。

 

 ──今から思うとどうかしてたよ。初心者にあんな技を掛けるなんて。熱くなりすぎた。

 

「まあ試合展開があれじゃあしょうがねえ。ハリーは優秀だからな。スリザリンもヒヤヒヤしてたろ。」

 

 ──もちろん。初めての試合とは思えないくらい良いパフォーマンスだったよ。センスの塊だね。

 

 僕の知らないところで評価してくれている。そのことに嬉しくなったけど、なぜか隣のロンは不満げな顔をしている。

 

「さて、今日は何をしにきたんだ?シグナス」

 

 どうやら本題に入ったようだ。よほど他人には聞かれたくないのか、声のボリュームを落としてよく聞こえない。

 

 実は──が必要なんだ。

 …またか?あれは──

 しかしスネイプ教授と……のに必要で。

 

 僕たちは顔を見合わせた。とんでもないことを聞いてしまった。ブラックがスネイプと繋がっていたなんて!シグナス・ブラックは、スネイプと結託して何かをやるつもりなんだ!

 

 そして何も知らないハグリッドは騙されている──。

 

「すまないなハグリッド。なかなか来れないのにいきなりこんなこと頼んでしまって。」

 

「なぁーに。俺とお前さんの仲だ。これくらいいいってもんよ。」

 

「あー。ところでハグリッド。その卵はなんだい?」

 

「おう。こりゃドラゴn「ドラゴンだって!?」(ry」

 

 突然ブラックが大声を出したから驚いてしまった。

 

「なんでこんなもの持っているんだ。卵の所持だけでもワーロック法で禁止されているんだ。茹でてるってことは孵かすつもりじゃないだろうな。寿命までアズカバンから出てこられないぞ。」

 

 え?ドラゴン持ってると法律違反なの?てかアズカバンって何?ハグリッドめっちゃ震え始めたんだけど。

 

「いっいやぁシグナスや。そっそのぉ…」

 

「こればっかりはヤバいよハグリッド。確かにドラゴンの部位を原料にしてる魔法薬も多いけど、採取する前に焼き殺されるよ。それにここ木造だし。それにドラゴンは成長が早いんだ。もし校舎の方に飛んでいったらどうするんだ。」

 

 興奮したようにまくし立てていたブラックは、急に考え込むように人差し指で顎を支えた。

 

「──そうだな。ハグリッド、誰かドラゴンキーパーの宛はいないかい?こういうのは秘密裏に葬った方がいい。引き取ってもらおう。」

 

「いっいやだ!これは俺が育てようと思ってだn…」

 

「話を聞いていなかったのか!生徒に被害が出たらそれこそアズカバンじゃ済まなくなるぞ。」

 

 その後は僕らも初めてみるほど怒り狂ったハグリッドが色々主張していたけど、ブラックは飄々と受け流して全て論破した。もはやハグリッドは泣いてしまっている。

 

「こうなったらダンブルドアにでも頼むか?いや、そういえばパーシーがt「パーシーだって!?」!?誰だ!!」

 

 ロン!僕は心の中で叫んだ。

 

「…誰かこの部屋にいるのか?」

 

 確かめるようだったけど確実にバレている。確かに歩みはこちらに進んでいるからだ。仕方なくマントを外す。

 

「!?君たちは──」

 

「すみませんでしたブラック先輩。ちょっとした出来心だったんです。」

 

 意外にもハーマイオニーがすぐに頭を下げた。

 

「いや、こっちも叫んですまなかった。お見苦しいところを見せてしまったようで。」

 

 間近で見るブラックは、シーカーのときとも違った表情をしている。初めて会ったときよりも凛々しくてクールだ。

 

「それで──君たちは何をしていたんだい?その樽の中のものを貰ってたわけじゃないだろ?」

 

「あなたが来る前にここにいたんです。あっ別件で。」

 

 こんなにハキハキして喋るハーマイオニーは初めて見た。心なしか顔が上気して赤くなっているのは気のせいだろうか。

 

「そうだったのか。でも盗み聞きは頂けないな。場合によっては忘れてもらわなきゃいかないんだけど…。」

 

 そう言って杖に手を伸ばしていく。

 

「いえ、僕ら遠すぎて何も聞こえなかったんです!本当です!」

 

「君は…ポッターか。じゃあ何故赤毛の君は反応したんだい?」

 

「それは…「あなたとハグリッドが口論し始めてから聞こえるようになったんです。」

 

 言い淀むロンをハーマイオニーが何とか繋ぐ。ブラックは初対面の人を相手に、まさかここまで嘘をつかれるとは思っていなかったのだろう。未だ訝しげな顔をしていたけど、とりあえずは納得したようだった。

 

「ならいいんだ。いいかい?この件は一切他言無用だ。知っている人は少なければ少ない方がいい。ドラゴンという存在は言葉だけでいとも容易く人を混乱に陥れる。」

 

 僕らはコクコクと頷く。

 

「そういえば君たちに名前も言ってなかったね。僕はシグナス・ブラック。スリザリンの3年生だ。」

 

「わっわたし、ハーマイオニー・グレンジャー。グリフィンドールの1年生です。」

 

「僕はロナルド・ウィーズリー。」

 

「おお、ちょうど君のお兄さんに連絡しようと思ってたんだよ。メッセンジャーを頼めるかな?確か…2番目のお兄さんがドラゴンキーパーだったろ?」

 

「えっええ。そうです。それくらい良いですけど、どうしてチャーリーのことを知っているんですか?」

 

「そりゃあ君のお兄さんたちから噂はかねがね。"ロニー坊や"の武勇伝も色々な。」

 

 お兄さんたちと親しいようで嬉しさを露にしたロンは、"ロニー坊や"という言葉を聞いて表情を無くした。ブラック!それ禁句だから!!!

 

「そうかいそうかい。そんなに僕のことを貶めたかったらどうぞ他所でやってくれよ。どうせ貧乏だからって僕の家のことを影でバカにしているんだろ?

 

……ああ、実にスリザリン生らしいよ。闇の魔法使いの巣窟だ。」

 

「ロン!」

 

 僕らはあまりの言い分に堪らず叫んでいた。ブラックはきっとそういう意味で言ったんじゃないのに。

 

 幸いにもブラックは沸点が高いようで、困惑したように

 ──君たちのお兄さんたちは自慢の弟だって言ってだけどなぁ。と呟いていた。

 

 それを耳にしてロンはピクっと反応させた。盛大な勘違いをしたのに気づいて気恥ずかしくなったのか、顔を真っ赤にさせて──

 

「もう早く行けよ!顔も見たくないんだ!!闇の魔法使いは悪らしく悪党とつるんでろ!!!悪のブラック家のくせにうちの兄貴たちに近づくな!!」

 

 と大声を張り上げてしまった。

 

 ブチッ!

 

 確かに何かが切れる音がした。恐る恐るブラックの方を覗き見ると、そこには先ほどまでの柔和な顔つきをしたブラックはもういなかった。

 

 形だけの笑みすら浮かべない完全な無表情で──ただ冷たい眼差しをロンに向けていた。

 

 どれくらい経っただろうか。たった数秒のことなのに何日も経ったような重苦しい雰囲気のなか、ブラックは、機械仕掛けのような笑みを貼りつかせた。

 

「そうか。ならもうこちら側から言うことはない。1年の君たちに、ドラゴンをどうやって輸送して引き取りに来てもらうかは知らないが、健闘を祈ってるよ。

 

 ポッター、グレンジャー。今日はこの辺で。今度ゆっくりと話せたらいいね。ハグリッド、今日はすまなかった。また来る。

 

 

 ──それとなぁロナルド・ウィーズリー。」

 

 遂に矛先がロンに向いてしまった。瞬間にビクっと跳ね上がりそうに反応するロン。

 

 プレッシャーが強すぎて、こっちまで漏らしそうだ。

 

「まだ小さいからって敬語も使えないようじゃこの先苦労するぞ。目を付けられたくなかったら、お前の優秀なお兄さんたちに言葉遣いを教えてもらったらどうだね。」

 

 一瞬でロンの地雷を正確に踏み抜いたブラックは、言葉を吐き捨てるとさっさと出ていってしまった。

 

 小さいときからダドリーたちに虐められてきた経験があるおかげで、人をよく観察するようになった僕には分かる。

 

 ロンは口々に兄貴たちは優秀なんだ。って言っていて、きっと劣等感を抱えていたんだ。そして多分、僕たちと一緒にいるハーマイオニーも学年で1番の秀才だし、今年入学して実際にお兄さんたちの活躍をこの目でみたから、それが余計に増長したんだろう。

 

 監督生で首席で誰よりも真面目なパーシーに、素行は悪いけど才能はピカイチのフレッドとジョージ。2人が名乗る二代目悪戯仕掛け人の活動は、エンターテインメントに徹していて、誰にも真似することができない唯一無二のものだ。

 

 無駄に教師たちから逃れる脱出ルートが用意周到だったり、万が一にも生徒たちに被害が出ないように調節されていたりと、計画性が高いのは気のせいだろうか。

 

 

 

……ともかくこの1年でロンの闇は留まることを知らなかった。そしてこの場で爆弾を起動させてしまったのだ!

 

『シグナス・ブラックゥゥゥゥゥ!!!!!!』

 

 美しい月が浮かぶ真夜中、ロンの絶叫が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 その後、すっかり意気消沈してしまったハグリッドと怒りが収まらないロンを宥め、やっとのことで寮に戻った頃には既に夜の2時を回っていた。

 

 夕方から小屋に行っていたし、色々聞き出していたから、ブラックが来た頃にはおそらく夕食の時間が始まっていたんだろう。それに、ブラックはハグリッドと話し込んでいたし、その後のやり取りや2人を抑えるのにすっかり疲れきってしまった。

 

 不思議と空腹は感じない。この濃密な時間で胃が破裂しそうなほどの気苦労…というかストレスを感じたからだろうか。

 

 

 

 

 

 

 ──この気苦労が、今後も僕(とハーマイオニー)を苦しめていくことを、僕はまだ知らない。

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?
主人公たちと亀裂が入ってしまった今回。結局ドラゴン少しだけでしたね。長すぎたんでカットしました。

すみません。次に持ち越しです。
あと1回で賢者の石終わらせられたらなぁと思います。




期待していた方には申し訳ないのですが、主人公組とシグナスが必要以上に歩み寄ることは進行上ありません。フレッドとジョージを通して何かやり取りはあるかもしれませんが、基本的に直接協力体制を敷いたりはしません。

個人的にロンって、スリザリンというより悪が嫌いで正義を愛する典型的なグリフィンドール生だと思うんです。むしろグリフィンドール生としてフレッドとジョージが異端な方で。しかも兄貴たちが異常に優秀なせいで闇抱えちゃってますし。

おそらく早くから親の愛情が妹に行っちゃってますから、本人は愛情に飢えているのでは?

しかし私はオリジナルのロンは大好きですのでお忘れなきを。


ご意見、感想お待ちしております。

・必要の部屋

ついに主人公たち(この物語の)に見つけられました。意外と重要なポイントになるかも。

シグナスは悪戯仕掛け人の活動に役に立つとは言ってますが、この時には既に自分のスキルアップに使えそうだなとか考えてます。流石にそこはスリザリン生。

・ドラゴン

まだ孵化してません。
今後どうなるんでしょうか。

・モチのロンだとも。

使ってみたかったんです。ハグリッドはそんなこと言わないけど目をつぶって!(笑)
いつか"驚き桃の木"も使ってみたい。

・ようやく主人公組(オリジナルの)と対面

やっぱこの場くらいしかないなと思って。せっかくの初対面なのにコンタクトに失敗したようです。

・ロンの地雷を踏み抜くシグナス

あまりの言い分に、流石にシグナスも沸点を振り切ってしまったようです。思っていたよりロンが期待外れな行動をとったので、あえて兄たちと比較しました。

自分を取り巻く環境や、パーティーなどの社交界での場数をそれなりに踏んでいるので、ハリーよりも人間観察は得意。

あ、ハリーが若干思慮深くなっています。


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