リリカルな戦闘民族 (ドラゴンボールZ×リリカルなのは)   作:顔芸の帝王

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第十三話 クリスマス・イブ

「ん…もうこんな時間か」

パラガスがふと時計を見ると、時刻は12時を少し回っていた。

「パラガスさんはお昼どうするんですか?」

「ああ…そう言えば何も考えていなかったな…まあ病院の飯も食ってみたかったからちょうどいい。適当なものを買って来るとするよ」

「そうですか。それじゃあブロリーちゃんは見ときますから」

「すまんな。じゃあ行ってくる」

そう言ってパラガスが部屋を後にする。外に出て売店に向かおうとしたその時、シャマルが息を切らせて駆け込んで来る。

「パラガスさん!はぁ…はぁ…」

「ど、どうしたんだ。そんなに急いで…」

「大変なの!この後管理局魔導師のなのはちゃんとフェイトちゃんの二人がお見舞いに来ちゃうの!はやてちゃんのお友達だから!」

「なっ…!ど、どうするんだ!」

「はやてちゃんの魔法資質は詳しく検査しない限りはバレたりしないから、とりあえずは私達が見つからなければ大丈夫なはずだけど…」

「そ、そうか…」

「だけど私達がはやてちゃんと一緒の時は絶対に見られちゃダメ。…もし見られたりしたら…」

「ああ。分かっているつもりだ。昼食の後、俺達は席を外すとしよう」

「ええそうね…何事もなければいいんだけど…」

 

 

***

 

 

今夜のフェイト達の夕飯では、今日のお見舞いの話で持ちきりだった。

「それでね、とっても優しそうだったんだよ?」

「そりゃよかったねえ。それでいつ頃退院できそうなんだい?」

「まだ正確には決まってないんだけど、クリスマスまでには退院したいって」

「事件が解決したらはやても誘ってパァーっとやろうよ!」

「そうだね。バーダックさんはどこか行きたいところとかありますか?」

「興味ねえな。……飯次第では考えてやってもいいが」

 

いつものように悪態をついているが、バーダックは皿の塔を一つ作ったところで食事を止める。

 

「はぁ…全くあんたは相変わらずだねぇ。……あれ?そんな事言う割に今日はあんまり食べてないけど。具合でも悪いのかい?」

(…充分食べてる気もするんだけど…感覚が麻痺してきたのかな…?)

「そういう訳じゃねえ。…今日はやる事があるだけだ」

そう言い残すとバーダックは席を立ち、奥の部屋へと消えていった。

「バーダックさん…やる事ってなんだろう…?」

「どうせまた修行だろ?基本的にあいつの生活は食ってるか修行してるかだから」

 

 

〜〜〜

 

その夜、バーダックはリンディから預かった通信機でとある人物と連絡をとっていた。

「君の方から僕に通信なんて珍しいな。一体どうしたんだい?」

「…あの猫女について聞きたい事がある」

「猫女…?ああ、リーゼ達のことか」

「単刀直入に聞くぞ。…あいつらとその主はお前から見て信用に値する奴らか?」

「…………」

「…………」

二人の間に重い空気が流れる。そしてクロノはゆっくりと口を開き始めた。

「リーゼ達もグレアム提督も僕の恩人だ。もちろん信用しているさ」

「………」

「……だけど言いたい事はわかった。君は仮面の男の事を言いたいんだろう?」

「…察しがいいじゃねえか」

「…この際だから貴方には言いますけど、僕も同じことを考えてました。こんなこと考えたくはなかったけど、リーゼ達が仮面の男だと仮定すると全て辻褄が合うんですよ。だからグレアム提督の動向を密かに調べてみたんだが……。やっぱり闇の書を追っていたみたいなんだ」

「へっ…こりゃ決まりだな」

「…僕からも君に一つ頼みがある。この件は僕に任せてくれないか?もちろんいくら提督やリーゼ達だからといって野放しにしておくつもりはない。だから…」

「構わん。好きにしろ」

「そうか、ありがとう。…ただ証拠を抑えないとどうにもならないからまた戦闘になるかもしれない。それは覚悟しておいてくれ」

「…ああ。頼んだぞ」

そう言ってバーダックは通信を切ると、窓から空を見上げる。

(裏切りか…。チッ…嫌な野郎を思い出させやがって)

 

過去の苦い記憶が蘇り、バーダックは僅かな不安を抱くのであった。

 

***

 

 

「あっ、おかえりバーダック。…奴らは見つかったかい?」

「…駄目だな。俺の力ではまだ気を高めている奴か人が少ない中でしか特定できない。これ以上探しても無駄だな」

「うーん…そう上手くはいかないか…。まぁ残念だけど今日はクリスマスイブだし仕事の事は忘れてフェイトが戻って来たらパァーっとやろうか!」

「あいつは今日も病院か?」

「ああ。はやてが今日退院できないからそれのお祝いだっさ」

「…またか。ここ最近ずっとじゃねえか。全く…飯を待たされるこっちの身にもなりやがれ」

「なんでもはやての他にブロリーっていう親戚の赤ちゃんと会うのも楽しみにしてるみたいだ。かわいいらしいから私も会一度ってみた────」

 

アルフがそう言いかけた時、バーダックは血相を変えて声を張り上げる。

 

「おい!お前今なんて言った!」

「い、いきなりどうしたんだい!?親戚の赤ちゃんが───」

「違う!そいつの名前だ!」

「ブ、ブロリーのことかい?」

(間違いねえ…!サイヤ人の名前だ。しかも聞いたことがあるぞ……っそうだ!ブロリーと言えば処刑されたパラガスのガキじゃねえか!)

「そいつは病院にいるんだな!」

「あ、ああそうだけど…」

バーダックはすぐに戦闘服を着込むと、ベランダのドアを開ける。

「本当にどうしたんだバーダック!」

「奴らの居場所がわかったんだ!お前もすぐに来い!」

そういい放つとバーダックは一気に気を高めて病院に向かって飛んだ。

 

(クソッタレが…まさかそんな所にいやがるとはな…!)

 

***

 

バーダックが飛び立つ少し前、はやての病室は騎士達となのは達が意図せず出会ってしまい修羅場と化していた。事情を知らないはやてやすずか達を除き、ほぼ全員が引きつった表情をしていた。パラガスも例外ではなかったが、ここは念話を使える三人に任せ、自分は余計な事をせずに黙っている事にしていた。

そしてしばらくしてなのは達がはやてに別れを告げ病室を出ると、シグナムがゆっくりと口を開く。

 

「今夜隣のビルの屋上で奴らと話をつける事になった。…覚悟はしておいてくれ」

「…ああ。分かっている」

 

シグナムは深刻そうな表情でそう呟く。その声を聞き、パラガスはやるべき事をやらなければならない時が来たのだと再認識する。…それが取り返しのつかない行動だとしても。

 

 

***

 

 

「病院はあれか、さて、どうやって奴らを見つけるか……ん?」

バーダックが病院に近づこうと降下を始めた時、隣のビルから感じたことのある気をいくつか感じる。屋上に近づくと、なのは達と騎士達が対峙しているのが見えた。

「…あそこか」

パラガスは体を捻り向きを変え、ビルの屋上へと降り立つ。

「あっ!バーダックさん!」

「やはりお前も来たか。…お前もここに来てしまった以上、このまま帰す訳にはいかん。悪いがここで果ててもらうぞ」

 

シグナムはいつも以上に殺気立った視線をバーダック達にぶつける。ベルカの騎士達にこんなことを宣告されれば誰もが震え上がりそうなものだが、とんでもないバトルジャンキーなこの男は、小さく笑みを浮かべるとシグナム達を睨み返す。

 

「へっ…今までこそこそと逃げ回ってやがった奴がよく言うぜ。上等だ。その言葉、そっくり飾り紐でも付けて返してやるよ」

「バーダックさん!煽っちゃだめだよ!なんとか説得を…」

「…バカかお前は。…奴らの目を見てみろ。説得が通用するように見えるか!」

騎士達の目に光は無く、その虚ろな瞳からは強い覚悟と悲しみが滲み出ていた。

「主の為ならば、騎士の誇りすら捨てると決めた…。もう…後には引けんのだ…!」

「…もう少し…もう少しで…はやてが元気になって私達のところへ帰って来るんだ…。もう少しなんだからっ……邪魔すんなぁぁぁぁ!」

 

「……待てヴィータ!」

 

武器を構え突撃しようとするヴィータを、パラガスが静止させる。

「お前達が手を汚す事は無い。今回は俺一人で終わらせる」

「な…何言ってんだ!バーダックに勝てなかったお前が一人で勝てるわけねーだろ!」

「そうですよ!気を遣わなくていいですから無茶な事は…」

「いいんだ。それにお前達ははやての未来は血で汚さないのではなかったか?」

「そ、それは…」

「分かってくれ。こういう事は既に汚れた者がやるべきなんだ。…今回の事は、お前達の誓いの外の事だと思え」

「でも…一人じゃいくら何でも…!」

シャマルの言葉を余所に、パラガスはバーダック達の前に立ちふさがる。

「お前達の相手はこの俺がする。…こんな事は償いにはならないだろうが、せめて痛みを感じないよう一瞬で終わらせてやる。」

「私達は負けない…!絶対に勝ってあなた達を止めてみせます!」

「今度こそ…今度こそ絶対に私達の話を聞いてもらいますから!」

 

バーダックは一応戦闘態勢を取りつつも、パラガスの無謀な行動に疑問を抱いていた。

 

(…なんだ…こいつの異様な自信は…?まだ力を隠してやがったのか?それとも他の連中を逃がすための嘘か…?)

「ふっ…バーダックよ。腑に落ちないという顔だな。大方他の連中を逃がすための嘘とでも思ったのだろう?」

「……!」

 

パラガスに思考を見抜かれ、バーダックの顔つきがより厳しいものに変わる。

 

「へっ、お前達はいつも逃げ回っていたんだ。そう思うのは当然だろうが!」

「…そうやって笑っていられるのも今のうちだ。…これを見るがいいっ!はあぁぁぁぁぁぁっ!」

パラガスはこめかみに青筋を浮き立たせ、かざした手にチカラを込める。するとパラガスの手のひらに白く眩い光を放つ光球が出現する。

「っ!ま、まさか…!」

「はぁっ…はぁ…はぁ…よ、ようやく分かった様だな…!」

「バーダックさん!あの光は一体───」

フェイトがそう言いかけたところで、パラガスは空に向かって勢いよく投げる。光球はあっという間に見えなくなり、辺りは静寂に包まれる。そして、パラガスは天に向かって大声を張り上げる。

 

 

 

 

「弾けてっ!混ざれ!」

 

 

 

 

そう言い放ちグッと拳を握りしめると、乾いた破裂音と共に辺り一帯に強烈な閃光が放たれる。

「くっ…!一体何が…!」

やがて光が収まると、フェイト達はゆっくりと目を開け空を見上げる。すると先程は握りこぶし程の大きさしかなかった光球が、凄まじい大きさになって頭上で輝いていた。無数の星々と共に白く妖しい光を放つその姿は───まるで満月のようだった。

「あ、あれって…月?」

「バーダックさん!あの光は一体…」

「クソッ……そう言う事だったのか…!」

(あのバーダックさんが焦ってる…一体何が…)

 

ドクン。

先程から空を見上げたまま動かないパラガスから心臓の音が鳴り響く。

ドクン。ドクン。

「これ…もしかして心臓の音!?」

「お、おいパラガス…!どうしたんだよ!」

「パラガスさん!一体何を…」

ヴィータ達も声を掛けようとパラガスに駆け寄るが、パラガスのおぞましい表情を見て血の気が引いていく。人間には出せないような呻き声を発し、目は全て赤く染まり、半開きになった口からは犬歯が飛び出ている。

「こ、これって…!」

「おいっ!パラガス!しっかりしろっ!」

シグナムは意識を回復させようとパラガスの肩を掴む。そんな様子を見たバーダックが声をあげる。

「馬鹿野郎が!死にたくなかったらそいつから離れやがれ!」

「くっ…ヴィータ!シャマル!一度離れるぞ!」

「お、おう!」

「パラガスさん…」

そして一同がビルから離れたその時、辛うじて人間の姿を保っていたパラガスが恐竜のような叫び声をあげると、一気に数十メートルに巨大化し、身体中から体毛が生え、顔は人間の物からゴリラのような異形の物へと変化する。

「う、嘘…!?」

「どうなってるの……!」

「こ、これが…パラガスの言っていた策か…!」

「クソッタレが…!まさか奴がパワーボールを使えるとは…!」

 

自ら大猿と化し、最後の勝負に出たパラガス。流石のバーダックもこの状況には焦りを隠せない。果たして、バーダック達に勝機はあるのだろうか。

 




どうも。顔芸です。
更新がまた遅くなってしまいすみませんでした。
一応来週からはまたスケジュールに余裕がありそうなので、次こそは早く上げられるように頑張ります。

今回はパラガスが大猿に変身しましたが、彼は今作ではパワーボールを使える設定です。ベジータ曰く限られたサイヤ人にしか使えないらしいですが、映画では下級戦士のターレスも使ってましたね。うーん…パワーボールを使える条件はなんなんでしょうね。

さて、いよいよ最終局面です。私も気合い入れて頑張りますので、次回も読んでくださると嬉しいです。
それでは。
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