リリカルな戦闘民族 (ドラゴンボールZ×リリカルなのは) 作:顔芸の帝王
気がつくとバーダックはベッドで横になっていた。目を開けて確認しようとするが、凄まじい眠気と倦怠感に襲われ、目を開けることすら億劫になってしまう。
(なんだ…俺は確か…)
バーダックは少しずつ今の状況を整理しようと頭を回転させるが、寝起きの頭では数秒前に考えていた事すらすぐに忘れてしまい、全く考えがまとまらない。
(俺は何をしていたんだ…?)
暫くするとバーダックは人が集まってくるのを感じる。他人に寝ている所を見られるなど落ち着かないことこの上ないが、今回は不思議と落ち着いて眠っていることができた。
「全く…こいつは────だな。」
「ああ。ちょっと───」
(ん…この声は確か──)
どこか懐かしさを醸し出す声に、バーダックは思わず耳を澄ます。そしてもう少しで声の主の正体が掴めそうになったその時だった。
「バーダック!いい加減起きな!」
「うおっ!」
突然耳元で銅鑼を叩きつけたような特大の声が響きわたる。バーダックはたまらず飛び起き辺りを見回す。
「やっと起きたか。今何時だと思ってんだ!」
「なっ!お、お前ら…」
まるで母親のような小言を言った人物を見て、バーダックは驚愕する。
「トーマ…それにセリパ…なのか?」
「…それ以外に誰だって言うんだよ。」
「はぁ…こりゃダメだね…ほら、アンタ達も食ってばっかいないで言ってやってよ!」
セリパが声を発した方向を見ると大柄な二人の男、パンブーキンとドテッポが肉を貪っていた。
「ん…やっと起きたのか。まったくお前って奴は自分から呼び出しといて寝坊しやがって…まぁその間に飯を食えたからいいけどよ。なぁドテッポ?」
「………」コクン
(パンブーキンにドテッポまで…どういう事だ…?)
「ほら、待っててやるからお前もとっとと食うもん食って準備しちまえよ」
「…あ、ああ」
バーダックは状況が飲み込めずにいたが、言われるままにパンブーキン達の食事に混ざる。
「カカロットの奴今頃どうなってるかな…?」
「そうだな…案外俺たちより強くなっちまってるかもな」
「へへっ…流石にそりゃねぇだろ?」
「どうかな。あいつは最下級戦士だがなんたってこいつのガキだからな。全くありえないとは言い切れんぞ?」
「そうかもね…フフッ…会うのが楽しみになってきたよ」
「会うだと?お前ら地球に行くつもりか?」
「「「「……………」」」」
バーダックの一言に四人は突然言葉を失ってしまう。
「…おいトーマ、こりゃ重症だぜ…」
「ああ…そうみたいだな…」
「な、なんだお前ら…」
相変わらず事態を飲み込めずに困惑するバーダックに、セリパが背後からゲンコツをお見舞いする。
「っ…!な、何しやがる!」
「バーダック〜!お前って奴は〜!」
セリパは金切り声を上げてバーダックに詰め寄る。
「アンタが行くって言ったんだろうがっ!寝坊するだけじゃ飽き足らず約束事も忘れたのかい!?だいたいアンタは───」
「分かった!分かったから落ち着けっての!」
バーダックの静止に、セリパは不満げな表情を浮かべながらも一度引き下がる。ちょっとしたコントのような出来事にパンブーキンとドテッポは笑っていたが、トーマは少し心配しているようだった。
「お前本当に大丈夫か?あのカナッサ星人の術がまだ効いてるんじゃ…」
「…気にするな。少し寝ぼけていただけだ。」
「そうか。それならいいんだが…」
(クソッ…どうなってるんだ。今までのは夢…だったのか?)
バーダックは多くの謎に疑問を抱きながらも、久々の仲間との再開に安らぎを覚えるのだった。
〜〜〜
(やはりおかしい…)
バーダック達は地球に向かうために宇宙ポッド向かう事になったのだが、建物を出た瞬間に事態の異様さに気がつく。
そもそも殺されたはずの四人がこうして生きている事も十分におかしいのだが、仮に今までの出来事が夢であったならばここは惑星ベジータでなければ辻褄が合わない。しかし屋外に広がっていた景色には全く見覚えが無い。地球と惑星ベジータが混ざったようなおかしな景色にバーダックは困惑したが、他の四人はここにずっと前から住んでいたかのように街へと繰り出していく。
(落ち着いて考えろ…!俺は確か闇の書の女と戦って………そうだ!奴は確か…!)
『お前達も…我が内で眠るといい』
(なるほど…そう言う事か…)
「どうしたバーダック?さっきからボーッとしちまって?」
「おいトーマ…」
バーダックはついに夢の核心に迫ろうとしていた。果たしてバーダックは夢を終わらせる事ができるのであろうか…
***
その頃現実世界では、なのはと闇の書の接戦が繰り広げられていた。
なのはは隠していたエクセリオンモードも使用するが、闇の書の高い戦闘力にじわじわと追い込まれつつあった。
「きゃあっ!」
闇の書の攻撃を防ぎきれず、なのはは海面ギリギリまで吹き飛ばされてしまう。
「なのは、大丈夫か!やはり俺も…」
「ダメですよ…!パラガスさん怪我してるし、ブロリーちゃんを抱えながら戦うなんて無理です!」
「だがこのままでは…」
「一つ覚えの攻撃が通ると思ったか。」
「通す!レイジングハートが力をくれてる!命と心を賭けて答えてくれてる!泣いてる子を救ってあげてって!」
「なのは…お前…」
「アクセルチャージャー起動!ストライクフレーム!」
なのはが闇の書にレイジングハートを向けると、桃色の魔力光が先端部分と側面に現れる。
「エクセリオンバスターACS!」
「…っ!」
「ドライブッ!」
なのはは闇の書に向かって真っ直ぐに突き進む。闇の書は猛スピードで突貫してくるなのはを避ける事はできず、バリアを展開してなのはを停止させようと試みる。凄まじい音を立ててレイジングハートとバリアは激しくぶつかり合い、周辺一帯に火の粉が飛び散る。
「届いてっ!」
しばらく互いの力は拮抗していたが、なのはの願いに応えるようにレイジングハートが僅かにバリアを貫く。
「っ!まさか!」
「ブレイク……シュートッ!!」
なのはのエクセリオンバスターがゼロ距離で放たれる。強烈な音と共に巨大な光が闇の書を包み込む。
(くっ…凄まじいパワーだ!これなら…!)
(ほぼゼロ距離…バリアを抜いてのエクセリオンバスター直撃…!これでダメなら…)
『マスター!』
「えっ…」
辺りを包んでいた光が消えると、そこには平然とこちらを見下ろしている闇の書の姿があった。自分の最高レベルの魔法を受けてもほとんど外傷すらないことに心が折れそうになる。
「…もう少し頑張らないとだね。」
しかし、なのはは自らを奮い立たせると、再び強大な敵に向かってゆくのであった。
***
「おいトーマ、これは夢なんだろ?」
「はっ?どうしたんだ一体?」
「俺の知ってる記憶と辻褄が合わねぇんだよ。俺はこんな惑星は知らねぇし、何よりお前らもう死んだはずだ」
「突然何を…」
「俺はもう行くぞ。外に出てあいつをぶっ飛ばしに行く」
「………」
四人は否定も肯定もせず、ただ黙ってバーダックの言葉を聞く。
「どうすればここから出られる?お前ら何か──」
「…バーダック」
その時、トーマがバーダックの言葉を遮って話を切り出す。
「お前、ずっとここにいる気はないか?」
「…なんだと?」
「夢でもいいじゃないか。ここならばお前も俺たちも永遠に生きられる」
「そうさ。ここにはフリーザも居ないし、アンタの息子や会おう思えばアンタの新しい仲間にだって会える」
「この世界なら飯も食い放題だしな。それに強い奴らとも戦い放題だ!」
「………」
「なぁバーダック、そうしようぜ。お前もそれを望んでいるはずだ。なんたってここは────」
「…断る。ここがどんな世界だろうと、俺は夢の中に留まるつもりはねぇ」
「…なぜだ。ここに居ればずっと理想の未来が待っているんだぞ…?」
「…未来ってのは誰かに与えられる物じゃねぇ。自分の力を信じて勝ち取る。…俺の知っているお前らもそう言う奴だったはずだ!」
「………」
「第一にこんなのが理想の未来だと…?ふざけるなよ…腑抜けた偽物のお前らと永遠に生活するなんぞ…夢でなくとも願い下げだ!」
バーダックは怒りを顕にしてトーマ達を怒鳴りつける。それに対しトーマ達は少しの間黙っていたが、すぐにトーマは達は小さく笑うと、意外な言葉を口にする。
「……ふっ…そうか。変わらんなお前は。」
「やっぱりアンタは頭が硬いというか、頑固というか…」
「なっ…」
「なら早く行ってやれよ。待ってる奴がいるんだろ?」
「…どういうつもりだ…」
「俺達はお前が望んだ夢。お前がここから出たいというなら叶えてやるのが筋ってもんだろ?」
「トーマ…お前…」
「…と言ってもアタシ達もどうやって戻るかは知らないんだけどね」
「へっ…何、適当に暴れ回ってやればどうにかなるさ」
「そりゃいいね!ならアタシ達も──」
セリパがそう言いかけた瞬間、トーマ達の体がキラキラと輝き始める。そしてその光に呑まれるように、四人の体は足先から実体を無くしてゆく。
「お前ら…体が…!」
「…どうやら時間のようだな。いいかバーダック、お前に夢から覚めたいという意志があれば絶対にここから出られるはずだ。…俺たちが消えかけてるのも恐らくお前の意志が関係してるんだろう」
「………」
「ふっ…シケたツラするんじゃねぇよ。お前らしくもねぇ。」
「フリーザの奴は気に食わないけど、アタシ達は戦いの中で死んだんだ。サイヤ人として悔いはないさ」
「そういう事だ。ドテッポもそうだろ?」
「………」コクン
こうして話している間にも四人の体はどんどん薄くなってゆく。声も段々と小さくなり、今にも消え入りそうになっている。
「…今度こそ本当に時間のようだな。頼んだぞバーダック。お前は俺達の誇りだ!奴らに…サイヤ人の強さを…見せつけてやれ…!」
「トーマ…!」
「ふっ…できれば…見たかったな……お前が…戦う所…を……」
トーマは最期の力を振り絞りそう言い残すと、他の三人と同様に光の粒子となり空に消えて行く。バーダックはその様子を、ただ静かに眺めている事しかできなかった。完全に四人の光が無くなりふと四人がたっていた足下をみると、いつの間にか無くなっていた赤いバンダナが残されていた。
「………」
バーダックはそれを無言で拾い上げると、いつものように頭に強く縛り付ける。こうしていると四人が殺されたあの時を思い出す。寂しさは全く無いと言えば嘘になるが、だからといって感傷に浸るつもりも無かった。そんなことよりもやるべき事がバーダックにはあるのだ。
再び空を見上げると、青い空に黒い小さな点がある事に気がつく。
「あれが出口なのか…よく分からんがまぁいい…行くぞっ!」
バーダックは勢いよく点に向かって飛び立つ。すると近づくにつれ点はどんどん大きくなり、その正体が明らかになる。
「これは…!」
点だと思っていたそれは数十メートルの穴で、黒く見えていたのは外の景色であった。しかし、穴はバリアのようなもので遮断されており簡単には外に出してくれそうに無かった。
「へっ!ならぶっ壊すだけだ!でりゃああああっ!」
バーダックはありったけの力で拳を突きつける。するとバリアだけでなく今までいた地上や空までもがバラバラと崩れてゆく。そして周りの世界が完全に崩れ去ると、バーダックが殴りつけた場所から眩い光が溢れ、バーダックを包み込む。
「くっ…!があぁぁぁっ!」
バーダックはあまりの眩しさに思わず目を瞑る。しばらくは目を開く事ができなかったが、段々と光は弱くなっていったためゆっくりと目を開く。
「…バーダック…さん?」
すると隣には同じく闇の書に吸収されていたフェイトが立っていた。
「…フェイトか。お前も出られたようだな」
「はい…なんとか。バーダックさんも無事でよかったです」
「フン…お前に心配されるほど落ちぶれてねぇよ」
「ふふ…そうでしたね」
「バーダックさん!フェイトちゃん!」
こちらに気づいたなのは達四人とも合流するが、一同にゆっくりと再会を喜ぶ時間は無く、アースラのエイミィから通信が入る。
「みんな気をつけて!闇の書反応消えてないよ!」
バーダックは海上の闇の書に目を向ける。
「下の黒い淀みが暴走が始まる場所だから、クロノ君が着くまでむやみに近づいちゃダメだよ!」
「はい!」
「それにしてもでかいな…これから一体どうなるんだ…」
「へっ…ぶっ飛ばしがいがありそうで結構なことじゃねぇか。とりあえず一発…」
「バーダックさん、せめてクロノ君が来るまで待ってくださいね…」
「そうだぞバーダック。血気に逸るのはサイヤ人の悪い癖だ。」
「…冗談だ。言われなくても分かってる」
「本当かい…?イマイチ信用ならないね」
「おい…お前ら俺をなんだと…」
「あはは……あれ…あの光は…」
ユーノが数百メートル離れた空に銀色に輝く光を見つける。よく目を凝らして見ると数人が立っているのが分かる。
「あれってもしかして…!」
「ああ…シグナム達の気だ!」
一同はすぐに駆け寄ると、そこにはヴィータを抱きしめるはやてと騎士達の姿があった。
「はやてちゃん!」
「はやて!それにお前達…!」
「なのはちゃんにフェイトちゃん、それにパラガスさんとブロリーにも…ほんとごめんな…うちの子達が色々迷惑かけてもうて…」
「ううん!」
「私も平気だよ」
「私が言う事でもないかもしれへんけど皆無事で何より…ってパラガスさんとブロリーと…それからその後ろの方すごい怪我しとるやんか!」
「ああ…まぁ色々あってな。だがこの程度ならなんでもないさ。それとこいつは…」
「…バーダックだ」
「あ、ああどうも。私八神はやてです。今回はバーダックさんにもご迷惑を…」
はやてが謝罪をしかけた時、本局からやって来たクロノが話の間に割って入る。
「すまないな、水を差してしまうんだが…時空管理局執務官のクロノ・ハラオウンだ。時間が無いので簡潔に説明する。あそこにある黒い淀み…闇の書の防衛プログラムがあと数分で暴走を開始する。僕らはそれを何らかの方法で止めないといけない」
クロノの深刻そうな表情に、先程とは打って変わって一気に場の空気が張り詰める。
「停止のプランは現在二つ。一つ、極めて強力な氷結魔法で停止させる。二つ、軌道上に待機している艦船アースラの魔導砲、アルカンシェルで消滅させる。…これ以外に他にいい手はないか。闇の書の主とその守護騎士に聞きたい」
クロノの問いかけに、まずシャマルが答える。
「えぇっと…最初のは多分難しいと思います。主の無い防衛プログラムは魔力の塊みたいなものですから。」
「凍結させてもコアがある限り再生機能は止まらん。」
「アルカンシェルも絶ッ対ダメ!こんな所でアルカンシェル打ったらはやての家まで吹き飛んじゃうじゃんか!」
「そ、そんなにすごいの…?」
「発動地点を中心に百数十キロ範囲の空間を歪曲させながら反応消滅を起こさせる魔導砲…ていうとだいたい分かるかな?」
「ええっ!あのっ…!私もそれ反対!」
「同じく絶対反対!」
「…僕も艦長も使いたくないよ。でも、あれの暴走が本格化したら被害はそれよりはるかに大きくなる」
「うう…そっか…」
「バーダック。お前のフルパワーならどうだ?今のお前なら相当威力のあるエネルギー波でもある程度範囲を絞って撃てるだろ?」
「いやパラガスさん…流石にそれは無理が……と言いたい所ですが、この人の場合はできてもおかしくないですね」
「ああ。今のこいつならば小型の星ぐらい吹き飛ばせるだろうからな」
「ほ、星って…ちょっと大げさな気もするけど…」
「…で、本人としてはどうなんだい?」
「さあな。粉々に吹き飛ばす事はできるかもしれんが、闇の書ってのは再生機能があるんだろ?」確実に消し飛ばせるかどうかは俺にも分からん」
「うーん…ちょっと確実性にに欠けるわね…」
「他に何か案は無いか?」
「…すまない。あまり役に立てそうに無い」
「暴走に立ち会った経験は我らにもほとんど無いのだ」
「でも…なんとか止めないと…はやてちゃんのお家が無くなっちゃうの嫌ですし…」
「いや…そういうレベルの話じゃないんだがな…」
「あー!なんかごちゃごちゃ鬱陶しいなぁ!」
なかなか結論の出ない会議についにアルフが痺れを切らす。
「皆でズバッとぶっ飛ばしちゃう訳にはいかないの!?」
「あ、アルフ…これはそんなに単純な話じゃ…」
「ズバッとぶっ飛ばす…」
「ここじゃ被害が大きくて撃てへん…」
「でも…ここじゃなければ…!」
「「「あっ…」」」
ここで小学生三人に凄まじい案が浮かぶ。それはこの歳ならではのぶっ飛んだ作戦だったが、成功すれば被害をゼロに抑えられる夢の作戦でもあった。
「…実に個人の能力頼りでギャンブル性の高いプランだが…まぁ、やってみる価値はある…!」
「それじゃあ…!」
「ああ。これで行こう」
「おいちょっと待て」
「…どうしたのバーダックさん?」
「この作戦の前にお前らに聞いておきたい事がある」
そう言うとバーダックははやてと守護騎士達の方に向き直る。
「ん…なんだ一体」
「確かさっき防衛プログラムは魔力の塊だと言っていたな」
「ええ。言いましたけど…」
「…俺の勘違いじゃなければあの防衛プログラムからは微かに気が出ている。これはどういう事だ?」
「えっ…!?闇の書から気って…そんなまさか…」
「パラガス、お前は感じるか?」
「…言われてみれば確かに出ているな…」
「妙だな…闇の書にそんな力は備わっていないはずだが…」
「あっ!もしかしてあれじゃねーか!?ほら、蒐集を始めたばっかの頃にさ!」
「あっ…そうよ!きっとそれだわ!」
「どういう事だ…?」
「実は蒐集を始めた時ばかりの時、パラガスさんが提案したんです───」
〜〜〜
『なぁ、蒐集ってのは魔力がある生物でないとダメなのか?』
『ああそうだが…』
『突然どうしたんですか?』
『いや、俺の持ってる力は蒐集できないのかと思ってな。』
『ええっと…確か「気」でしたよね…?うーん…やって見た事はないですが…』
『なら物は試しだ。ちょっと俺から蒐集してみてくれ。』
『ええっ!だ、ダメですよパラガスさん!気持ちはありがたいですけどこれ凄く辛いんですよ?』
『いいからやってみろ。ページは稼げる時に少しでも稼いだ方がいいんだろ?それに危険ならすぐに止めれば大丈夫だ。』
『それはそうですけど…』
〜〜〜
「…という訳でダメ元でパラガスさんから蒐集しようとしたんです」
「そ、それはちょっと無茶なんじゃ…」
「いや、結論から言うと蒐集自体はできた」
「ええっ!?…それは本当か?」
「ああ。正直私たちも驚いた。元々魔力を吸収するように作られた物が全く別のエネルギーを吸い取ったのだからな」
「だけど、結局パラガスがすげー疲れただけでページにはならなかったんだ。蒐集したのはその一回だけ」
「特に闇の書に変化も見られなかったのですっかり忘れてたんですけど…」
「だが今になって気が感じられるという事は防衛プログラムに何らかの影響が出ているかもしれない」
「防衛プログラムのバリアは魔力と物理の複合四層式…のはずなんやけど…これだと変わってしまってるかもしれへんな…」
「すまん…俺が余計なことをしたばかりに…」
「今更悔いてもしょうがない。あまり気に病むな」
「…これでまた不確定な要素が増えてしまったが…とりあえず今の所はプラン変更は無しだ。皆、それでいいか?」
クロノの問いかけに全員が首を縦に振る。するとその時エイミィから通信が入る。
「とりあえずまとまったみたいだね。闇の書の暴走開始まで残り二分だよ!そろそろ準備お願い!」
「あっ…せやシャマル、なのはちゃん達の治療お願いできるか?」
「はい。もちろんですよ」
シャマルはにっこりと微笑むと、魔法の詠唱を開始する。
「静かなる風よ…癒しの恵みを運んで…!」
「えっ…?」
シャマルが詠唱を終えると、五人の体が柔らかな緑の光に包まれる。するとたちまち傷は癒え、なのはとフェイトは傷ついたバリアジャケットも元通りに修復されてゆく。
「凄いです…!」
「ありがとうございます、シャマルさん!」
「シャマル、いつもすまんな」
「いえ…私の本領は癒しと補助ですから。ですがバーダックさんはダメージが大きかったので回復しきれていないかもしれませんが…」
「構わん。何もしないよりはずっとマシだ。…一応礼を言うぞ」
「ふふっ…どういたしまして。あっ、それとパラガスさん、ブロリーちゃんはどうするんですか?」
「ああそうだったな。うむ…確かにこのままでは戦いづらいな…」
「それなら私が預かっておきます」
「はやて…大丈夫なのか?」
「はい。私はパラガスさんみたいに近距離でパンチやキックはしませんから」
「そうか…なら頼むぞ」
はやてはパラガスからブロリーを受け取ると、優しく抱きしめて頭を撫でる。
「ごめんなブロリー…辛い思いさせてしもうて…。今度は私がちゃんと守るからな…」
眠っているブロリーが返事をすることは無かったが、はやての問いかけに応えるようにはやての服をギュッと握りしめる。
「ふふっ…これが終わったら今度こそ一緒にご飯食べような?」
その時だった。ついに闇の書の暴走が本格的に始まり、無数の触手状のバリケードが海面から飛び出す。触手と言えば聞こえはいいがその一本一本が龍の尾ほどのサイズであり、これだけで闇の書の凄まじい力が読み取れる。
「始まる…!」
程なくして防衛プログラム本体も海中から姿を現す。幾多の生物を強引に組み合わせたような体の頭に、女性の体が埋め込まれている。その怪物の体の一部には、大猿の物と思われる腕や足も組み込まれていた。そして完全に地上に現れると、防衛プログラムは女性の悲鳴を彷彿とさせる不気味な叫び声を上げる。その姿は禍々しさを通り越し、神々しさすら覚えるものであった。
夜天の魔導書を呪われた闇の書と呼ばせたプログラム、通称、闇の書の闇。管理局を、一般人を、そしてサイヤ人をも巻き込んだ事件の最後の戦いが今始まろうとしていた。
どうも、顔芸です。
今回はいつもに比べて本編が倍近くになってしまいましたが、今回は何を書くかほとんど決まっていたのでスラスラ書き進めることができました。
さてここからは内容についてですが、まずバーダックの夢についてですが、予想通りでしたでしょうか?最初はなのは達も出そうと思ったのですが、今回はあくまで失った幸せの夢という事にしたかったので、登場するのはトーマ達のみになりました。それと書いていて思い出したのですが、悟空が超神水を飲みに行くアニオリで闇の書の夢と似たようなシーンがありましたね。
さらにもう一つ、今回明かされた気の蒐集は完全にオリジナル要素です。正直これはやりすぎたと反省してます。…と言ってもこれは前々から考えていたことでして、七話で伏線を張ってました。ホントにちょろっとしか発言してないので、ここまで忘れてなかった人は本当に凄いと思います。
そしていよいよ次が最後の戦闘回です。戦闘シーンは苦手なのでクオリティーは保証できませんが、頑張って書きますので読んでくださると嬉しいです。