リリカルな戦闘民族 (ドラゴンボールZ×リリカルなのは)   作:顔芸の帝王

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第十五話 終わりの始まり

バーダック達が闇の書と交戦している頃、闇の書の空間攻撃からブロリーを庇おうとしたパラガスは尻尾を失ってしまい、人間の状態に戻ってしまっていた。

 

「くっ…尻尾を持っていかれたか……そうだ!ブロリーは…?」

 

パラガスが辺りを見渡すと、ブロリーは屋上の端まで吹き飛ばされ、うつ伏せに横たわっていた。

 

「ブロリーっ!」

 

パラガスがすぐに駆け寄ったその時、パラガスは恐ろしさのあまり背筋が凍りつく。目の前に居るのは紛れもなく最愛の息子。しかしブロリーの姿は既に人間の物ではなかった。全身から体毛が生え、肢体は赤子のものとは思えないほど筋肉が膨張している。しかし、パラガスが最も恐れたのはブロリーから溢れ出す桁外れのエネルギーだった。大猿になった事による戦闘力の上昇を考慮しても、明らかにサイヤ人の戦闘レベルを上回っていた。

 

「…あ…ああ……!」

 

あまりの戦闘力にパラガスは絶句しその場に立ち尽くしてしまう。

(馬鹿な…こ、こんな事が…)

しばらく立ち尽くしていたパラガスだったが、大猿の叫び声でハッと我に返る。

「し、しまった…!大猿化の前に尻尾を切るべきだった…!」

しかし時すでに遅し。パラガス一人では完全に大猿になってしまったブロリーを押さえつけることなど不可能だった。

 

 

〜〜〜

 

 

「でりゃぁぁぁぁっ!」

バーダックの拳が闇の書の頭部に向けて放たれる。それに対し闇の書は魔力障壁を生成し、バーダックの拳を弾く。

だが、バーダックの攻撃によって生まれた隙を突きユーノがチェーンバインドで闇の書を拘束する。

「…砕け」

闇の書が小さく呟くと、補助魔法を得意とするのユーノのチェーンバインドですらガラス細工のように一瞬で砕け落ちる。しかし、なのは達もこの程度は予想の範囲内。さらにその隙を突きなのはとフェイトが追い討ちをかける。

「今だ…!ファイア!」

「ディバイン…バスターッ!」

「…盾」

左右から急速に迫る呪文を目にしても、闇の書の表情に焦りはない。両手を勢いよく左右に振りかざすと、二人の魔法ですら呆気なくかき消されてしまう。それどころか、闇の書は攻撃を防ぎながらなのは達に反撃を仕掛ける。

「…穿て。ブラッディダガー」

闇の書の周囲に朱色の苦無が出現し、蜘蛛の巣のような不規則な軌道でバーダック達に襲いかかる。それらはかなりのスピードで接近してきたが、紙一重のところでなのは達は障壁、バーダックは気合砲で命中を防いだ。

 

「…強い…なのはと同時に攻撃しても防がれるなんて…」

 

なのは達が息をつく間もなく、闇の書は次の呪文の詠唱を開始する。

 

「咎人達に…滅びの光を…」

闇の書がかざした先に、桃色の魔力が収縮されてゆく。

「星よ集え…全てを撃ち抜く光となれ…」

「あれは…まさか…!」

「スターライト…ブレイカー…?」

「まずい…皆離れて…!」

(いや…これは逆に好機だ…今しかねぇ!)

 

先程から闇の書に攻撃を仕掛けてはいるが、殆どが魔力障壁によって防がれてしまっている。バーダック達の攻撃は全力攻撃ではないが、あれだけあっさりと攻撃を防がれてしまう以上、正面から攻撃するだけではこちらがジリ貧になるのは必至だった。バーダックは闇の書が発動の遅いスターライトブレイカーを詠唱している今こそが攻撃のチャンスだと考えたのだ。

 

「バーダックさんも一度退避してください!あれを至近距離で食らったら防御の上からでも落とされます!」

「なら奴が技を出す前にぶっ倒すまでだ!」

バーダックは掌にエネルギーを素早く収縮させ闇の書の背後に回り込む。

「その技を使ったのは失敗だったな!」

「…!」

流石の闇の書もバーダックの反撃は予想外だったようで、闇の書は思わず驚いた表情を見せる。それを見たバーダックは奇襲が成功したことを確信し、エネルギー弾の発射体勢をとる。闇の書もスターライトブレイカーの詠唱を中止し障壁を展開しようとするが、既に手遅れであった。

「こいつで終わりだっ!」

バーダックが技を繰り出そうとしたその時、なのはの叫び声がバーダックの動きを止める。

「バーダックさん!うしろっ!!」

「…何!?」

バーダックが振り向くと、緑色のエネルギー波が高速で迫っていた。バーダックは紙一重で回避するものの、凄まじい余波によって吹き飛ばされてしまう。

「ぐっ…くそっ…!」

 

バーダックが体勢を立て直してエネルギー波が発射された方角を見ると、そこには居るはずのない大猿が雄叫びをあげながら無差別に街を破壊していた。

 

「なっ…大猿だと…!」

「バーダックさん!どうしてまたあの怪物が…!パラガスさんはあの姿から戻ったはずじゃ…」

その時、大猿の方角から一人の男がこちらにやって来る。

「お前達、大丈夫か!」

「あれっ!?パラガスさん!」

「あっ…こいつ!」

 

事情を知らないアルフはパラガスを見て警戒態勢をとる。

 

「あ、アルフさん待ってください!パラガスさんは今は…」

「信用のない俺が言える立場ではないが…今はお前達と戦うつもりは無い」

「…本当だろうね…」

「そんなことよりパラガス!あの大猿はなんだ!」

「…あれは俺の息子、ブロリーだ」

「なっ…!」

「えっ…」

「あれが…ブロリーちゃん…?」

「…ああ。サイヤ人は尻尾さえ生えていれば赤子でも大猿になる。…だが問題はそんなことではない。バーダック、お前なら分かるだろうが…ブロリーの戦闘力は…」

「…なるほどな…こりゃ王がビビるわけだぜ…」

「どういう事ですか…?」

「…今一から説明している時間はない。要するにブロリー…あの大猿はとんでもない戦闘力があるという事だ。…俺やバーダック以上にな」

「そんな…バーダックさん以上…」

パラガスが説明し終わると、大猿がこちらに向かって倒壊したビルの屋上部分を投げつけてきた。原始的な攻撃だが、大猿が行えば並みのエネルギー波よりもずっと速く強力な技である。

「はあっ!」

咄嗟にパラガスがエネルギー弾を放ち、投げつけられたビルを粉砕する。

「…言い忘れていたが今のブロリーには理性がない。ただ目に見える物を破壊し尽くす怪物だ」

「…そうか…あの子は私と同じなのだな…」

 

ブロリーの攻撃によって吹き飛ばされていた闇の書もなのは達の背後にやって来る。

 

「闇の書さん…!」

「ブロリーの相手は俺とバーダックがする。お前達は闇の書を…はやてを頼めるか?」

「はい…!必ず助け出して見せます!はやてちゃんも…ヴィータちゃん達も!」

「…ああ、頼んだぞ」

そう小さく呟くと、バーダックとパラガスは今のブロリーに向き直り構えをとる。

「…バーダック。理性がないといってもブロリーの戦闘力は桁外れだ。気を抜くなよ」

「へっ…てめぇも息子だからって手を抜いて殺されるんじゃねぇぞ。」

「グオォォォォォッ!」

「行くぞっ!」

 

大猿の雄叫びを合図に戦闘が再開され、なのは達が一斉に動き出す。ブロリーの暴走によってさらに悪化した戦況に、バーダック達はどう戦って行くのだろうか。

 

***

 

一方本局では、クロノによってグレアムとリーゼ達への尋問が行われていた。

 

「11年前の闇の書事件以降、提督は独自に闇の書の転生先を探していましたね…。そして見つけた…現在の主、八神はやてを」

「……」

「しかし、完成前の闇の書と主を抑えてもあまり意味がない。主を捕らえようと、闇の書を破壊しようと、すぐに転生してしまうから。だから監視をしながら闇の書の完成を待った。…見つけたんですね。闇の書の永久封印の方法を…!」

「…両親に死なれ体を悪くしたあの子を見て、心は痛んだが…運命だと思った。孤独な子であればそれだけ悲しむ人も少なくなるからな。」

「あの子の父の友人を語って生活の援助をしていたのも…提督ですね?」

 

そういうとクロノは、はやてからグレアムに送られていた手紙と写真を取り出す。写真にははやてと騎士達、それにパラガス親子の幸せそうな姿が写っていた。

 

「…永遠の眠りにつく前くらいは…幸せにしてやりたかった……偽善だな」

「封印の方法は…闇の書を主ごと凍結させて、次元の狭間か氷結世界に閉じ込める。…そんなところですね?」

「…そう。それならば闇の書の転生機能は働かない…」

「これまでの闇の書の主だって、アルカンシェルで蒸発させたりしてんだ!それと何も変わらない!」

「…クロノ。今からでも遅くない。私たちを解放して…!」

「その時点では闇の書の主は永久凍結をされるような犯罪者じゃない…違法だ!」

「そんな決まりのせいで!悲劇が繰り返されてんだ!クライド君だって…あんたの父さんだってそれで…!」

「…ロッテ」

クロノの甘いとも取れる発言に怒りを示すロッテをグレアムはなだめる。

「…クロノは一時の感情で物事を考えるほど子供ではない。何か考えがあるんだろう?」

「…まず法以外にも提督のプランには穴があります。まず、凍結の解除はある程度力のある魔導師であればそう難しくないはずです。どこに隠そうと…どんなに守ろうと…いつかは誰かが見つけて使おうとする。怒りや悲しみ、欲望や切望が、封じられた力へ導いてしまう…少なくとも、騎士達と共に生活をしていたあの二人は何かしらの行動を起こすはずです」

「………」

 

クロノの発言に、グレアム達は反論することができなかった。

 

「現場が心配なので…すみません、これで失礼します。」

「クロノ!」

「…はい。」

「アリア、デュランダルを彼に」

「父様っ…!」

「そんな…」

「私たちにはもうチャンスは無いよ。持っていたって役には立たん」

 

アリアはデュランダルを取り出すと、渋々クロノに差し出す。

 

「氷結の杖、デュランダルだ。どう使うかは君に任せる。有効に使ってくれ」

「…お気遣いありがとうございます。提督のプランが無くても、必ず闇の書の暴走を食い止めて見せます」

「…何か策があるのか?」

「いえ…具体的な永久封印の方法については何も…ですが、今回はなぜか上手く行くような気がするんです。…悲しい運命なんて捻じ曲げてしまうような協力者達がいますから」

「…なのは君達の事か?」

「…それともう一人。どんなに過酷な運命を突きつけられても、決して諦めなかった人がいます。…雲を掴むような話ではありますが、今回は彼らの強い精神に賭けてみようと思います」

「……そうか」

「では…今度こそ失礼します」

 

クロノは足早に部屋を出ると、急いで現場へと戻って行った。

 

「…父様…これでよかったのですか?」

「…私も賭けてみたくなったんだよ。クロノにあそこまで言わせた、なのは君達やあのバーダックという男にね…」

グレアムは吹っ切れた表情でリーゼ達にそう告げ、クロノ達の勝利を切に願うのであった。




どうも顔芸です。
今回は一応戦闘回でしたが…本格的に戦闘回に入るには字数的に無理がありました…。
次回こそ本格的な殺戮ショーです。果たしてバーダック達は生き延びる事ができるのでしょうか。戦闘回は相変わらず苦手なのでいつもより更新が遅れてしまいかもしれませんが、次回も読んでくださると嬉しいです。
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