リリカルな戦闘民族 (ドラゴンボールZ×リリカルなのは) 作:顔芸の帝王
「くそっ…!この野郎!」
バーダックは次々に振り下ろされる拳をなんとか回避してゆく。パラガスが大猿になった時とは違い、ブロリーには理性が無いため攻撃は単調であるが、パワーやスピードがパラガスとは桁違いであり、バーダックは防戦一方になっていた。
「そこだぁっ!」
パラガスが背後から連続エネルギー弾を発射し、バーダックを援護する。
「…効いたか…?」
エネルギー弾が巻き上げた土煙が段々と晴れてくる。パラガスはブロリーの反撃を警戒していたが、煙の中から現れたブロリーはパラガスの攻撃など意に介さず、バーダックを攻撃し続けていた。
「なっ…ダメージどころか注意すら引けんとは…バーダック!絶対に当たるなよ!」
「くっ!分かってる!」
バーダックは相変わらず攻撃を避け続けていたが、最初のパラガスから受けたダメージもあり、段々と集中力が切れ始めていた。
(一度奴の視界から外れねえと埒が明かねえ…!だがこの野郎…くっ…俺ばかり狙ってきやがって…!)
「グオオオオオオッ!」
バーダックが回避した拳が背後のビルに直撃し、大量の瓦礫が飛散する。普段のバーダックにとっては他愛もない出来事だが、今のバーダックはブロリーの執拗な攻撃によって集中力を欠いている状態であった。そんな中、バーダックは自らの上半身ほどのコンクリート片を回避するために、ブロリーから一瞬目を離してしまう。
「…しまった!」
バーダックが目を離したのは確かに一瞬だった。しかし、このレベルの戦闘において僅かでも隙を見せれば致命傷は免れない。
ブロリーはバーダックを鷲掴みにし、狂ったように何度も建物や地面に叩きつける。コンクリートに激突するたびに、辺りにバーダックの叫び声が辺りに響く。そしてしばらくバーダックを叩きつけた後、今度はバーダックを握り潰そうと両手でバーダックの体を締め付ける。
ブロリーの凄まじい握力によって、バーダックの体からミシミシと嫌な音が発せられる。
「があぁぁぁっ!」
「バーダック!このっ…!」
パラガスは尻尾を引きちぎろうと、ブロリーの背後に回り込み、綱引きの要領で逆方向へ思い切り引っ張る。
(よし…!このまま一気に引き抜いてやる!)
「ガァァァァッ!」
いくらブロリーに意識がないと言っても、弱点の尻尾を握られてはパラガスの行動を見過ごすはずがなく、尻尾を左右に大きく揺らし振り落とそうとする。
(くっ…!流石に抵抗するか…だがもう少しで尻尾を───)
しかし、なかなか尻尾を離さないパラガスに対し、ブロリーは脳天に拳骨を叩き込む。尻尾に気を取られていたパラガスが避けられるはずもなく、鈍い音を立てて地面に叩きつけられてしまう。
「…今だっ!はぁぁぁぁっ!」
「グォォォォ…!」
しかし、ブロリーがバーダックから片手を離した隙に、一気に気を放出しブロリーの手中から脱出する。ブロリーが怯んでいる間にバーダックは地面に伏しているパラガスを連れ出し、少し離れたビルの陰に隠れた。
「はぁっ…はぁっ…くそっ…始める前から分かっていたが…俺たちの攻撃も全く通用しない上に動きも読まれている…万事休すか…」
「馬鹿野郎…戯言を言ってる暇があったら一つでも策を考えろ!」
「分かっている…!そう言うお前には策はあるのか?」
「…まあな。いいか、よく聞いてろよ。今度は俺が───」
バーダックはパラガスに淡々と策を説明してゆく。それは策と言うにはあまりにも簡素なものだったが、今考えられる中では最も現実味のある作戦であった。
「内容は分かったが…囮になるのはダメージの少ない俺の方がいいのではないか?」
「…いや、奴はなぜか俺ばかり狙ってきやがる。注意を引くなら俺の方がいい。…それに気のコントロールはお前の方が得意だろうが。」
「それはそうかもしれんが……いや、今はお前の策を信じるとするか…」
「ああ…。お前も絶対にしくじるんじゃねぇぞ」
バーダックは真紅の鉢巻をギュッと締めなおすと、ビルの陰から飛び出し大声をあげてブロリーに突貫する。ブロリーはすぐにバーダックに気付き、口からエネルギー波を放ち迎撃する。
(よし…上手く注意を引いているようだな…)
バーダック達の作戦はこうだ。まず先程から優先的に狙われているバーダックがブロリーを引き付ける。その隙にパラガスが気を集中させ、刃物のような鋭いエネルギー弾を生成する。後はブロリーに悟られない内にエネルギー弾で尻尾を切ってしまうというものだ。言うだけなら簡単な作戦だが、この作戦には大きな問題があった。まず、囮となるバーダックの体力が大きく削られてしまっていることだ。しかも、パラガスの攻撃を当てるにはブロリーを一定の場所に留めておく必要があるため、バーダックは大きく飛行して逃げる事は避けなければならない。つまりバーダックは先程よりも体力を消費した状態で、ブロリーの近接攻撃を回避し続けなければならないのだ。
(頼むぞ…!なんとか耐えてくれ…)
「だりゃあぁぁぁぁ!」
バーダックはブロリーのエネルギー波を回避し、ブロリーの懐に飛び込むと、タイミングよく拳や蹴りを回避してゆく。しかし、傷を負ったバーダックには限界があり、すぐに動きに余裕がなくなってくる。
(こいつでどうだっ!)
バーダックはブロリーの攻撃がわずかに大振りになった瞬間に小さな気弾を投げつける。大した威力のない技だが、的確に目を狙ったことにより一時的にブロリーの視界を奪うことに成功した。
「グオォォォ…!!」
(よし…!そのまま怯んでろ…!)
バーダックはブロリーの動きが止まることを期待していたが、予想に反してブロリーはその場で狂ったようにエネルギー弾を乱射し始める。一瞬で周辺は更地となり、余計に手が付けられない状態になってしまう。
(クソッ…パラガスの野郎はまだか…早くしやがれ!)
これ以上は持たない。そう思った矢先、エネルギー弾の準備が完了し、パラガスから指示が飛ぶ。
「よし、完成したぞ!避けろよバーダック!」
「分かってる!早く撃っちまえ!」
「はあぁぁぁっ!」
パラガスは大きく腕を振りかぶり、尻尾へ向かって放つ。別世界のとある武道家の技によく似たそれは、横方向に弧を描きブロリーに急接近する。
「「当たれっ!」」
これを外せばブロリーを倒すのは絶望的。パラガスは全神経を集中させエネルギー弾を操作する。そして見事に尻尾を切断する────はずだった。
「なっ…!」
自衛の本能か、それとも全くの偶然か。ブロリーはまるで回避するかのようにエネルギー弾が当たる直前に大きく跳躍する。
「クソッタレ…!」
バーダックはエネルギー弾が外れたと思い再び攻勢に出ようとしたその時、パラガスは叫び声を上げて腕をグッと引き寄せる。
「まだだっ!はあっ!」
すると一度は回避されたエネルギー弾が急旋回し、再びブロリーに向かって飛んでいく。そして───
〜〜〜
「ふう…やっと終わったか…全くとんでもねぇガキだ…」
パラガスのエネルギー弾は見事にブロリーの尻尾を捉え、先程まで凄まじいパワーで暴れ回っていた大猿は、パラガスの腕の中ですやすやと眠っていた。
「お前まで巻き込んでしまってすまなかったな…。それにしてもなぜブロリーが結界内に…」
「俺も見たわけじゃねぇが、さしずめあの猫…仮面の男の仕業だろうな」
「まあ、そう考えるのが妥当だろうな。一体何の目的で…そうだバーダック!はやてやシグナム達は一体どうしたんだ!それにあの黒い女は…」
「俺も詳しい事は知らねぇが、お前と戦っている時に仮面の男が騎士共を蒐集して闇の書を完成させたんだろうな」
「なっ、なぜそんなことを…」
「考えてもみろ。奴らはお前達の助けになるような事ばかりしていただろ。理由は知らねぇが闇の書を完成させようとしていたはずだ」
「それが解せんのだ。闇の書は完成した本人にしか力を引き出せないはず…赤の他人の奴らが協力する義理などないはずなのだが…」
「…お前達…やはり知らなかったようだな」
「…どういう事だ?」
「いいか。今の闇の書を完成させてもお前達の期待しているような事にはならねぇ。大猿になった俺達のようにただ破壊を続ける…それだけだ」
「なっ…!ど、どういう事だ!」
思わぬ発言に困惑するパラガス。そんな様子を見かねたバーダックは、自分が知る限りの情報をパラガスに伝えた。闇の書の悪意ある改変、現在の闇の書の特性、そして避けられないはやての死。バーダックの言葉に、パラガスは言葉を失ってしまう。
(そうか…これがあの時のヴィータの言っていた…)
〜〜〜
「…ねえ。闇の書を完成させてさ……はやてが本当のマスターになったらさ、それではやては幸せになれるんだよね……」
「なんだいきなり」
「闇の書の主は大いなる力を得る。守護者である私たちは、それを誰より知ってるはずでしょ?
「そうなんだよ……そうなんだけどさ…。私はなんか、大事な事を忘れてる気がするんだ…」
〜〜〜
(…そうか…あれはそう言う意味だったのか…)
「俺が知ってるのはこれぐらいだ。…さて、俺はもう行くぞ。お前はどうするんだ?」
「………俺も行く。絶望的ではあっても、今立ち向かわなければ可能性を捨てる事になる。ブロリーを危険に晒す事になるかもしれんが、ブロリーもそれを望んでいるはずだ」
「へっ…それでこそサイヤ人だ」
バーダックはパラガスの期待通りの言葉を聞き小さく笑みを浮かべ、戦闘の光が見える方角を見上げる。
「あいつら随分遠くへ行きやがったな。よし…行くぞパラガス!」
「ああ!」
バーダックとパラガスはこうしてなのは達の元へ向かう。二人は度重なる連戦で体は疲弊しきっていたが、一点の曇りもない戦士の眼差しで戦地を見つめていた。
闇の書を相手に苦戦を強いられている二人。そんな時、エイミィから二人に通信が入る。
『なのはちゃん、フェイトちゃん!クロノくんから伝言、闇の書に…はやてちゃんに投降と停止を呼びかけてって!』
「はい!わかりました!」
そう言うと二人は早速闇の書に念話を飛ばす。
『はやてちゃん、それに闇の書さん!止まってください!ヴィータちゃん達を傷つけたのは私達たちじゃないんです!』
『シグナム達と私達は…!』
言葉が届いたのか、闇の書の動きが止まる。
「我が主は、この世界が…自分の愛する者達を奪った世界が…悪い夢であって欲しいと願った。我はただそれを叶えるのみ…。主には、穏やかな夢の内で永遠の眠りを…」
闇の書はそう呟くと足元に漆黒の魔法陣を出現させる。
「そして…愛する騎士達を奪ったものには…永遠の闇を…!」
「闇の書さん!」
「お前も…その名で私を呼ぶのだな…」
「えっ…」
その時、足元からコンクリートを突き破りワイヤーのようなものが体に絡みつき、二人を吊し上げる。
「うっ…くっ!」
「私は、主の願いを叶えるだけだ。」
「願いを…叶えるだけ?そんな願いを叶えて、はやてちゃんは本当に喜ぶの!?」
なのはは拘束されながらも、強い眼差しで闇の書を見据えて異論を叶える。
「心を閉ざして何も考えずに、主の願いを叶える道具でいて…あなたはそれでいいの!?」
「我は闇の書…ただの道具だ。」
「だけど…言葉を使えるでしょ!?心があるでしょ!そうでなきゃおかしいよ…本当に心が無いんなら、泣いたりなんかしないよ!」
なのはの言葉通り、闇の書は表情こそ変わらないものの、その目からは一筋の光が頬を伝っていた。
「その通りだ!」
なのは達の元にたどり着いたバーダックとパラガスが、気功波でなのは達の拘束を解く。そしてパラガスはなのは達の前に立ち、闇の書に訴えかける。
「俺は魔法やお前の事はよく知らんがな…はやての事はよく知っているつもりだ!はやては俺たちがどんな種族か知っても決して突き放そうとはしなかった!病気で自身が辛くなっても泣き言一つ漏らさずお前達のマスターで…家族であろうとしたんだ!だから…お前の事も絶対に暖かく迎えてくれるはずだ!」
「パラガスさん…」
「…受け入れてもらわなくてもいい。私は道具。この涙は主の涙だ。悲しみなど…無い」
「悲しみなど無い…?そんな言葉をそんな悲しい顔で言ったって…誰が信じるもんか!」
「あなたにも心があるんだよ…!悲しいって言っていいんだよ!パラガスさんの言う通り、はやてちゃんはそれに答えてくれる優しい子だよ!」
「だからはやてを解放して武装を解いて!お願い!」
(これは私の武装を解くための言葉…ではないのか…私も、こんな身の上で無ければこの者達と……)
なのは達の澄んだ眼差しに闇の書は一瞬心が揺らぐが、すぐにはっとして冷静に戻る。
(…私は何を考えているんだ。私は主の願いを叶える道具。それで良いのだ…それに…)
その時だった。突然地響きが発生したかと思うと、周辺の地面から無数の巨大な火柱があがる。
「あっ…!」
「な、なんだ…!?」
「思ったより長く持ったが…ついに崩壊が始まったか。私ももうすぐ意識を失う。そうなればすぐに暴走が始まる。意識のある内に、主の望みを叶えたい」
そう言うと闇の書はなのは達に魔法攻撃を仕掛ける。
凄まじい速度攻撃だったが、なんとか全員が上空へ回避し難を逃れる。フェイトはすぐに体勢を立て直すとバルディッシュを握りしめ反撃に出る。
「このっ…駄々っ子!言う事を…聞けっ!」
「待てフェイト!奴は何かするつもりだ!…クソッ…!てめぇも言う事を聞きやがれ!」
「…お前達も、我が内で眠るといい」
闇の書がそう呟くと、近接攻撃を仕掛けたフェイトと止めに入ったバーダックに異変が起こる。
「えっ…!何…これ…」
「ぐっ…意識が……!」
「フェイトちゃん!バーダックさん!」
二人の体が光に包まれて数秒後、その場から二人の体は消え、闇の書の中へ吸収されてしまった。突然の出来事に、残された二人は呆然と立ち尽くしてしまう。
「全ては…安らかな眠りの内に…」
「そ、そんな…」
「バーダック…!」
シグナム達だけでなく、バーダックとフェイトまでも闇の書へと吸収されてしまった。なのはとパラガスは、この状況を打破することができるのか?そして、失った仲間や家族を取り戻す事はできるのであろうか…?
どうも。顔芸です。
更新遅くなってしまい申し訳ないです。いやー大猿の戦闘シーンが難し過ぎて苦戦してしまいまして…。分かりづらいところや変なところがあるかもしれませんので、違和感があれば遠慮なく報告していただけるとありがたいです。
話は変わりますが、今のドラゴンボールってバーダックの超サイヤ人3なんて居るんですね…。私はヒーローズやってないので凄くびっくりしましたよ…。バーダックが人気なのは嬉しいですが、あれは流石にやりすぎな気がしますね(笑)
次はもう少し早く更新するつもりでいるので、次回もまた読んでくださると嬉しいです。