リリカルな戦闘民族 (ドラゴンボールZ×リリカルなのは) 作:顔芸の帝王
バーダックがフェイトの気を辿りながら現場に向かっている頃、隊舎から出動したなのは達は一足先に現場に到着しようとしていた。そんな時、管制から新たな情報がなのはの元へ飛び込んできた。
「なのはさん、パラガスさん!今の通信聞いてましたかい?」
「ああ。飛行型のガジェットの群れか…狙いはおそらくレリックだろうな」
「ヴァイス君!パラガスさん!私はフェイト隊長達と合流して空を抑えるよ!」
「了解!なのはさん、お願いしますよ!」
「なのは、それならブロリーを連れて行け。こっちのサポートは俺とリインでなんとかする」
「分かりました。ブロリー君!行ける?」
「…大丈夫だ」
ブロリーは短く返事をすると、淡々とヘリ後部のハッチへと歩いていく。その面持ちはまるで何年も戦ってきた戦士のようで、とても10歳の少年が戦場に向かうものには見えなかった。
(うん。ブロリー君は大丈夫そうかな。後は…)
なのははブロリーとは対照的に不安げ表情でこちらを見ている新人四人に向けて声を上げる。
「大丈夫だよ。確かにみんなはまだまだ成長段階だけど、私はみんなならできると思ってるし、できないと思うならここにも連れて来てないよ。それに今はパラガスさんが残ってくれるから。…じゃあちょっとだけ出てくるけど、皆も自信を持ってズバッとやっつけちゃおう!」
なのはの激励を受けたティアナ、スバル、エリオの3人はキリッと引き締まった顔付きに変わる。しかしキャロだけはまだどこか落ち着かない表情で下を向いていた。そんな様子を見てなのはは何か察したのか、キャロの頬に手を添えて優しく語りかける。
「あっ…」
「…キャロ。そんなに緊張しなくても大丈夫。離れてても通信で繋がってるから1人じゃないよ。それに…キャロの魔法はみんなを守ってあげられる優しくて強い力なんだから…ね?」
「なのは隊長……はい!頑張ります!」
「うん。何かあったらすぐに連絡してね。すぐに駆けつけるから」
なのはの言葉でキャロはなんとか元気を取り戻し、それを見た他のメンバーも微笑ましい様子に思わず頬が緩む。そんな暖かい雰囲気のメンバー達をブロリーだけは複雑そうな表情で見つめていたが、この場にそれに気が付く者は本人を含めて誰もいなかった。
***
「へっ…ぞろぞろいやがるぜ」
バーダックとフェイトが目的地付近に到着すると、遠くの空が無数の飛行タイプのガジェット達で溢れていた。並の魔導師なら一目散に逃げ出すような状況だが、この二人に焦り全く見られない。その理由は単純明快。この二人が圧倒的に強いからだ。さらにその時、ダメ押しの援軍の二人がバーダック達と合流する。
「バーダックさん、フェイトちゃん」
「なのはと……それにブロリーまでいやがるのか。チッ…これじゃあすぐに終わっちまいそうだぜ…」
「いいことじゃないですか。それにしてもフェイトちゃんとバーダックさんと同じ空で戦うのってすごく久しぶりですね」
「そうだね。三人が揃うのはもう十年近く前かも…」
「そっか…なんかつい最近のような気がしてたけど…もうそんなに経つんだ」
「十年前…か」
「うん。ブロリーもはやてちゃんやパラガスさんに抱かれて戦場に来ちゃった事もあったんだけど…流石に覚えてないよね」
「…ああ。全く記憶にない」
「ふふっ…そうだよね。それじゃあ今度みんなで集まれたらその話をしよっか。もちろんバーダックさんもね?」
「おい…俺まで巻き込むんじゃ…」
バーダックがそう言いかけた時、前方のガジェットから放たれた光がバーダックの肩を掠める。
「…やっと気付きやがったか。さぁ…!少しは俺を楽しませて見やがれっ!」
そう言ってガジェットに突っ込むバーダックを皮切りに、三人も分散しながらガジェットの撃墜に取り掛かるのであった。
***
「エリオ君!」
「でりゃあぁぁぁっ!」
キャロの強化魔法を受けたエリオのストラーダが巨大なガジェットを両断する。それと同時にガジェットの反応は全て消滅し、奪われていた車両のコントロールも取り戻すことができた。
(なんとか終わったな…危なっかしい場面はあったが、流石はなのはの教導を受けているだけあると言ったところか…)
現場を見ていたパラガスは問題が発生すれば手助けするつもりだったが、今回はその必要はなかった。自らの力で任務を完了した新人達の様子を満足気に見ているとはやてから通信が入る。
「パラガスさん。レリックの護送はスターズにやってもらうんで、パラガスさんは現場に待機してもらってライトニングと現地の職員に事後処理の引き継ぎをお願いします」
「ああ。任せておけ」
「それから例の機械…スカウターの件なんですが…」
「ああ。後で見させてもらうよ。そうだな…今夜にでもバーダックを連れて顔を出すようにするよ」
「了解です。…あのパラガスさん」
「ん?なんだ」
「もし…可能ならば…ブロリーも連れて来てくれないでしょうか?」
「ブロリーか…分かった。必ず連れていく」
「あっ…嫌そうだったら無理に連れてこなくても…」
「大丈夫だ。はやてが来て欲しいと言えばあいつも来るさ。…いつもながらすまんな」
「いえそんな…そもそも私が原因の一端でもあるわけですから…それじゃあとりあえずこれで…」
「…ああ。また夜にな」
パラガスはそう言って通信を切ると思わず小さなため息をつく。あの明朗快活なはやてがブロリーの事になると途端にしおらしくなってしまうのだ。ブロリーがきちんとはやての元に来るのか来るのかという心配もあったが、今はただ二人が会うことで何か解決の糸口になればと願うばかりであった。
***
その夜、パラガスはバーダックを連れてはやての部屋に向かっている…はずだったが、パラガスは隊長室とは逆の方向に歩いていた。
「おいパラガス、はやての所に行くんじゃ無かったのか?」
「ああ。だがその前に少しブロリーを呼びにな」
「ブロリーだと…?あいつはサイヤ人だがスカウターの事なんて知らねぇはずだろ?」
「別にスカウターの件でない。まぁそのなんだ…少し色々あってだな…」
「…何でもいいが早く終わらせろよ。俺はとっとと訓練に行きてぇんだ」
「分かった分かった…そんなに手間は掛けさせんよ」
急かすバーダックを宥めつつ、気を頼りにブロリーの元へと向かうと、そこには自室で瞑想する少年の姿があった。
「おお、ここに居たかブロリー」
「親父…それにバーダック…どうしたんだ…?」
「ブロリー、今からはやての所に行くぞ」
「随分急だな…」
「ああ、お前に話があるそうだ。…行くのは嫌か?」
「いや…はやてが呼んでいるなら行く」
「ん…そうか」
いつもならブロリーは何かと理由を付けてはやて達と会うのは避けてしまうのだが、今日はあっさりと首を縦に振ったためどう説得しようかとあれこれ考えていたパラガスは思わず妙な返事をしてしまった。
「どうしたんだ親父…?」
「いや、何でもない。はやてを待たせているからすぐに隊長室に行くぞ」
「分かった」
〜〜〜
三人が隊長室にやって来ると、はやての他にヴィータとシャマルが室内の長椅子に腰掛けていた。
「おっす…」
「待たせたなはやて…ん、ヴィータとシャマルも居たのか」
「お二人共お待ちしてました。あっ、ブロリーも来てくれたんやな!」
「…はやてが呼ぶなら俺は来るぞ」
「ふふっ…ありがとな」
「…それで…例のスカウターは持ってきてるのか?」
「はい、ここにあります。それと実は昼間に技術部の人に調べてもらったんですけど、どうも故障の原因は配線が切れてるだけみたいやったんで直してもらってあります」
そう言うとはやては引き出しから小さな箱を取り出して二人の前に差し出す。パラガスはそれを手に取って裏表を一通り見ると、慣れた手つきで耳元に装着する。
「やっぱりパラガスさんが付けると様になってますね」
「ふふっ…ヴィータちゃんとは大違いね」
「うっせー!いいんだよこんなの似合わなくたって…」
「外見はほとんど同じか…ふっ…なんだか懐かしいな…ん…?これは…」
「どうした?」
「バーダック、お前気を落としてそこに立ってみろ」
「別に構わねぇが…ほらよ」
「戦闘力15000か…もう少し上げてみろ。ゆっくりやれよ」
バーダックは目を瞑ると気を集中させる。すると機械音を鳴らしながらスカウターの示す値が上昇していく。
「…なぁはやて、15000って高いのか?」
「さぁ…私もその辺はよう分からんからなぁ…二人は知ってるか?」
「…俺は知らない…あの機械自体見るのは初めてだからな」
「私もです…それにしても一体どういう仕組みなのかしら…」
不思議そうに二人を見つめる三人をよそに、バーダックは気を高め続ける。
「…今どのぐらいだ?」
「21000を少し超えた辺だ。もう少し上げてみろ」
「馬鹿かお前は。これ以上上げたらぶっ壊れるだろうが」
「いいからやってみろ。俺の予想が正しければ多分大丈夫だ」
「チッ…どうなっても知らねぇぞ」
バーダックが懸念するのも無理はない。スカウターの計測限界はせいぜい21000~22000程度。パラガスの思わぬ提案に、バーダックは若干不安を抱いたがパラガスの言う通りに気をさらに上昇させて行く。
「…今度はどのぐらいだ?さっきよりはかなり上げたはずだが…壊れてはいねぇようだな…」
「…35000だ」
「なっ…35000だと…?どうなってやがる…」
「おいおい、2人だけで話進めんなよ」
「パラガスさん、バーダックさん、どういう事なんですか?」
「…このスカウターが測れる戦闘力というのはせいぜい20000より少し上ぐらいが限界のはずなんだ」
「えっ…でも確か今35000って…」
「…ああ。どうやらこのスカウター…俺達が向こうにいた頃のものより格段に性能が向上しているようだな…」
ヴィータ達はいまいち事態を飲み込めていない様子だったが、はやては何かを察したようだった。
「という事は…」
「はやて…明日にでもこのスカウターの作られた場所を調べてもらってくれ。元に戻らなくても構わん」
「分かりました。また技術部の所に持って行きます」
「おいおいちょっと待ってくれよ…アタシには何が何だかさっぱりわかんねえぞ…」
「ええかヴィータ。さっきも言ってたけどパラガスさん達が向こうの世界に居た時のスカウターはここまで高い数値は計測できなかったんや。つまりこれは最近になって作られた物って事になる」
「そ、それは分かるんだけどよ…それがなんだって言うんだよ?」
「科学者達が同じ目的の機械を作ったとしても、全く同じ物ができることなどほとんど無いだろ?」
「うん…?まぁそうだろうな……ってことはやっぱりこの機械ってパラガス達の知り合いが作ったって事か…それでその知り合いって──」
「…フリーザッ…」
バーダックは怒りを抑えながら小さく憎き相手の名前を呟く。
「おいおい…!確かフリーザってブロリー達の故郷をめちゃくちゃにしやがった奴だよな…」
「落ち着けバーダック…あくまで今はスカウターが発見されただけだ。それにもしフリーザ本人が来ているのなら奴の気を感じるか既に暴れているはず…おそらく研究者か兵士の誰かが来ただけなのだろう」
「…チッ…俺はもう行くぞ」
「えっ…行くってどこへ…」
「修行だ。奴が来ているかも知れねぇのにこんな場所で喋っていられるか」
「お、おい待て!ひとまず落ち着けと言っただろうが!バーダック…!」
バーダックは目的を言い捨てると速足で部屋を出ていってしまう。パラガスもそれを追いかける形で部屋を後にしてしまった。そんな様子を見た残されたヴィータ達は呆気に取られ、隊長室は数秒間の静寂に包まれたのであった。
「はやてちゃん…これってもしかして…」
「…私達の取り越し苦労だったらええんやけどな…」
***
「博士…お茶をお持ちしました」
「ああ、ありがとう。そこに置いておいてくれ」
「最近はあまりお休みになっていないようですが…あまり無理はなさいませんように…」
「心配ない。…生きて動いているプロジェクトFの残滓に未知の力を使う男達…さらにはその力を使う者達が私の下にやって来るとは…くくっ…最近はやたらと魅力的な素材や技術が次々に舞い込んできてね…寝ようとしても頭が冴えてしまうんだよ」
「…その異世界の者達ですが…本当に我々の近くに置いてよかったのでしょうか…?」
「そう心配する事は無い。少なくともあの約束がある限りはこちらに牙を剥くことは無いだろうからね…」
「…そうですか。博士がそう仰るなら私は従うだけです」
「さて…研究を続けるとするか…全く…魅力的な素材がありすぎるのも困ったものだ…ふっ…ふっふっふっ…はっはっはっはっ…」
「失礼しますよ」
「ん…あぁ君か。僕に何か用でもあるのかい?」
「いえいえ…頼んだものは順調かと思いましてねぇ…」
「心配しなくてもいい。直に私の野望は完遂されれば…君の願いとて案外簡単に叶うだろうからね」
「ホッホッホ…そうですか。楽しみに…していますよ」
六課の裏で暗躍する影に生きる者達。彼らがミッドチルダに関わる者達の運命を大きく捻じ曲げる事になるなど、管理局やバーダック達は勿論、当人達にも予知する事はできなかった。
どうも顔芸です。
今回思い切って戦闘シーンをカットしてしまいましたが、書き終わってからまずかったかな〜と今更ながら思ってます。
今回の戦闘は原作とほぼ同じなのと、もう七話になるのになかなか話が進まないことを危惧してのことだったのですが…
内容についてですが、今回は裏で暗躍する人物が僅かに登場した回でした。勘のよい皆さんには簡単に分かってしまうかもしれませんが、一応コメント欄ではネタバレは避けるようにお願いします<(_ _)>