息抜きで書いたイノベイター転生   作:伊つき

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活動報告にちょっとした質問(アンケート?)用意しました。
任意でお答えください。
もしかするといつか役に立つかもしれない内容です。


カタロン掃討作戦(前)

主に作戦を立てる時などに使う指揮官室で、異例の昇格式が行われていた。

イノベイターやライセンスなどの権利のない者なら本来入れない艦内のワンルームで俺やネルシェン、マネキン大佐が見守る中、通信の繋がったモニターに映るホーマー・カタギリ最高司令官の前にはソーマが直立不動で緊張しながらたまに不安なのか俺をチラチラと目線だけを動かして見遣る。

部屋の隅で腕を組んで目を瞑っているブシドーもホーマー・カタギリとの通信が繋がると片目を開けた。

ちなみにアーバ・リント少佐もいるが触れないでいいと思ったから割愛する。

 

『ピーリス中尉。イノベイターであられるデスペア大尉の危機をよくぞ救ってくれた。私からも礼を言おう』

「は、はっ…!」

 

ソーマが緊張しながらも応える。

なんと言っても今日の主役だ、震えるのも仕方ない。

……が、それにしてもイノベイターであられる、ね。

最高司令官殿にも敬われる俺ってなんて特別なんだろう。なんてな。

 

『此度の功績を讃え、ピーリス中尉を大尉の階級へと昇格とす。精進したまえ』

「えっ?」

 

内情を詳しく知らされてなかったソーマは昇格を言い渡されて戸惑う。

数秒の間で脳内整理して取り繕うことはできたが、今度は納得がいかないようだ。

 

「で、ですが司令官……私が仕留めたのは1機だけで、大したことは……」

『なに。イノベイター殿を守りきったことに意味があるのだよ。誇りに思いなさい、ピーリス()()

「そんな……っ。デ、デスペア大尉」

 

迷ったソーマが視線を泳がせて最終的に俺に落ち着く。

助けを求められても、な。

わざわざ俺から取り止めてくださいって言うのも筋違いだろ。

それよりもホーマー・カタギリが遂に俺の名前すら呼ばなくなった方が気になるんだが。

そんな神格化する必要もないだろうに……。

 

「ピーリス大尉。ここは素直に受け取りなさい。貴女の功績ですよ」

「リ、リント少佐。しかし……」

 

俺が肩を竦めている間にリント少佐が見兼ねてソーマに声を掛けた。

だが、賞賛されて、逆に複雑な気持ちになったのか。

言葉が詰まり、その様子を見てリント少佐も顔を顰める。

 

「それともなんですか?階級に気に食わない点でも?」

「……っ!い、いえ!そういうわけでは……っ!」

「やめろ。リント少佐!」

 

思わぬ誤解を生みそうになって必死に否定するソーマにマネキン大佐が助太刀してくれる。

まったく、あの男は油断も隙もないな。

マネキン大佐の介入で一歩退いたが、未だに悪趣味な笑みを含んでいた。

 

「やれやれ……」

 

先が思いやられる。

実は今回招集を受けたのは何もソーマの昇格だけではない。

それだけの話なら俺はともかくネルシェンとブシドーは必要ないからな。

 

「それで私は一体なぜ呼び出された?」

「グッドマン大尉。カタギリ司令に対して口の利き方を改めろ」

「……失礼しました、大佐」

 

タイミングをよくネルシェンが画面の向こうにいるカタギリ司令に尋ねる。

最高司令官という肩書きの前でも物怖じげなく普段通りの対応なのはさすがに内心冷や冷やしたが……マネキン大佐がフォローしてくれた。

というか大佐には畏まるのって普通逆じゃないか?

 

『マネキン大佐、問題ない。グッドマン大尉については大目に見ている』

「はっ」

「……あの男か、余計な真似を」

 

カタギリ司令の寛大さに救われたネルシェンが密かに悪態をつく。

恐らく准将による日頃の賜物だろうな。

身内だけあってネルシェンのことをよく分かっている。

その上何かと世話を焼いたり、尻拭いをしてくれるのならばそれ程悪い関係ではない筈だ。

少なくとも5年前以降は。

 

「なんだ。デスペア」

「別に何も言ってないだろ」

 

察しがいいようでネルシェンが俺を睨む。

無意識に視線を送りすぎたかもしれない。

まったく、本当に脳量子波の使えないただの人間なのか疑いたくなるほど鋭いな。

 

『貴官らに集まって貰ったのは他でもない。貴官らに話があるからだ』

「デスペア大尉、グッドマン大尉、ピーリス大尉にミスター・ブシドーも含めてでしょうか?」

『その通り』

 

マネキン大佐の疑問をカタギリ司令が肯定する。

ブシドーも名前を呼ばれて少し眉が反応した。

俺達4人……共通するのはソーマが昇格したので階級が同じってことだけどそれならジニンなど他にもいる。

だが、ライセンスという共通点を持つのは俺とネルシェンとブシドーのみだ。

ソーマはライセンスを所持していない。

この4人に一体どんな話があるのやら……。

カタギリ司令は手元の資料に一瞬目を通して口を開く。

 

『ライセンス持ちの三名。そして、ピーリス大尉には特別小隊としてこれからの作戦に参加してもらう。隊長はピーリス大尉だ』

「わ、私が……?」

「なに?」

「なんとっ!?」

 

カタギリ司令の口からブシドーですら取り出した飛んでもない命令が飛び出した。

俺達4人で編隊……?

しかもソーマが隊長って、まさかその為に昇格させたのか。

いやいや、何を考えてるんだ。

 

「司令。お言葉ながら突然の事で何を言ってるのか……」

『ふむ。言った通りだ』

 

挙手したが一蹴された。

続けて困惑気味なソーマが発言する。

 

「失礼ながら、私からも…!」

『発言を許可しよう。言ってみたまえ、ピーリス大尉』

「お、お言葉ですが私には荷が重過ぎるかと……。昇格したとはいえ、キャリアは彼らに劣ります」

『その辺りは問題ない。ピーリス大尉も充分な実績を積んでいる。指揮を取るには適任だ』

「し、しかし―――!」

「私からも言わせてもらおう」

 

俺達の指揮など無理だと異議を唱えるソーマだがこれも受け流される。

それでも納得がいかずに顔を顰めるが、お構い無しに割り込むブシドーに遮られた。

顎まで仮面で覆い、この場で最も分け隔つ羽織に身を包んだブシドー。

ここまで黙って下がっていたが、ソーマよりも前に出る。

 

「司令。私は断固辞退させていただく」

「なっ!?ミスター・ブシドー!?」

 

マネキン大佐が思わず驚愕する。

普段の高圧的な態度とは違い、ブシドーの場合は司令に最小限の敬意を払って断っている。

しかし、カタギリ司令は首を横に振った。

 

『悪いが、認められん。決定事項だ』

「なんと!?しかし、私には独自行動の免許を司令自ら与えてもらっている筈。つまりはワンマンアーミー……たった1人の軍隊。故に言わせてもらおう、私に部隊など不要であると!」

『分かっている。これまで通り、ライセンスの使用は許可する。だが、特別小隊への転属が条件だ』

「ぐっ……それではいざと言う時にガンダムに……っ!」

『これ以上は聞かん。グッドマン大尉も同じだ』

「何だと?」

 

ブシドーの抵抗もあえなく撃沈し、今度はネルシェンに矛先が及ぶ。

それはそれは見るも恐ろしい物凄い形相だ。

 

「なぜ私まで巻き込まれねばならん……」

『聞く耳持たぬと言ったはずだ。以上を持って解散とする』

『はっ!』

「……」

 

あまりにも一方的な命令を残すとカタギリ司令は通信を切り、ミーティングルームは嵐の去ったあとのような状態で取り残された。

形の上では返礼を返したが、相変わらずネルシェンだけは仏頂面を貫き通し、ソーマは未だに困惑している。

これはこれからも苦労しそうだ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

招集の後、特に任務もないので甲鈑に降りる。

ガンダムも完全にロストしてしまったからな。

暇になるのも仕方ない。

 

「今頃正規軍が躍起になって探している頃か……。んっ?」

 

柵にもたれかかるとちょうど下の階の外廊下が視界の端に映った。

それだけならいつもの事だが、今日は見知った人物が端末を手に誰かと話していた。

通話しているのはソーマだ。

 

「―――!」

 

「あっ……」

 

ソーマが通話相手に何か言われたのか、俺の方に振り向く。

おいおい。

いくらなんでも目が良すぎるだろ大佐……。

 

 

結局俺もソーマの元まで降りて、通話に参加することになった。

相手はセルゲイ・スミルノフ大佐だ。

正規軍の軍服に身を包んで指揮官席に腰を下ろしている。

 

『デスペア中尉。まさか貴官が生きているとは……』

「ははは……。ご無沙汰してます……」

 

もはや苦笑いしかできない。

どう考えても俺に非がある100%過ぎる。

頭を抱える大佐は俺の知る中佐の目で少し力を込める。

 

『中尉。生きていたのなら報告ぐらいはしろ。君が死んだと聞いて悲しんだ者は何も私達だけではない』

「も、申し訳ありません……。あまり余裕がなかったもので」

『ふぅ。まあ事情は察するが、ピーリス大尉とはしっかりと話し合ったか?』

「勿論です、大佐。ご心配お掛けして申し訳ありませんでした」

「ソーマ……」

 

俺と大佐の通信にソーマも顔を覗かせる。

ソーマは、俺がいなくなってそしてまた突然現れて辛かったり困惑したりしたのだろう。

その度に大佐はソーマの心の支えになってくれたようだ。

鈍感を装ってる俺でもさすがに分かるほどには。

それにしてもソーマの昇格は既に聞いているようだな。

恐らくつい先程報告したのだろうが。

 

「それと大佐。デスペア大尉の階級は中尉でなく、大尉です」

『おおっと。これは失礼した。そうか、ようやく肩を並べたか……』

「……っ!はい!」

 

ソーマが嬉しそうに肯定する。

続いて大佐は優しい表情に戻って俺に目を向けた。

 

『貴官もうかうかしてられんな』

「えぇ、まぁ……」

 

ソーマの昇格は異例だったが、まあ確かに今まであった差が埋められたのは事実だ。

思えば俺とソーマの階級は元々少尉で同じだった。

俺が5年前の『デカブツ』こと【ガンダムヴァーチェ】を損傷させたことで昇格を果たした時から一つ階級が開くようになっていた。

要するに振り出しに戻ったってことだ。

 

『ところで、あれは元気かね?』

「……アンドレイ少尉の事ですか?任務を忠実に果たしていますが」

 

スミルノフ大佐が意味ありげな視線を俯かせ、問うてきたことにソーマが答える。

……よくあれ、だけで人物特定できたな。

俺は無理だった。

 

『私への当て付けだな……。あれは私を恨んでいる』

「えっ?」

 

突然の告白にソーマが困惑する。

まあ、実の息子を名前で呼ばず、この距離感を感じていた時から複雑な家庭だろうとは予想がついていた。

実際その通りで、ソーマも薄々察してはいたが、詳細な関係までには至らなかったようだ。

 

『私は軍人であっても、人の親ではなかったという事だ』

「大佐……」

 

スミルノフ大佐が過去を懺悔するように目を瞑る。

こういう時、心情を慮るべきなんだろうがソーマには難しいかもな。

仕方ない。

俺がフォローに回ろう。

 

「スミルノフ大佐――」

「大佐。あの件、お受けしようかと思います」

『あの件?』

「ソーマ?」

 

俺が言い切るより早くソーマは口を開いていた。

そして、何のことかは分からないがソーマなりの優しさを持った瞳でスミルノフ大佐を捉える。

何かしらの提案を飲み込んだと思われるソーマは大佐を想う故に大佐の心情を慮った。

まさかソーマがそんな行動に出るとは思わなかった……。

少なくとも5年前ではなかったことだ。

変わったな。

 

「大佐の、養子にさせて頂く件です」

「養子…?」

 

そんな話をしてたのか。

どうやらスミルノフ大佐と共に過ごした4年間。

俺が思っていたよりもソーマに良い意味で影響を与え、濃厚なものとなっているらしい。

 

『デスペア大尉は初耳か…。実はピーリス大尉を養子に迎えようかという話を以前から誘っていてね』

「そうでしたか」

『それにしてもピーリス大尉、本当かね?』

「はい…」

 

思わず真偽を疑う程に身を乗り出したスミルノフ大佐にソーマはしっかりと頷く。

 

「詳しい話はお会いした時に。では」

『あぁ』

 

スミルノフ大佐も承諾し、満足そうに通信を切る。

モニターが消えるとソーマは思うところがあるのか俯いた。

 

「どうした。本当は嫌だったのか?」

「いや……寧ろ私は幸せ者だ」

「だったらもっと喜べばいいだろうに」

「……」

 

少し、遠慮がちな笑みを浮かべてソーマは海に視線を落とす。

どうやらそう単純ではないらしい。

養子の件は正直驚いたが、もちろん悪い話じゃない。

寧ろソーマ自身が口にしたようにソーマも嬉しい話だ。

だが、今のソーマには思い詰めている面影が見える。

 

「……まあ人を殺してしまうことはあるさ。俺達は軍人で、今は戦争をしてるんだからな」

「デスペア大尉……っ」

「言い当てられてびっくりしたか?」

「……あぁ」

 

ソーマが思わず振り向き、目を見開いたので簡単に心が読めた。

俺が微笑み掛けるとソーマは静かに顎を引く。

やがて、何かに思い至ったのか俺を見る。

 

「デスペア大尉は……人を殺したことがあるのか?」

「もちろん。あるさ」

「そんな……っ」

 

言いかけて詰まらせる。

ついさっき言った俺の言葉がソーマの中で響いているようだ。

そう。

アロウズとカタロン、そしてソレスタルビーイング。

争いの中で人は死ぬ。

戦争をしてるんだから当たり前だ。

だが、俺はそれを当たり前にしたくない。

だから戦うんだ。

 

「でも、大尉も昔は……」

「あぁ。人革連軍時代は確かに誰も殺してない。だがそれは結果論だ。どこの国もがソレスタルビーイングを相手に戦争していたからこそ起きた偶然の産物に過ぎない」

 

ただの偶然というのは本当だ。

リボンズが5年前に俺を戦場に送り出した理由は俺をマイスタータイプとして成長させるためだ。

もし俺がもう少し早く生み出されていれば、恐らく送り込まれた戦場は太陽光発電紛争だっただろう。

まあリボンズもガンダムと戦わせるべく意図的に武力介入時を選んだのだろうが、その『もしも』は無くならない。

 

「俺が初めて殺したのはアロウズに転属してすぐだ。それこそ嫌という程断末魔を聞いてきた」

 

またしてもリボンズによってアロウズに送り込まれた時、俺には個人としての行動理念は殆どなかった。

そのせいか、自然と引き金を引き、命を奪っていく。

最初は毎晩夢の中でうなされたものだ。

 

「彼らにも帰りを待っている人がいるんじゃないかとか。彼らは俺が殺さなければどんな未来を辿っていたのだろうかとか。殺す度に考えた。そして、いつしか犠牲のない恒久和平の実現に執着するようになった。命を奪わずに恒久和平にする方法はあるんじゃないか……ってな」

「デスペア大尉……」

 

ソーマが俺に寄り添おうか迷った末に身を引いた。

その気遣いだけでやっぱりソーマは優しい娘に変わったんだなと実感させられる。

微笑ましい限りだ。

 

「命を奪わないで済む方法。そんなものは案外すぐ見つかった。当然だ、彼らと俺達とでは戦力差があり過ぎる。旧式のMS(モビルスーツ)しか持たない彼らではアロウズの擬似太陽炉搭載型最新鋭機には逆立ちしても敵わない」

「だから、カタロンのMSを無力化し、限りある資源を尽きさせる。それを続けているうちにカタロンは戦う力を失う……」

「そうだ。いつか彼らもモビルスーツの修理に手が負えなくなる。修理に必要な資源を半永久的に手に入れ続けることは中東に構えるカタロンには不可能だ」

 

だが、ソレスタルビーイングが現れた。

リボンズでさえ壊滅したと確信し、再来すると計画に支障が出ると危惧していた奴らが。

そして、案の定俺達の――俺の邪魔をする。

故に最優先すべきはソレスタルビーイングを再び壊滅させること。

それが終わればカタロンを追い込み、自然解体させればいい。

その道のりが、ガンダムの存在のせいで酷く遠い。

 

「まったく……。少し前までは気長にやらばいいと思ってたんだがな」

「ソレスタルビーイング……」

 

俺の漏らした徒労の一言からソーマが特定する。

ソレスタルビーイングと戦いながらカタロンとは命を散らさない戦いをする。

中々に厳しい話だ。

その証拠にソーマに殺させてしまった。

 

「まあ今はそう気に病むなよ。忘れろとは言わないが、俺達が立ち止まればさらに犠牲が増える」

「あぁ。私も、デスペア大尉を支えよう」

「ソーマ……」

 

5年前とは違い、変わった俺にも相変わらず付いてきてくれる。

それも心の底から慕って……。

本当に感謝しなきゃな。

 

「なあ、ソーマ。今度俺と―――」

 

MS(モビルスーツ)第1、第2小隊出撃。これより、カタロン掃討作戦を開始します』

 

「えっ……?」

「カタロン、掃討作戦……だと!?」

 

突如艦内アナウスで流れた情報に俺もソーマも勢いよく振り向く。

どういうことだ?

なんの指令も来てないぞ!

 

「まさか……っ!」

 

急いで端末を開く。

ちょうど今、伝達された。

上層部からカタロンの軍事基地を発見し、実行部隊である俺達に襲撃せよとの司令が降りたらしい。

そして、掃討作戦が決行された。

 

なんてことだ。

恐らく俺にはわざと遅れた情報を送ってきたんだろう。

今までの俺の行動を省みれば簡単に予想がつく。

クソ!

手の込んだことしやがって……!

 

「虐殺なんてさせてたまるか!!」

「デスペア大尉……!」

 

ソーマを置いて即座に格納庫へ向かう。

一秒でも早く辿り着くために息が上がろうと足を止めず、廊下を駆けた。

途中、何やら資料を運んでいた作業員が前に塞がる。

 

「退け!」

「う、うわああ!?」

「デスペア…大尉……っ!待って……!」

 

作業員を押し退け、さらに駆ける。

そして、最後のオート式扉を開け、MSが並ぶ格納庫に到達した。

いつの間にかソーマの荒い息遣いも聞こえなくなっているが気にしている暇はない。

俺のアヘッドに乗り込み、システムを起動した。

 

『カタパルトを開けろ!早く!!』

 

『は、はい……っ!』

 

突然通信で響いた怒号に格納庫の作業員が肩を跳ね上がらせながらカタパルトを動かす。

だが、それすらも焦れったい。

 

『もういい!総員離れろ!こじ開ける……!』

 

『りょ、了解!作業兵、離れろーーーー!!』

 

笛を吹く音が響き、作業兵がわらわらとカタパルト周辺から退散していく。

周辺に人がいなくなったのを確認して、俺はアヘッドのGNビームサブマシンガンを天井を向ける。

 

『ま、まさか……』

 

そのまさかだ。

迷わず引き金を引く。

すると、連射されと粒子ビームがMSを持ち上げる天井だけでなくエレベーターをも破壊し、格納庫に風を呼び込んだ。

 

『うわあああああああーーー!?』

 

瓦礫の飛び散る中、そのままアヘッドをカタパルトにまで浮上させる。

まあもちろんこんな乱暴なことをすればお叱りはくる。

 

『デスペア大尉!?何を―――』

『大尉待って―――!』

 

「特別小隊アヘッド。レイ・デスペア、出る!」

 

マネキン大佐の通信も一方的に切り、後からアヘッド・スマルトロンに乗り込んだソーマの声も無視する。

全てを振り払って、ベーリング級海上空母から飛び立った。

……アヘッド・サキガケとネルシェン機の反応は格納庫にはない。

 

『あいつら、先に……っ!』

 

ブシドーは掃討作戦に興味はないだろうが、ネルシェンは間違いなく任務を忠実にこなす。

それに今回の作戦内容はキルモードのオートマトンを用いた掃討。

そんなの許容できるわけがない!

 

『急げ!急げよ…!』

 

最大加速のアヘッドで先行部隊を追いかける。

一刻も争うこの時に、懐で俺の端末が振動した。

 

「なんだ!?こんな時に……!」

 

コクピット内で荒々しく端末を開く。

宛先はレナからだ。

内容は……掃討作戦が起きること、そしてこれから起こる悲劇について記されている。

 

「今更……っ!」

 

遅いんだよ。

もう既に作戦は始まり、先行部隊は遥か先を行ってる。

なんの為に危険なやり取りを交わしてると思ってるんだあいつは……!

未然に防ぎきれてないんじゃ意味が無い。

怒りに身を任せて端末は後ろに放り投げた。

そういやパイロットスーツを忘れたが、着込む時間すら惜しかった。

後は全力で作戦を止めるだけだ。

 

『頼む……!間に合ってくれ!!』

 

少し後方を飛翔するアヘッド・スマルトロンの反応を確認しつつ中東へと侵入した。




【解説】

レイ「人革時代に戦死扱いになったんだったら俺の階級少佐じゃね?」

リボンズ「いや、生きてるやんけワレ。てことでリヴァイヴ達に合わせるわ」

レイ「は?」

リント「我々は、政府直轄の独立治安維持部隊。連邦軍(や人革)の階級と同じにしてもらっては困りま――レイ「うるせえ(殴) 」えっ、酷くない?」

レイ「黙れ(殴」

リント「ぶったね!?2度もぶったね!親父にも打たれたことないのに……!!」

リボ「(⌒-⌒)」

すみませんでした。

【次回予告】
次回予告無くします。
理由としては内容が縛られてしまうからというのと予告の内容に合わしきれないからです。
じゃあ初めからするなよ!と思った方。

その通り。

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