ブラック家の御曹司   作:修造

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こんにちは。
UAが30,000件を突破しました。
皆さまありがとうございます。

日頃の感謝を込めて、今回は双子とハグリッドが登場します。

スリザリンに入り双子と分かれたシグナス。
本来なら所属する寮の関係で交わるはずのなかった3人と森番は、いかにして関係を築いていったのか──






秘密の部屋
【閑話】二代目悪戯仕掛け人とハグリッドとの出会い


 組み分けでこの年1番の注目を集める中、ブラック家の"伝統"を守ってスリザリンに入ったシグナスは、歓迎会で話し掛けてきたジャックとひとまず打ち解けた。

 

 その後、寮内での訓示を終えたシグナスは、自分に宛てがわれた2人部屋へ入っていく。

 

「おおシグナス。パートナーは君だったのか。これから7年間よろしくな。」

 

「改めてよろしく。あーMr.ハワード?」

 

「ハハハ、ジャックでいいって。」

 

 軽く談笑した2人は、疲労のためかすぐに眠りに落ちていった。

 

 

 

 

 ホグワーツでの生活は、入学の翌日から授業である。

 

 まずは朝食ということで大広間に向かったシグナスであったが、その時から異様な視線を感じていた。

 

 ──そう、明らかに歓迎されている目線ではない。

 

 実際は"あの"ブラック家の末裔ということで単なる興味と好奇心を湧き立てていただけなのだが、シグナスは敵対的な目線を向けられていると勘違いしていた。

 

 今まで年単位の引き籠もりであったシグナスがそんなものに耐えられる訳もなく、最初の朝から戦々恐々としていた。

 

 

 ──この日に話し掛けられたのは全員スリザリン生で、しかもほとんどがゴマすりであった。

 

 名家の割合が多いとされているスリザリンだが、残念ながらこの代に聖28一族の者はいない。上級生には何名かいるものの、彼らはとりあえずこの話題を集める新入生を見極めることにしたようだ。

 

 彼と対等に話せるのは、家柄が次いで高いジャックのみということになったのである。

 

 しかしジャック自身は持ち前のコミュ力をもってスリザリン内で取り入り、勢力を拡大。シグナスは彼に徐々に遠慮して1人でよく図書館に行くようになった。

 

 

 ある日、移動教室から直接図書館に向かっているとき、道すがら渡り廊下を歩いていると生徒たちに囲まれた。

 

 所属を示す色はカラフルな3種類。

 せめて緑色がないことが救いか。

 

 相手は、全員が成長期に入っているようでシグナスよりも頭1つ分以上に背が高い。どうみても上級生だ。

 

 相手方全員が杖を構え、下手な身動きができない状況に追い込まれているなか、リーダー格と思わしき1人がこう切り出した。

 

「貴様、ブラックだな。お前のご家族には私の親族が随分と世話になったよ。」

 すると火山口から吹き出すように周りが続く。

 

 ──俺の母親はお前の叔母に殺されたんだ。

 ──俺の一族はお前ら一味に皆殺しにされた!

 ──俺のいとこは拷問を受けて心が壊れちまったんだ!!

 ──俺の…(ry

 

 自分の血縁が何をしたところで自分に関係はない。しかし、たとえその場で謝罪したとしても宥めたとしても一切取り合いそうにない雰囲気なので、構うだけ無駄だと思ってこちらも杖を構える。

 

 するともともと血走った目をしていたのが、その行為に刺激されてすぐに激昂した。

 

 いくら引き籠もって過剰な知識を身につけていようとも、シグナスには実戦経験というものがない。そしてこのときの相手は全員7年生。今まで授業やら試験やらでそういう経験は何度もくぐり抜けていた。

 

 

 ──シグナスに勝ち目は無かった。

 

 

 長年の恨みを晴らさんばかりにこってりと絞られたシグナスは、図書館に行くのを辞めて寮に戻ることにした。いくらなんでもこの状態のままでは外聞が悪い。

 

 ボロボロになって寮の部屋に戻っても、ジャックは何も聞いてこなかった。シグナスはそれが気遣いだと分かってはいた。

 

 しかしそれはなんと酷なことだろうか。

 

 シグナスには、友人としてコレに関わる気は無いと突き放された気にさせられた。

 

 それは単なる思い込みなわけだが、8歳から1人で生活しているシグナスは愛情というものに飢えていた。もしかしたら、彼に慰めて欲しかったのかもしれない。

 

 

 

 

 シグナスは引き籠もりの成果で授業で結果を残し続け、"神童"と呼ばれるほどの優秀な成績をとった。

 

 その事実は噂となって全校に知れ渡るところとなり、当然ブラック家を疎ましく思う者たちが黙っているはずもなかった。

 

 たった1度の襲撃で満足するはずもないのだ。

 

 いつの間にかカモ認定されたシグナスは、1人になったところを定期的に襲撃されるようになった。

 

 黙ってやられる道理はないので最初は抵抗していたが、毎回相手は上級生。しかも毎度5、6人以上の圧倒的な戦力でやってきた。年齢的な側面もあって魔法の威力も安定しているし質も高い。

 

 抵抗せずに袋叩きにあっていた方が事はすぐに収まると理解したシグナスは、いつしか抵抗することを諦めた。

 

 

 こうしてシグナスは、その出自では考えられないほどの生傷が絶えなくなった。

 

 

 

 

 そんなある日、今回は10人で襲ってきた。

 いつもは周りの目のない所で行われていたが、今回は中庭で公然と行われた。

 

 段々と群がって遠巻きに見るギャラリー。その中に緑色を示すものはない。なんと間の悪いことか。

 

 仮にその場にスリザリン生がいたなら、寮の仲間を守るためにその場に立ちはだかったかせめて助けを呼びに行くはずだ。いくら現在腫れ物扱いされているシグナスであっても、スリザリンは身内には懐が広い。

 

 周りが一切手出しをせず限界まで嬲られたシグナスは、その場に倒れ込んだ。その姿に満足したのか襲撃犯は笑いながら引き揚げていく。

 

 

 周囲の3色の野次馬も何も無かったかのように離れていくなか、放置されたシグナスに近づいていく影が2人。その顔は見間違えるほどそっくりで、共に赤色のマフラーをしている。グリフィンドール生だ。

 

 

「何でやり返さなかったんだ!」

 

「フレッド、それどころじゃない。

 これはひどい怪我だ。早く医務室へ。」

 

 

 

 

 

 所変わって医務室。

 現在、シグナスは校医のマダム・ポンプリーに説教を受けていた。その後、"以前から放置していた傷も全て痕は残らないが、日常的に暴力に耐える必要はない。しかしもっと早くに周りを頼り、傷の手当てを受けにこちらへ来るべきだった"と諭された。

 

 周囲の反応とは違い堂々とシグナスを助けたフレッドとジョージ。今回ばかりは人の目が多数ある所で行われたこともあってマクゴナガルの耳に入った。

 

「お加減いかがですか?Mr.ブラック。」

 

 自分の寮生がやったことに悲痛の面持ちでやってきたマクゴナガルは、心から申し訳なさそうな声で言うと、今度はキッとした鋭利な顔つきになってまくし立てた。

 

「聞けば今回が初めてではないようですね。どうしてもっと早くに相談しなかったんですか!我が寮生ながらあなたを無抵抗にやらせてくれるんですから調子に乗らないわけがありません!!私は報告を受けた時に背筋が凍りました。

 

 ……既にあなたを攻撃した者たちは全員罰則を課せられています。過程はともかく、もうあなたが攻撃される心配もないでしょう。」

 

 最後にようやく怒りが収まった様子のマクゴナガルによってこの場は締められた。

 

 ──ああ、それとフレッド・ウィーズリーにジョージ・ウィーズリー。周囲の反応に臆することなくよくぞ友人を助けてくれました。その勇気と道徳心を称えグリフィンドールに20点差し上げます。──

 

 

 

 

 

「さて、久しぶりだなシグナス。覚えているか?俺たち汽車以来だな。」

 

「キミがこんな目に遭っているなんて知らなかったよ。でも無事で良かった。」

 

「そこで俺たち」「考えた。」

「「みんなを笑顔にしてやるよ!!!」」

 

 後の二代目悪戯仕掛け人の誕生の瞬間である。

 

「そこでシグナスには参謀を頼みたいんだが」

 

「やってくれるよな?な?」

 

「………。」

 

 

 

 

 ということで2人協力することになったシグナスは、定期的に図書館で人目を忍んで会っていた。その頻度もやがて頻繁になっていき、必然的に1人でいることが少なくなっていつしか襲撃されることも無くなった。

 

 やはり彼ら双子はとてもユーモアに溢れていて、一緒にいて退屈になることはなかった。日に日にシグナスは目に見えて明るくなっていった。

 

 

 その影響は寮にまで及び、関係が少しギクシャクしていたジャックとの仲を修復。互いに寮で1番の親友になった。

 

 授業での噂を聞きつけた先輩たちからの接触も徐々に増え、ようやくホグワーツでの生活が軌道に乗った。

 

 

 日々の学校生活にも慣れ、やがてクリスマス休暇を迎えた。

 

「シグナス、今年はマルフォイ家のパーティーに参加するのか?俺はお家の方針で参加が義務付けられてるんだが。」

「うわぁーハワード家も大変だな。僕はおじさまから無理に来なくてもいいって言われてるけど入学しちゃったしね。もちろん行くつもりだよ。」

「そりゃ良かったぜ。俺、あの探り合うような目付きと雰囲気イヤなんだ。てかおじさまって誰だ?まさかマルフォイ家の当主か?そうなのか?どういう関係なんだ?」

「あ、ああ。僕の後見人の旦那さまってとこさ。」

「ひえーやっぱブラック家すげぇ」

 

 

 そのパーティーの席では、後の後輩となるドラコとダフネをこれまでにないくらいに飛びっきりの笑顔で愛でるブラック家当主の姿がありましたとさ。

 

 

 

 

 年が明けてイースター休暇を経て、6月の学年末試験を受けたころになってくると、シグナスはその容姿と能力、そして明るくなったことによるその圧倒的な存在感によってすっかり人気者になっていた。

 

 フレッドとジョージとのイタズラ計画も順調で、実行犯は双子、そのブレーンをシグナスが行うという役割に落ち着いた。

 

 双子が授業の課題を出さなかったために罰則を喰らってフィルチのお世話になった折、説教を受けていたフィルチの部屋にてくすねたシロモノ、通称"忍びの地図"の秘密を発見してからは、この3人組は"二代目悪戯仕掛け人"と名乗るようになり、人目をはばかって夜な夜な校内探索をするようになる。

 

 どこか家柄に擦り寄ってくる輩に絶えないものの、シグナスはこの日常に充実感を覚えていた。

 

 そんな中行われたクィディッチの最終戦。寮対抗クィディッチ杯の優勝決定戦とも言える試合でスリザリンが勝利し、今年も優勝した。

 

 寮で行われた祝勝会では騒ぎに騒いで、今まで全くつながりのなかった生徒との交流を楽しんだ。(こういう場では無礼講と決まっているのだ。)

 

 翌日、シグナスは珍しく1人で行動していた。

 

 双子との探検の成果で発見した、学校の外れにある湖のほとりに行こうとしていたのだ。発見したときは夜だったが、月夜に照らされて反射する水面に輝く周囲の森。

 

 その雰囲気にシグナスは魅せられた。

 

 その道すがら、ココ最近全く見られなかった光景にでくわした。かつてシグナスを度々襲撃してきたグリフィンドール生たちに囲まれたのだ。

 

「よぉ。色男。」

「よくもチクリやがったな。」

「こちらとらNEWT(いもり)試験で大切な時期だったってのによぉ。」

「あーあ。せっかくの勉強時間が誰かさんのせいで取られちまったなぁ。」

「実戦では碌に何も出来ないくせにココ最近何か思い上がってるらしいじゃねえか。」

「お前のせいで試験事故った分、たっぷり恨みを晴らしてくれる。」

「俺らが卒業するときくらいはクィディッチで優勝したかったのによぉ。」

「へっ、こいつならぶちのめしたときの爽快感もひとしおってもんだぜ。」

「御託はいい。さっさとやっちまうぞ。」

 

 

 この時、相手のグリフィンドール生たちは盛大な勘違いをしていた。

 

 

 シグナスは年相応(・・・)に優秀らしいと認識していたこと。

 

 シグナスの事は後輩たちから聞かされて少し警戒しているものの、"まだ自分たちに付いてこれる訳がない"とタカを括り、未だにカモ扱いしていたこと。

 

 シグナスは以前の経験を活かし、無言呪文(・・・)を習得していたこと。

 

 そう、シグナスはこの最上級生たちが必死に羽ペンを握っているあいだ杖を握っていたのだ!

 

 もうあの頃とはちがう。常に向けられる敵対的な視線(勘違い)に怯み、内心ビクビクしていた頃とは。

 逆に今は自信に満ち溢れている。

 

 

 学園ドラマのように1人ずつご丁寧に言葉を並べている隙に、シグナスは無言で"防御呪文"を幾度も幾度も重ね掛けしていた。

 

 まだ難易度の高い(・・・・・・)呪文になると失敗することもあるが、"プロテゴ"程度ならなんとかなる。

 

 相手は13人と以前よりも多いが、図らずとも時間をくれたお陰でシグナスは心の余裕を持っていられる。

 

 

『行くぞ!!!』

 

「コンフリンゴ・マキシマ!爆発せよ」

 

 いくらか芝居がかって杖を振り上げている間に自分の真下(・・・・・)へ爆破呪文の強化ver.を放ったシグナスは、たった1度の攻撃で相手全員をノックアウトした。生じた爆風によって、相手はジャパニーズマンガのように軽々と吹っ飛んでいく。

 

 自分自身に(・・・・・)重ね掛けしていた防御呪文のおかげで無傷のシグナスは、やがてその場を立ち去った。

 

 ここは校舎からあまり離れていないし、誰かに見られているかもしれない。第一戻ったところで、このドス黒く重たい気持ちは晴れないだろう。

 

 かといってこのまま湖の方面へ進む気も無くなった。

 

 シグナスはしばらく1人になりたくなって、宛もなく歩き出した。

 

 

 

 

 気がついた時には既に夕方になっていて、どこかで見たことがあるような大男が目の前に近づいてきていた。

 

「お前さん、見ねぇ顔だな。こんなところで何をしちょる。」

 

 周りを見渡すと角が生えていない子どものユニコーンに囲まれており、腰を下ろしてボーッとしていたシグナスに頬ずりをしたりと随分と懐いていた。まるで今の心境を察して慰めてくれているかの行動に、シグナスは嬉しくなった。

 

 囲まれたユニコーンの群れの周りに見えるのは鬱蒼とした森──。……あ、ここ禁じられた森の中だ。

 

 

「俺ぁ森のケンタウロスから報告を受けたんで来てみたんだが、本当に1人で迷い込んでるなんてな。何があったかは知らねぇがここは立ち入り禁止だ。事情を聞かせてもらうぞ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 森番のハグリッドと言うらしい大男の小屋で事情を説明したシグナスは、目の前の毛むくじゃらな大男に現在進行形で号泣されて困惑していた。

 

「うおぉ。お前さん、大変だったなぁ。

 よくぞ今まで耐えてきた。俺にはその気持ちがよぉーく分かる。お前さん、よくやったぞ。

 

 

 ──このまま帰るのも気が引けるじゃろ。もう日も暮れちまったし今日はここで泊まっていけ。俺ぁ今から夕食を取ってきてやる。先生方に事情を説明した上でな。大丈夫、ダンブルドア先生様ならちゃーんと分かってくれるさ。」

 

(嵐のような人だな。)とシグナスが呆然としているとハグリッドは小屋を出ていってしまった。結局、もう外出禁止時間になっており、戻ろうとしたところを見つかるとタダじゃ済まないということで、シグナスはここに泊まることになった。

 

 その後の夕食の席でハグリッドと打ち解け、魔法生物に興味を持つようになった。

 

 もともと猫派で犬は苦手だったシグナスだったが、ハグリッドの飼い犬のファングは、その屈強そうな肢体とは違って愛想よく無闇に吠えなかった。シグナスにもすぐに懐いてしまったので、そのこともあってかすっかり犬も大好きになった。

 

 

 ──ユニコーン。

 

 非常に獰猛ではあるが、人間の力で殺すことが可能な生物で処女の懐に抱かれておとなしくなるという。また、角には蛇などの毒で汚された水を清める力があるらしい。

 

  また、マグルの世界では宗教や地域によってもその姿形に差異が見られ、魚の尻尾で描かれているものもあれば、東洋では時おり翼を生やしていることすらあったという。

 

 実際は森に棲む馬で、毛は白色で頑丈。蹄は金色で、角がある姿なのだが。

 

 生まれた時の毛は金色だが、2歳ほどで毛は銀色に変わり、4歳ほどで角が生え、7歳になると毛は白色になる。

 

 幼い時を除き、魔法使いより魔女を好む傾向にある。素早くて捕らえにくい。

 

 その角や血液、鬣は色々な魔法に使われ、毛は杖の芯に使われることもある。

 

 なお、M.O.M.分類がレベル4であるのは、敬意を持って接するべき存在だからだとされている。

 

 

 

 シグナスはハグリッドからそんな説明を受け、先ほどの光景は滅多にないことだったんだと殊更ユニコーンに興味を持った。

 

 

 

 ──翌日。

 

 寮に戻ったらジャックには心配され、マクゴナガルには『その場を放置して立ち去るとはどういう了見ですか!』と説教されて減点された。しかし、最後には『あなたが無事で良かったです。』と滅多にないデレを見せられた。

 

 遅れて訪れたスネイプには、『たとえ格上に囲まれる絶望的な状況にも臆さず、勇気を持って立ち向かった。よってその事実を称え、スリザリンに15点。』と相変わらずのスリザリン節を見せられて少し元気になった。

 

 しかし、これはもはや当事者だけの問題ではなく、実際に大量のケガ人が出てしまっている。その内の何人かは特に重篤な状況で聖マンゴへ搬送されたということから、既に学校だけで納めるどころの話ではなかった。

 

 理事会まで話が移されて事態が紛糾する中、半ばダンブルドアの独断の裁量によって事件は締めくくられた。

 

 襲撃したグリフィンドール生らは、いかんせん全員が最上級生であり、もはや卒業までの日数が残りわずかだった。よって罰則の代わりに罰金で手を打ち、

 

 彼らを返り討ちにしたシグナスは、やや過剰な威力の呪文を放ったものの、今まで幾度も被害を受けたという事実と、その後に余計な危害を加えなかったということから正当防衛が成立。厳重注意に収まった。

 

 当然理事会や寮監のスネイプ教授は、

 

 "過去の日常的ないじめにしかも最上級生が最下級生を集団(・・)で襲っていた。ということは決してあってはならないことだ"。"導くべき立場にある最上級生が、1番の弱者である1年生をしかも集団で襲い続けるとはどんな神経をしているのだ"。

 

 と襲撃犯たちに退学とあまつさえ少年院行きへと働きかけていたが、ダンブルドアに"退学はともかく少年院はない"と突っぱねられ、その隙を突かれて強引に今回の裁決が決められ、確定してしまった。

 

 後日校長室に呼び出され、その裁決を聞かされたシグナスは、煮え湯を飲まされた思いをした。ホグワーツで過去退学になった者たちは少なからず存在するが、今回はそれに値する程の凶悪な事件だった(ルシウスから聞かされた)のだ。

 

 それがどうしてこんなことになったのだろうか。

 

 さらに、ルシウスによると、今回の裁決は加害者(被害を受けたが)に大分優しいものとなったらしい。ルシウスは独断で決めたダンブルドアに大層ご立腹で、

 

 ──それが罰金とは何事か。金なんて要らん。散々晒し者にされたシグナスの名誉を返せ。

 と力強い声でダンブルドアに抗議していた。

 

『彼らにも事情がある。あと1週間ほどで卒業を控える彼らにとって、それを目前に退学させられるというのは何たる酷なことじゃ。それに彼らの中には、どちらにしろ華の卒業に出られない生徒もおる。最後に主役となれる機会を奪われたのじゃ。どうかわかってくれんかのぅ。』

 

 と彼らを庇うばかりか、あまつさえこちらを責めるような口調で、白々しく微笑みかけてくる爺の顔とキラキラした青い瞳に、シグナスは彼に失望し、心の底から疎ましく思った。

 

 

 

 

 

 

「どうしたシグナス?」「今日は森の方へいくんだろ?」「「ユニコーンに会わせてくれよ」」

 

 これが原因で、二代目悪戯仕掛け人の双子が度々禁じられた森に入り浸るようになり、後にハグリッドが『俺ぁおまえさんとこの双子の兄弟を森から追っ払うのに人生の半分を費しているようなもんだ!』と苦々しく言うハメになるのはまだ先の話。




いかがでしたか?半ば過去編になってしまった今回。

現在の双子との活動にうまく繋がっていればいいなと思います。

まあそんなことよりこの記念回、本作では今のところあまり日の目を見ることがなかった双子が活躍しております。やっぱり体を労っている方がジョージなんですね。分かります。(第5話ハロウィーンを参照)


アズカバンって有名ですが、魔法界版の少年院ってあったんかな?完全にオリジナル設定です

ご意見、感想をお待ちしております。

・上級生からいじめ
闇の時代の影響を未だに色濃く残していた当時。闇にどっぷりと浸かっていた親族が多いシグナスが恨みを買ってしまうのは仕方のないこと。どんなに理不尽でも。

・何もしない野次馬

ジェームズさんたちが率いる初代悪戯仕掛け人によるスネイプ先生のいじめを思い出してください。シグナスもあんな感じに打ちのめされました。

・無言呪文を会得

とりあえず7年生までの呪文だけはひと通り習得していた(プロローグ参照)シグナス。魔力に対するつかみというか感覚はバッチリなので、呪文学のフリットウィック先生にそれとなく聞き出したら何とかなっちゃいました。

・ジャパニーズマンガのように──

爆破呪文の爆風によって、面白いように吹っ飛んでます。聖マンゴに行くことになったのは単に爆発がかすったり、打ちどころが悪かっただけです。

・ハグリッドと仲良くなる

その裏にこんなことがあったなんて誰が予想したでしょうか。


・裁決に激昂するルシウス
彼の親バカは既にアンロックされています。
残念なことにやはりダンブルドアはグリフィンドールには甘いですよね。


・ダンブルドアに不信感を持つシグナス。
ワシは全部知っとるよと言わんばかりの口調に、何もかも見透かすような瞳を見て、"なんで助けてくれなかったんだ"と不信に陥りました。

蛇寮主人公って大体ダンブルドアが嫌いなことが多いと思うんですが、シグナスもルシウスの影響もあって嫌いになっています。

・双子と禁じられた森へ

ユニコーンに感動したシグナスは、もう1度会いたくなって行動。やがてそれを察知されたので、双子を連れていくことになりました。それがあんなことになろうとは。(ハグリッドの嘆き)
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