目の前に映る実の妹。
死んだ筈の深雪がレナとなって色彩の瞳で見つめ合っていた。
「深雪……」
「お兄ちゃん……?」
深雪の方はまだ信じられないと言った表情だ。
斯く言う俺もまだ現実を呑み込めない。
俺達の間に永遠とも思える長い静寂の時間が過ぎっていった。
だが、一瞬でそれをぶち壊し、レナが俺の頬へ触れる。
「本当に、お兄ちゃんなの…?」
「あぁ…俺だ。分かるだろ?」
「うん…」
互いに脳量子波で思考は伝わり合っている。
今起きた出来事が嘘ではないことは心を覗いて理解しているんだ。
しかし、それでも信じられない再会だ。
「深雪…。俺、お前が死んだのかと」
「死んだよ。さっきも言ったでしょ…、あのテロで私は…」
「でも今目の前に…!」
「私はレナだよ」
「……っ」
確かにもう橘 深雪ではない。
レナ・デスペア、新たな名と塩基配列パターン0000イノベイドの身体を『ヴェーダ』から授かっている。
十年間も過ごしたこの世界ではもう別人なのかもしれない。
でも、無理だ。
俺には深雪の面影が重ねって見える。
真実がわかった今、もはや深雪にしか映らない。
もう深雪は別人になってしまったのか…?
「お兄ちゃん」
「深雪…」
再び深雪が俺の顔を覗き、視線が厚く交じり合う。
深雪からの脳量子波から温かい感情が流れてきた。
「そんなこと、悩まなくていいよ」
「え?」
深雪はそっと微笑み、俺を抱き締める。
あぁ…包まれた時のこの匂い、感触を何十年も前から知っている。
「今の私はレナだけど、お兄ちゃんもレイでしょ?」
「あ、あぁ…」
レナに抱擁されてちょっと落ち着いたのか自分でも分からないがレナの問いに頷く。
「じゃあ、私達はまた兄妹だよ。同じセカンドネーム、デスペア…。レイとレナ。ただちょっと生まれ変わっただけ」
「……」
「でももう
「なん、で…」
正直深ゆ――レナが何故そんなことを言うのか分からない。
思わず問い返してしまうほどに。
「もう二度と離れ離れにならないように、もう1度出会えたこの運命をちゃんと分かっていて欲しいの」
「……っ!」
俺達は前世でも兄妹だった。
だが、深夜と深雪の関係はもう終わった。
俺が深雪を失ってしまったから。
でも奇跡が起き、レイとレナとしてもう1度出会うことができた。
だから今度こそはお互い離れないように、前世のようにならないように深雪は区切りを付けたいのだろう。
問題は俺にそんなことが出来るのか…。
勿論昔の思い出を捨てろという訳じゃないのだろうけど深雪とレナを混同してしまう。
深雪――レナはこんな状況でも冷静だ。
臨機応変なのは昔から変わらない。
でも俺は…。
「ふふっ」
「え…な、なに笑ってるんだ?」
「だって。お兄ちゃんってば難しく考えすぎだよ。さっきのは建前だけで捉え、ちゃんと意識できていればそれでいいの!ね?」
「あ、あぁ…」
「あはは!そういうとこやっぱりお兄ちゃんだなぁ」
深雪、レナは笑いながら何処か懐かしくて泣きそうな顔になる。
俺はそんなレナを抱きしめた。
「お兄ちゃん?」
「ありがとう」
思えば深雪は臨機応変でも俺より幼い。
こんなにも巡り巡って再会できて感動してるのは俺だけなわけがない。
深雪も今にも泣きそうなくらい嬉しいんだ。
勿論、俺も。
「深雪…」
「もう…、レナだってば」
「また出会ってくれてありがとう…本当に、ありがとう…」
「うん…うん…。会いたかった、会いたかったよ。お兄ちゃん…!」
今度は強く抱擁し合う。
もう二度と離さないようにずっと一緒に居れるように。
強く、強く…。
涙が頬を伝うのも気にせず俺はただありがとう、よかった…とだけ呟き。
深雪は会いたかったとだけ囁いた。
暫く再会を噛み締めた俺と
まあよくある死者転生である深雪は前世でテロに巻き込まれて殺されてしまい、ガンダム00の世界へと塩基配列パターン0000イノベイドの肉体を用いて現界した。
深雪の転生に関しては慣れている俺はすぐに納得し、なんなら逆に説明したくらいだ。
転生に関してもイオリアが作ったかは知らんが、塩基配列パターン0000のイノベイドが存在する以上不思議ではない。
ただここで問題が浮上した。
当然深雪のことを聞けば、交代で彼女から俺に尋ねてくる。
何故この世界に転生してきたのか、と。
しかし、それに関して俺は――。
「え?分からない?」
「あぁ…」
どうも転生直前の記憶が無いんだよなぁ。
何か事件に巻き込まれたわけでもないし、死んでもいないと思う。
どういうわけか経緯なく転生していた。
「そっか…。まあ知らないものは仕方ないね」
「考えても判明するものでもないしな…」
というわけでお預けとなった。
深雪としては俺が死んでしまったのかとか自分がいなくなった後のことが心配だったのだろう。
だが、知らないものはどうしようもない。
思考するだけ無駄だ。
それにしても深雪の入れる珈琲はやっぱり美味しいな。
そりゃバリスタが入れたのが一番上手いではあるんだけど懐かしいというか安心する味だ。
俺に合った苦味の調整がされている。
そんな珈琲を口に含みながら俺達は互いに知らない空間の時間を尋ね合う。
「深雪はもう十年間もこの世界にいるんだよな?」
「もう…だからレナだってば」
「あー、すまんすまん。率直に聞くけど十年間何してたんだ?」
「反省する気ないなぁ…。私の話は聞いててもそんなに楽しい話じゃないよ」
「ぶっちゃけ俺もそうさ」
まあガンダムなんてもんを作ってるやつが真っ当な人生を歩んでいることはないだろう。
俺もリボンズのおかげで生後1日足らずで軍人デビューだった。
紛争の中を駆け巡っていた俺も異常な方だ。
さて、深雪が話すようなので耳を傾ける。
「私は…死んだと思ってたら生きてて何が起こってるか分からないまま地球に落っこちちゃったんだ」
「は?落っこちる?
「うん。最初はね」
こいつは驚いた。
気が付くとそこは宇宙だった…ってか。
ん?待てよ?それってもしかして『ヴェーダ』じゃないか。
『ヴェーダ』は月にあるんだ、レナが目を覚ましたのが月でもおかしくはない。
ていうか俺もそうだったかもな。
俺の場合、生まれる前から既に色々な手順が済まされていてよく分からないままなされるがままにリボンズの所に向かっていた。
実は道中の記憶はあまりなく、朦朧としていた。
ってそんなことより地球に落っこちたってのはやばくないか。
今深雪…じゃなくてレナは生きているから助かったんだろうが、その先が気になる。
「で、どうなったんだ!?」
「うーん…まあ無事ではなかったけどなんとか命は助かったんだ。ある人が助けてくれてね」
「ある人…?」
誰だろう。
まあ主要人物かどうかも分からないし、今は保留でいいか。
心の中で感謝しておこう。
いや、本当に妹を助けてくれてありがとう。
顔を拝むことになったら恩返ししたいな。
「その後はその助けてくれた人の家で暫くお世話になって…恩返ししようって思って私なりにずっと頑張ったんだ」
「へぇ…」
出だしは驚いたけど大したことは起きてないな。
お世話になった人に恩返しするのは変ではないし、介抱してもらえたというのも転生してすぐで衣食住がないんだ。
助けてくれた人がよっぽど人でなしでもなければおかしくはないだろう。
なんかさっきから警戒しまくって聞いてるな。
妹が深刻な話をするって言い出したんだから当然か。
酷い目に合わされた話をしたらそいつを叩きのめしてやる。
「それで恩返しにガンダムを作ろうってなって」
「いや、なんでだよ」
何言ってんのこの娘。
我が妹ながら最高に意味がわからない。
恩返しのスケールがデカすぎるだろう。
どうやらその為に数年掛けてMS工学などに励んだらしい。
前世から深雪は賢かったが、開発に関する資格を何十個も持ってると賞状を見せられた時は珈琲を吹きかけた。
異世界で何やってんだよこいつ…。
まあガンダムを作る側に憧れるやつはいそうだけどな。
人によってはかなり羨まめる。
ただ深雪って記憶が正しければ非オタなんだよなぁ。
素で恩返しの為だけに全てを身につけた線が一番濃い。
くそ、何故こうも遺伝子が偏った。
前世の親父は天才的な物理学者だったらしいが俺と深雪の学歴の差が天と地の差であるところを見るに均等にはならなかったらしい。
それはそれとして、恩返しにガンダムを作る気になる人物に助けてもらったっことだよな。
レナの『家』っていう表現からするに相手側は相当金持ちなのかも。
ならコーナー家とかありそうだな。
実際アレハンドロはリボンズを拾った…まあ利用されてるだけだがそういう経緯もある。
深雪を拾う可能性もないだろう。
あとは
深雪…あぁ、くそなんとかレナって直そうとしてもどうしても深雪の名が出る。
そのせいでさっきから統一できない。
深雪の望みはレナとして呼んでほしいようだからレナで統一できればいいんだけどな…っと脱線した。
ただ十年前となると彼女は9歳…地球に落下した
ならば
ただそうなるとソレスタルビーイングとは無関係では入れなそうではある。
なんならガンダムを作るよりガンダムマイスターとしてグラーべに勧める方が自然だ。
だが、レナの作ったガンダムは擬似太陽炉搭載型。
ならやはりコーナー家に拾われ、トリニティの別チームか?
「トリニティ?何の話?」
レナが首を傾げる。
思考読むなよ。
「ガンダムマイスターだよ。ソレスタルビーイング以外の。アレハンドロ・コーナーって知ってるか?」
「うーん…」
「……やっぱいい」
一体何を知ってて何を知らないんだ。
深雪の場合、前世で作品を見てなかったから知識がない。
転生してから知ったことを当然ながら俺は知らない。
これはもっと情報を交換する必要があるな。
俺の知識、というか本筋の全てを。
「とにかくレナはこの十年間恩返しに費やしたってことだよな?」
「まあ、そうかな」
「……一応聞くが合同軍事演習で俺を狙ったのはその恩返しの一部か?」
「もう…怒ってるの?」
さぁ、どうだろうな。
俺が覚悟を決めた時にデュナメスを潰そうとして邪魔されたのを忘れてはいないぞ?
「言っとくけどその前にお兄ちゃんを助けてるんだよ」
「うっ…」
痛いところを突かれた。
くそ、確かに反論できない。
なんでこうも深雪には勝てないかなぁ。
兄妹喧嘩も勝ったことないんだよな。
さて、俺の番か。
レナの話は聞けた。
基本は救ってもらった人への恩返し。
作品を見てなかったんだから特に行動を起こさなかったことにも納得はいく。
リボンズと干渉してないなら俺みたいに戦場に送り込まれることもなかったんだろうな。
「はぁ…。俺の話をする前にまず話さなきゃいけないことがある」
「なに?」
「まずリボンズ・アルマーク、そいつの差金で俺は戦場へと送り込まれ、軍人となった」
「リボンズ・アルマーク…」
レナがリボンズの名を復唱する。
この名前はこの世界でイノベイドとして生きる上では絶対に無視出来ない。
レナも知っておくべきか。
まあ詳しくは脳量子波で読み取るだろう。
「リボンズさん…イノベイドの統率者…。そう…確かに、世界の歪み…そのもの」
「……」
色彩に輝く瞳から情報を引き出すレナ。
アレハンドロを利用していることやあいつの企みの全てを教えた。
「お兄ちゃんの話を聞くには、まずイノベイドを知らなきゃ。そして、それは世界を知らなければならない」
「そうでもないが、気になるか?」
「今では私の生きる世界でもあるから」
「そうか」
じゃあ掻い摘んで作品としてのガンダム00を説明してやるか。
出来るだけイノベイドやリボンズの詳細や全貌を優先する。
そうだな、俺のこれまでの経験と絡めるか。
一石二鳥だ。
「まずソレスタルビーイング…ガンダムを有する私設武装組織が戦争根絶のために武力介入したのは知っているよな」
「うん。声明も聞いてたよ。無視できない立場ではあったしね」
ほう。
やはり
それともただ聞いただけか。
まあ今はどっちでもいいか。
どうでもいいがさっき珈琲の共として出てきたシナモンと黒糖のドーナッツが美味しい。
俺が甘いのが苦手なことを知っている深雪が甘さ控えめで珈琲に合うものを用意してくれた。
さすが妹だな、自分で焼いたみたいだし自慢の妹だ。
何処ぞの馬の骨にはそう簡単にはやらん。
「ガンダムの武力介入により、世界は混乱しその中で大きな打撃を受けていくことになった」
「紛争が終わったり、その影響はちゃんと出てたね」
「あぁ。イノベイドは基本リボンズ以外はあまり行動に出ていない。だが、俺とナオヤはまだ未熟だという理由で戦場へ投入された。俺は人革連で、ナオヤはAEUの軍隊に。リボンズによってな」
「……」
イノベイド二人を自由に動かす権力を持つ存在であるリボンズ。
その大きさにレナも黙る。
そして、同時に悟る。
世界の変革は奴の手のひらで行われている。
「タリビア共和国のユニオン脱退の茶番…それが終わると俺も遂に紛争へ介入することになった。ティエレンタオツーの性能実験でガンダム キュリオスと戦うことになり…ガンダム鹵獲作戦ではガンダム ヴァーチェ」
「そして、合同軍事演習だね」
「あぁ。デュナメスを損傷させようとしたが…」
「はぁ…はいはい、悪かったですよぉー」
「まだ何も言ってないだろ…」
レナが唇を尖らせて拗ねる。
我が妹ながら可愛い。
そういえばエクシア以外のガンダムと戦ったんだな俺。
全く嬉しくない上にできればコンプリートしたくないな。
それもティエレンで戦うとか何の縛りだ?
思い返すと待遇が少なすぎて泣けてくるな。
「途中ナオヤとの決闘とか色々あったが、合同軍事演習でスローネ ツヴァイにやられたところをレナが助けてくれた…んだよな?」
「うん。ガンダムでね」
「それってスローネや誰かに見られたんじゃないか?」
「うーん…スローネってあのオレンジのガンダムだよね?まあ見られたとは思うけど…道中は迷彩システム使ってたし、ガンダム機と知られないように工夫はしてあるから多分大丈夫だよ」
工夫ねえ。
ガンダム機と悟られないために…原作ではマスク付けてたりしてたな。
ただGN粒子でバレる気もする。
一体何をしたのやら。
「……」
「お兄ちゃん?」
レナが顔を覗いてくる。
一応話は終わりだ。
合同軍事演習で気を失ってから意識を取り戻した時にはレナの部屋にいた。
ここまで状況を整理したり情報を得るためにレナと話してきたが…。
俺が意識を失っている間にも世界の情勢進んでいる。
レナとの、深雪との再会ですっかり忘れていた。
ティエレン チーツーが大破して、合同軍事演習で俺は戦死の扱いを受けているのか。
何にせよ、スローネの介入であの演習は失敗だ。
その後GN-Xが配置されるまでスローネの武力介入で世界はさらに打撃を受けることになる。
色々あったが冷静になって気になってきたな…。
あの後どうなったんだ?
本筋を知っていても改変が起きているかもしれないこの世界の先は分からない。
特にスミルノフ中佐やミン中尉。
人革連の仲間達、『頂武』のみんなは…。
ソーマが心配だ。
「レナ。今世界はどうなってる?」
「さっきお兄ちゃんのいったスローネってガンダムかな、あの機体が軍備施設ばかりを攻撃して今は騒がしいよ」
「そうか…」
やはりか。
そこは変わってない。
元々ガンダムに対抗できる機体がない。
合同軍事演習で一時は協力したとはいえユニオンも人革連もAEUも元々は個々の存在だ。
武力の元となる基地を一掃されては手も足も出ない。
俺が介入したこの世界でも軍側の力量は変わっていない。
ならば必然的に同じことが起こるのは当然だろう。
問題は今スローネがどれだけ動いたかだな。
あいつらの武力介入の内容自体は変わってるかもしれない。
ソーマ…。
「レナ。詳細を教えてくれ」
「……ハロちゃん」
『データヒョウジ。データヒョウジ』
レナが黒ハロに指示をし、端末画面に世界中の情勢が、情報が流れてくる。
スローネが軍の基地を攻める映像も見た。
敵が壊滅するまで徹底的に潰す、それがトリニティのやり方だ。
実際にこの目に焼き付ける。
「……」
「……」
はっきり言って気持ちのいい内容ではない映像が静寂の中、映される。
俺は全て逸らすことなく目を通し、再度レナに問う。
「スローネの武力介入はこれで全てか」
「うん。全部で七、八回かな」
「……」
人革連も影響を受けている。
まあソーマを紛争に活用するブラックだ、同情はしてやらん。
回数的に次に狙われる場所は検討がつく。
確かユニオンのアイリス社軍需工場がスローネの狙い。
あそこに働くのは民間人だ。
「レナ。スーツと動かせる機体が欲しい。ガンダムなんて贅沢は言わない、ヘリオンでもティエレンでも俺に
「……戦うの?」
「どうしても守らなきゃならない人達がいるんだ」
刹那やロックオン、マイスター達ソレスタルビーイングもアイリス社軍需工場への武力介入は眉を顰めていた。
何度も言っているが、目の前で起こることを無視できる程俺は薄情でも非情でもない。
「頼む」
「……」
俺の思いを色彩の瞳を通して伝える。
どうしても譲れないものがある。
頭を下げる俺にレナは溜息をついた。
「はぁ…お兄ちゃんが今何を言ってるのか理解してるのかは分からないけど…機体はあるよ」
「……っ、レナ!」
「でも今回だけ。それ以降は私の問いにお兄ちゃんがどう答えるかで決めるね」
「問い…?」
レナも立ち上がる。
彼女の表情は本気だ。
真面目で重要な話をする時の深雪の顔。
「お兄ちゃん。お兄ちゃんは今…リボンズさんから逃れることが出来てるの」
「え…?」
リボンズから逃れている?
「イノベイドの殆どはリボンズさんに支配され、世界はリボンズさんの手のひらで踊っている。でもお兄ちゃんは今死人として扱われてる。軍でも、世界でも」
レナがハッキリと言うってことは俺を助けたことをミハエル、少なくともトリニティ以外には知られていない自信があるのか。
もしそうなら俺が死人の扱いを受けるのは当然の流れ。
「ここはね。外からの脳量子波を遮断する施設なの。だから、お兄ちゃんが万が一にもリボンズさんに見つかることは無い。使命から逃れることが出来る」
「なっ…」
そうだったのか…。
だから、レナはリボンズに存在を知られてないのか?
いや、真実は分からないから確実にそうだとは言えないがレナの言うことが本当ならばここは隠れ蓑になる。
でも――。
「深雪!俺は…」
「分かってる。巻き込まれる民間人を助けたいんだよね?その想いは脳量子波でちゃんと伝わってるよ。だから今回だけお兄ちゃんに
「深雪…」
深雪が――レナが真剣な瞳で俺を見つめる。
「でも帰ったらこの問いの答えを教えて?お兄ちゃんはこれからどうしたいの…?」
「これからどうしたい…?」
「お兄ちゃんはもう戦う必要はないんだよ?強制されてるわけでも縛られてるわけでも使命があるわけでもないから。リボンズさんだっていない。世界の隅っこで傍観することだってできる。見てるのが辛いなら誰もいないところ、一生平和に暮らせるところに逃げても良いの」
「……」
「出来るなら私はもう一度お兄ちゃんと…ううん、私のことは考えないで。お兄ちゃんは答えを見つけて?」
「深雪…」
深雪の問いの意味は分かる。
確かに戦いに介入する必要は無い。
なんなら転生直後に望んでいた傍観の道を選べるかもしれない。
だが、俺はこの世界に関わりすぎた。
傍観するだけなんて無理だろう。
ならば深雪の提案は凄く魅力的だ。
でもこのまま終わってもいいのか?
――俺はどうしたい。
「とにかく人助けしよっか?」
「あ、あぁ…」
レナが俺の顔を覗いて微笑む。
悩んでる暇はない、か。
グリニッジ標準時間を確認する。
武力介入の時間は近い。
だから、深雪は答えを帰還した後にお預けしたのか。
本当に…出来た妹だ。
兄を気遣ってくれている。
「お兄ちゃん、スーツだよ」
「す、すまん。ありがとう」
深雪からスーツを受け取る。
これ…脳量子波遮断型か。
凄いな、こんなものまであるとは…。
深雪――レナに案内されるがままに付いていく。
重力はある。
地上ならすぐにアイリス社へと駆け付けられる。
そして、部屋と隣接していたMSの格納庫へと訪れた。
そこに居たのは――。
「これは…」
「ガンダムだよ」
振り返るレナの背後に佇む黒い機体。
ティエレンとは違い、見下ろすのは双眼。
背に擬似太陽炉と思われるGNドライヴを詰んだその機体の名は…。
「ガンダムプルトーネ…」
俺も知っている第二世代ガンダムだった。
深雪とレナの統一は先の出来事で統一されるので今は我慢してください。
長文回で一度大批判をくらってトラウマですがここら辺は重要事項や判明していく事実が多いので書くのが大変で書き直すのは絶対無理と断言できるのでご勘弁を…。
できれば批判は控えてもらえると有難いです。
次回は2機のガンダムが空を舞う。
あとプルトーネ ブラック レイ専用改良型、ガンダム サハクエル、レナ・デスペアについての解説を活動報告に上げておきました。