ブラック家の御曹司   作:修造

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こんにちは。potetaです。
同時投稿になりましたが、今回はドラコ目線です。

本編に影響は全くありません。

ドラコにとって、シグナスはどういう存在なのか──

感想お待ちしております。


UA10,000記念【閑話】ドラコの小話①

  シグナス・ブラックは、僕の兄のような存在だ。正確には母上の従兄弟の息子で近くはないけど決して遠くない血縁。

 

  あの純血の王族とまで言われたブラック家の人間である。母上はブラック家出身だから僕もブラック家の血を引いているのだけれど。

 

 

 

  物心ついた時から、シグナスは僕のかけがえのない存在の一人だった。

 

  そりゃ昔は滅多に家に来なかったし、今にも倒れそうなくらい不健康って感じ(もともと顔が白い父上よりも青白い顔をしていた)で、げっそりと痩せているのに、何故か目がギラギラとしていてとても怖かったけど、彼自身は優しかったし、嘘をつかなかったし、何より"僕自身"を見てくれた。

 

  これでもマルフォイ家は名家だから、よくパーティーを主催していた関係で僕も社交界に顔を出すのは早かった。

 

  だから一般的に僕を通してマルフォイ家を見ている輩が多いのも知っていた。

 

  入学前に父上に紹介されたクラッブとゴイルもその部類に入っている。2人とも父上の側近の息子らしいけど、親に似ず脳筋で出来れば傍に起きたくない。

 

 ……呪文よけにはいいかもしれないけどね。無駄に図体もデカいし。

 

  これからも僕が2人をファーストネームで呼ぶことは永遠に来ないだろう。

 

 

 

 

 

  そして、いつも目の下にクマを作り、死んだ目をしていたシグナスは変わった。

 

  いつも無表情に近かった顔には常に微笑みを浮かべ、クマは無くなり、家柄特有の灰色の瞳が輝くようになった。

 

  何があったのかは知らない。最初は幼いながら訝しんだけど、今となってはこれで本当に良かったと思う。

 

  シグナスはこれからも僕の大切な存在だ。

 

 

 

❁❀✿✾❁❀✿✾❁❀✿✾❁❀✿✾❁❀✿✾

 

 

 

 

  ホグワーツに入学してから既に1ヶ月が経とうとしている。マルフォイ家の長男として英才教育を受けていた僕たけど、密かにホグワーツの授業を楽しみにしていた。

 

  父上や家庭教師に教えてもらうのもいいけど、やっぱり同年代のみんなと授業を受けてみたかった。

 

  また、シグナスからの触れ込みも大きい。

  普段はどこでそんな知識を手に入れたのかってくらい博識だけど、そんな彼でもホグワーツでの授業は感銘を受けるものだったらしい。

 

  マルフォイ邸を訪れるたびにその魅力を教えてくれた。

 

 

 

 

  シグナス自身は天文学が1番好きだと語った。

 

「どうして?」

 

  と聞いてみたけど、ちょっと困ったように笑ってはぐらかされた。その顔はなんだかとても寂しげだったのが印象に残っている。

 

「ホグワーツの授業の質は高いよ。

 教師陣は軒並み技量が高い専門家ばかりで、思わぬところから気付かされることもたくさんさ。

 ドラコも得られるものが多いと思うよ。」

 

  シグナスが話すことはどれも僕の期待を高めるばかりで、その後もよくホグワーツの話をせがんだ。

 

 

 

 

 

 

 

  こうしてホグワーツで無事にスリザリンに入った僕だったけど、やはりというか問題に直面した。それも3つ。

 

 1つめ、グリフィンドールとの合同授業が多い。

 

  シグナスからは聞いていなかったけど、最も楽しみにしていた飛行訓練や魔法薬学の授業を始め、奴らと被る。

 

  それは必然的にポッターたちと顔を合わせる訳で──

 

 

「ポッター。アスフォデルの球根の粉末にニガヨモギを煎じたものを加えると何になるか?」

 

「ポッター。もう1つ聞こう。ベゾアール石を見つけて来いと言われたら、何処を探すかね。」

 

「クラスに来る前に教科書を開いてみようとは思わなかったわけだな、ポッター。え?」

 

「モンクスフードとウルフスベーンとの違いは何だね?」

 

 

 

  助けを求めるように視線を泳がせるポッターと、分からんと頭を抱える隣のウィーズリー、そして教授に無視され続けてもめげず、槍のような挙手を続けるボサボサ髪の女子生徒、、、どうしてこうなった。

 

  授業が始まったときまでは良かった。

 

  魔法薬学の担当はスネイプ教授。

  我らが寮監であり、父上の友人だという。

 

「このクラスでは杖を振り回すようなバカげたことはやらん。それが魔法なのかと思う者が多いかも知れないが、沸々と揺れる大釜、立ち上る湯気、人の中をめぐる液体の繊細な力は人の心を惑わせ、感覚を狂わせる魔力となる。君たちがこの技術を真に理解することは期待していない。私が教えるのは名声を瓶詰にし、栄光を醸造し、地獄の窯にさえ蓋をする方法である。」

 

 

  甘くねっとりとした重低音ボイスで演説は続く。

 

  言葉に重みを感じる独特の言い回しにより、この時点でほとんどの生徒がこの雰囲気に飲まれている。

 

  声自体はブツブツと小さい声であるのだが、どこか人を引き付ける"何か"を持っていた。

 

「もっとも、私がこれまでに教えてきたウスノロたちより君たちがマシだったらの話だが。」

 

  ここで一旦言葉を切った。

  話疲れたのかもしれないが、授業のデモンストレーションとしては十分だ。

 

  魔法薬学は、素晴らしい薬を作り出すことができる反面、便利になればなるほど過程は難解で複雑になっていく。一瞬の判断ミスで、いくらでも作り手を殺せる。研究施設を吹っ飛ばすことだって不可能じゃない。いくら初歩中の初歩だろうと決して調合中にふざけていいわけではない。

 

  シグナスからは、この学問の最前線で研究に携わっている一流の人物と聞き及んでいた。

 

  "これは期待通りだな"と思っていたのもつかの間、1人内職をしていたと咎められたポッターに質問が浴びせられる。

 

 ──おい、何で1番最初の授業で内職なんてしているんだ。しかも予習は基本だろうに。

 

  スリザリン生側に響く笑い声の中内心呆れていたが、自分が悪いのにポッターは教授を睨みつけている。

 

  あ、減点された。

 

 

  その後、早速実習に入って教授に褒められたけど、その瞬間に感じる、睨まれる視線。さらにロングボトムの失敗のせいで授業が中断したりとグリフィンドール側によるミスでイライラが溜まっていった。

 

 

 

 

  飛行訓練の授業では、これまたロングボトムがミスを犯した。フーチ教授の指示をフライングした挙句、授業を中断させた。

 

  ロングボトムの怪我などどうでもいいのだが、いい加減鬱憤が溜まりすぎた。

 

「見たかあの間抜け面。もうお荷物グリフィンドールには飽き飽きだよ。」

 

 他のスリザリン生たちもそう思っていたようで賛同する。

 

「やめてよマルフォイ。」

 

 グリフィンドールの列の中から1人の女子生徒が出てきた。知らない顔だ。

 

「へぇ、ロングボトムの肩を持つんだ? パーバティったら、まさかあんたがチビデブの泣き虫小僧に気があるなんて知らなかったわ。」

 

 やたらと僕に引っ付いてくるパーキンソンがそう冷やかした。彼女はパーバティと言うらしい。

 

「ご覧よ! ロングボトムのばあさんが送ってきた馬鹿玉だ。」

 

 今日の朝食の時に大広間で見たものだ。

 

  朝に限ってシグナスはダフネと行動するから、この時間はよく気に入らないポッター達に絡んでいた。

 

  草むらの中から見つけた思い出し玉は、持ち主と共に高い所から落下したはずだったが、不思議と割れていなかった。ソレを掲げると太陽の光を受けてキラキラと輝いている。

 

「マルフォイ、ソレをこっちに渡してもらおう。」

 

「……何だポッター? 英雄を気取るのは楽しいか?」

 

「英雄なんて気取ったことなんか一度もない。ソレはネビルのおばあさんがネビルにあげたものだ。マルフォイ、君が触っていいものじゃない。こっちに渡せ。」

 

「嫌だね、ロングボトム自身に見つけさせる。」

 

 箒に跨って、ひらりと飛び上がる。

 ここら辺はシグナスと小さい時から遊んでもらっていたからお手の物だ。

 

「ここまで取りに来いよポッター。」

 

 散々授業は邪魔をされるしいい加減に限界だった。僕の狙い通りポッターが箒を手に取る。チャンスだ。

 

「ダメよ! フーチ先生が言ってたでしょ。動いちゃいけないわ。私たちみんなが迷惑するのよ!」

 

 魔法薬学の授業で見たボサボサ髪が叫ぶ。

 だがポッターは無視して箒に跨って飛んできた。

 

「へえ。」

 

 ポッター自身はマグルで育ったと聞いていたから、初めて空を飛ぶはずなのだ。しかし、その様子は非常にサマになっていた。

 

「こっちへ渡せよ。でないと箒から突き落としてやる。」

 

 ポッターが挑発をしてきた。カチンときた。

 散々恥かいたくせに、まだ英雄面をしている。

 

「取れるものなら取ってみな。」

 

 そう叫んでガラス玉を空中に放り投げる。

 驚いたことに、ポッターはそのガラス玉をキャッチするつもりらしい。

 一気に急降下してガラス玉を追いかける。

 

  ふん、このまま地面に激突しておジャンだな。

 

 

  しかし、予想に反してポッターは見事ガラス玉をキャッチし、地面を滑空して足をつける。まわりのグリフィンドール生が沸き立ち、拍手喝采でポッターを囲んだ。──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──こんなはずじゃなかった。

 

  直後に現れたマクゴナガルによって連れていかれたまでは良かったが、夕食を取っているときに聞いた情報に顔が青くなった。

 

  ポッターがクィディッチの選手になったという。

 

  シグナスはクィディッチの選手だ。

  僕のせいで迷惑を掛けてしまった。

  シグナスが怒ってなかったのは幸いだったけど、思わずあいつは大したことないと言い訳じみたことを言った。いや、言い訳ではない。シグナスは僕なんかよりも凄い選手だ。ポッターなんか足元にも及ばないだろう。

 

 

  翌朝アイツのもとには箒が届いた。

  1年生が箒を持つことは禁止されているから、早速近くを通った呪文学のフリットフィック教授に告げ口したけど、マクゴナガルの計らいだと言われるばかりか、"マルフォイのおかげなんです。"と言われる始末。

 

  碌に授業も受けられないガキに言われて怒りが爆発するかと思ったが、シグナスに諭された。

 

「そういうのはマトモに取り合うだけで時間のムダだよ。ドラコももう少し大人な対応をしないとね。」

 

  誰がとかは言っていないけど、シグナスは親身になって聞いてくれた。ポッターに届けられた箒種を伝えたときのことだった。

 

「それにドラコ、自分を大きく見せたいなら、ルシウスとか家の自慢ばかりするんじゃなくて、行動で示した方が手っ取り早いよ。男は背中で語るもんだ。」

 

  おかげで冷静になった僕は、過度な関わりを持つのを止めようと思った。いい成績をとって奴らに嫌味を言えばいいのだ。

 

 

 

 2つめ、授業の質の差が激しい。

 

  誰かのせいで授業が中断になって退屈になることも多いけど、大体は満足していた。

 

  主要な教科は寮に得点を貰えるように頑張ったし、実際に何点かもらえた。

 

  真夜中に行われる天文学だって予習は怠らなかったし、何より星の名前を知るのは楽しかった。

 

  天文学といってもただ星を観測するだけじゃない。

 

  もともと星座は、古代エジプトで星の並びを人の形などに見立てていたのに始まり、それがギリシャに伝わって神話と結びつき、広く親しまれるようになったものと言われている。

 

  従ってギリシャ神話の伝説と絡めて学んでいくのだ。

 

「母の実家はほとんどの人が星の名前にあやかって名付けられるのですよ。尤も母は数少ない例外でしたが。」

 

  学んでいくうち、少し寂しそうな表情をした母上の言葉を思い出した。

 

 

  シグナスがなんで天文学が好きと言ったのか分かった気がした。

 

 

❁❀✿✾❁❀✿✾❁❀✿✾❁❀✿✾❁❀✿✾

 

 

  しかし、2つの教科において、僕は大いに悩んでいた。

 

 その1は魔法史。

 

  通常のゴーストの教授はやる気がなさそうに教科書をただ単調に朗読し、それを黒板に書き付けていくだけのつまらない授業だ。

 

  最初はみんな熱意に溢れていたけど、志半ばで夢の世界に旅立っていく。

 

  通例、最後まで生き残っているのは僕と、こちらもシグナスから色々と吹き込まれているらしいダフネだけだった。

 

  彼女は意外と余裕そうだが、僕は頬をつねったりして何とか喰らいついている。

 

  そうまでして最後まで話を聞いている理由──

 

「はい、皆さん。今日の範囲はここまでです。

 これから詳しく解説していきましょう。」

 

  来た!僕は内心待ちわびていた。

  そうなのだ。シグナス曰く、このおさらいの時間こそが魔法史の授業で最も役に立つ。

 

  魔法省の指導要領に則ったつまらない授業はどこへやら、この時間は先生の主観が入った説明が始まる。それは同じことを授業しているのに雲泥の差だ。

 

  全く関係ないと思っていた2つの事件がこんな所で繋がっていると気づいたりとか、当時の時代背景をこと細かく解説してくれたりと、やはりゴーストである故に実際にいくつか経験しているらしい。

 

  教授が御歳いくつになるかは存じ上げないが、経験談が入り混じると非常に面白い授業になる。

 

 

  ただ、始めからやってくれませんかね?

  それまでの時間が長い。長すぎる。

  それが悩みの種だ。

 

 

 その2、闇の魔術に対する防衛術の授業

 

  毎年呪いのように教師が変わるこの科目は、シグナス曰く昨年までは非常にレベルの高いものだったそうだ。

 

  しかし、2年前までマグル学を教えていたというクィレルは、当時の評判がひっくり返って地を這っていた。

 

正直言って失望した。

 

  まず、教科書を朗読するのだがよく吃る。

  聞き取りづらいから困った。

 

  そしてニンニク臭いから寝ることも許されない。

 

  この分なら独学でやった方がマシだ。

 

  僕はこの授業に関しては見切りをつけた。

 

 

 

 3つめ、課題が軒並み多い。

 

  これに関してはどうしようもない。

  上級生になるともっと多くなるらしいが、先輩方はどうやって捌いているんだろう。

 

  シグナスに至っては12科目も取っているのにクィディッチと両立しているし、要領が良すぎる。

 

  ともかく僕は課題に捕まってしまったので、シグナスに相談しつつ自由時間を持つまでに時間がかかった。

 

 

  とまあ、目先の問題はクィディッチシーズンまでには解消することができた。

 

 

 

 

  ある日、ついに僕はクィディッチの練習を見に行くことにした。

 

  ここだけの話だが、僕はいつかクィディッチチームに入ってシグナスと一緒に戦うことを夢見ていた。

 

  僕は最短でもチームに入団できるのは来年だし、今からでもできることをやろうと思った──。

 

 

❁❀✿✾❁❀✿✾❁❀✿✾❁❀✿✾❁❀✿✾❁❀✿✾

 

 

 

 

 ──チームに入るの辞めようかな、、、

 

  発端は練習開始直後だった。

  チーム全員が呼び寄せ呪文で箒を取り寄せると、そのまま飛び立つ。

 

  屈強な体格をした男たちは、体格からしてビーターのようだ。彼らはブラッジャーに杖を降ってその数を増やしていく。

 

  何をするのかと思ったら、それを手に持つ棍棒で乱れ打ちを始めた。よりにもよって全てをシーカーのシグナスに向かって。

 

「何やってるんだ!」

 

  と思わず叫ぶほどの衝撃を受けたが、みんな慌てた様子はない。至って真剣だ。この異常とも言える事態で、周りの観客も慌てずに見ている。

 

  シグナスにも驚いた様子はなく、あまつさえやってくるブラッジャーを避けながらスニッチを探して目を凝らしている。

 

「練習はここまで厳しいのか…!」

 

  この集団リンチとも思える地獄の風景は、日が落ち、夜になるまで続いた。

 

 

  練習終わりで夕食を食べるシグナスがいつも疲れきっていた理由が分かった。ここまで厳しい訓練をしていたなんて!

 

  理由が分かったところで、入団はもう少し考えてからにしようと心の中で誓った。

 

 ──のだが。

 

「マルフォイ、君はクィディッチが上手いんだって?シグナスたちから聞いたよ!」

 

  練習終わりにチームのキャプテン、マーカス・フリントに捕まってしまった。

 

  おのれシグナス。恨むぞ…

 

 

  とはいえ、キャプテンからヘッドハンティングを受けるなんて名誉なことだ。ポジションを選べば大怪我なんてしなくて済むだろう。

 

 

 

 

 ──僕の知らない所であんな目にあっているのに、泣き言ひとつ言わないシグナスを尊敬した。

 

 

 

 

❁❀✿✾❁❀✿✾❁❀✿✾❁❀✿✾❁❀✿✾❁❀✿✾

 

 

 

  そしてやって来た開幕戦。

  シグナスたちは勝利した。

 

  終わってみれば250対60。完勝である。

 

  序盤からの電撃戦もそうだが、ビーターの力量が桁違いに高く、グリフィンドール側はチェイサーが全滅して得点が取れない状況まで追い込んだ。

 

それもそうだろう。あんなに思うままに打ち込んでいたのだ。聞けば昨年からのメニューらしく、そこからビーターの技量が著し上昇したそうだ。

 

  更にスニッチをとったのはシグナスで、試合終了。スリザリンの勝利だ。

 

  スコアだけ見ればそうなのだが、祝勝会を行った翌日、校内は異様に殺気立っていた。

 

  僕らスリザリン生が廊下を歩くと、特にグリフィンドールの連中がキッと睨んでくる。シグナスに至っては今にも呪文が飛んで来そうだ。

 

  原因は昨日の決着劇。

 

  スリザリンVSグリフィンドールとは銘打っているけど、実際はスリザリンVS他3寮だった。

 

  100年ぶりの1年生シーカーをみんなが皆応援していた。気まぐれなスニッチもそっち側なのか、シグナスのそばには現れない。

 

  嵩んでいくペナルティシュートによって、一時は90対0だったのに、30点差まで追い上げられた。

 

  不安になっていく僕たちスリザリンサイドの応援席(ダフネに至っては泣きそうだった)だったが、そこでシグナスが動いたのだ。

 

  チャンスが来なければ相手にも渡さなければ負けることは無い。今回の試合ではことある事にチャンスが舞い降りてくる相手シーカー、ポッターを潰したのは合理的であり、普通のことであると思われた。

 

  しかし、世間はそう見なさなかったようだ。

 

  何度でも言うが、今回ばかりはみんなグリフィンドールの勝利を祈っていた。そしてその期待の星だというポッターを潰してしまった。

 

  しかし、僕らスリザリンにも意地がある。ただ"はいそうですか"と負けてやるわけにはいかないし、何よりそれで勝ち誇った顔をされるのはどうなのか。フェアプレーを語る前にお前らがフェアになれ。

 

 勝利のためにシグナスは全力で仕掛けたが、しかし向こうにはそう映らない。

 

 ──卑怯者!

──このハゲ!

 ──お前のせいでハリーが…!

 ──お前はどれだけ俺たちの心を叩いてる!

 

  スリザリンVSグリフィンドール戦後には、その勝敗によってその後1週間近くはいざこざが続くらしいが、今回ばかりは先輩たちにとっても異様な光景らしかった。

 

  大体は反則スレスレのラフプレーを特徴とすると巷では有名なスリザリンの戦い方をdisったり、

 

 ──堂々と戦えば負けることはなかった

 

 とか負け惜しみが中心だという。

 

  しかし、いつもは寮に向く怒りがシグナスに集中しているのだ。3寮というよりかは、グリフィンドールから誹謗中傷を受けるシグナスがあまりに哀れで、スリザリンみんなが守りに入った。

 

……一部容姿に関する誹謗中傷もあったが、シグナスはハゲてなんかないし、ハゲの家系でもない。(と母上から伺ったことがある)

 

きっとシグナスの優れた容姿に嫉妬しているんだ。見苦しい。

 

 

  意外にも、シグナスは全く堪えた様子を見せなかった。

 

「ああ、あんなの気にしたら負けだよ。

 そんなことよりドラコ、今度のホグズミード村でのお土産何が欲しいかい?」

 

  そんなのなんだっていい…!!

  少しは自分の置かれている立場に気づいてくれ!

 

  無自覚なのも尚性質が悪い。

  そんな様子があいつらを更に苛立たせているのに!

 

 

 

 

  そして試合後1週間が経つと、公然と行われていた誹謗中傷がぴったりと止まった。シグナスはほらね。とか意味がわからないことを言っていたけど、あまりに不気味な光景だった。

 

  そう、まるで嵐の前の静けさのような…

 

 

 

 

 

 

 

  この日、試合後始めてダフネと2人で朝食の大広間に向かったシグナスは、授業になっても、放課後のクィディッチの練習の時間になっても現れなかった。

 

  翌日、どこからともなくとある噂が囁かれ始めた。

 

 ──グリフィンドールの7年生の集団が、シグナス・ブラックを含むスリザリン生2名を襲撃。

 

 グリフィンドール側は全員が怪我を負い、何人かは聖マンゴへ、シグナス・ブラックは医務室にて面会謝絶状態にある──

 

 

  最初は誰も信じなかった。鼻で笑うくらいには有り得ない話だと思った。

 

  でも、シグナスとダフネはこの日も明くる日も出てこない。グリフィンドールのテーブルも心なしか人数が少ない。学年ごとに明確な席割りとかはないが、あそこは確か最上級生が居座るゾーンじゃなかったか。

 

そして、保健室にはカーテンで囲われているベッドがいくつもあった。あの中にシグナスやダフネがいるのだろうか。

 

面会謝絶は本当で、校医のマダム・ポンプリーは存在こそ明かさなかったものの、カーテンを除くことは許さなかった。これは確信犯だ。

 

 

 

  ようやくスリザリン寮が自体を悟り始め、グリフィンドールに報復しようと騒ぎ出したとき──

 

 

 ──狙いすましたかのようなタイミングでダンブルドアが現れ、スリザリンVSグリフィンドールのエキシビションマッチの開催を宣言した。

 

 

 




これって閑話っていう枠じゃないような…
というかこんな中途半端ですみません。

ドラコがシグナスによってだいぶ作り替えられています。綺麗なマルフォイとはまた違うと思いますが、本作では兄貴分のシグナスを慕うかわいいドラコになっているといいなと…

また、今後もUA記念はやっていくつもりです。全ては作者の気分次第となりますが…

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