息抜きで書いたイノベイター転生   作:伊つき

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中々OOP下に手が付けられないorz
OOI読んでスルー大好きになりました。なんかなんでもあげたくなる可愛さがある。
おじいちゃんがティエレン(全領域対応型)でもアヘッドでもなんでも買ってあげよう。


事実を求め、繋ぎ合わせれば、そこに真実がある

本拠に帰ってきた。

ただ行きとは違って新たな人物を連れて。

絹江・クロスロード、彼女を俺達の本拠へと半ば無理矢理招待した。

飛行艇を収容し、脳量子波を遮断する地下施設となっている本拠の廊下を絹江は不安げに見渡しながら歩いている。

やがて、とある場所へと繋がる扉の前で止まる。

 

「あ、あの…ここは…?」

「俺達の……まあ、基地のようなものです」

「基地?この先に何があるんですか?」

「その前に、通信機器は全て切っていますよね?」

「え?えぇ…まあ、言われた通りに」

「結構。ではご案内します」

 

万が一のために通信機器は道中シャットアウトしてもらった。

沙慈やJNN報道局にはその時連絡を入れてもらうことにし、沙慈には出張で暫く帰れないと。

報道局にも手掛かりを掴んで追跡取材など大体同様のことを伝えて連絡手段を絶った。

こっちはそれを確認済みでレナが他に隠してないかも調べたが白という結果に落ち着き、ここまで案内してきたに至る。

 

「絹江・クロスロードさん」

「は、はい…」

「これから貴女にこれを見せる理由はまず信用を得るためだということをご理解の上、目にしてください」

「わ、分かりました……?」

 

あんま理解してないな。

と、気付きつつ扉を開く。

その先にあるのはMSの格納庫だ。

絹江の目にも黒を基調とした2機のMSが目に焼き付けられる。

機体のスタイリッシュさと世界に知らしめられた姿から嫌でも理解させられる―――ガンダムだ。

 

「これは……ガンダムっ!?」

「えぇ」

 

思わず乗り出し、可能な限りガンダムに迫る絹江。

あれ?そういえば深雪のやつどこいった?

あ、いつの間にか整備の方に行ってやがる。

仕事押し付けやがったな。

まあ元々今回のことは俺から進言した事だが。

 

そんなことはどうでもいい。

絹江は我に返って俺に振り返った。

この後言いそうなことは分かる。

 

「まさかソレスタルビーイング…っ!」

「違います」

 

即答してしまった。

絹江が困惑気味にえ…?と顔を顰める。

つい反射的に言葉が出た。

仕方ない、この前まで敵だったし。

あいつら事情知らないからって全力でぶっ殺しに来たのは忘れてない。

なので断固否定する。

 

「ソレスタルビーイングではありません。また、イオリアの提唱に従う者でもなく……新型のガンダムとも関わりはありません」

「ど、どういうこと…?まさか新勢力?」

「まあ。そんなところですね」

 

あながち間違ってない。

とりあえず絹江を落ち着かせ、話をできる状態にしなければならない。

レナのやつ、楽しそうにサハクエル弄りやがって。

口下手だからここからの役割は任せようと思ってたのに。

まあ無いものねだりしても仕方ない。

まずは俺達が何者なのかを説明するとしよう。

 

「俺――コホン。私達はガンダムを有していますが、これといった組織ではありません。寧ろ独立していて、ソレスタルビーイングと関係がある訳でもありません」

「で、ですがガンダムを…。彼等から技術を奪えたのですか?」

「いえ、そういう訳では。そうですね…まず私とあそこにいる妹が我々の行動の根幹を成しているのですが敢えて我々を説明するとすればそれは―――イノベイド、と」

「イノベイド?」

 

一瞬首を傾げる絹江だが、聞いたことのある言葉にハッとする。

そう、リニアトレイン公社の会長別荘で俺が口にした言葉だ。

 

「私と妹はイオリア・シュヘンベルグの作り出した量子コンピューター『ヴェーダ』によって作られた人工生命体です。そして、その名称がイノベイド……その前に『ヴェーダ』から説明しましょう」

「量子コンピューター『ヴェーダ』?人工生命体、イノベイド……っ?それってまさかイオリアの…!知っているのですか!?教えて頂けるのですか!」

 

おぉ…勢いが凄いな。

まぁ無理もないが。

それにしても絹江の美貌が切迫してくるのは少し心臓に悪い―――などと考えていたら凄く鋭い視線を感じたので今のは無かったことにする。

 

「えぇ。先程言った通り、私はイオリアの計画を完全に把握しています。ですがお教えするには条件があります」

「条件…?」

「はい。絶対に情報を漏らさないこと。メモやボイスレコーダーは使用しないでください。そして、俺の話を最後まで聞いて―――その後に決断でいいです。暫くはうちで隠れていてください」

「……っ、そんな……」

 

絹江は頭の回転が早い。

俺の言葉の意味も理解し、だが、ジャーナリストとしての欲求と葛藤しているのだろう。

知り過ぎれば処理される。

そんな前世なら非日常的なところで起きそうなことがイオリアやソレスタルビーイングのことを知れば起こってしまう。

 

──絹江はちゃんとそれを理解して、レイの優しい想いにも少しは気付いていた。ただ、彼女はジャーナリスト。それもラグナまで追いかける程に質の悪いジャーナリストだ。根っこからの性格が葛藤を生む。───

 

「少しだけ、考えさせてください……」

「分かりました」

 

一人の方がいいだろうと思って立ち去ろうとしたが、絹江は一言だけ尋ねてきた。

 

「あの……このままあの機体を、ガンダムを見学していてもいいですか?」

「……構いませんよ」

「ありがとうございます」

 

さぁ、ここからが勝負だ。

絹江は真剣な瞳でガンダムを見つめる。

俺はそんな彼女を背に席を外した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暫くして覚悟を決めた絹江がレオに連れられてミーティングルームにやって来る。

俺はレナやデルと今後のことについて話し合っていた。

デルがいるのは新武装などの相談をしていたから。

絹江を案内してきたのがレオなのはあいつが一番暇してたからだが、レオにはこの後任していることがあるので退室。

レナとデルは2人で話し合い、俺は絹江に尋ねた。

 

「答え。出ましたか?」

「はい」

 

俯いていた絹江が真剣な瞳で顔を上げる。

 

「父がよく言っていました。事実を求め、繋ぎ合わせれば、そこに真実がある……と。私は報道屋としてではなく、私個人としてイオリアの全貌を知りたいです。お願いします!私に全て教えてください!」

「……分かりました」

「本当ですか!?」

「えぇ、もちろん」

 

ただ真実だけを求めることにした絹江。

俺は承諾し、絹江・クロスロードに全てを話した。

二百年近く前。

恒久和平と人類の進化を夢見た男がいた。

 

「それがイオリア・シュヘンベルグ……」

「その通り」

 

イオリアは優秀な科学者であり、自身の夢が『実現可能』であることを理解していた。

そして、それには途方もない時間が掛かることも。

不安要素は愚かな人類夢を実現する前に滅んでしまう可能性だけ。

イオリアは、同じ志を持った仲間を集め、夢の実現を確実なものとするために一つのプロジェクトを立ち上げた。

その根幹を成すイオリア達の意思を受け継ぐ存在―――それが量子コンピューター『ヴェーダ』。

 

『知識』を意味する名を持つ量子型演算処理システム『ヴェーダ』は、巨大なコンピューターでもあり、世界をくまなく覆い尽くすネットワークで構成されている。

生物でない『ヴェーダ』は永遠に稼働し、永遠にイオリア達の夢を実現するために働く。

ただ与えられた目的を実現に移すためだけにひたすら黙々と稼働し続ける。

 

だが、『ヴェーダ』は『知性体』そのものでも人間ではない。

人間を理解することは殆どできない所詮は機械だ。

だからこそ作られたのが人工生命体イノベイド。

人間の遺伝子をベースに作り上げられた人造人間で、彼らは人間社会の中で、人間として暮らし、量子通信を使って、『ヴェーダ』に『人間とは何か?』という情報をアップし続ける存在。

さらに彼らは来るべき革新的に進化した人類『イノベイター』を模した力を持ち、イノベイターの模造品を意味する『イノベイド』と名付けられた。

ちなみに提供された遺伝子はイオリアの仲間の科学者達。

 

イノベイドは二種類に分かれ、人間社会に溶け込む情報タイプと生まれた時から自身がイノベイドだと自覚していてMSの操縦能力や戦闘能力に長けたマイスタータイプがいる。

情報タイプの一部には『ヴェーダ』から新たな使命を貰い、自身が人間でないことを自覚する者もいる。

 

これらイノベイドと『ヴェーダ』、その『ヴェーダ』自身も計画の重要な要素と見ている機動兵器ガンダム、そして、ガンダムを使って紛争根絶のため武力介入をする施設武装組織ソレスタルビーイングによってイオリアの計画は進められている。

世界を一つに纏めるまでが計画の第一段階、紛争を根絶し、世界が平和になるまででまだ半分。

人類そのものが進化し、宇宙への進出を進め、『来るべき対話』を解決してやっと計画は完遂される。

ここまで話した絹江は主に驚愕で様々なリアクションをした後、顔を顰めた。

 

「『来るべき対話』……とは?」

「戦いを捨て、宇宙に進出した人類が異性体とも真の相互理解を求めてゆくことです」

「なっ…!?イオリアは人類が宇宙に進出した後のことも考えて!?」

 

絹江が明らかに動揺する。

恐らくイオリアの思考の深さに畏怖すら感じているのだろう。

ん?なんか視線を感じるな。

絹江の目を盗んで振り返るとデルと目が合った。

おいおい、まさかバレたか?

確かに言葉は借りたが7年後の話だぞ。

と思ってたら目を逸らした。

偶然って怖いな。

とりあえずイオリアの計画については話し終えた。

あと話さなければならない事は一つ、話しても話さなくてもいいことが一つだ。

 

「ガンダムの動力機関…そして、もう一つまだ話してないことはありますがイオリア・シュヘンベルグの計画の全貌はこれで全てです。クロスロードさん……いや、絹江・クロスロード」

「……」

 

絹江が息を呑むのが分かる。

レナとデルは話し合う振りをしてこちらの様子を伺っている。

レナが随時チェックしてるから大丈夫だろうがボイスレコーダーや通信機器を隠していたら裏切り行為として処理しなければならない。

俺は警戒せず絹江が口を開くのを待つ。

まだ思考の海に身を投げ出しているところだろう。

時間はあまりないが暫くは待つさ。

 

「……これが、真実」

 

暫くして絹江が呟く。

メモを取ることはできない。

頭の中で整理しては混乱してを繰り返した後の呟きだ。

 

「あの、ラグナ・ハーヴェイは?」

「ソレスタルビーイングの活動を監視する者達……監視者というのがいて、その中の一人だったがまた違う監視者アレハンドロ・コーナーと共に組織を裏切った者だ」

「裏切り者!?」

「さらに合同軍事演習の時の新型のガンダム……あれを作り出したのはアレハンドロとラグナ。そして、奴らは同タイプの機体を大量に生産することが出来る」

「ガンダムが……大量生産……っ」

 

自分が何処に首を突っ込もうとしたのか理解したのだろう。

絹江の表情が暗くなる。

そして、ふと俺の方を見た。

 

「何故私にそこまで教えて頂けるのですか…?それに、貴方はソレスタルビーイングの組織の一員ではないと言ったはず…なのに何故そこまで知って―――」

「それについては説明する。イノベイドの事教えましたよね?」

「え?あ、はい…」

 

言葉を遮られ、さらには即興で叩き込まれた情報の中からなんとか頷く絹江。

目線でレナを見遣るとデータを移した端末を持って近寄ってきた。

俺と絹江の間にある円卓にレナが端末を置く。

 

「貴女は…」

「レナ・デスペア。妹です。まずは一気にややこしい説明しちゃってごめんなさい」

「い、いえ…」

 

律儀に頭下げるのな。

絹江も戸惑いながら頭を軽く下げる。

顔を上げるとレナは会釈して端末を立ち上げた。

そこには塩基配列パターン0000についての情報が一部だけ記されている。

 

「私達はマイスタータイプのイノベイド。でも他のイノベイドとは違って特別な存在なんです」

「特別な存在…?」

「はい。塩基配列パターン0000、異世界からこの世界にイノベイボディを用いてやって来た存在です」

「え?はい?異世界……?」

 

ははっ、混乱してーら。

と、内心少し笑いつつ様子を見る。

いきなり異世界だのファンタジーみたいなことを言われても困惑するのは当たり前だろう。

だが、イノベイドについて既に知っている絹江は端末の情報に目を通して理解した。

そして、目を見開く。

 

「そんな……これって……っ」

 

衝撃を受けるのも無理はない。

(ワン)兄妹と一緒だ。

自分も生きる世界や悲劇が別世界では物語として人々の娯楽になってるなんて知りたくもなかっただろう。

必死に生きている彼らがこちらからすれば物語の登場人物にしか過ぎない。

そのことについても端末に記しておいた。

もちろん全ての転生者がこの世界が物語になってるとは限らない。

だが、俺達は――俺は物語としてのガンダム00を見てきたから未来を知っている。

あくまで本筋だが、これで説明できる。

 

「俺達についてはそこに書いてある通り。そして、俺達が……俺が貴女にイオリアの計画も俺達のことも全て話したのは本来なら貴女がラグナの取材で死んでいたからです」

「なっ…!?」

「ラグナを訪ね、取材が空振りかと思われた時……貴女はラグナとの面会を済ませた男と出会い、知ってはいけない事を知って始末される」

 

まあここで教えたことなんですけどね、と付け足す。

絹江はそこまで聞くと目を泳がせた。

 

「な、なんて言ったらいいのか……」

「礼は要らない。ただ、生きてくれ」

「……っ」

 

絹江の蒼く澄んだ目が揺れる。

俺の願いは彼女にきちんと伝わった。

まだ混乱は多いだろうが仕方ない。

 

「事が済むまではここで安全に居てください」

「で、でも!こんなことなら…沙慈にはもっと連絡を取っておけば…」

「後から対策します」

「事が済むまでって…何をする気なの?」

「悲劇を、一つでも多く減らす」

「……っ!」

 

全て知っている。

起こる悲劇すら、全て。

この世界の今を生きているから、目の前で起こっているから。

以前のように原作通りで満足はできない。

いや、前はそれで満足しようと努力したがそんな努力はクソ喰らえだ。

決意を胸にする俺の元にレナが再び寄ってきた。

 

「お兄ちゃん。レオから連絡が…」

「わかった」

 

レオの名に通りかかったデルも反応する。

イオリアの計画について語っていたらすっかり時間が経ってしまった。

そろそろトリニティのミッション開始時間だ。

ちなみに本来王留美(ワン・リューミン)が私欲のためにトリニティに接触したところを、俺の進言で紅龍(ホンロン)が接触している。

 

「レオからの映像……流す?」

 

すぐ近くに絹江がいることを気にしつつレナが俺に尋ねてくる。

俺は承諾の意味で頷き、レナは確認するとミーティングルームの大型モニターにレオからの映像を流し始めた。

同室にいるデルも腕を組みながら注目した。

映し出されるのはガンダムスローネ3機を圧倒する10機の編隊――擬似太陽炉を積んだMS(モビルスーツ)

 

GN-X、通称ジンクス。

アレハンドロとラグナ、ソレスタルビーイングの裏切り者が国連軍に横流しした機体。

そして、まだ世間には公表されていないジンクスはスローネを人革連 広州方面軍駐屯基地から退けた。

人革連のジンクス…数からしても間違いなく『頂武』ジンクス部隊だ。

 

「お兄ちゃん…」

「……」

「なんなの、これ…」

「擬似太陽炉搭載型MS(モビルスーツ)…」

 

かつては俺の所属だけにレナが俺を見つめる。

始めて見る機体が新型のガンダムを圧倒する姿を見て、絹江は衝撃を受けていた。

既に擬似太陽炉の存在を知っている上に俺達と共にいるデルは忌々しそうに呟いた。

 

「あれは…新型のガンダム?あれほど世界を脅かしたあのMS(モビルスーツ)を…!」

「絹江・クロスロード。これが、この機体があんたが首を突っ込もうとした奴らが作ったものだ」

「……っ。じゃあ、あれはラグナ・ハーヴェイが…でもなんで人革連が…」

「国連軍。世界がガンダムを有して一つになった」

 

これからはガンダム同士の戦いになる。

そう付け足す。

俺とレナはいずれ戦うことになるジンクスを睨む。

絹江を保護した今、次にすべきことは既に決まっている。

俺はスミルノフ中佐と思われるジンクスの制止さえ押し退けて執拗にガンダムスローネを追うジンクスを見つめながら、計画を次に進めた。




絹江の話は随分とグタグタしてしまった気がしますが、これから戦う予定です。
ほんとジンクス出てからの終盤が熱いですよね。
ちなみに一部流用を使いましたが文を少し改変してます。
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