息抜きで書いたイノベイター転生   作:伊つき

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正義の刃

10分間。

その短い時間でレナは健闘した。

ブラックサダルスードは多大な損害を受けたものの敵を退けることができた。

その代償としてレナは高熱を発してしまったが。

 

「レナ…」

「……」

 

今は呼吸も落ち着いて眠りについているレナ。

子供達が瓦礫の中から応急品を探り出し、処置したおかげで熱も下がってきてはいる。

後は安静にしていれば…。

 

「なぁ、ここ。いつまで安泰なんだ?次の襲撃はあるのか?」

「それは…」

 

恐らく大体察しがついてるであろう質問が投げ掛けられる。

他の子供達も不安そうに俺に視線を集める中、どう答えていいのか悩む。

それが現時点で最も問題点となっているからだ。

ここが安全なのかどうかと聞かれると既に一度襲撃を受けたこと、特定されていることから胸を張って安全とは言えない。

ただここまで徹底的に叩かれると放置される可能性もなくはない。

 

「それに賭ける程の余裕も…ない、か」

 

レナを見遣り、溜息をつく。

攻めてきたという少数部隊がどういう集団だったのかは分からない。

敵について知ってるのはレナだけだと子供達も口を揃えて言った。

情報が枯渇している今、打てる手は絶望的な程少ない。

 

「敵が国連軍でないにしろ傭兵でもない限り、ここは一度ガサ入れされる筈だ。そう長くはいれない」

「そんな…」

 

レナの事を最も真剣に診てくれていた女の子が落胆を漏らす。

当然俺が来た時より前に子供達はここで暮らしていた。

『先生』であるレナと日々を過ごし、思い入れのある場所なんだろう。

そこを離れるのはやはり辛いようだ。

 

「……デルに迎えを寄越す。宇宙(そら)へ行こう」

「でも、ガンダムは…」

「サハクエルとプルトーネ。これ以外は置いていく」

 

流石に全機持っていくのは不可能だ。

時間が足りない。

病人も居るんだ、仕方ない。

 

「ところで、本当に誰も敵の情報は持ってないのか?」

『……』

 

何度目か知らないが何度でも質問する。

少しでも手掛かりが欲しいからな。

だが、揃いも揃ってみんな首を横に振るう。

思い出すこともないか…。

仇討ちをしたい訳じゃない。

それこそレナの嫌う奪い合いの連鎖だ。

ただ、実質一人でトリニティを全滅させる程の存在を放ってはおけない。

そいつは間違いなく俺達にとって脅威だ。

 

「なんでもいい。相手の機体について気付いたことでも、少しでも拾った会話でも、レナが言ってたことでも…なんでもだ。もしかしたら手掛かりになるかもしれない」

「あっ…」

 

整備士や様々な観点で尋ねてみるとレナを介抱する女の子が声を漏らす。

 

「なんだ?何か思い出したか」

「う、うん。大したことじゃないかもしれないけど…」

「それでもいいさ」

「わかった…。先生が、呟いたの」

 

――私と似た何かとそれに混じる不快なものを感じる、と。

 

恐らく脳量子波で感じたものだろう。

施設の何処からか漏れたのかもしれない。

襲撃で半壊状態だったからな。

脳量子波遮断施設も役割を放棄するのは当たり前だ。

私と似た何か、か。

 

真っ先に思いつくのはやはりまず同種(イノベイド)

イノベイドが襲撃してきたのか?何のために?

リボンズの差し金か…それでも数が少ない。

ブリングとかか?いや、例えマイスタータイプのイノベイドでもトリニティ3人をたった一人で圧倒できるとは思えない。

一体誰が…。

 

「私と似た何か。不快なもの…か。ん?待てよ…」

 

何か既視感があるな。

俺も以前似たような感想を抱いたことがあった。

あれは…いつだったか…。

そうだ。

国際テロネットワークの多発同時テロの時、まだ人革連軍に所属していた俺はテロ襲撃予測地点での調査を軍の指示で行った。

その帰り、俺はバイクでとある奴と出会い――その時同じ感想を抱いた。

 

「あ…っ。ま、まさか……まさか…っ!」

 

繋がった。

4機の編隊も辻褄が合う。

そうか、アイツが…。

 

「アイツがやったのか…!クソ!!」

「あ、おい…!どこ行くんだよ!」

「お前達は先に軌道エレベーターに向かってろ。俺も後で追う!」

「はぁ?」

 

少年に指示を残し、俺は一人格納庫に向かう。

確か1機まだ健在な機体があった筈だ。

修復の完了していないサハクエルとプルトーネ。

損傷したサダルスード。

最後に残された正義の女神が。

 

「そうか、アイツが…!アイツが!」

『レイ。レイ』

「黒HARO。レナに付いてやれ!」

『了解。了解』

 

格納庫に残っていた黒HAROは俺が廊下を指差すと即座にレナの自室へと跳ねていった。

俺はそれに目もくれずパイロットスーツに身を包む。

ヘルメットを手に崩れかけている橋をなんとか渡ってガンダムの元までやって来た。

見上げるとボロボロの機体が並ぶ中、1機だけまだ瞳の光が消えていない機体がある。

その機体のコクピットに乗り込んだ。

 

「武装は…少ないな。だが、これだけあれば充分だ」

 

GNソードとGNライフルはいつか俺が投げたせいで枯渇している。

GNランチャー?そんな贅沢なものがある筈もない。

それでも奴をぶん殴るにはこれで充分だ。

 

『見つけた…。俺も、見つけたぞ刹那。そうさ。奴が……』

 

ハッチは壊れて開かないのでこじ開ける。

すると、広がる空にある四筋の雲の切れ目が俺に敵の居場所を教えていた。

編隊の中にいたアグリッサ。

AEUのMA(モビルアーマー)、さすれば向かう場所は必然と絞り込める。

 

『ブラックアストレア、出撃する!!』

 

半壊した格納庫から1機の機影が飛び出した。

向かうはAEU軍の施設。

必ず歪みを断ち切る、ガンダムと共に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

AEUの軍事施設。

合同軍事演習時の新型ガンダム3機の鹵獲作戦に成功した部隊が帰還し、持ち帰られた機体は即座に修復された。

格納庫に揃うガンダムを眺めてネルシェン・グッドマンはただ静かに目を細める。

 

「予備パーツまで揃えてあるとは……準備のいいことだ」

 

結局、手のひらで踊らされているだけ。

何者かは分からないが、世界を掌握しようとする何者かがネルシェンを利用している。

彼女の実力を見越して最も効果的な方法でガンダムと戦わせ、邪魔な者を排除しているようだ。

その黒幕もネルシェンにはナオヤの話を断片的に繋げて察しが付いている。

 

「いやー、また俺の階級上がっちゃうなー!まいったぜ、あはは!」

「流石ですわ、ナオヤ様!わ、(わたくし)も上がるでしょうか!?」

「そりゃそうさ。なんたってガンダムを鹵獲したんだからな!」

 

楽しそうに会話を弾ませる想い人。

彼がよく口ずさむ、イノベイター。

ナオヤ自身もイノベイターであり、そのイノベイターが何なのかにまでは至っていない。

だが、明らかに凡人類とは違う何か特別な存在。

そのイノベイターに統率者がいるのならば、あるいは――。

 

「ちょっと。あんたら、あたしを無視して話進めないでくれる?あの機体はあたしと兄々ズの機体なんだからっ!あんた達のじゃない!!」

「ほう…。活きのいい捕虜がいるな」

「……っ」

 

部屋の隅に縄で縛られていた紅髪の少女、ネーナ・トリニティ。

兄達を殺されたネーナはネルシェンをしきりに睨んでいた。

内心では今にも泣きそうなくらい悲しみに暮れているが、決して敵前では見せない。

そんな様子をネルシェンは嘲笑った。

 

「はっ、我慢も辛いだろう?泣き喚きたいのならば遠慮する必要はないぞ。無論、黙らせるがな」

「お前ぇぇええーー!」

「ドードー。落ち着いてくれよ、ネナちゃん…。ネルシェンもあんま刺激すんなって」

「ふん…」

 

ナオヤの仲介を経てネルシェンは鼻を鳴らして黙るが、ネーナはナオヤを睨む。

 

「あはは…嫌われちゃってるな。まあ仕方ないか。でもな、ネナちゃん。君のお兄さん達は悪い人達――って痛ぁっ!?」

「近寄んじゃないわよ、変態!」

「貴様!」

 

ネーナに寄り添おうと屈んだナオヤを近付いてきたのを好機と思ったネーナが噛み付き、ナオヤを傷付けられネルシェンは怒りで乗り出す。

初めて感情を乱すところを見せたネルシェンにネーナはしてやったと笑みを浮かべた。

 

「あら?大事な人だった?ごめーん、あたしにとってはミハ兄の仇だったからつい殺したくなっちゃった…!!」

「捕虜の分際で…!」

「まあまあ。俺は大丈夫だから、なっ?ネルシェン…痛てて…」

「チッ…」

 

一触即発の雰囲気を制止したナオヤによりネルシェンは掴みかかろうとしていたのを止め、奥で静かに怒りを燃やす。

シャルロットは険悪の雰囲気を不安そうにオロオロし、マインは……何故かずっと黙っている。

そんな時。

 

「よぉ!あんたらか?ガンダムを鹵獲したっていうAEUの軍人様は」

「何者だ!」

 

突如、格納庫に現れた濃髭が特徴の男。

赤いパイロットスーツに身を包む強面にネルシェンは思わず銃を抜き、構える。

ナオヤ達も驚き、気配を察知できなかったネルシェンは男を警戒していた。

 

男の名は――アリー・アル・サーシェス。

 

「俺は見ての通り、傭兵さ。ガンダムを鹵獲したって聞いて是非ともご挨拶に伺いたくてね」

「今は取り込み中だ。出て行け」

「お、おい。ネルシェン…。別にいいじゃねえか、見せるぐらい。……ん?こいつ、どこかで」

 

妙に緊迫感を放つネルシェンを宥めようとするナオヤだが、サーシェスの顔を見て怪訝そうに表情を顰める。

だが、気付くのが遅かった。

 

「あっ!お前確か悪役の――」

「まあそう言うなって、お嬢さん。()()()()だけだ」

 

刹那、銃声が響く。

場の空気が止まり、ナオヤとネルシェン、ネーナも思わず銃弾の先に視線を集めた。

そこには胸から一筋の鮮血を噴き出す金髪ロールの少女がいる。

 

「え…?」

「シャルロット!!」

「なっ…、貴様!」

 

突如たった一発の弾丸に命を奪われた金髪ロールの少女。

生の宿らない瞳で倒れる彼女を必死に抱き抱えるナオヤと、敵意が確定したサーシェスにネルシェンが銃口を向ける。

しかし、放たれた弾丸をサーシェスは予測していたのか、下に滑り込むように躱してネルシェンの懐へと侵入した。

 

「おらよっと!!」

「くっ…!」

 

下段から蹴りが迫るネルシェンだが、それを両腕を胸の前にクロスして防ぐ。

 

「おっ、やるじゃねえか嬢ちゃん。ならこいつはどうだい!!」

「ナオヤ…!」

「え?」

 

至近距離にまで詰めたサーシェスが向けた銃口の先はネルシェンではなく、無防備なナオヤ。

咄嗟の判断でネルシェンはナオヤとサーシェスの間に飛び込む。

 

「がはっ…!?」

「ネルシェン!」

「……っ!ナオ、ヤ……少し強引に、行くぞ…」

「うおっ!?」

 

背中を撃たれたネルシェン、彼女は苦痛に表情を歪めるも即座に次の行動を判断し、ナオヤを力尽くで抱える。

そして、銃弾で窓ガラスを撃ち破った。

 

「ハッ!逃がすかよ!」

「うぐっ…!?」

 

もう一発、腰に銃弾を受けるが足は止めない。

幾度も放たれた銃弾を疾走で避け、室内の窓から格納庫へと落ちるように飛び降りる。

当然着地の衝撃で足が痺れるが、上から追ってくる弾道があるため、ネルシェンはナオヤを抱えたまま鹵獲した機体のある格納庫を駆け続ける。

 

『チッ!逃げ足の早いこって…!』

『私達も追うわよ!』

『そこに縛られてる嬢ちゃんはいいのか?』

『そんなもの放っておきなさい!最優先はあの黒髪の女よ!』

『へへ、了解』

 

「ぐっ…!」

 

上からサーシェスと聞き覚えのある女の会話が聞こえ、ネルシェンは顔を顰める。

銃弾の弾道を避ける物陰に入ってようやくナオヤを降ろした。

 

「お、おい…ネルシェン、大丈夫か?」

「私は……っ、問題ない。それよりもここから逃げるのが先決だ…。行くぞ」

「い、行くってどこへ?」

「どれでもいい。MS(モビルスーツ)に乗り込む!」

「――ところがぎっちょん!!」

「ぐあ…っ!」

 

叫びと共に飛来した銃弾。

ネルシェンは足を貫かれ、体勢を崩す。

背後に目をやると格納庫に侵入し、銃を手に追ってくるサーシェスが映った。

 

「くっ…、ナオヤ!手前のジンクスに乗れ!」

「でも…」

「早く!!」

「わ、分かった…!」

 

尋常じゃないネルシェンの気迫にナオヤは言われるがままに頷き、目の前のアドヴァンスドジンクスから伸びるワイヤー掴む。

そして、コクピットへと乗り込んでいき、ネルシェンは足を引き摺りながらその奥へと向かう。

まだサーシェスは格納庫の入口付近。

試行錯誤すれば間に合うと踏んだ。

 

「居た!あそこよ、サーシェス…!」

「おうよ。逃がしはしねえぜ、嬢ちゃん!!」

「舐めるな…!」

「うおっ!?」

 

アドヴァンスドジンクスの背後の通路へ回ろうとした時、中央の十字にまで迫ったサーシェスがネルシェンを捉えた。

だが、物陰に飛び込み、銃を構えたネルシェンによりサーシェスの銃が的確に落とされる。

このくらいできなければ最優の狙撃手(スナイパー)を誇れはしない。

 

「なにやってんのよ!」

「悪ぃな。あの嬢ちゃん、中々やるぜ」

「知ってるわよ。そんなこと!だから、早く殺しなさい!!」

「……っ!」

 

そんな怒号が響く中、なんとかMS(モビルスーツ)の所まで辿り着いたネルシェン。

すぐさまワイヤーを降ろし、それを掴んで這い上がるように上昇していく。

 

「なっ…あいつ、MS(モビルスーツ)に…!」

「こりゃ一杯食わされたぜ」

「感心してる場合!?クソ!!」

『ふん…』

 

コクピットへ乗り込んだネルシェンは下で騒ぐ連中を目にやっと腰を落ち着かせる。

だが、休んでいる暇はない。

ほぼ確実にあの二人もMS(モビルスーツ)に搭乗するだろう。

 

『ネルシェン、大丈夫か!?』

『無論だ…。ハッチを破壊する。逃げるぞ、ナオヤ』

『で、でもマインとネナちゃんが…』

『我々の安全が最優先だ。出撃後、敵MS(モビルスーツ)と交戦し、奪還する』

『そういうことなら、了解!!』

『……』

 

誤魔化しが効き、了承したナオヤに内心安堵しつつ呆れる。

どうやらマインが裏切ったことに彼は気付いていない。

あのピンク髪の女は元からイノベイターとしてのナオヤを利用していただけであることをネルシェンは知っていた。

近い未来、イノベイターが世界の統率者となり、人類を導く時が来る。

それに勘づいたのか、マインはただ功績に惹かれてナオヤに付いていた時とは豹変し、今や自身の未来のために邪魔なネルシェンを排除しようと傭兵と組んで殺しにやって来た。

恐らく背後にはイノベイターの勢力が関わっている。

少なくともネルシェンはそう睨んでいた。

 

「ナオヤがイノベイターについて口外した事が原因か…」

『ん?何か言ったか?』

「いや、出撃だ。準備しろ」

 

ネルシェンは自身の乗った機体の端末に触れる。

機体名はガンダムスローネ アイン。

事前に渡されていた構築データを端末に入れ、システムを書き換えた。

通常、登録されたマイスターのバイオメトリクスがなければ起動しないMS(モビルスーツ)だが、誰かの差し金でクリアする。

 

『スローネ アイン。施設を脱出する』

『えー、アドヴァンスドジンクス?俺も出るぜ!』

 

装備を一通り確認。

コマ割りの効くGNハンドガンでハッチを破壊し、施設からスローネ アインとアドヴァンスドジンクスが飛び出した。

再供給されたGN粒子で空に浮遊し、全てのシステムを掌握する。

 

『これがガンダム…』

『おおお!やっぱガンダムはかっけぇな…!俺もそっちにしておけば良かったぜ!』

『機体性能はそちらの方が上だ。我慢しろ。それに…あまり余裕はなかった』

『了解。うんじゃ、マインとネナちゃんを助けようぜ』

『あぁ…』

 

意気込むナオヤに真実を伝えて傷付けることを躊躇ったネルシェンは視線を逸らす。

眼下を警戒するが、まだマインとサーシェスは出てこない。

恐らくシステムの改竄に手間取っているのだろう。

だが、その余裕も長くは続かない。

所要時間として1分もないだろう。

 

『それにしても…あの女に私の抹殺を差し向けたのならば何故私にもハッキングデータを渡した?』

 

ふと疑問が横切る。

黒幕の思考が読めない。

殺すつもりなのだとしたらガンダムを鹵獲した時点で捨てておけば良かった。

あの傭兵を寄越したように。

サーシェスの実力は生身ではネルシェンと大差がなかった。

 

AEU軍で肉弾戦の成績もトップレベルのネルシェンだが、やはり男女の差はデカい。

そのハンデを加えればサーシェスとは互角だった。

あの男には充分にネルシェンを殺せるだけの技量がある。

しかし、予めネルシェンにもガンダムを強奪できるよう仕向けられている。

では目的はなんなのか?

 

『まさか、あの傭兵と私の両方の手にガンダムを渡らせるため?その為にこんな茶番を用意したというのか…』

『ネルシェン!敵だ』

『来たか…!』

 

ナオヤの言う通り、アインのレーダーにも眼下の施設から稼働したMS(モビルスーツ)の反応が読み取れる。

動く前に施設ごと撃ち殺す方法も考えはしたが、ナオヤの要望を裏切ることになる。

ここは戦闘するしかない。

そう覚悟した時。

ネルシェンはアインのレーダーにもう1機の存在を捉えた。

 

『接近する機影だと?この速度は…』

『ん?なんだ、あれ』

 

ナオヤも気付き、振り返ると遠くの光が徐々にその姿を露わにする。

ネルシェンも見遣り、ハッキリと機体の全容が目に映ると驚愕した。

 

『あれは、ガンダムか!!』

『ハハッ!ガンダム頂いたぜ…!』

『くっ…!』

 

ガンダムの接近に気を取られる間もなく、サーシェスの駆るスローネ ツヴァイの粒子ビームを避ける。

ネルシェンはサーシェスの対応に追われ、現れたガンダムの狙いがナオヤであることに気付くが、阻まれた。

 

『ナオヤ…!』

『オーケー、あっちは俺に任せな!』

『違っ…』

『よそ見は命取りだぜ、嬢ちゃん!!』

『チッ!邪魔だ!』

 

GNバスターソードで突進してくるツヴァイをGNビームサーベルで受け止めるアイン。

サーシェスとネルシェンが衝突する中、ナオヤは接近する機影との対決にネルシェンの制止も聞こえず、挑もうとする。

一方、アドヴァンスドジンクスを標的に接近するブラックアストレアはGNビームサーベルの刃を生成し、振りかざす。

 

『――見つけたぞ』

『ん?』

 

アドヴァンスドジンクスとブラックアストレア。

双方の通信が繋がり、聞き取れた呟きにナオヤは首を傾げる。

そこに、叩き込むように相手の叫びが振り下ろされた。

 

『お前が歪みだ…!ナオヤ!!』

『なんだかよくわかんねえけど、来いよガンダム!』

 

衝突し、火花を散らすビームサーベル。

ナオヤと対峙するレイはGNバーニアで勢いに加速を掛けた。

 

『目標を蹂躙する…!』

 

強い気迫のこもった声が響く同時。

アドヴァンスドGNビームライフルが切断される。


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