リリカルな戦闘民族 (ドラゴンボールZ×リリカルなのは)   作:顔芸の帝王

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第十二話 嵐の前

「もう…みんなして大事にするんやから…ちょっとめまいがして胸と手がつっただけって言うたやんか」

 

心配する騎士達とは裏腹に、病室のベッドではやてはすっかり元気を取り戻していた。

 

「でも…頭打ってましたし…」

「何にせよはやてちゃんが無事でよかったわ。それとせっかく来てもらったから、少し検査をしてしまいましょうか。その前にシグナムとシャマルさんちょっと……」

「はい。なんでしょうか…?」

 

二人は石田先生に呼ばれて部屋を出ると、ヴィータが心配そうに声をかける。

 

「はやて…ほんとに大丈夫か?」

「心配してくれてありがとうなヴィータ。でも大丈夫!もうすっかり元気やから安心してええよ」

「なら…いいんだけどさ…」

「あーうー」

さっきまで半べそをかいていたブロリーも、元気な様子を見てはやてに手を伸ばす。そんな様子を見たはやては、パラガスからブロリーを受け取ると、優しく頭を撫でてやる。

 

「ブロリーも心配させてごめんな。お詫びに帰ったらおいしいご飯いっぱいつくるから期待しといてな!」

「あうあー!」

 

ご飯と聞いたブロリーは、もはやお約束になりつつあるヴィータのおさげをグイグイと引っ張って喜びを表す。

 

「痛い痛いって!だから引っ張るなっての〜!」

「あはは!やっぱりヴィータは気に入られてるなぁ」

「………」

 

ここが病室という事を除けば、普段の生活と何一つ変わらない光景が広がっている。しかし、はやての呪いの進行がかなり進んできている事は、素人目にも明らかだった。

 

(今は明るく振舞ってはいるが、あの痛がり方はどう考えても異常だ…。残された時間はあと僅かということか…。それまでになんとしても闇の書を完成させなければ…!だがそれには奴らが───

 

──さん?パラガスさん?」

 

はやてが自分の名前を呼んでいる事に気が付き、ハッと我に返る。

 

「あ、ああ。すまない」

「パラガスさん大丈夫ですか?なんかすごく怖い顔してたみたいでしたけど…。」

「ハハハ…実は最近寝不足でな。ついウトウトしてしまっただけだ」

「そうですか…それならええんですけど…」

(いかんいかん…唯でさえ最近は家を空けてしまっているんだ。これ以上はやてに余計な心配をさせてはいかんな)

 

はやての心配そうな表情を見てパラガスは話題を変える。

 

「…それにしても地球の病院は随分と至れり尽くせりなんだな」

「パラガスさんの住んでた所の病院は違ったんですか?」

「ああ。売店やら食堂なんてなかったぞ。本当にただ治療のスペースがあるだけという感じだったな」

「おいおい…そんなんで大丈夫だったのか?」

「サイヤ人は病気にならん奴がほとんどで、怪我もメディカルマシンですぐに治ってしまうからな。入院する奴がほとんどいなかったんだ」

「…改めて聞くとサイヤ人ってのはすげー種族だな…」

「まあそういう訳でここの設備には少し興味があってな。少し見てまわるからしばらく休んでいるといい」

「そうですか。多分、検査は半日ぐらいかかってしまいますから、私が言うのも変ですけどパラガスさんもゆっくりして行ってください」

 

はやてはそう言ってにっこりとパラガスに笑いかける。普段なら大人びた子供だと感心するところだが、はやての辛い現状を思うと、複雑な感情がこみ上げてくるのだった。

 

 

 

***

 

 

 

(……チッ…あれから進展はなしか…)

 

バーダックは昨日の会議の時に生じた疑念を解決するために自分なりに探りを入れていたが、結局確信に至る事はできずにいた。

 

(確信はねえがあの猫女…どうもきな臭い…だが今のところ気が似ている事以外に怪しいところはねえ。…やはり俺の思い違いだったのか?)

 

あれこれ考えながら廊下を歩いていると、不意に背後から声を掛けられる。

 

「あ、バーダックさん。ちょうどよかった。」

振り返るとそこにはクロノとエイミィ、そしてリーゼロッテの姿があった。

「…なんの用だ。」

「今から無限書庫で闇の書の調査をしているユーノに近況を聞きに行くんですが、貴方もどうですか?」

「…そうか。なら案内しろ。」

魔法について詳しくないバーダックにとってはあまり無限書庫の情報に興味はなかったが、現状の調査に行き詰まっていた上に、目の前に疑惑の人物がいる以上断る理由がなかった。

「あれ?以外ですね。バーダックさんそういうのあんまり興味無いと思ってたんですけど。何か気になる事でもあったんですか?」

「…別にそういう訳じゃねえ。ただの暇つぶしだ。」

バーダックはそう言うと疑惑の人物をチラリと見つつ、クロノ達の後に続いて目的の部屋に向かっていった。

 

〜〜〜

 

その後バーダック達は無限書庫のユーノから闇の書の情報を得ることができた。ユーノは闇の書の起源や性質や現時点でできる対策を見つける事ができたが、破壊や封印の方法などはまだ分からないようだった。

 

「───現時点でわかった事はこれぐらいかな。それにしても流石無限書庫。探せばちゃんと出てくるのが凄いよ。」

「私的には君が凄いよ。このまま管理局に欲しいくらい」

 

ユーノの凄まじい捜索能力に、一緒に調査に当たっているリーゼアリア驚愕していた。

 

「じゃあすまんがユーノ、アリア、もう少し調査を頼むよ。」

「うん。わかった。」

「はいよ〜」

 

そう言って通信を切ると、クロノがエイミィに声をかける。

 

「エイミィ、今仮面の男の映像を出せるか?」

仮面の男という単語に、バーダックもピクリと反応する。

 

「おっけー。…はいどうぞ」

「何か考え事?」

「…まあね」

「この人の能力もすごいと言うか…結構ありえない気がするんだよね。フェイトちゃんとバーダックさんの居た世界となのはちゃんの居た世界まで最速で転移しても20分はかかりそうな距離なんだけど、なのはちゃんの新型バスターの直撃を防御、長距離バインドをあっさり決めて、それから約9分後にはフェイトちゃんに忍び寄って背後から一撃…」

「かなりの使い手って事になるねぇ」

「…そうだな。僕でも無理だ。ロッテはどうだ?」

「うーん…無理無理…。私、長距離魔法とか苦手だし…」

「アリアは魔法担当、ロッテはフィジカル担当で、きっちり役割分担してるもんね」

「…昔はそれでひどい目にあった…」

「その分強くなったろ?感謝しろっつーの」

そんな師弟の掛け合いをよそに、バーダックは一人考えを巡らせていた。

(……勘違いであって欲しかったがやはりこいつらが怪しいか…ギル・グレアムとかいう奴についても探りを入れてみるか)

「あれ?バーダックさん難しい顔してどうしたんですか?」

「…気のせいだ」

 

***

 

「入院……?」

「…ええ、そうなんです…。あっ、でも検査とか念のためとかですから心配ないですよ」

「それはええねんけど…私が入院しとったら皆のご飯は誰が作るんや?」

 

はやての思いもよらない発言に、騎士達は困惑する。

「そ、それは……まあなんとかしますから…」

「そうそう!大丈夫ですよ…!たぶん…」

「うーん…ちょっと心配やなあ…」

 

改めて考えてみると、いかに自分達がはやてに支えられているか実感させられる。

 

「でも今回ばっかりはどうにもできひんな…ほんなら私はのんびり三食昼寝付きの休暇をのんびり過ごすわ。……あっそうだ!すずかちゃんがメールくれたりするかも…!」

「ああ。それなら私が連絡しておきますよ。」

「…うん。お願いな…。」

「では、戻って着替えと本を持って来ます。本に何かご希望はありますか?」

「んー?何にしようかな…?あっ、そうだ。ほんならアレがええな」

 

はやてはとある一冊の本をリクエストし、その本と着替えを取りに騎士達とパラガスは一度家に帰ることになった。しかし、ブロリーはなかなかはやてから離れようとせず、病院に戻るまでの間、はやてに預かってもらうことになった。

 

「すまんなはやて。手間をかけさせてしまって」

「別に構いませんよ。この子は大人しいですから全然手がかかりませんし」

「それじゃあはやてちゃん、すぐに戻って来ますから待っててくださいね」

そう言い残すと、騎士達とパラガスは病室を後にする。残されたはやては、ブロリーを寝かしつけようと頭を撫でる。

「今日はブロリーにも迷惑かけてしもうたし、ご飯の約束も守れなくてごめんな。せやけど退院したら必ず────

 

そう言いかけた時、再びはやての胸に今朝の締め付けられるような痛みが襲いかかる。

 

「くっ…痛っ……」

しばらく痛みは続いていたが、今回は数分で痛みが引いてきた。ふとブロリーの方を見ると、心配そうに自分の顔を覗き込んでいた。

「あーうー…」

「ごめんなブロリー…もう大丈夫……大丈夫やからな…」

 

はやては自らの体を蝕む病魔の存在を否定するかのように、ぎゅっとブロリーを抱きしめるのだった。

 

***

 

砂漠での戦闘から三日後、フェイトは魔力は使えないものの、体調はすっかり回復したため再び学校へ登校する事になった。事件の調査は武装局員を増員して、追跡捜査をメインに行う事になったため、フェイト、アルフ、バーダックの三人はアースラを降り、なのはと共に呼び出しがあるまで地球で待機という事になった。

 

「あっ、そろそろ学校に行かないと…。」

「うん!気をつけてね!」

「…せいぜい奴らには気をつけるんだな」

「はい。行ってきます」

フェイトは元気よく家を飛び出すと、迎えに来たなのはと共にバス停へ向かって行った。アルフはフェイトを送り出した後にバーダックを見ると、また何かを考え込んでいるようだった。

 

「バーダック、あんたここの所ずっと何か考え込んでないかい?悩んでるなら誰かに相談してみたら──

「…おいアルフ。お前ギル・グレアムとかいう奴を知ってるか?」

「ああ。グレアム提督は管理局のお偉いさんの一人でリーゼ達のご主人様だよ」

「…直接会ったことは?」

「私は会ったこと無いけど、リンディ提督やクロノなら知ってるんじゃないか?それとフェイトも一度会ってるはずだよ。ほら、この前本局に行った時になのはとフェイトが面談しに行ってただろ?あの時の人だよ。…それがどうかしたのかい?」

「…いや、なんでもない。忘れろ。」

「そ、そうかい?なら良いんだけどさ…。」

「…少し修行をしてくる。何かあったら呼べ。」

そう言い残すと、バーダックは奥の部屋へと消えていった。

(あいつ…一体どうしたんだ…?)

アルフは少々疑問に思いながらも、なんとなく聞いてはいけないような気がしたため、しばらくはそっとしておく事にしたのだった。

 

***

 

「うーん…やっぱりやる事が無いと退屈やな…。今日は何しようか…」

その時、コンコンとドアをノックする音が聞こえる。

「はーい。どうぞ。……あっ!パラガスさん!」

「はやて調子はどうだ?」

「うん。おかげさまで健康そのものです。今日はどないしたんですか?」

「ああ…実はな……」

 

〜〜〜

 

「全く…困ったな…。」

「パラガスさんどうしたんですか?」

パラガスの腕には、珍しく駄々をこねているブロリーの姿があった。

「いや…昨日はやてと離れてからずっとこの調子でな…。これから蒐集に行かねばならんと言うのに…。」

「そうなんですか…困りましたね…。」

いつまでも駄々をこねるブロリーにパラガスは頭を悩ませていたが、そんな様子を見たシグナムが提案を出す。

「パラガス。それなら今日は休んで主の所に連れて行ってやれ。」

「だが…」

「いいんだ。お前には最近負担を掛けてばかりだからな。少しは休んだ方がいい。主もきっと喜ぶだろうしな。」

「…そうか…なら今日はそうさせてもらうとするか。」

「ああ。それがいい。何かあればシャマルを通して連絡するから安心して行ってこい。」

 

〜〜〜

 

「───という事があってな。すまんがしばらく一緒にいてやって欲しいんだが…。」

「もちろんええですよ。私もちょうど退屈してましたから。ほら、ブロリーおいで!」

ブロリーははやてに抱きかかえられると、先程まで機嫌が悪かったのが嘘のように泣き止む。

「ふふふ、よしよし。ブロリーはかわええなぁ。」

「…そう言えばはやて、少し気になったことがあるんだが…。」

「なんですか?」

「この本の『くりすます』というのはなんだ?最近街でもよく見かけるんだが…」

「ああ。クリスマスって言うのはですね、うーん…どこから説明したらええんやろうか…起源とかそういうのは私もよく分からないんですけど、日本では大事な人や家族と楽しく過ごす日なんですよ。あ、あといい子にはサンタさんが来てプレゼントを持って来てくれるんです」

「ほう…なるほどな…」

「……去年までは私ずっと一人やったけど、今年はみんながおるから私も凄く楽しみにしてたんです。…それまでにはなんとか退院したいんですけど…」

 

はやては少し寂しそうな表情で小さく呟く。そんな様子を見ていたたまれなくなったパラガスは、はやての手強く握り語りかける。

 

「大丈夫だはやて。きっとその頃には体調も良くなる。お前はいい子だからな。それぐらいの願いはサンタが叶えてくれるさ」

「ふふっ…そうですね…そう思うとクリスマス楽しみやなぁ…」

(…そうだ。俺たちが…俺がはやての願いを叶えてやらねば…)

パラガスはこみ上げてくる感情を抑えながら、はやての幸せを強く願うのだった。




どうも。顔芸です。
ついに最終決戦が近づいて来ましたね。
これからは戦闘シーンが増えるため、更新が少し遅くなることがあるかもしれませんが、最低でも四日以内更新を目指して頑張りたいと思います。

それとは全く関係ないですが、今回の最後にクリスマスの話を書いている時に、なのはのドラマCDでサンタクロースの話題が出た時、小五のなのはが数年前から当たり前のようにサンタの真実に気づいていた上に、それまでクリスマスを知らなかったフェイトも、クリスマスの話を聞いて一瞬でサンタの真実に気づいた事にショックを受けたのを思い出しました。
小五まで信じていた私の純情を返して欲しいです。

それではまた次回も読んでくださるとありがたいです。
それでは。
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