リリカルな戦闘民族 (ドラゴンボールZ×リリカルなのは)   作:顔芸の帝王

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第六話 故郷

バーダックが壁を見上げると、時計の針は7時50分丁度を指していた。

小さく息を吐きながら、バーダックはロビーの椅子からゆっくりと腰を上げる。本来ならブロリーと共に鍛錬に勤しんでいるはずの時間だが、今日は六課の部隊長、八神はやてに直接の呼び出しを受けていた。

 

 

『あっ、あのバーダックさん!』

『…何がこんな夜中に騒々しい』

『急なお願いで申し訳ないんですけど、明日の朝8時に隊舎の前に来てくれませんか?というか絶対来てください!』

『あぁ?一体何を───

『すみません!今少し忙しいので私はこれで!』

『お、おい!……何だったんだ今のは…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(アイツは何を焦ってやがったんだ?チッ、また面倒事じゃねぇだろうな…)

 

「あっ、おはようございます」

 

心中ではそんな事をぼやきつつも時間通りに隊舎の前に来てみると、自分を呼び出したはやてと車のキーを手にしたフェイトが待っていた。

 

「昨日は急に呼び出してしまってすみません」

「それで用事ってのはなんだ。その様子だとどこかへ行くみてぇだが…」

「はい。行き先は聖王教会。そこでバーダックさんには私と騎士カリムに会ってもらいます」

「カリムに…?バーダックさんとはあんまり接点なさそうだけど…」

「詳しいことは移動しながら説明します」

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

「でりゃあっ!」

「ん…!」

 

掛け声と共に放たれた拳がパラガスの頬を掠める。ほんの少し触れた程度だったが、パラガスの目袋にはくっきりと赤い線が描かれ、血が溢れ出していた。

 

「…はっ…親父…!」

「避け損ねたか…」

「…すまない…俺のせいで…」

「そんな顔をするな。この程度、何でもない」

 

そう言ってパラガスはブロリーの頭にポンと手を乗せ、長い黒髪を揺らす。しかし、ブロリーの暗い表情は変わる事は無く、俯いたまま黙り込んでしまう。

 

「そうだな…少し休憩にするか」

 

そう呟くとパラガスはその場に座り込み、青く澄み切った空を眺める。ブロリーもそんな姿に釣られて空を仰いだ。

 

「ブロリー、この数日でまた強くなったな。気のコントロールも上達しているぞ」

「親父、俺は──

「…自分の力の事が心配か?」

「………」

「心配する事はない。お前ならばそのパワーを物に出来るようになる。なんだってお前は俺の息子なんだからな」

「親父…」

「俺とて少なからずこんな時期はあった。焦らずともいい」

 

パラガスはそう言って下を向くブロリーの肩に手を当てる。しかしブロリーは相も変わらず腑に落ちないと言った表情だった。

 

「…さて、気分転換にスバル達の様子でも見に行くか。お前も行くか?」

「…ああ」

 

 

 

 

〜〜〜

 

 

 

 

 

「みんなお疲れ様。それじゃあ少し休憩したらみんなの新しいデバイスを──あっ、二人ともお疲れ様」

 

「おっとすまんな…こっちも休憩中だったか」

「あっ、ブロリーに…パラガス三等空尉!」

「お疲れ様です!」

 

ブロリーの父親と言えど、今は彼らの上司。フォワード四人はパラガスを見るやピシリと敬礼する。

 

「はっはっは!俺にはそんな風に改まらなくていいぞ。それよりもなのはの訓練はどうだ?」

「あはは…な、なんとかついて行けてます…」

「ふっ…ならいい。その調子で頑張れよ。ん…?スバル、そのデバイスはどうしたんだ?」

「ああ…実はさっき無茶させちゃって…」

 

スバルは煙を上げる愛機を抱えながら申し訳なさそうに呟いた。デバイスを持たないパラガスだが、魔導師にとってデバイスがどれだけ大切な物かは理解していた。

 

「だからこれから新しいデバイスを皆に渡そうと思ってたところなんです」

「そうだったのか…」

「二人も休憩中だったら一緒に行きませんか?」

「いや、俺は…」

「分かった。では見せてもらおうかな」

「親父…いいのか?」

「ブロリー、最近のお前は根詰めて修行しすぎだ。それに今後スバル達とも共に戦う事になるのだ。勉強も兼ねて今回は見学と行こうじゃないか」

「…分かった」

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

「八神はやて様とバーダック様ですね。お待ちしておりました」

 

二人が門の前にたどり着くと、面倒な手続きなどは無くすぐに教会の奥へと通された。協会とは思えない程の重厚な設備を横目に、二人は無言のまま淡々と足を進める。昨夜は何かに追われるように慌てている口ぶりかと思えば、今朝は冗談混じりの会話をし、今は無言のまま神妙な面持ちで歩みを進めている。

この少女の変わりようについてバーダックはしばらく考えていたが結局答えは出ず、はやてに直接問いかける。

 

 

「おい…いい加減に話しやがれ…」

「気付いてはりましたか…やっぱり聡いですね」

「フン…あんな不自然な態度を取っていたら誰だって気が付くぜ……それで結局なんだ?フェイトにすら言えない程の事か?」

「それは少し語弊があります。この件はフェイトちゃんだからこそ言えない事なんです」

「…どういう事だ…?まるで分からねぇぞ」

「心配しなくてもそれもこの後──

「はやて様、こちらでございます」

「あっ、ありがとうございます」

 

はやては使用人に軽く会釈をすると大きな木製の扉を叩く。すると、柔らかな女性の返事とともにドアが開かれた。

 

「いらっしゃいはやて!」

「カリム!久しぶりやなぁ!」

「あっ、後の方はもしかして…」

「そう。前にも話したバーダックさんや。今は嘱託職員という形で六課に協力してくれてるんよ」

「そうなの…初めましてバーダックさん。私聖王教会騎士を務めているカリム・グラシアです。」

「…バーダックだ。こいつの言う通り今は部隊の手伝いをしている」

「あなたの事ははやてから聞いています。今後とももよろしくお願い致しますね。さぁ、立ち話はこれぐらいにしてどうぞこちらに掛けてください」

 

 

 

 

 

「ごめんな。すっかりご無沙汰してもうて…」

「気にしないで。それよりも部隊の方は順調かしら?」

「うん。カリムのおかげでな」

「ふふっ…ありがとうはやて。そういう事にしてくれるとお願い事もしやすいかな」

「なんや、今日はお願い事でも……っと、そうやったな」

 

はやての言葉に二人の表情が一気に引き締まる。バーダックもその空気を察したのか瞑っていた目を開く。

 

「これを見て欲しいのだけど…」

 

しかし、カリムが語ったのは新型ガジェットと、一昨日発掘されたレリックについての情報。これはガジェットとの戦闘にも関わるため十分過ぎるほど重要な事案であったが、バーダックにとってはそこまで気にかかるものでは無かった。

 

「…この話のために俺を呼んだのか?」

「…いいえ。バーダックさんに聞いて欲しいのはここからです」

「はやて、ここは私が話すわ」

 

カリムはバーダックの目をしっかりと見据えると、ゆっくりと口を開き始めた。

 

「…貴方や同族のパラガスさんやブロリーが元の世界からやって来てから十年近くの時が流れました。その間にあなた方は多くの戦闘を繰り返した。…その気という未知の力で。魔力しか知らないこの世界の人間…特に魔法に関わる知識のある人間にとって、それは魔法と肩を並べる…あるいはそれ以上の可能性を秘めたものなのです」

 

「貴方は知らないでしょうが様々な場所で秘密裏に気の研究が行われていました。でも結局研究はどれも失敗続き。それどころか気は魔法ほど応用が効かないという事も分かって今では研究も下火になった…」

「…何が言いたい?」

「これを見てほしいんです」

 

カリムは引き出しから小さな箱を取り出すと、バーダックにそっと差し出す。

 

「これはレリックを調査中の局員が破棄された研究所から偶然見つけたものです。落ち着いて見てください」

「なっ、こいつは…!」

 

箱を開けて中身を見るや否や、バーダックは思わず目を見開く。

 

「こいつは…スカウターじゃねぇか…!」

「スカウター…?」

「こいつは相手の戦闘力を割り出す機械だ。他にも通信機能なんかが備わってる。…こいつは壊れているみたいだがな」

「つまり…貴方の世界の道具で間違いないという事でよいのでしょうか?」

「ああ。形なんかは多少違うが間違いねぇ」

「ということは考えられる事は二つ…一つはこちらの世界で偶然似たものが生み出された。もう一つは…」

「バーダックさんの故郷の世界と繋がる人間がおるってことやな」

「こいつは俺達が使っていたものと瓜二つ…いや、全く同じだ。模造品なんて事は絶対にねぇ」

「つまりスカウターを付けた貴方の一族がこの世界にやってきていると…?」

「どうだかな。…俺達サイヤ人はほとんどが死に絶えた筈だ。今更他のサイヤ人の奴が来る確率なんてほとんどねぇと思うがな」

「…すみません、辛いことを思い出させてしまって…」

「もう十年も前のことだ。いちいち気にするな」

「コホン…この機械がなんでこの世界にあるのか気になるとこやけど…今はこれ以上の事は分からんなぁ…」

「そうですね…それでは──

 

カリムが話し始めたその時、はやてとバーダックの通信機からアラート音がけたたましく鳴り響く。突然の出来事だったが、はやては慌てること無く状況を整理し、なのは達と連絡を取る。

 

「なのは隊長!フェイト隊長!パラガスさん!それからグリフィス君!協会騎士団で追ってたレリックらしきものが見つかったんや!場所はエイリム山岳丘陵地帯をリニアレールで移動中───

「よし…行くか…!」

「ちょっ…バーダックさん!?いつの間に着替えたんですか!?と言うかその戦闘服はどこから…」

「下に着込んでんだよ。全くお前らは便利でいいもんだぜ…さて…なのは達の気を追っていくか…」

「ま、待ってください!まだ飛行許可は出てませんし現場にはなのはちゃん達が…」

「知るか。そんな理由で久しぶりの戦闘をみすみす見逃せるか」

「はぁ…こういう時のあなたを止めても無駄なのは分かってます。止めもしませんし飛行許可も取っておきますから…」

「へっ…よく分かってるじゃねぇか」

「そのかわり…無茶な事はしないでくださいよ」

「フン、悪いようにはしねぇよ」

 

本当に分かっているのかと問いただしたくなるような生返事を返しつつ、近くの窓から勢いよく飛び出して行く。飛行しながら周辺の気を探ると、馴染みのある気が一つ見つかった。

 

(なのはよりもフェイトの気が近い。とりあえずはここに行くか……へっ…こっちに来て初めて戦った時を思い出すぜ)

 

慌ただしい六課の初出動に、バーダックの中に懐かしい記憶が蘇る。それに久しぶりの実戦という事もあり、彼は心を踊らせ現場に向かうのであった。

 

 




どうも、顔芸です。
今回は皆さんの大好きなあのアイテムの登場です。まぁ気を読めるバーダック達にとってはもういらない子扱いですが…
それとどうでもいいですけどスカウターって壊れる時に耳元で爆発するなんてよく考えるととんでもない機械ですよね。

更新ですが、何だかんだで前と同じぐらいになってしまいました…来週はGWですのでもう少し早く上げられるように頑張りたいと思います。
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