息抜きで書いたイノベイター転生   作:伊つき

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約束、再び

俺とソーマを搭乗させた機体が高度を保ちつつ目的地へ飛行していく。

モスクワを発ってから約3時間。

フライト時間は4時間程だ。

あと一時間は余裕がある。

そんな中、個室の座席に腰掛ける俺は瞳の色を金色から通常のものに戻す。

 

「……ダメか」

 

さっきから『ヴェーダ』に接続して現場で何があったのか探っては見たが、俺達の母艦に起こったことに関しては何も発覚しなかった。

しかし、ベーリング級海上空母が航海しているペルシャ湾のほぼ全域で大規模な電波ジャミングが起きていることだけは分かった。

状況が把握出来ないのは恐らくそれが原因だ。

さらに監視衛生からの映像にはペルシャ湾を大きく包む擬似GN粒子の大量散布領域が見える。

巨大なジャミングフィールド―――いや、『ステルスフィールド』。

……その機能を持つモビルスーツはこの世に唯一のみ。

 

「スローネ……ドライ…。ネーナなのか?」

 

可能性は最も濃い。

ネーナ・トリニティ。

4年前では【ガンダムスローネ ドライ】のガンダムマイスターとして活動していた『チームトリニティ』の末っ子。

そして、俺やレナと共に行動し、トリニティはネーナを残してこの世を去った。

唯一残ったネーナは『フォーリンエンジェルス』の最後の戦いには参加しなかった。

 

だが、だからといってレナと一緒にいるとは限らない。

俺は4年間レナ達には会っていない。

必要以上の連絡は交わさない今の関係ではあいつらの現状は把握出来ない。

ただ、もしスローネ ドライに乗っているのがネーナなら、彼女は今実行部隊を妨害することでアロウズの邪魔をしていることになる。

……少なくともレナの行動と一致するところがある。

 

「誘い出されているのか……レナに」

 

憶測だが、的外れではない筈だ。

マネキン大佐からの返信がない。

さらにベーリング級海上空母の位置も分からないので本来は音信不通だ。

……幸い、俺の手元には仕組まれたように母艦の座標がある。

 

口外は禁じられているからカタギリ司令には伝えられなかったが。

相手がレナならリボンズにも伝えられない。

母艦の位置を把握しているため、母艦は人質に等しいが、レナなら命までは奪わない―――と考えるのは迂闊だ。

今のレナはサーシェスを殺そうとした奴だ。

何をしでかすか分からない。

 

「はぁ……」

 

思わず深い溜息が出た。

レナの目的が読めない、何を考えてるんだ……?

 

「レイ、珈琲を持ってきた」

「あ、あぁ。ありがとう……」

 

頭を悩ませているとソーマが黒い液体が注がれたカップを俺に渡してくれた。

空席だった隣の席にソーマは腰掛ける。

 

「どうかしたのか?」

「いや……調べては見たが、肝心なところは何も分からなかった」

「……そうか」

 

わかってる。

ソーマが聞きたいのはそっちじゃないってことはな。

 

「それよりもうすぐペルシャ湾に入る。着陸に備えておけよ」

「分かっている」

 

話を変えて誤魔化すとソーマも察して頷いてくれる。

ただ、彼女の頭は俺の肩へともたれかかってきた。

本心は話してくれなくても、触れ合うことは許してくれとでも想いが伝わるように……。

 

「……楽しかったな」

「……あぁ」

 

この四日間、二人で過ごした日々を思い浮かべる。

久々に戦いから身を離し、幸福だと感じることの出来る時間を過ごせた。

それも、俺もソーマも想いが通じ合っていたからだ。

謹慎期間に抱く感想ではないのは承知だが、二人で過ごした時間は確かに楽しかった。

自然と隣合う俺とソーマの手が重なる。

 

「ダメだと理解していても、何気なくレイと過ごす日々が………また欲しくなる……」

「駄目じゃないさ。言っただろ、ソーマは兵器じゃないって」

「あっ……」

 

どうもまだ負い目を感じてるソーマが思い出したように声を漏らす。

身を起こし、震える瞳で俺を捉えた。

俺はそんなソーマの頬を撫でる。

 

「レイ……っ」

「恒久和平が実現したら……俺と暮らそう。ずっと一緒にいよう」

「……一緒に、ずっと…っ」

 

指先からソーマが歓喜に震えるのを感じる。

頬を桜色に染め、口元には笑みを作っていた。

俺の手が頬から顎へと撫で移るとソーマは目線を上げて、熱っぽく俺を見つめる。

そして、これからの行為を待つように瞳を閉じた。

 

「ソーマ……」

「んっ……」

 

ソーマの紅い唇が誇張される。

そこへ、俺のものを近付け―――息が混じり合った時、個室の扉が開いた。

 

「失礼します。デスペア大尉、ピーリス大尉。まもなくペルシャ湾に…………あっ…」

 

「あー……」

「~~~~~~~~っ!?」

 

報告に来た兵士に目撃される。

結局触れることのなかった唇を離し、俺はなんとなく頬を掻き、ソーマは恥ずかしさで目を逸らしてしまった。

心なしか入室してきた彼も気まづそうだ。

うーん……意外と邪魔って入るものなんだなぁ…。

 

「し、失礼しました!」

「あぁ。悪かったな」

「………っ」

 

敬礼をして足早に退室してくれたが、それじゃあやり直そうかとはならない。

ソーマは未だに頬を火照りを治めようと外を眺めている。

耳の方はまだ赤いな。

 

「ほら、ソーマ。もう行ったぞ」

「あ、あぁ」

 

俺に声を掛けられるとソーマは今にも燃えそうな程紅潮した顔をこちらへ向ける。

無意識なのか、口は手の甲で覆い隠していた。

 

「思わぬ邪魔が入ったな」

「……もう少しだったというのに」

「ははは……まあ仕方ないさ」

 

本音を言うと俺も惜しかったと思う。

出来るなら仕切り直しをしたいくらいだが、さすがにそういう気分にはお互いなれない。

だが、さっきより身を寄せることでお互いに接吻の欲求を埋めた。

ふとソーマの視線が俺の左腕に映る。

具体的には謹慎中に俺とソーマがこっそり抜け出して手に入れた、ペアのブレスレットだ。

ソーマの腕にも同じものが輝いている。

 

「レイ」

「んっ。なんだ?」

「その……さっきの、話だが……」

「ずっと一緒に……ってやつか?」

「あ、あぁ」

 

照れを隠せず、ソーマは自身のブレスレットに触れて落ち着こうとする。

言いたいことは大体分かる。

だから、俺から代わりに言葉にしてやろう。

 

「大丈夫。このブレスレットに誓うよ」

「あっ……」

 

ソーマの手を取り、額を合わせる。

ブレスレットに掘られた言葉を口に、強く指を絡ませる。

俺の言葉を聞いたソーマは安堵と共に底知れない歓喜にまたも震える。

触れ合っている手から、額から互いの熱が把握出来た。

熱い想いが交わっている……。

 

たが、俺達の意識は突如、窓の外の景色に奪われた。

嫌でも視界に入った空模様に俺もソーマも目を見開き、振り向く。

 

―――空が赤く染まっていた。

 

「これは……」

「4年前の合同軍事演習で見たGN粒子の波!?」

 

ソーマが乗り出すのも無理はない。

過去、およそ10回の武力介入で世界を混沌に陥れた『新型』のガンダム。

【ガンダムスローネ】の出現により、あの時も人革連は大きな痛手を受けた。

合同軍事演習は失敗し、各地のファクトリーは制圧。

俺もスローネに一度は殺されかけた。

 

「うっ……ぐっ…!あぁ……っ!?」

「ソーマ?」

 

突然、ソーマが頭を抑えて苦しみ出す。

俺も予想打にしてなかったので思わず見遣ったが、ソーマは膝から崩れ落ちてしまった。

 

「なっ!?おい、大丈夫か!」

「はぁ……はぁ……っ!デスペア、()()……!!」

「―――っ!」

 

倒れる寸前でソーマを支えると、苦しそうに表情を歪めながらソーマが呟いた。

俺の名だが、階級が今とは違う。

人革連時代の中尉のままだ。

……そうか、ソーマにとってはあの時、一度俺を失っているのか。

俺は殺されかけたんじゃない。

あの時、一度『死んだ』んだ。

 

「ソーマ……大丈夫だ。俺は、生きてる。生きてるから……」

「嫌、嫌ぁ……行か、ないで………っ!」

「分かってる。ソーマを置いていったりしないさ。……俺はここにいる」

「デスペア、中尉……」

 

なるべく優しく声を掛け、白髪を梳かすように撫で続けると呼吸の荒れていたソーマは落ち着きを取り戻し始め、目の焦点も徐々に修正されていく。

辛い過去(トラウマ)を思い出したソーマはゆっくりと呼吸し、俺を瞳に捉えた。

 

「レ、レイ……」

「あぁ。俺だ。大丈夫、傍にいる」

「今……私、は……っ」

 

動揺で揺れるソーマの黄色(おうしょく)な瞳。

ソーマの頬に一筋の涙が伝う。

それを感じたのか、拭ってみてソーマは困惑する。

どうやら俺が思っていた以上に傷痕は深いようだ。

 

「ソーマ、ごめんな」

「えっ?」

 

突然謝罪を口にする俺にソーマはさらに困惑する。

だが、俺は構わず続けた。

 

「あの時、帰らなくて……悪かった、で済むとは思ってない。でも俺のせいでソーマがこんなにも苦しんでるのを見てられない」

「その件はもう……」

「ソーマが許しても、俺が許せない。大切なソーマに辛い目に合わせてしまったから」

「レイ……」

 

愛する彼女を哀しませてしまった。

心に大きな傷を残してしまった。

ソーマの優しさに甘えるわけにはいかない。

 

「本当に、ごめん……」

「………」

 

ソーマが黙る。

怒っているのか、哀しんでいるのか。

表情は伺えない。

 

「ソーマ?」

「……レイが居なくなって、私は辛かった」

「……っ!」

 

我慢を解いた告白に俺も息が詰まる。

だが、顔を上げたソーマは不敵な笑みを浮かべていた。

これは俺も予想外だ。

 

「ソ、ソーマ?」

「この広域に散布されたGN粒子はガンダムによるものだ。帰艦命令は恐らく、私達に増援を求めているからだろう」

「あ、あぁ。そうだな」

 

さすがに俺も気付いてることをソーマは言う。

本題は、そこからだった。

 

「この任務、私と生きて帰ること……それで貴官を許す」

「えっ?」

 

俺の鼻を突くように指されたソーマの指先に目をパチクリさせる。

というかソーマが怖い。

 

「いいな?」

「あ、あぁ……」

 

圧に負けてなんとなく頷く。

俺が承諾するとソーマは「よし」と、相槌を打った。

その表情は何処か満足そうで……とにかくソーマは納得したようだ。

 

なんとかソーマも落ち着き、約束?めいたものも交わした。

4年前は破ってしまった『生きて帰ること』。

それをソーマと達成することで彼女が過去を乗り越えられるなら俺は喜んで生を優先しようと思う。

当然、ソーマも生きていなければ達成されない。

だから、彼女は俺が守る。

 

そう決意した頃には機体の高度が下がっていくのを感じた。

アナウンスも入り、俺達の母艦であるベーリング級海上空母も視野に入る。

機体は車輪を展開し、滑走路に着陸する。

ただ……着陸する直前まで何故か艦の方は準備が為されていなかった。

まるで俺達が来るのを知らなかったかのように機体の光通信でやっと滑走路を空けてくれた。

まさか、な……。

 

「行くぞ」

「あぁ」

 

『────────────』

 

機体からソーマの手を引いて降り、艦内へと向かう。

上空には2機のガンダムがこちらを見下ろしているが、どうやら攻撃の意思はないようで微動打にしない。

GNステルスフィールドを展開する【ガンダムスローネ ドライ】と恐らくその護衛の役割を担う【ガンダムプルトーネ ブラック】だ。

まあプルトーネの方は俺が知ってるものより随分と重武装(ヘビーウェポン)だが。

母艦だけでなく、辺りの海面からも黒煙が上がっているところを見るに、戦闘は既に終了しているのか?

海に浮かぶアヘッドとジンクスIIIも目に映る。

 

「ガンダムの接触がないから着陸に移ったが……ほんとになんもしてこなかったな」

「ここまで徹底的にやられているのに母艦はやられていない。奴らの目的は一体……」

 

そうなんだよな。

ソーマの言う通り、ベーリング級海上空母は武装を全て失っていた。

ビーム痕から敵の粒子ビームを受けたと見ていいだろう。

抉れた角度から、恐らくは上空からの……というよりかは遠方からの狙撃によるものだ。

格納庫も傍目に見たが残存するMSはない。

なのに艦は沈んではいない。

だから、ソーマの言いたいこともわかる。

相手の目的が読めない。

 

「失礼します」

『入れ』

 

司令官室の扉にノックすると凛とした女性の声が響く。

ソーマと顔を見合わせて入室すると、指揮官席に座する女性―――カティ・マネキン大佐はレンズの奥で細い目を俺達に向けた。

正直、想像していた以上に周囲はお通夜のような重い空気が漂っている。

 

「よくぞ来たな、大尉」

「いえ。任務ですので」

 

手始めに労うマネキン大佐に俺とソーマは敬礼で返す。

直後、彼女は細い目をさらに鋭くした。

 

「それで?何故貴官らはこの非常時に駆け付けてくれた?そもそもどうやって我が艦の位置を……まさか、この危機を知って来たわけではあるまい。どのような偶然が重なればこうなるのかは分からんが、正直助かったとだけは言っておこう」

「えっ?マネキン大佐が帰艦命令を下したのではないのですか……?」

「なんだと?」

 

諦め半分な所に俺達が奇跡的に駆けつけた。

そう口にしたマネキン大佐に、ソーマは矛盾が発生して首を傾げる。

確かに俺達は大佐に呼び戻された。

ただ、繋がりのない俺の端末に通達が来たんだ。

 

「大佐。その件につきましては私から説明させてください」

「……何か知っているというのか」

「はい」

 

正確に言えばほぼ明確な推測だが、まあ問題は無いだろう。

躊躇もなく頷く。

 

「今朝、私の端末に大佐からの司令が届きました。ですが、大佐は私の連絡先を知らないはず」

「……あぁ。私が司令を下すのであれば、ピーリス大尉に伝令を通達するだろう。最も、貴官らの謹慎はカタギリ司令以外に解くことはできんがな」

 

承知の上だ。

俺とソーマは既にカタギリ司令からの許可が降りて、マネキン大佐を経由して伝達してきたのだと最初は考えた。

後からカタギリ司令に話を聞いたところ、噛み合わなかったがな。

その時点で司令からもベーリング級海上空母の捜索を頼まれた。

まあこれも例の如く本当は知っていたが。

 

「続けろ」

「はっ。GN粒子の広範囲散布によってペルシャ湾全域は通信遮断領域なっています。そもそも大佐が救援を呼ぶことは不可能に近い……」

「確かに、今朝の時点で我々は既にジャミングフィールドに覆われていた。もしや知っていたのか?」

「……えぇ、まあ」

 

その程度なら『ヴェーダ』で検索すれば最新情報で出る。

端末じゃ情報規制のせいで見つけられないからな。

 

「なら一体誰が大尉らを呼び寄せたのだ……?」

「推測ですが、恐らく―――敵です」

「なに!?」

「なっ……!」

 

俺の話を聞いて密かに驚愕していたソーマが思わず俺の方を見遣る。

マネキン大佐も目を見開いた。

だが、簡単な推理だ。

俺達の謹慎は解けていなかった。

こっちからカタギリ司令に連絡して捜索部隊に含まれたのだから確かだ。

さらにこの艦からの連絡はできない。

ならば―――ベーリング級海上空母の位置を把握し、尚且つ俺とソーマ……いや、俺をここに呼び寄せられるのは一人しかいない。

 

―――レナだ。

 

「そして、敵の狙いも恐らく俺です。大佐、どうか出撃許可を。この状況から解放されるには相手の思惑に乗るしかありません」

「……しかし」

 

マネキン大佐が顎に手を当てて思考に耽る。

冴える人だ、もう俺の推測など見破っている。

ただ引っかかる点があるとすればレナを知らないがために敵が俺を呼び寄せた……いう点は首を傾げるだろう。

そこは俺を信じてもらうしかない。

 

「………」

「………」

 

状況を見据え、思考するマネキン大佐。

そんな時、一つの伝令が入る。

 

「た、大佐!上空にいたガンダムが撤退を開始しました!」

「なに!?」

 

レナ達が動いた?

上空に構えていた機体となると……スローネ ドライとプルトーネ ブラックか。

多分パイロットはネーナとレオだ。

確証はないけどな。

 

「さらに粒子ビームが来ます!」

「なんだと!?回避しろ……っ!」

「それが、照準が全くあっていません!」

「なに……?」

 

マネキン大佐がさらに困惑する。

禍々しい赤い光が母艦の目の前を過ぎる。

一筋だけでなく、視界を覆うほどに連射させた。

 

……誘い出しているのか。

 

「外した?」

「いや、撤退したガンダムとは逆の方向からの狙撃だ。それにこれは……」

「わざとか。まさか本当だというのか?デスペア大尉」

「……はい」

 

再度深く肯定する。

顔を顰めたマネキン大佐だが、暫くして諦めたように溜息をつく。

 

「生存者を回収し、ロストしたグッドマン大尉の捜索を開始せよ。ブシドー機には帰艦命令を出せ!デスペア大尉は敵のガンダムの注意を引け、どうせ誘い出されているのだろう?ならば乗ってやる。やれるな?」

「無論です」

 

艦内に的確に響く司令、俺を試す大佐は満足な回答を得る。

空の敵機が撤退した今が好機。

マネキン大佐は母艦の撤退までの算段を付けた。

艦の武装はないから当然の判断だといえば、そうだがタイミングを計るのは重要だ。

今回は相手側に踊らされているようなものだがな。

 

「マネキン大佐、私にも出撃許可を……!」

「ダメだ。ピーリス大尉は母艦の護衛を務めてもらう」

「お願いします。行かせてください!」

「ソーマ?」

 

格納庫へ向かおうとしていた足を止めて彼女を見る。

マネキン大佐に必死に食らいついていた。

なんでそこまで……と思ったが、俺と目が合った。

不安げに一瞥して、再度大佐に懇願する。

 

「お願いします、マネキン大佐!」

「………」

 

マネキン大佐は少し考え込む。

上空の敵機が撤退したとはいえ、戻ってこない可能性がないわけではない。

さらにブシドー機が今さっき帰艦したみたいだが、どうやら粒子ビームとは真逆の方角から来たようだ。

ということは敵は少なくとももう1機いることになる。

 

俺は粒子ビームの方へと向かう。

故に必然的に残ったソーマが母艦の護衛をするのが適切だろう。

だが、ソーマだってそんなことはわかってる。

分かった上で俺を一人で出撃させたくないんだ。

また失うのが怖いから。

 

「マネキン大佐。俺からもお願いします」

「……っ!」

「何?」

 

ソーマの隣に並び、俺も懇願する。

すると、マネキン大佐は一瞬顔を顰めたが、何かを察してくれた。

そのおかげか、小さく笑みを作って承諾する。

 

「……いいだろう。デスペア大尉は敵機の気を引き、ピーリス大尉はグッドマン大尉の捜索をせよ。ミスター・ブシドー……母艦の防衛を頼めるか?」

 

『―――その旨を良しとする』

 

モニター越しにブシドーが目を瞑り、仕方が無いというように承諾した。

珍しいな。

ガンダムと対峙しない指示には従わないと思っていたが……。

 

『手合わせを拒まれたのでな』

 

尋ねてみたらそう返された。

まあさすがにこれだけの危機の中なら艦隊の防衛を優先してくれるらしい。

ブシドー機が再びテイクオフし、俺とソーマは格納庫に現存していた各々のアヘッドに乗り込む。

 

「作戦を開始する!」

 

そして、マネキン大佐の宣言を合図に俺とソーマは出撃した。

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