リリカルな戦闘民族 (ドラゴンボールZ×リリカルなのは)   作:顔芸の帝王

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第十四話 二つの覚醒

パラガスが大猿になった事により形勢は一気に逆転し、バーダック達は追い詰められようとしていた。

 

「はぁ…はぁ…バーダックよ…尻尾をなくしてしまったのは失敗だったな!」

(こいつ大猿になっても理性を失わないのか…!クソッ…厄介な野郎だ!)

「バーダックさん!私達はどうすれば…!」

「…大猿は俺が片付ける…!」

「そ、そんな…いくらバーダックさんでも無茶ですよ!」

「…確かにまともに戦ったら勝ち目はねえだろうな。…だが大猿には弱点もある。それを上手く使えば…」

「で、でも!」

「…それに敵はあいつだけじゃねぇようだぞ」

「そう言うことだ!」

バーダックがそう言った瞬間、ヴィータが背後からなのはを急襲する。

「くうっ…!きゃあっ!」

なのははバリアを展開するが、耐えきれずに吹き飛ばされてしまう。

「なのはっ!…あっ…くっ…」

さらになのはに気を取られていたフェイトに上空からシグナムが切りかかる。

「…やはりあいつだけに責任を押し付ける訳にはいかない。お前達の相手は私たちがさせてもらうぞ!」

(くっ…やっぱり強い…!でも今負けるわけには…!)

「おい!お前ら絶対に負けるんじゃ───」

そう言いかけた時、背後から大猿が殴りかかる。バーダックは手を交差させ攻撃を防ごうとするが、大猿の巨体から繰り出される攻撃を防ぐことはできず、ビル群に叩きつけられてしまう。

「バーダックさん!」

「どこを見ているっ!」

「くっ…!」

ついに様々なな想いや思惑が交錯する中、戦いの火蓋が切って落とされた。バーダック達は、闇の書の完成、そして大猿と化したパラガスを止めることが出来るのであろうか。

 

 

〜〜〜

 

 

「くそっ…あの野郎なんて馬鹿力だ…!」

バーダックは半壊したビルの残骸の中からゆっくりと起き上がる。

(やはり正面からでは駄目だ…。一度奴の視界から外れて───)

「そこかっ!」

バーダックが動き出そうとした時、バーダックの脳天に巨大な拳が振り下ろされる。

(くそっ…速い!)

バーダックは攻撃を避けつつパラガスの側面に回り込もうとするが、パラガスは素早く上体をそらし、バーダックに蹴りを叩き込む。

「があぁぁっ!」

今度は受け身を取ることができずに地面に打ち付けられる。そしてパラガスは立ち上がる前にバーダックの足を掴むと、体を回転させ空中へ投げ飛ばし、口にエネルギーを溜め込む。

「くっ…!なんとか体勢を…ぐっ!」

バーダックは全身から気を放ち、自身のスピードを相殺し体勢を立て直す。しかしそれと同時にパラガスの口から高威力のエネルギー波が放たれる。

「これで終わりだっ!」

「なっ!くそっ…!」

凄まじいスピードでバーダックに迫るエネルギー波だったが、バーダックは寸前で回避する。そして背後のビルにエネルギー波が直撃すると、辺り一体が光に包まれ、凄まじい音と爆風を発生させる。

「…あの短時間の溜めでこの威力か…クソッタレ…」

「どうした!逃げるので精一杯か!」

(…くそっ…早く尻尾を切らねぇと体が持たねぇ…だが奴は理性がある上に気を読みやがる…下手な小細工は通用しねぇ…)

「…分かっているぞ。俺の尻尾を狙っているんだろう!無駄なことはやめろ!理性のある俺の尻尾を切るのは絶対に不可能だ!」

「…お見通しって訳か…。へっ…こりゃ骨が折れるぜ…」

バーダックは己の不利を悟りながらも、勝機を掴むべくパラガスへの突撃を敢行する。しかしバーダックは忘れていた。彼らの敵はパラガスだけではないという事を…

 

 

***

 

 

「シグナム達どうしたんやろな…」

すぐに戻ると言っていたのだが、ブロリーをはやてに預けて病室を出ていってから既に数時間が経過していた。

「あーう…」

「大丈夫やでブロリー。もうすぐ皆揃って帰って来るから。だからなんも心配することなんてない。…なんも心配することなんてないからな」

 

はやては自分自身にも言い聞かせるようにぎゅっとブロリーを抱き寄せる。

 

「せや、ブロリーお腹空いたやろ?売店にご飯買いに行こか」

 

先程まで不安そうな表情を浮かべていたブロリーだったが、ご飯と聞いた途端に目を輝かせて喜ぶ。

 

「ふふっ、ちょっと待っててな。今準備を───」

その時だった。はやての周囲に突然不気味に光る魔法陣が広がり、二人を包み込む。

「な、なんや…これ…!」

この部屋にいてはならない。そう本能が訴えるが、足の不自由なはやてが逃げ出せるはずがなかった。

「ブロリー大丈夫や!私が…私が守るからな…!」

なんとかブロリーだけでも守ろうとブロリーに覆い被さる。しかし部屋は眩い光に包まれ、無慈悲に二人を病室から連れ去ってゆくのだった。

 

 

***

 

 

バーダックとパラガスの戦いは熾烈を極めていた。大猿と化したパラガスに対しバーダックは上手く立ち回り、徐々に攻撃を加えていた。しかし、圧倒的な戦闘力を持つパラガスにバーダックは徐々に追い込まれていた。

(…くそっ…全く隙がねぇ…)

「しぶとい奴だ……だが息が切れ始めた様だな…!」

(くそっ…こうなりゃ一か八かやってみるしか───!?)

「どうした!来ないならこちらから行くぞ!」

「ま、待てパラガス!」

「へっ…!そう言って逃げ出すつもりか!そうはさせんぞ!」

「馬鹿野郎!気を感じてみろ!…この気は仮面の奴らの気だ。…それにお前の仲間の気が…」

「ま、まさか……シ、シグナムとシャマルの気が…くそっ!」

「あっ!待ちやがれ!…くそっ…どうなってやがる…!」

バーダックはは飛び去るパラガスを追いかけ、フェイト達の元へと急ぐ。全く予想していなかった出来事に、酷く不吉な予感がバーダックの背筋を伝うのだった。

 

 

***

 

 

「うっ…こ、ここは…」

はやてが目を開けると、そこには自分を見下ろすなのはとフェイトがいた。その足元には倒れ込むザフィーラと、空中に磔にされているヴィータの姿もあった。

「ヴィータ!ザフィーラも…!な、なのはちゃん…フェイトちゃん…?何なん…何なんこれ…!」

「君は病気なんだよ。闇の書の呪いって病気。」

「もうね、治らないんだ」

「闇の書が完成しても助からない」

「君が救われる事はないんだ」

「うっ…うう…」

 

薄々自分でも気付いていた事だったが、まだ小学生のはやてが面と向かって死を宣告されて辛くない訳がなかった。

 

「そんなん…そんなんええねん…。ヴィータを離して…!ザフィーラに何したん…!」

「この子達はね、もう壊れちゃってるんだ」

「とっくに壊された闇の書の機能を、まだ使えると信じ込んで無駄な努力を続けてた。…あのパラガスとか言う人間も含めてね」

「無駄ってなんや!シグナムは…シャマルは…!」

「…後ろ」

 

フェイトが指を指す方向を見ると、そこには二人が消えてしまった事を突き付けるかのように、シグナムとシャマルが着ていた衣服だけが無造作に置かれていた。さらにその背後では、パラガスが初めに着ていた衣服を纏った怪物が街を暴れ回っている。

 

「嘘……こんなこと……」

「壊れた機械は役に立たないよね。だから壊しちゃおう。…まぁ、その赤ん坊ぐらいは助けてあげてもいいかな」

 

二人はそう告げると、ヴィータの喉元に魔力の刃を突き付ける。

「やめて…やめてぇぇぇぇぇぇっ!」

「止めて欲しかったら」

「力ずくでどうぞ」

「なんで…なんでこんなん…!」

「…はやてちゃん。運命って残酷なんだ。」

「駄目!やめて…やめてぇぇぇぇぇっ!」

はやての必死の訴えも虚しく、ヴィータとザフィーラの姿は轟音と光の中へと消え去ってゆく。

 

「うっ…うう…っ…うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

そして仮面の男達の思惑通り、闇の書の覚醒が始まる。髪は銀色に染まり、身体は成人のものへと変化する。さらに漆黒の翼とバリアジャケットを纏い、つり上がった赤眼からは一筋の涙が流れていた。その堕天使を彷彿とさせる姿に、最早はやての面影はなかった。

「…よし。これでいい」

「はやてちゃん!」

「はやてっ!」

ここで本物のなのはとフェイトがバインドから脱出しはやてに駆け寄るが、二人はその姿を見て遅すぎた事を悟る。

「…また…全てが終わってしまう。一体幾度こんなことを繰り返せばいい…」

「はやてちゃん…」

「我は闇の書。我が力の全てで…主の願いをそのままに……。…デアボリック・エミッション…」

そう呟くと、闇の書は右手に魔力を収縮させていく。その時丁度バーダックとパラガスがフェイト達と合流する。

「おいお前ら!」

「あっ!バーダックさん…!それと…パラガスさんですよね?」

「ああそうだ。それよりこれはどういう事だ!シグナム達はどうした!?」

「お、落ち着いてください!それよりもうすぐ空間攻撃が来ます!今すぐ防御を…!」

「あっ…フェイトちゃん!闇の書さんの足元に居る子、ブロリーちゃんじゃない!?」

「ほ、本当だ!今あんな所に居たら…」

「っブロリー!今行くぞ!」

「あっ!パラガスさん待って!」

「追いかけるな!あいつは簡単にくたばる奴じゃねぇ!それより自分の身を守れ!」

「…闇色に染まれ」

 

闇の書が拳を握り締めると、落雷のような轟音を響かせ辺り一体に黒い魔力爆発がなのは達を包み込む。そんな様子を仮面の男達は離れた場所から監視していた。

 

「まさかあんな化物が現れるのは計算外だったが…ここまでは上手くいったな」

「ああ。それよりも持つかな…なのは達」

「暴走開始の瞬間までは持って欲しいな…」

作戦がひと段落し安堵したその時、男達は急に出現したバインドによって拘束されてしまう。

「くっ…これはっ…!」

「…ストラグルバインド。相手を拘束しつつ、強化魔法を無効化する…あまり使い所のない魔法だけど…こういう時には役に立つ…」

「がっ…ぐううぅっ!!」

クロノが杖を回転させると、変身が解かれ仮面が剥がれ落ちる。仮面の男達の正体を見たクロノの表情は複雑なものだった。

「クロノ…!このっ!」

「こんな魔法…教えてなかったけどな…」

「一人でも精進しろと教えたのは君たちだろ……アリア、ロッテ…」

 

〜〜〜

 

 

なんとか空間攻撃から脱出し、ビルの陰に隠れた三人だったが、フェイトを庇ったなのははダメージを受けてしまっていた。

「なのは…ごめん…。ありがとう、大丈夫?」

「うん…これぐらい大丈夫…。それよりバーダックさん、パラガスさん達は…」

「…奴らの気を感じる。まだくたばってはいねぇようだな」

「そうですか…よかった…」

(…だがあの野郎…今ので尻尾を無くしやがったな…。気がガクンと落ちてやがる…)

「…それと丁度お仲間か二人来やがったぞ。」

「なのは!フェイト!」

「あっ、ユーノ君!アルフさん!」

「よかった…皆無事で──」

アルフがそう言いかけた時、突然周囲に突風が吹き付ける。

「くっ…これは…!?」

「前と同じ閉じ込める結界だ!」

「やっぱり私たちを狙ってるんだ…!」

「今クロノが解決法を探ってる。援護も向かっているんだけど、まだ時間が…」

「それまで私たちでなんとかするしかないか…。」

「それで、具体的に奴を倒す方法はあるのか…?」

「それもクロノが調べてるんですけど…。前にも言ったように、単純な破壊では意味がないんです。」

「…だが逃げ回っている訳にもいかねぇ。へっ…今は奴をぶん殴って眠らしちまうしかねぇだろ?」

「…まぁそういう事になりますが…」

「ならこんな所に隠れてねえでとっとと打って出るぞ。…お前ら、返り討ちにされて面倒を増やすんじゃねぇぞ」

「そういうあんたも調子に乗ってやられないようにね…!」

「大丈夫です。今度は前のような失敗はしませんから…!」

「うん…なんとかしてはやてちゃん達を助けよう!」

「…よし。行くぞ!」

バーダックの一声で、全員が一斉に闇の書へ向かって行く。

 

だがこの時バーダックはまたも重大な事実を見落としていた。それもそのはず、今その力の持ち主は小さく弱い。だが、度重なる偶然の積み重ねが、内に秘めた悪魔の力を呼び起こそうとしていた。




どうも。顔芸です。
それにしてもはやてがリーゼ達に追い詰められるシーンは何度見ても心が痛いですね。特に私は八神家大好きなので初めて見た時は精神ダメージがでかかったです。

さて本編ですが、今回はラストの文が全てですw
察しの良い方はなんの事か分かると思います。
それと前話で戦いの火蓋が切って落とされたと書いたはずが、書いてみたら戦闘少なめの回になってしまいました。次回からは今度こそ戦闘回になるはずです…。

今回はこんな所でしょうか。次回も読んでくださると嬉しいです。
それでは。
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