リリカルな戦闘民族 (ドラゴンボールZ×リリカルなのは)   作:顔芸の帝王

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第十二話 凡才の苦悩

『なのは隊長、敵ガジェットの飛行区域から10キロ圏内に入りました』

 

「了解。…よし。そろそろ行こうか。敵はそこまで強くないけど、油断しないようにね」

 

(…体の調子はいい。力のコントロールも…前よりは出来ている。今日はいつも通りに戦って帰るだけだ。心配する要素は何も無い。…それなのに……それなのにこの胸騒ぎはなんだ……?)

 

 

「分かってるっての。ほらブロリー、そろそろだぞ。準備しとけー」

「………」

「…ブロリー?」

「…ん?…ああ。」

「おい、さっきからボーッとしてるけど大丈夫か?」

「…大丈夫だ」

「ブロリー、本当に大丈夫?大した相手じゃないし、無理する事はないんだよ?」

「ありがとう。だが本当に俺は───」

 

 

その言いかけた時だった。雷に打たれたように、脳内に衝撃が走る。ブロリーはその場から勢いよくと立ち上がると、そのままヘリの外へと飛び出す。

 

 

「お、おい!急にどうしたんだよ!」

 

 

追いかけてきたヴィータの制止も振り切り、ヘリから離れて気を探る。

 

 

(何処だッ……気を消して逃げたか?いや、逃げられるほど時間は経っていない。そもそも気をコントロール出来る奴なんて俺の知る限りごく少数のはず……)

 

 

「臆病者が!出てこい!近くに居るのは分かってるぞ!」

 

 

「へへへっ…お前の後ろだよ」

「!?」

 

不気味な嗄れ声が背中から這うように耳に入って来る。すぐに振り向くと虫のような異形の顔を持つ小人と、ローブに身を包んだ大柄な男が立っていた。

 

「ブロリー!大丈夫か!?」

「こいつらは……?」

 

後を追ってきたヴィータ達も、謎の二人が放つ異様な気配を察したようで、すぐに臨戦態勢を取る。

 

「…誰だお前は?」

「なんだその目は?まだボク達何もしてないだろ?」

「ここは飛行禁止区域です。…抵抗しなければそちらにも弁解の機会があります。大人しく投降してください」

「フン…飛ぶことも自由に出来ないなんて、ここは不自由な世界だね」

「…そんなことをてめぇらと話すつもりはねぇ。大人しく投降すんのか、アタシらに叩きのめされるのか、さっさと選びやがれ!」

 

普段と同様に強気に出るヴィータ。しかし、簡単に勝てる相手ではない事はすぐに理解できた。それはなのは達も同様で、すぐに念話を飛ばし合う。

 

『皆、気を付けろ!こいつら只者じゃねぇぞ!』

『うん。あの水晶玉がデバイスみたいだけど…あんなのは見たことないよ…』

『それより見て!あの服のマーク…!』

『…!じゃあこいつが…!』

 

 

 

 

「そう。ボクが大魔導師バビディ様さ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヘリポートでの騒動の後、バーダック達二人は黙ったまま早足で隊舎の外へと向かっていた。バーダックが寡黙な人間である事はティアナも知っていたが、今回はいつも以上に空気が張り詰めていた。そんな雰囲気の中に身を置いていると、僅かな畏怖の感情が湧き上がってくる。

 

 

(兄さんや訓練校の教官、そして六課の隊長達……実力のある魔導師は何人も見てきた。全員私より才能があって…星や宝石みたいに輝いて見えた。…でもこの人は違う。なんて言えばいいか分からないけど…とにかく根本的に私達とは…………ってああもう!今更何を怯えてんのよ私は…この人について行けば強くなれるかもしれないんだから…!)

 

 

「おい…聞いてるか……おい…!」

「…っ!は、はい!」

「全く…ボーッとしやがって」

「す、すみません……あれ?ここは…」

 

 

てっきり訓練場に向かうのかと思いきや、バーダックが足を止めたのは隊舎から少し離れた何も無い場所。呆気に取られるティアナだったが、白く輝く街頭とコンクリートにぶつかる波が頭を冷やしてくれる。

 

 

「あの…これは一体…」

「お前、どうしても力が欲しい…そう言ったな?」

「…はい。そのためならどんな辛い訓練でも乗り越えるつもりです。それに…執務官の夢は捨てられません。でも、その為に命を賭ける事はできます!……もしそのせいで命を落とすような事があっても───」

「フン…心意気は結構だが、てめぇが命を賭けても執務官の夢とやらが叶う前に無駄死にするのがオチだぜ」

「なっ…!」

「…自分でも薄々気が付いてるんじゃねぇのか?こんな事をしても才能の差は埋まらない、まして執務官になんぞ近づけねぇってな…」

「くうっ…!」

 

 

行き場を失ったティアナのやり場のない激情は、自身の拳を血が滲むほど強く握らせる。この湧き上がる怒りや悔しさは、バーダックに対して向けられた物ではない。バーダックの言葉に反論できなかった惨めな自分に対してだった。そして、それらは彼女の内に秘めていた思いを吐き出させてゆく。

 

 

 

「…ええそうですよ!!私の事は私が一番よく分かってるんですっ!私なんかがいくら努力したって、命を賭けたって!貴方やなのはさんやスバル達には追いつけない!そんな事!とうの昔に分かってましたよ!だけど…だけど死ぬ思いでやるしかないじゃないですか!!なのに…!その努力までしちゃいけないって……私はどうすればいいんですか!?」

 

 

よほど溜め込んでいたのだろう。息を切らせながらありったけの言葉をぶつける。そんなティアナに対してバーダックは

 

 

 

「…一度だけ───」

「えっ…」

「一度だけ昔話をしてやる。…やたらと言いふらすんじゃねぇぞ」

「え…ええっと…はい…」

 

 

 

「遠い世界の人間の話だ。そいつらは人生の殆どを戦闘に費やす種族。必然的に戦闘力こそが人間の価値を決める。そしてその価値のない人間……つまり才能の無い無力な奴らは強い者に従い、時にはゴミのように扱われる。だがそれでも弱い奴らから反乱が起こる事はなかった。それほど両者には差があったのだ」

 

 

「……だがそんな落ちこぼれ達の中でも、限界以上の訓練や実践でエリート達に近付こうとする奴、あるいは越えようとする奴らも居た。…今のお前はそいつらと同じだ。その連中の一体何人がエリート達に匹敵する強さを得られたと思う?……数千人の内たったの数人だ。それ以外の奴らは殆どが道半ばで死んでいった……」

「し、死んだって…どうして…」

「当然だ。自分より強い奴を越えるにはそいつ以上に命を削らねぇといけねぇんだ。…いいか。今てめぇがやろうとしてるのはそう言う事だ…!」

「あっ…うっ……」

 

 

命なんて惜しくないと口にするのは簡単だった。実際、先程までのティアナであれば迷わず言い放っていただろう。しかし、バーダックによって語られた生々しい現実がティアナの決断を躊躇させ、同時に冷静さをも取り戻させた。

 

 

(……ああそうか。やっと分かった…この人やなのはさんの伝えたかった事が…)

 

「……バーダックさん。貴方が何を言いたいのかやっと分かりました」

「……なんだと?」

「私、今まで努力すれば執務官になれるって思ってたんです。だからどんなに辛い訓練でも耐えられる自身はあった……。だけど、それで周りが見えなくなってたんです。自分の目標の為にスバルやブロリーを危険に晒して、それを許してくれた二人や皆に甘えて、隊長達にも私の我が儘で迷惑かけて……改めて口に出してみると私ってどうしようもないですね…」

 

「………」

 

「さっきの話も…私に現実を教えようとしてくれたんですよね…。確かに私にとって執務官は憧れです。でも…もう大丈夫です。私の無茶で皆を危険に晒すぐらいなら…執務官は諦め───」

 

 

「チッ…全く!てめぇという奴はどうしてすぐ諦めるんだ!甘ったれてんじゃねぇぞ!」

「えっ……?」

「いいか。てめぇは自分を追い詰めて鍛えてるつもりなんだろうが…実の所は何でもかんでも端から諦めてやがるんだ。確かに才能の無い奴は人一倍体を張らなけりゃならねぇ。だがお前のあの時の行動は、本当に強くなるための努力か?自分は弱い、才能がない。だから執務官になるには無謀な戦いをするしかない…そんなヤケクソじみた努力だっだろう」

 

(そうだ…私は…!)

 

「そんな後ろ向きの努力は全く役に立たねぇ。努力したつもりにはなるだろうが、最後は惨めに自滅するだけだ。本当に強さを手に入れたいなら、やるべき事は自分の才能を悲観する事じゃねぇはずだ。………それに、だな」

 

バーダックは小さく咳払いをすると、少々歯切れが悪そうに話を続ける。

 

「なのはの奴はまだガキだが……まあ、魔導師としても教導官としてもそこらの連中よりは実力はある。だからその…なんだ。もう少し信頼してやってもいい」

 

「は、はぁ…」

 

「……それはともかくだ。俺の言いたい事は言った。今後どうするかはお前が決めろ。お前がどう行動しようが、俺はいちいち咎めたりしねぇ。…まぁ、そこの茂みに隠れてる奴らはどうか知らんがな」

「えっ…?それってどういう…」

「おいお前ら、いい加減出て来い…!とっくにバレてるぞ」

 

 

すると、近くに植えられている垣根がもぞもぞと動き出し、新人の三人がひょっこりと顔を出す。

 

 

「…盗み聞きとは随分行儀がいいじゃねぇか」

「あはは…き、気付いてたんですね…」

「フン…気がダダ漏れなんだよ。気付いて当然だろうが」

「す、すみません…どうしてもティアナさんが心配で…」

「…まぁいい。後は好きにしろ。…もう面倒を起こすんじゃねぇぞ」

「あっ、バーダックさん…!」

 

背を向けて隊舎へ戻るバーダックをティアナは呼び止めようとするが、バーダックが振り向くことは無かった。

 

「バーダックさん行っちゃいましたね…」

「私達が盗み聞きしてたから怒らせちゃったのかな…?「邪魔しちゃってごめんねティア…」

「あ、謝らないでよ…私は別に気にしてないし──」

「でも…」

 

「いや…そうではないさ」

 

 

申し訳なさそうに謝罪する三人の背後から、聞きなれた声が聞こえてくる。振り返ると、パラガスが街路樹に背中を預けて立っていた。

 

 

「あ、あれ!?パラガスさん!」

「いつからそこに?」

「ん…?お前達が来たすぐ後だが……」

「よくバーダックさんに気付かれませんでしたね…」

「フッ…まぁ伊達に歳を食ってる訳じゃないという事だ。…それよりさっきの話だが、あれは別に怒ってる訳じゃないぞ」

「そうなんですか?」

「ああ。あいつは昔から誰に対しても無愛想な奴なんだがな。珍しく慣れないことをして照れているだけだ───っと、これも今はどうでもいい話だな」

 

パラガスは改めてティアナに向き直ると、真剣な面持ちで口を開く。

 

「ティアナ、奴と話して何か進展はあったか?」

「はい。その…今は言葉では上手く言えないんですけど……」

「…そうか」

「でも、なのはさんには幻滅されちゃいましたよね…私が出動待機に回されたのもきっとそのせいで───」

「ティアさん!違うんです!」

「えっ…?」

「うん。なのはさんが怒ってたのはね────」

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう…だったんだ」

「…うん。だからなのはさんの事、悪く思わないで欲しいなって…」

「初めから思ってないわよ。そもそも、今回は私が色々こじらせたのが原因なんだし…」

「ティア…」

「なのはさんが帰って来たら一緒に謝りに行こう!ティア!」

「…そうね。ちゃんと謝ってまた頑張らないと…!」

 

 

(…うむ。一時はどうなるかと思ったが、どうやら一区切り付いたようだな。…となれば、部外者はとっとと去るとするか)

 

「あっ…パラガスさん!」

 

 

無邪気な笑顔を見せる四人を見届け、一人戻ろうとするパラガスだったが、それに気が付いたティアナが呼び止める。

 

「ん…どうした?」

「あの…後で一つ伺いたい事があるんですけど…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ…!こいつ…アタシらの念話を…!」

「それに…やっぱりこいつって…!」

 

 

「フン。やっと分かったか。まぁ、念話を盗み聞くぐらいボクにとっては朝飯前だけどね。それより、お前達ボクを捕まえるんだって?馬鹿なことは止めて───」

 

 

気味の悪いにやけ顔を浮かべながら煽るような口調で話すバビディだったが、この程度の安い挑発に乗せられるほど浅はかではない。

 

「…素直に従う気はないみたいですね。…そっちの貴方はどうなんですか」

「お、おいお前達!ボクの話を最後まで聞けー!」

「…つーかてめぇは誰だ?こいつと一緒って事はまた操られて───」

 

「…フッフッフッ…よくぞ聞いてくれた!私は宇宙一のエリート部隊───」

 

ふざけているとしか思えないポージングをとりながら堂々と名乗りを上げる───と思われた時、男の動きがピタリと止まる。

 

「っと…忘れていた。今は名前は明かしてはならんのだったな…」

 

「え、ええっと…」

「一体何なんだよ…」

「とにかくだ!私も貴様らのお縄になるつもりは無い。どうしても捕まえたければ実力で私を倒すのだな」

「チッ…やっぱりそう言うと思ったぜ!そもそもてめぇら!目的は一体なんだ!」

「何、ちょっとした偵察さ。お前達機動六課のね」

 

(私達の…情報…?スカリエッティと手を組んでいるならそんな情報はとっくに掴んでるはず…それなのにどうして…)

 

「腑に落ちないって顔だね。へへっ、教えてやるよ。正直、僕が気になってるのは六課というよりサイヤ人の連中なんだよね」

 

「………!!!」

「なっ…!」

「てめぇ!それはアタシらしか知らないはずだ!な、なんでてめぇがサイヤ人の…ブロリー事を知ってんだ!答えろ!」

「そこまで教える義理は無いね。…それからお前さ」

 

 

冷たく言葉を言い放つと共に、巨大な眼球がヴィータを睨み付ける。一体バビディが何をしようとしているのか。どういう技を使うのか。情報らしい情報が一切ない中で、ブロリーの本能だけが瞬時に危険を察知した。

 

 

「ヴィータ!避けろ!」

「避けろって…な…に……を…?」

「お前、さっきから生意気だよ。特にボクに対する口の利き方がさ」

「あっ…がぁぁ……」

「ヴィータちゃん!?」

 

 

しかし、折角のブロリーの注意喚起も虚しく、突如ヴィータは首を絞められたように悶えだす。すぐに駆け寄ったなのはに抱かれなんとか落下は免れたが、全く呼吸が出来ていない状態だった。

 

 

「ヴィータちゃん!しっかりして…!」

「へへッ…かかったね…!今日は偵察だけのつもりだったけど、気が変わっちゃったな〜」

「貴様…!ヴィータに一体何をした!」

「そんな事悠長に聞いてる場合か?後少しでそいつは死ぬぞ〜?こんな風に…ね!」

「うぅ…ぐぁぁぁ……」

「くっ…このっ!」

 

 

バビディが拳を握るたびにヴィータが苦しそうな悲鳴を上げる。術の元凶を断とうとフェイトがバビディに脱兎の如く飛びかかる。しかし、バビディに向けられたはずのその一撃は隣にいた男にあっさりといなされてしまう。

 

 

「…くっ!」

「こいつは気に食わんが…これも命令だからな。邪魔させる訳にはいかん」

「命令…一体誰の…?」

「貴様が知る必要は無い。ふんっっ!」

「くっ…かぁぁぁぁぁ……」

 

男の拳が鈍い音を立ててフェイトの腹部にめり込む。飛びそうな意識を必死に保ちながら反撃技を繰り出す。

 

「フォトン……ランサーッ!」

(速い…!だが……ぬるいわ!)

 

無数の金色の槍を凄まじいスピードで男に放つ。しかし、全て片手の風圧でかき消されてしまう。

 

「へへっ!ほらほら早くボクを止めないとこのガキが死ぬぞ〜?」

(まずい…早くしないと…ヴィータが…!)

「さて…どうやって殺してやろうかな?頭を吹き飛ばすか?それともこのまま窒息させて────」

 

 

 

高笑いをあげるバビディの眼前に、深碧の光が横切った。そしてその刹那、背後で爆発が引き起こされる。その威力たるや凄まじく、海は大きく引き裂かれ、空間も大きく揺さぶられる。

 

 

「ゲホッ…ゴホッ……ブ、ブロ…リー…?」

「馬鹿な……あんなガキにこれ程のパワーが…」

「ブロリー…ちゃん…?」

「お、お前…今…何をしたんだ…?」

 

 

敵味方問わず驚愕したブロリーの攻撃。しかし、一同の視線の先には、先程の大人しい少年の姿は無かった。

 

 

 

 

 

 

「虫けらめ……殺してやるぞ……!!」

 

 

 

 

 

 

 




どうも。顔芸です。
更新がまた遅くなってしまい申し訳ないです。オラに時間を分けてくれぇーっ!



話は変わりますが、リリカルなのはでおなじみの水樹奈々さんがDBの新作映画に出演するみたいですね。微妙な縁を感じるような……なんて少し思ってしまいました。
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