リリカルな戦闘民族 (ドラゴンボールZ×リリカルなのは) 作:顔芸の帝王
砂漠地帯での戦闘の後、バーダックはリンカーコアを奪われたフェイトをアースラに送り届けた。命に別状はなかったが、リンカーコアが酷いダメージを受けてしまったため、しばらくは魔法がほとんど使えない状態だった。さらになのはの時と同様意識は回復しないままで、目が覚めるのは明日以降になってしまうらしい。
地球の時間で午後5時を回ろうとしていた頃、その結果をリンディはバーダックに伝えるため食堂に向かった。するとやはりバーダックは一人食堂の椅子に座り、難しい顔をして考え込んでいた。
「あ、バーダックさんやっぱりここにいらしたんですね。…何か考え事ですか?」
「…何…大したことじゃねえ…それより何の用だ」
「フェイトさんの様子を伝えようと思って来たんです。命に別状はないんですけど、やっぱりなのはさんの時と同じで魔力は使えなくなっていて、意識も多分明日にならないと回復しなさそうです」
「…そうか」
「…それとエイミィから話は聞きました。フェイトさんを助けてくださったそうで…本当にありがとうございます」
「…勘違いするな。俺はあの胡散臭い野郎をとっ捕まえようとしただけだ。それに…」
(ん…?)
「…結局リンカーコアは奪われていたんだろうが」
「…バーダックさん…?」
「…なんでもない。他に用事はあるのか?」
「ああそうでした。これから事件についての会議を開くんですが、今回の戦闘の状況も聞きたいのでバーダックさんにも来て頂こうと思ったんです。闇の書について新しくわかった事もあったみたいですので、今から一緒に来ていただけませんか?」
「…そういうことなら行ってやる。案内しろ」
そう言って立ち上がると、バーダックはリンディの後に続いて会議室に向かって行った。
〜〜〜
「あ、バーダック!」
リンディに連れられて会議室の前に来ると、なのはとアルフ、それから猫素体の女性と鉢合わせになった。
「あ、あのバーダックさん尻尾が取れちゃったって聞いたんですけど大丈夫なんですか!?」
「別に構わん。またそのうち生えてくる」
「そ、そうなんですか…?それならいい……のかな?」
「…それよりそいつは誰だ?」
「ああ。そういえば貴方とは初対面だね。私はリーゼロッテ。一応今回の事件解決の手伝いをしてるんだ。よろしく頼むよ」
「…ああ」
「リーゼロッテさんはグレアム提督の使い魔さんで、クロノ君のお師匠さんなんですよ。」
「…………」
「……バーダックさん?どうしたんですか?」
「…なんでもない。それよりとっとと会議を始めろ」
「そうね。こんな所で長話もなんだからとりあえず部屋に入りましょうか」
(…まさか……いや…考えすぎか…?)
リンディがそう言うとなのは達は部屋に入って行く。そんな彼らの後ろ姿をバーダックは刺すような目つきで見つめていた。
〜〜〜
会議室に入りしばらすると、クロノ、エイミィ、アレックスの三人も加わり、会議が開始された。
「もう知っている人もいるでしょうけど、フェイトさんは…リンカーコアに酷いダメージを受けてるけど、命に別状はないそうよ」
「私の時と同じように、闇の書に吸収されちゃったんですね…」
「アースラの稼働中でよかった。なのはの時よりも救援が早かったから」
「…だね」
フェイトの無事を改めて確認し、安堵の表情を浮かべるなのは達だったが、エイミィは下を向いたままだった。
「…なのはちゃん達が出動した後、駐屯所の管制システムがほとんどダウンしちゃって……それで指揮や連絡が取れなくて…ごめんね…私の責任だ…」
過剰に自分を責める彼女を見て、ロッテはエイミィをフォローする。
「…んなことないよ。エイミィがすぐシステムを復帰させたからアースラに連絡が取れたんだし…仮面の男の映像だってちゃんと残せたじゃんか」
「…でもおかしいわね。あの機材は管理局で使っている物と同じシステムなのに…それを外部からクラッキングできる人間なんているものなのかしら…」
「そうなんですよ!防壁も警報も全部素通りで、いきなりシステムをダウンさせるなんて……」
「…ちょっとありえないですよね」
「ユニットの組み換えはしてるけど…もっと強力なブロックを考えなきゃ…!」
「…それだけ凄い技術者が居るって事ですか?」
「もしかして組織立ってやってんのかもね…」
「それだけじゃない。アルフ達の話も状況や関係がよく分からないんだ」
「ああ。私が駆けつけた時には、もう仮面の男や守護騎士達も居なくなってて…バーダック、あの時一体何があったんだい?」
「…俺が最初に見たのはあいつがちょうどリンカーコアを奪われていた時だ。それまでの状況はわからん。…だが一つわかったのは騎士共と仮面の野郎は仲間じゃねえってことだ」
「えっ…それって……」
「あいつらの言動からして、あれは仲間というよりあくまで協力者という関係だ。闇の書を完成させるまでは協力しているが、それ以降はどう動くかわからんぞ」
「…闇の書の完成後に奪うつもりなのかしら…。でもそんな事をしてどうするつもりなのかしらね…。あれは主以外の人間では使えないし、仮に使えたとしても闇の書の力は純粋な破壊にしか使えないはずだけど…」
リンディの言葉に、一同は黙り込んでしまう。
「…今は考えていても始まらないわね。…アレックス!アースラの航行に問題は無いわね?」
「大丈夫です。問題ありません」
「それでは予定より少し早いですが、これより司令部をアースラに戻します。各員は所定の位置へ!…っとその前になのはさんはお家に帰らないとね?」
「あっ、はい…でも…」
「フェイトさんのことなら大丈夫。私たちでちゃんと見ておくわ」
「…はい…お願いします…!」
「それとバーダックさん、アースラに残る私達の代わりに、フェイトさんを見守ってあげて欲しいのですが…」
「…仕方ねぇ。面倒だが飯と修行の場所があるならば構わん」
「うふふ…捜査に協力してもらってる訳ですから、もちろんそこは安心してもらっていいですよ?」
こうしてリンディの誘いに乗ったバーダックは、実に半年ぶりにアースラで寝泊まりする事になった。
***
「フェイトさん少しうなされてるみたいね…。大丈夫かしら…?」
「うなされているならそのうち起きるってことだ。それに命に別状はないんだ。お前らは無駄に心配しすぎなんだよ」
「そうかもしれないわね。…でもそう言うバーダックさんもだいぶ前からここに居ますよね?」
「…勘違いするな。俺はあんな不意打ちでやられやがったこいつに怒鳴りつけてやろうと思っただけだ」
「うふふ…そうですか。ではそういう事にしておきましょうかね…」
「…フン…俺はもう行くぞ」
「ええ。フェイトさんが起きたらまた声をかけるわね」
〜〜〜
「うっ…うん…」
「目が覚めたかしら?」
フェイトはゆっくりと体を起こして辺りを見渡すと、病室の様な部屋で、目の前にはリンディとぐっすりと眠っているアルフが居た。
「アルフにリンディ提督…?あれ…?ここは…」
「ここはアースラの艦内。あなたは砂漠での戦闘中に背後から襲われて意識を失ってたのよ。リンカーコアを吸収されちゃってるけど、すぐに良くなるそうだから心配ないわ」
「そうだったんですか…。私、やられちゃったんですね…ごめんなさい…」
「管理局のサーチャーでも探知できなかった不意打ちだったのよ。仕方ないわ」
「あっ…そうだ!バーダックさんは…!?」
「彼なら大丈夫よ。…ちょっと尻尾が切れちゃったみたいだけど…。」
「そ、それって大丈夫なんですか!?」
「うーん、実のところ私もよく分からないけど、また生えてくるそうだから心配ないそうよ」
「そ、そうなんでしょうか…?」
「心配ないわよ。彼は強いもの。…それより彼、あなたの事随分心配していたみたいよ」
「バ、バーダックさんが……ですか?」
「うふふ…ちょっと信じられないかしら?」
「いえ…そんなつもりはないんですけど…」
「砂漠での戦闘中も自分の戦いを中断して駆けつけてくれたみたいだし、アースラに運び込まれてからもずっと気にかけてて、さっきまでこの部屋にも様子を見に来てたのよ?」
「そうなんですか…私、やっぱり迷惑を…」
「そんなことないわ。さっきも言ったけどあれは仕方ないことよ。それにバーダックさんを含めて皆心配はしたけど、迷惑だなんて全然思ってないわ」
そう言ってリンディはフェイトの手を優しく握る。
それはまさに子を心配する親の仕草そのものだった。
「あっ…」
「ああ!ごめんなさい、嫌だったかしら?」
「いえ…あの…嫌とかではなくて…」
「さっきまで少しうなされてたみたいだったから…でも貴方が無事でよかったわ。」
「すみません……ありがとうございます…」
頬を赤らめるフェイトを見て、思わずリンディの表情から笑みがこぼれる。
「そうだ。お腹空いたでしょう?今食事と飲み物を持って来るわね。何がいい?」
「えっと……おまかせします」
「わかったわ。少し待っててね」
「あ、ありがとうございます…」
リンディは笑顔でそう言うと部屋を出る。こんな些細な優しさでも、かつて母親に裏切られたフェイトにとってはとても新鮮で、甘酸っぱいものだった。
「…あの人なら…リンディ提督なら…私の二人目のお母さんになってくれるのかな……?」
隣で眠っているアルフの頭を撫でながらポツリと呟く。今はその答えは出なかったが、フェイトは改めて自らの幸せを噛み締めるのであった。
〜〜〜
リンディが部屋から出ると、バーダックが壁にもたれかかって待機していた。
「あっ、バーダックさんちょうどよかった。ちょうど今フェイトさんが──」
「知っている」
「えっ…?」
「話し声が聞こえたんだよ。…てめぇ…余計な事を吹き込みやがって」
「あら聞いてたんですか?事実なんですからいいじゃないですか。そんなに恥ずかしがらなくてもいいと思いますよ?」
「…またふざけた事を…」
機嫌を損ねてしまったのか、バーダックはフェイトの部屋とは反対方向に歩いていく。
「あ、ちょっとバーダックさん?フェイトさんに顔出さなくていいんですか?」
「…気が変わったんだ。それに少し用事もあるからな」
バーダックは背を向けたままそう言うと、足早にどこかへ向かっていった。
「はあ…全くあの人は…頑固というか素直じゃないというか…。それにしても用事って何なのかしら?」
リンディは少し疑問に思ったが、最終的に彼の照れ隠しだろうと判断し、気に止めることはなかった。
***
砂漠地帯での戦闘の翌日の早朝、騎士達とパラガスは本格的に介入してくるようになった仮面の男について話し合っていた。
「…助けてもらった…ってことでいいのよね…?」
「少なくとも奴が闇の書の完成を望んでいることは確かだ」
「完成した闇の書を利用しようとしているのかもしれんな」
「ありえねえよ!完成した闇の書を奪ったって、マスター以外には使えないじゃん!」
「闇の書が完成した時点で主は絶対的な力を得る。脅迫や洗脳の類いに効果があるはずもないしな…」
「…俺はあの男の誘いに乗るのは気が進まんな」
「だが今我々にできることは闇の書を完成させるしかない…」
「まあ…家の周りには厳重なセキュリティを張ってるから、万が一にもはやてちゃんやブロリーちゃんに危害が及ぶことはないと思うんだけど…」
「念のためだ。シャマルはなるべく主のそばを離れん方がいいな」
「うん…そうね」
「…ねえ。闇の書を完成させてさ……はやてが本当のマスターになったらさ、それではやては幸せになれるんだよね…」
「なんだいきなり」
「闇の書の主は大いなる力を得る。守護者である私たちは、それを誰より知ってるはずでしょ?」
「そうなんだよ……そうなんだけどさ…私はなんか、大事な事を忘れてる気がするんだ…」
(……大いなる力か)
大いなる力。その言葉に自分の息子の辿った運命を思い浮かべるパラガス。はやても自分たちと同じ運命を辿るのではないかと思い悩んだが、闇の書の完成以外にはやてを救う方法など無かった。
〜〜〜
「うっ…うん……」
カーテン越しに差し込む朝日によってはやては起床する。しかし、いつもなら自分の隣でまだ寝ているはずのヴィータがおらず、お気に入りのぬいぐるみだけが残されていた。
(ヴィータ今日は起きるの早いなあ。ブロリーはもう起きてるかな…?)
そう思い隣のベビーベッドに目をやると、ブロリーももぞもぞと動きはじめていた。
「今日は私が寝坊してもうたな。ブロリー待っててな。今ベッド出してあげるから───
そう言って車椅子に手をかけた瞬間、急に胸が締め付けられるように痛みだす。今までで感じたことのない凄まじい痛みに、呼吸をすることも難しくなる。
「くっ…あ……なん…やこれ……苦し………」
段々と視界がぼやけ、意識が薄れていく。そしてはやては胸を押さえ込み、その場に倒れ込んでしまった。
〜〜〜
シグナム達が謎の仮面の男に頭を悩ませていると、隣の部屋からガタンと何かが倒れる音が聞こえ、その直後ブロリーの泣き声も聞こえ始めた。ハッとした五人はすぐにはやての寝ている部屋に向かう。
「はやて!どうしたんだ!」
寝室のドアを開けると、異様な光景が広がっていた。ブロリーは今までにないほど泣きわめき、ベッドの側には車椅子ごと床に倒れ痛みに悶えているはやての姿があった。
「はやて!はやてっ!」
「はやてちゃん大丈夫!?しっかりして!」
ヴィータとシャマルが声をかけるも、はやては僅かに呻くだけで反応がない。
「ど、どうしよう…このままじゃ…!」
「落ち着けヴィータ!シグナム、とりあえず救急車を呼べ。それからあまり主を動かすな」
「わかった!」
「お、おう…そうだよな…」
(…はやてのこの苦しみ方は普通ではない…もうこんなに侵食が進んでしまったのか…!)
彼らの表情からは、焦りや悔しさなど、様々な感情が浮かんでいたが、今は苦しむはやてを見守る事しかできず、部屋にはブロリーの泣き声だけが虚しく響いていた。
どうも。顔芸です。
少し投稿が遅れてしまい申し訳ないです。ちょっと私生活がゴタゴタしていたので普段より一日遅れになってしまいました。…まあ正確に投稿頻度は決めていなかったのですが…。
では言い訳はこれぐらいにして本編の方のお話を少し…。
…正直今回の話はイマイチだと思う人も多いのではないでしょうか?文の長さの割に進展がないですし、全話のコメントに返信させていただいた時に、しばらく出ていなかったブロリーを出す予告をしておきながら、結局蚊の涙ほどしか出番が作れませんでした。うーん…これは由々しき事態ですね…ごめんなさい…。次回こそは本当にもう少し出番を増やせるように努力したいと思います。
こんな雑な作品&性格で申し訳ないですが、次回も見てくださると嬉しいです。
それでは。