リリカルな戦闘民族 (ドラゴンボールZ×リリカルなのは) 作:顔芸の帝王
隊長室で設備などの最終確認を行っているはやてとリインの表情は、いつにも増してにこやかなものだった。それもそのはず、今日ははやて達が待ちに待った機動六課結成の日。そんな日を祝うかのように天候も快晴で、柔らかな太陽の光が窓から差し込んでいる。
「ふふふ〜このお部屋もだいぶ隊長室らしくなって来たですね!」
「ふふっ…そやね。リインのデスクも丁度ええのがあってよかったな」
「ぴったりサイズですー!」
そんな会話をしていると部屋の呼び鈴が鳴らされる。はやてはどうぞと声をかけて入室を許可すると、そこにははやてと同じ制服に身を包んだ三人が立っていた。
「失礼します」
「あっ、みんなお着替え完了やな!」
「こっちの制服姿も素敵です!」
「ふふっ…ありがとうリイン。それとほら、言われた通りバーダックさんにも着てもらったんだけど…どうかな?」
フェイトにそう言われた二人は改めてバーダックの姿を見つめる。光沢のある革靴に、パリッとした真新しい制服。これだけ見れば初々しい新社会人そのものなのだが、それに対して制服の上からでも分かる鍛え上げられた筋肉と、不機嫌そうな表情を浮かべる顔、さらにバーダックの普段の無骨な性格が見事なまでにスーツとはミスマッチだった。
「ぷっ…くくく…ちょっと面白いです…!」
「こらリイン!笑ったら失礼……ぶっ…」
「そう言うはやてちゃんも笑ってるですよ…!」
「ふ、二人ともその辺で…」
「この野郎…ふざけやがって…」
笑いを抑えられない二人を見て露骨にへそを曲げるバーダック。実はここに来る前にもなのはとフェイトに笑われていたのだ。
「あ、ああごめんなさいバーダックさん。変とかそういうんじゃないんよ。ただちょっと普段とギャップがありすぎてその…」
「フン…なんとでも言いやがれ」
「ご、ごめんなさいです…」
「ま、まぁバーダックさんには公式の場でだけ着てもらえればいいですから…」
「そうだね。それに何回か着てればそれなりに…」
笑ってしまった事を申し訳なく思っているのか一同は必死でフォローを試みていた。そんな折、なのはの声を遮るようにして真面目な声と共に薄紫の髪をした青年が入室して来た。
「失礼します……あっ!高町一等空尉にハラオウン執務官。ご無沙汰しています」
「ええっと…」
「もしかしてグリフィス君?」
「はい。覚えていていただいて光栄です」
「うわ〜!久しぶり!というかすごく成長してる!」
「うん。前見た時はブロリーと同じぐらいだったのに…」
「そ、その節はお世話になりました。あの、こちらの方は…」
「前に話した事あったかな?この人はバーダックさん。形式上は嘱託魔導師って事で六課のお手伝いをしてもらう事になってるの」
「あなたがバーダックさんですか…!あっ、申し遅れました。グリフィス・ロウランです。ご活躍はかねがね伺っています」
「ロウラン…?もしかしてレティの…」
「はい。レティ・ロウランは私の母です」
「そうか…お前も六課で働くのか?」
「グリフィスは私の副官で交替部隊の責任者なんですよ」
「運営関係もいろいろと手伝ってくれてるですよ!」
「ほう…まぁしっかりやれよ」
「はい!…あっ、報告があるのですがよろしいでしょうか?」
「うん。どうぞ」
「フォワード四名を始め部隊員とスタッフは全員揃いました。今はロビーに待機させています」
「そっかあ。以外と早かったなぁ。ほんなら早速みんなにご挨拶しに行こうか!」
***
「───それでは、長い挨拶は嫌われるんで…以上ここまで。機動六課課長及び部隊長、八神はやてでした」
はやての部隊長挨拶が終わると全員の手を叩く音がロビー全体に広がる。はやてが明るく聡明な人物であるおかげか、拍手を送るスタッフ達の表情はどれもにこやかだった。そして拍手が終わるとすぐにスタッフ達は自らの持ち場へと向かって行く。スバル達フォワード四人も教官であるなのはの下へと集合し訓練場へと足を運ぼうとしていた。
「おいなのは?」
「あっ、バーダックさん。どうしたんですか?」
そんな折、なのはは不意にバーダックから声をかけられる。
「今から訓練に行くならこいつも連れて行け」
「ブロリー君をですか?でもブロリー君の訓練はバーダックさんがするんじゃ…」
「とりあえず今日は現状の力を見るだけだ。何、邪魔はしねぇから安心しろ」
「まぁブロリー君なら足手まといにはならないからいいですけど…」
「なら決まりだ。お前らもよろしく頼むぜ」
「「「「は、はい」」」」
「あ、あの、こちらこそお願いします。“ブロリーさん”」
「…ん?」
スバルが気遣いで言った言葉が引っかかるようで、ブロリーは思わず聞き返す。
「…なんでさん付けなんだ?」
「えっ…それは…ブロリーさんは年下かもしれませんけど上司ですから…」
「…俺は三等陸士だぞ」
「ええっ!?」
「う、嘘…」
「三等陸士って事は…」
「僕達と同じ…」
スバルとティアナはバーダックとの模擬の一件で、エリオとキャロもブロリーがシグナム達と親しく話している所を見たためにブロリーを上司と勘違いしていたようだ。ましてや六課にはヴィータという実例がいるため、上司だと思い込むのはある意味当然だった。
「だから俺の事は呼び捨てでいい。むしろ俺の方が敬語を使うべきだな」
「そ、そうで……じゃなかった…そうなんだ。じゃあこれからはブロリーって呼ばせてもらうね」
「ああ。そうしてくれ」
「…それと私とスバルの事は今まで通り呼び捨てでいいわ。今まで上司だと思ってた人に敬語使わせるなんてなんだか罪悪感あるし…」
「そうか。ならそうさせてもらう」
「あはは…それじゃあ誤解も解けたみたいだし、改めて訓練場に行こっか」
〜〜〜
「ところでバーダックさん、さっき言ってた現状の力を見るって…具体的には何をするんですか?」
「…確か今日はガジェットとか言う奴との戦闘訓練だったな。ならそのままやらせればいい」
「でも…正直ブロリー君の戦闘力じゃ相手にならないと思いますよ」
「その点は問題ねぇ。むしろその方が───
バーダックそう言いかけた時、大きなスーツケースを片手にこちらに一人の女性が駆けてくる。
「なのはさーん!」
「あっ!シャーリー!」
「ご無沙汰してます!ええっと…そちらの方はもしかして噂のバーダックさんですか?」
「そうだよ。今日はブロリー君の訓練で一緒に来てるの」
「そうでしたか!初めまして。メカデザイナー件六課の通信主任をします、シャリオ・フィニーノ一等陸士です。他のみんなからはシャーリーって呼ばれてます。よろしくお願いしますね」
「ああ……おっと…奴らもランニングから帰って来たようだな。それじゃあとっとと始めるか…」
そう言ってバーダックは五人の表情を見るが、ブロリーは勿論の事、スバル達四人にも疲れは一切顔に出ていなかった。そんな様子を見たなのはは、シャーリーの自己紹介が終わると早速訓練を開始する。
「あ、あの…ここで訓練をするんですか?」
「ふふっ…シャーリーお願い」
「はーい!」
シャーリーは新人達に見せるのが嬉しいのか元気よく返事をすると、ホログラムのキーボードを操作していく。
「機動六課自慢の訓練スペース。なのはさん完全監修の陸戦用空間シュミレーター…ステージセット!」
「うわぁ…!」
「す、凄い…」
(ほう…便利なもんだな…)
ステージセットの声とともにシャーリーがボタンを押すと、海上に浮かぶ人工的な更地に十数メートルのビル群が現れる。思いもよらない出来事にフォワード達やバーダックも思わず感嘆の声を上げる。
「フォワードの四人は指定した位置で待機ね。ブロリー君は…」
「こいつは後でいい。まずは四人でやってくれ」
「分かりました。それじゃあ早速皆、早速行こうか」
「「「「はい!」」」」
六課での初めての訓練に、四人は期待と緊張を入り交じらせながら訓練スペースへと歩みを進める。
そんな様子を副隊長二人とパラガスも隊舎の上から見下ろしていた。
「そろそろ訓練始まるようだが…お前達は参加しないのか?」
「四人ともまだよちよち歩きのひよっこだ。ブロリーもバーダックが面倒みるんだ。アタシが教導を手伝うのはもうちょい先だな。パラガスだってそうだろ?」
「まぁそうだな。一応俺も教導は頼まれたが…なのはは優秀な教導官だ。負担をかけすぎない程度に手伝ってやればいいさ」
「そうそう。それに自分の訓練もしたいしな…私は空でなのはを守ってやらねぇといけねぇ」
「ああ…頼んだそ」
「ヴィータ、俺で良ければ訓練に付き合うが…どうする?」
「そうか。んじゃ頼むよ」
***
「…よし…みんな聞こえる?」
「はい!大丈夫です」
「それじゃあ早速ターゲットを出して行こうか。まずは軽く八体から」
「動作レベルC…攻撃精度Dってところですかね…」
「うん。そのぐらいかな。さて、私達の仕事は捜索指定ロストロギアの保守管理。その目的のために私達が戦うことになる相手は…これ!」
なのはが指をパチンと鳴らすと、フォワード四人の前に魔法陣が現れ、そこからガジェットドローンが出現する。
「自立行動型の魔導機械。これは近づくと攻撃してくるタイプね」
「では…第一回模擬戦訓練…ミッション目的は逃走する八体のターゲットの破壊、または捕獲を十五分以内に完了すること」
「「「「はい!」」」」
「よし…それじゃあミッション…スタート!」
なのはの掛け声と共にガジェットは蜘蛛の子を散らすように飛び去って行く。
「よし!エリオ!早速追いかけるよ!」
「は、はい!」
「あっ!ちょっと待ちなさい!…ああもう!スバルったら!」
「あ、あの…私はどうすれば…」
「私達はとりあえずビルに上がって待ち伏せするわ。ここはそんなに広い場所じゃないから待っていれば必ず向こうからやって来るはずよ」
「りょ、了解です!」
***
「…うん。ミッション完了!みんなお疲れ様!初めてにしてはみんなよく動けてたよ」
「はぁ…はぁ…あ、ありがとうございます…」
その後スバル達四人はなんとか時間内に八体全ての撃破に成功した。中盤ではガジェットドローンの素早く不規則な動きやAMFに苦戦していたが、全員が知恵を使いなんとか切り抜ける事ができた。
「それにしてもみんなよく動きますね」
「危なっかしくてヒヤヒヤだけどね…」
「へっ…よく言うぜ。お前の方がよっぽど無茶なガキだった癖によ」
「あはは…そ、それを言われちゃうと反論できないんですけど…」
「まぁいい…それはそうと今のやつをこいつにもやらせていいか?」
「大丈夫ですよ。みんなにはその間ちょっと休憩してもらいますから」
「ターゲットのレベルはどれぐらいにしますか?」
「そんなもの全て最大だ。どのレベルがどの程度の強さなのか俺には分からんしな」
「さ、最大ですか!?それは流石に…」
「大丈夫だよシャーリー。むしろブロリー君ならこれぐらいじゃないとダメだよ」
「そうですか…?まぁ…お二人がそう言うなら…」
「バーダック、俺も同じことをすればいいのか?」
「ああ。だがお前には少しばかり条件を付けさせてもらう」
「条件…?」
「まず飛行と格闘は使うな。全て気功波だけで倒せ。それと気功波を追尾させるのも無しだ。後は好きにしろ」
「…それだけでいいのか?」
「…おっと忘れてたぜ。制限時間は五分だけだ。それ以内に全てぶっ倒せ」
「分かった。行ってくる。スバル達が戻ったら教えてくれ」
ブロリーはそう言うと淡々と隣のビルへと向かって行く。既に本物のガジェットドローンと戦闘経験があるためか、ブロリーには焦りや緊張は見られなかった。
〜〜〜
「いいか。そろそろ行くぞ」
「…ああ」
「それじゃあ改めて確認するね。制限時間五分以内にターゲット八体を全て撃破すること。それから飛行、格闘、追尾する魔法…じゃなかった、気功波は禁止」
「…大丈夫だ」
「よし…それじゃあミッション…スタート!」
先程と同様なのはの一声でターゲット達が一斉に飛び出していく。そのスピードは先程よりも明らかに速かった。
「ぼ、僕達が戦った時よりずっと速い!」
「あれで本当に戦えるんですか…?これじゃあ下手すると本物のガジェットドローン以上の性能かもしれませんよ?」
「…大丈夫だよ。ほら、もう追いつき始めてる」
「えっ…」
「あっ…!」
ガジェットドローンは魔法弾で弾幕を作りながら凄まじいスピードで逃げ続ける。しかし、ブロリーはそれ以上の駿足でガジェットドローンを追い立てる。迫り来る魔法弾も全て腕で弾き飛ばし、じりじりと目標に迫って行く。
「凄い…一体どうやって…」
「まぁ…バーダックさんと戦ってたのを考えれば分かる気もするけど…」
「でも難しいのはここからだよ。バーダックさんはどう思う?」
「…あいつの潜在能力は天才的だ。パワー、スピード、タフネス、荒削りではあるがどれを取っても並の魔導師程度とじゃ比べるまでもねぇ」
「そ、そうなんですか…」
「…だが奴には致命的な弱点が一つだけある」
「致命的な弱点…?」
「それって…」
「でりゃああああっ!」
ブロリーは走りながらエネルギー弾を両手に作り出すと、ガジェットドローンに向かって投げつける。しかし、その攻撃は単純で直線的なため簡単に回避されてしまう。
「ふんっっ!」
だがそんな事はお構い無しにエネルギー弾を放ち続ける。右手のエネルギー弾を投げつけた後、着弾の前に左手のエネルギー弾を放つ。その間に右手に新たなエネルギー弾を作り、またそれを投げつける。この一連の動作を繰り返しながらブロリーはガジェットドローンを追い続ける。気がつけばブロリーの放つ弾幕は八体のガジェットの物よりも厚くなっていた。
「ちょっと…これどうなってるのよ…」
「煙でよく見えないよ…」
戦闘の様子を見ている者の反応は様々。驚きの声を上げる者、口を開けてただ見ている者。しかし、バーダックとなのはの二人だけは難しい顔で戦闘を見つめていた。
(チッ…こりゃ予想以上に骨が折れそうだ…)
下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるとはまさにこの事。しかもブロリーの場合は至近弾でもガジェット程度なら吹き飛ばしてしまう。
(これで終わらせる…!)
ブロリーは足を止めると、エネルギー弾を作りながら大きく腕を振りかぶり、残りのガジェットドローンに向かって投げつける。エネルギー弾は凄まじいスピードで目標に迫り───
「くうっ!か、風が…!」
「…シャーリー、ターゲットの様子はどう?」
「ぜ、全機消滅…ミッションクリアです」
「一応ミッションはクリアだけど…これは…」
ミッションはきっちりとこなしたものの、ブロリーの通った場所は完全に廃墟と化していた。地面は抉り取られ、ビルは今にも崩れ落ちそうだ。
「じ、弱点って言うのはこういう事だったんですね…」
「みんなはこんな事ないように気をつけてね」
「は、はい…多分できませんけど…」
(力のコントロール…)
「…キャロ?」
「あっ、はい!了解であります!」
「バーダックさん、ブロリー君帰って来ましたよ」
「来たか…おいブロリー、てめぇは余計なエネルギーを使いすぎだ。辺りを見てみろ。穴だらけじゃねぇか。いくら動きを制限していたとはいえ論外だ」
「…すまない」
「おいシャーリー、さっきの奴をもう一体出せ。いいか、エネルギーをコントロールするってのはこういう事だ」
そう言ってバーダックは腕を逃走するガジェットに腕を突き出す。そして次の瞬間、指のつけ根の周辺から小さな光が一直線に放たれる。その光は稲妻のように素早く、ガジェットに避ける暇すら与えずに機体を貫いていった。
「最低でもこれぐらいはできるようになりやがれ。強い相手ならともかく、ガジェット程度の奴にこんな事をしていたらやってられねぇだろうが」
「…善処する」
ブロリーはそう言って申し訳なさそうに頷く。その姿は先程暴れ回っていた戦士の面影は無く、年相応の素直な表情の少年であった。
「よし…ならいい。今日は一日これの特訓だ!みっちり叩き込んでやるから覚悟しやがれ!」
(ふふっ…なんだかんだバーダックさん楽しそう…これなら大丈夫そうかな?)
こうしてバーダック達の六課での日々が始まろうとしていた。初日から順調…とはいかなかったが、今日の出来事は充実した日々を予感させるには十分であった。
どうも、顔芸です。
少し忙しかったので更新がいつもより遅れてしまい申し訳ないです。
その代わりと言ってはなんですが文字数は若干多めになりました。
内容についてですが、今回は初めてのガジェット戦でしたので少し苦戦してしまいました。
それと今回からなのはのブロリーの呼び方は君付けにしようと思います。というのも最初はエリオと同じ年齢なら呼び捨てでもいいかと思ったのですが、なのはさんって子供の頃に出会ってる人には呼び捨てしてなかったんですよね…実際書いてみても個人的には君付けの方がしっくり来ましたのでこちらで行こうと思います。
次話も今回と同じぐらいかかってしまうかもしれませんがまた読んでくださると嬉しいです。