レナから連絡が来た。
だが、珍しいタイミングだ。普段なら絶対俺が脳量子波を遮断してる時じゃないと寄越してこない。そうじゃないとメッセージを見た時にリボンズに思考を読まれるからだ。
そうなれば俺とレナのやり取りが筒抜けになる。
だから、遮断してない時に送ってくるのはこれが初めてだ。
違和感を覚えたが、そんなもの、内容に目を通せば吹き飛んだ。
「なっ……!?はぁ!?」
思わず叫んだ。
いや、そらこんな反応になるだろ!!リボンズのやつ、何を考えてやがる……!
「衛星兵器だと……っ!あいつ……!遂に虐殺に手を染めようってか!!」
海の中。ガルムブラックのコクピットにいる俺は、端末を荒くしまう。
当たり前だろ。衛星兵器なんて聞いて呑気にしてられるか。
絶対に止めてやる……!!
「ガルムブラック、レイ・デスペア!発進する……!」
ガルムブラックのツインアイが煌めく。
俺は海水を掻き分けて、水中から軌道エレベーターを目指した。
イノベイターの本拠地では。
ヒリングがパイロットスーツを纏っていた。
「ヒリング。頼んだよ」
「OKよ。あぁ~楽しみ!ようやく戦えるんだからっ!ほんと、待ちくたびれたわ」
足を組み、長椅子から動く気配のないリボンズ。微笑みながら自身を見る彼に、ヒリングは不快感など抱かない。
そんなことはどうでもいい。誰がリーダーかなんて。そもそもイノベイター全体が、私達が、人類を導くものなんだから。
それに、今は目の前の戦いにしか目がいかない。ずーーっと待ってたんだから。
それに、ただの戦闘じゃない。相手は雑魚じゃない。相手は私達と同じ存在。
相手は―――
「標的、レイ・デスペア!イノベイターで、塩基配列パターン0000の特殊能力持ちなんて……あはっ!私、今からもう痺れちゃう」
舌なめずりするヒリング。
まだ地球にいる同胞を見下ろして、嗤う。
「さぁ、早く来てよ。大好物でしょ、
衛生兵器、メメントモリ。
その光学映像を見て、彼は来ると確信する。
ヒリングの表向きの任務はその防衛だ。敵は別に彼限定ではなく、衛生兵器を狙うもの。絶対にカタロンもソレスタルビーイングも衛生兵器を壊しに来る。
でも、そっちはもうどうでもいい。少し前までそちらも興味の対象だった。楽しみだった。
でも。もう。同胞と戦える。この興奮には勝てない。
『ヒリング・ケア。
宇宙に放たれるガラッゾ。
あくまでアロウズの機体として出撃する。
元はガデッサの出撃の予定だったが、ヒリングは自分の都合で機体を変えた。
だって、そうでしょ?本気の機体。対個人用の機体。そっちの方がしっかり楽しめるじゃない……!
『ワクワクする~!たっぷり殺してあげる……待ってるわよ、レイ』
ガラッゾのコクピットで、ヒリングは口角を上げ、ガラッゾはその爪を研いで黒いモビルーツを待望する。