リリカルな戦闘民族 (ドラゴンボールZ×リリカルなのは) 作:顔芸の帝王
「私に…ティアナ・ランスターに修行をつけてはくれませんか…!」
「断る。俺は面倒が嫌いなんだよ」
「…お願いします…!私は…どうしても強くならないといけないんです!」
速攻で拒否したバーダックだったが、必死に説得を試みるティアナ。その様子を見る限り面白半分で特訓を申し出た訳ではないようだ。
「…一応聞いとくが、わざわざ俺に頼む理由はなんだ?」
「私には…貴方やなのはさんのような才能がありません。スバル達と比べても私が一番凡人で…今回もそのせいで酷いミスショットを…」
「フン…あれは才能とは関係ねぇ事だろうが…それにお前にはなのはの奴が付いてるだろ。それともあいつじゃ不足だってか?」
「そ、それは…」
「…何にせよ修行は付けねぇ。理由もなしに面倒を請け負うほど俺はお人好しじゃねぇんだよ。…さて、今夜は用があるんだ。俺はもう行くぞ」
バーダックはいかにも面倒だという雰囲気を醸し出しながら室内へと戻ろうと歩を進める。これで諦めるだろうと踏んでいたバーダックだったが、これが逆にティアナの心に火をつけてしまう。
「…私に…」
「…?」
「私に才能が無いからですか…!?ブロリーと違って私は鍛えるだけ無駄だと言うんですか!?」
こちらを刺すような目でこちらを見据えながら、先程よりも強い声を上げるティアナ。普段は真面目な性格なティアナが感情を顕にしたのには流石のバーダックも一瞬動揺を隠せないようだったが、すぐに目を細めて睨み返すと───
「…だったらどうする?」
そう一言だけ言い残すと、唖然とするティアナに背を向けて部屋を去ってゆく。今のティアナにはバーダック引き止める事も言葉を返すことも、ましてやこの言葉の裏に隠された意味など理解できるはずもなかった。
***
「…来たか、バーダック」
「あっ、バーダックさんお疲れ様です。すいません、疲れてるとこ呼び出してしまって…」
「…別に構わねぇよ」
密輸団の襲撃とその頭部に刻まれた刻印、そしてバビディと呼ばれる人物など、とにかく今回の事件は謎が多すぎた。今後戦闘を繰り返す上で、敵の目星すらついていないのでは分が悪い。はやてはそんな状況を避けようと、バーダックとパラガス、さらに各部隊の隊長四人を集め少しでも情報を集めようとしていた。
「さて…これで全員やな。それじゃあ早速始めようか」
「あっ、はやて。その前になのはに聞きたいことがあんだけどさ…いい?」
「…?別に構へんけど…」
「ヴィータちゃん…もしかしてティアナの事…?」
(…!)
先程の出来事でティアナを気にかけていた事もあり、ティアナの名前が出るとバーダックはその黒い眼をなのはに向ける。
「ああ。訓練中から気になってたんだけどさ…強くなりたいなんてのは若い魔導師なら誰でも思うことだ。だけどあいつの場合は時々度を超えてる。ここに来る前になんかあったのか?」
「…うん…ティアナはね…」
なのはは悲しげな表情でぽつぽつと話し出す。物心つかない内に両親を亡くした上に、たった一人の家族である兄も任務中に命を落とし、天涯孤独の身となった事。さらにはその兄の最後の仕事すら無意味だと蔑まれた事。どれも十代の少女には耐え難いものであり、ティアナが強さに執着するには十分すぎる出来事であった。
「…そんなことが…」
「あいつもなかなか…重いものを背負っているのだな」
「うん…でもだからって無茶するのを見過ごす訳にはいかないよ…」
「………」
全員が複雑そうな表情を見せる中、バーダックは僅かに顔を顰めながら先程の出来事を思い返す。
『私に修行を付けてくれませんか…!』
『私に才能が無いからですか…!?』
『…だったらどうする?』
(チッ…焚き付けたのは不味かったか…)
「…バーダックさん?」
「…なんでもねぇ。話を続けろ」
「それはじゃあティアナの事も気になりますけど…とりあえず今日の襲撃について話を戻しましょうか。何か心当たりはある人はおるか?」
「うーん…そもそもどうして急に正面から襲撃なんて…普通に考えれば正面から突っ込んで来るような真似はしないはずなんだけど…」
「何か特別な理由があるという事か…?」
「新人達の中に恨まれてる奴でもいたとか?でもあいつらは現場に立つのはほとんど初めてなはずだし…」
「…主、それについて私に少し心当たりが」
「シグナム…?」
「最初にガジェット達と戦っていた時、途中から急にガジェットの動きが格段に良くなりました。…恐らくより我々の注意を引くために、ロストロギアに引き寄せられたガジェットを強引に有人操作に切り替えたのだと思われます」
「…まさか」
「そガジェットの操作もバビディという人物が行ったのかは分かりませんが、もし同じ発想で密輸団の人間を差し向けたのなら…」
「人間の有人操作…つまり…」
「洗脳…か」
パラガスの呟いたただならぬ単語に場の空気が重くなる。
「そういや奴ら言ってやがったな…バビディ様に力を貰ったと…」
「確かに新人達はかなり追い詰められてたし…それによく考えてみりゃ密輸をやる奴らにしてはそこそこ魔力があるみてぇだったしな…」
「無謀な襲撃に刻まれた刻印…そして己の限界以上の力…そして襲撃前に突然失踪した事を考えると、確かに洗脳なら奴らの不自然な行動にも合点がいきますね」
「でも本当に洗脳だとしたら、バビディは相当な力を持ってる事になるわ」
「そうやな。あれだけの人数を同時に操れるとしたら相当な使い手のはずや」
「しかしなんでよりによって密輸団なんぞ選んだんだ?俺がバビディの立場ならもっと使えそうな奴を選ぶがな」
「憶測だが…捨て駒として使っていたか、術に制約があるかだろう。…まぁそもそも本当に洗脳かどうかも憶測の域を出ないのだがな」
「でも密輸団の連中は殆ど捕まえたんだ。事情聴取すりゃもう少し情報が出るだろ」
「そうやな。私も明日留置所に行って話を聞いてくるつもりや。あともう一つ…スカウターについてなんやけど…」
「二度もこの世界で見つかったんだ。最早偶然という事はあるまい。俺達の世界の人間…それもフリーザ軍に関係する人間が来ている可能性が高い」
「バビディはフリーザ軍とは関係ないんですか?」
「どうだろうな。俺達が居た頃はそんな奴は居なかったが、あれから十年も経っているからな…」
(十年か…もうそんなに時間が経ちやがったのか…)
十年。それは決して短い時間ではない。バーダックが出会った頃はまだ幼かった少女達は今では立派な局員となり、かつては戦闘民族らしく星の制圧を行っていた男もすっかりこの世界に帰化している。
だが、あの日の出来事だけはバーダックの頭から離れなかった。血塗られた仲間達や自分達を嘲笑うフリーザの顔を思い起こす度に怒りと悔しさがこみ上げて来る。
(クソッ…あれから十年も経ちやがったってのに…俺は一体何を…)
「おいバーダック。聞いてるか?」
「…バーダックさん?」
パラガスの呼び声で我に返ると、フェイト達が心配そうに顔を覗かせていた。
「さっきから上の空みたいですけど…どこか具合でも悪いんですか…?」
「…そんなんじゃねぇよ。それで何の話だ?」
「バビディの話だ。俺達の居た世界でその名前を聞いた事はあるか?」
「へっ、あるならとっくに言ってるぜ。…俺はもう行くぞ。これ以上話しても憶測の域を出ないんだろ?」
「えっ…?まぁ確かにそうですけど…この後何か用事でもあるんですか?」
「…大した事じゃねぇがな」
「それなら別に構いませんけど…」
「…ああ」
バーダックは珍しくか細い声で返事をすると部屋を後にする。そんな様子を見たパラガス達は思わず首を傾げ顔を見合わせる。
「バーダックの奴どうしたんだ…?」
「ちょっと気落ちしているようにも見えたけど…」
「なぁパラガスさん、さっきティアナの話してる時ちょっと思ったんやけど…バーダックさんって昔何があったん?」
「…いや…俺は当時奴とは面識は無かったからな。その辺りの事情はよく知らんのだ」
「フェイトちゃんはどうや?一緒に暮らしてた時なんか言ってなかったか?」
「えっ…ああ…ううん…バーダックさん自分の事はほとんど話さないから…」
「もしかしてあんなに修行してるのって…ティアみたいに過去と関係があるのかな…?」
「どうだろうな。もしかするとここ数年の───
(そっか…私、バーダックさんの事…何も知らなかったんだ…)
***
はやて達と別れたバーダックは、なのはから聞いたティアナの気を頼りにティアナの元へと足を運んでいた。
(…チッ…俺はどうしちまったんだ…)
足を運んでいると言っても嬉々としてとして向かっている訳では無く、その歩みからは迷いが見受けられる。そんな中、不意に背後から聞き覚えのある声がバーダックの耳に飛び込んで来た。
「バーダックさんも来たんですか」
「…誰だ」
「忘れちまいましたかい?ヘリの操縦をさせて貰ったヴァイスですよ」
「…お前か。こんな場所に何の用だ?」
「ええ。ちょいとティアナの様子を見にきたんですが…バーダックさんは違うんで?」
「フン…一緒にするな。俺は偶然通りかかっただけだ」
「フッ…そうですか」
「そうだ。…文句あるか」
「いえ、そう言う訳では…」
「……それで?様子はどうだったんだ」
(ハハ…本当になのはさんやフェイトさんの言う通り気難しい人だ。…素直じゃないところもまさに聞いた通りだな…)
ヴァイスは予想通りのバーダックの発言に心中で呆れつつも、彼の秘めた暖かさを感じられた。
「それがですね…アイツ帰って来てからずっと自主練習しっぱなしでしてね…さっき声を掛けては見たんですが、大丈夫ですからの一点張り…」
ヴァイスは一つため息をつくと、愚痴をこぼすような口調で話を続ける。
「あいつ、自分には才能が無いと思い込んでるんですよ。そりゃ正直な話、確かになのはさん達に比べれば魔力は少ないし、単純な戦闘のセンスだけなら他の新人達の方があると思いますよ。でも、アイツの目指してる執務官の中にはもっと魔力値の低い奴もいますし、第一あいつには高い指揮官の才能が───」
「…関係ねぇよ」
「えっ…?それって…」
「奴の目指してるのはエリートだった兄貴だ。速い話、なのは達の訓練とは目指すものにズレがあるって事だ」
「…つまり、なのはさんの訓練だけじゃ上に行けないと?」
「少なくともあいつはそう思ってるんだろ。…こりゃ一荒れ来るかもな」
(一荒れ…?)
「…さて、もう俺は戻るぞ。面倒は御免だからな」
「あっ…!バーダックさん!」
意味深な言葉を残し、バーダックはさっさと隊舎へと引き返してしまう。ヴァイスはその言葉の意味するところを尋ねたい衝動に駆られたが、結局最後まで彼を引き止める言葉は思い浮かばなかった。
***
同時刻、話を終えたなのはとフェイトは遅めの夕食を取っていた。いつもなら会話の弾むところなのだが、今日ばかりは互いに口数が少ない。
「ねぇフェイトちゃん」
「………」
「…フェイトちゃん?」
「あっ、ごめんなのは。何かな?」
「さっきからボーッとしてるけど…大丈夫?疲れてたりする?」
「ううん。そう言う訳じゃないんだけど…ちょっと考え事」
「…バーダックさんの事?」
「う、うん…まぁそんな感じかな…」
「そっか…実は私もね、ちょっと考えてたんだ。さっきは言わなかったんだけど、最近気になる事があってね」
「気になる事…?」
「訓練中のティアナの目がね…時々、バーダックさんと重なる時があるの」
「ティアナの目…?」
「なんて言うのかな…強い意思と決意の中に、悲しさが混じってるような……上手く言えないんだけど…」
「なのはの言いたい事、なんとなく分かるよ。私もバーダックさんが時々遠い目をしてるの…何回か見たことあるから」
「…ねぇ…やっぱりバーダックさんにも家族とか友達が居たのかな…?」
「…ずっと前にね、パラガスさんが私に言ったんだ。故郷が滅びても俺にはブロリーが居る。…だがあいつには仲間も…家族も…大切なものは何も…残らなかったって。あんなに訓練を続けてるのも、もしかしたらそのせいなのかな…」
「………」
「なのは…私は…バーダックさんに…何をしてあげられるのかな…」
「フェイトちゃん…」
***
「あーあ…暇だな…」
「全くだぜ。あー暴れてぇなぁ…」
薄暗い部屋の中心にはテーブルが置かれ、四人の屈強な戦士がそれを囲んでいる。しかし机の上には彼らとは対照的な可愛らしいデザートが並んでおり、異質な雰囲気が漂っていた。
「気晴らしにその辺の山の一つでも吹っ飛ばしに行っちゃうか?」
「バカ。そういうのは隊長に止められたばかりだろ」
「そうだけどよ…任務もなけりゃ暴れるどころか外に出るのも禁止されてよ。これじゃあ向こうに居た頃と大差ねぇぞ」
「ホントだぜ。折角スカリエッティちゃんの新型スカウターも完成したってのに…」
「そう言うな。今食ってるチョコレートパフェは向こうじゃ食えなかっただろ?それに暴れる機会ならその内嫌でも来るだろうしよ」
「そりゃそうだけどよ…」
「まぁ、気長に待とうぜ?その間に新しいスペシャルファイティングポーズでも考えて───
管理局設立以来最大の脅威がもうすぐ動き出そうとしている。しかし、今この世界でその事実を知るものは誰もいない──
どうも。顔芸です。
更新がかなり遅れてしまいました…申し訳ないです。
言い訳の方は活動報告の方でさせてもらったので敢えてここには書きません。次こそは早く更新したいのですが、とにかく時間がねぇ!
話は変わりますが、DBの映画…まさかのあの人でしたね(笑)
でも一番驚いたのは親父ぃが予告に出てた事です。あれはびっくりしすぎてリアルに声が出てしまいました。