リリカルな戦闘民族 (ドラゴンボールZ×リリカルなのは)   作:顔芸の帝王

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第十三話 空白の時間

『バーダックさん…絶対また会えますよね?』

 

『フン…どうだろうな』

 

『ちょっとバーダック!しばらく会えないんだから、また会えるぐらい言ったらどうなんだい!』

 

『バーダックさん!私、次に会うときはバーダックさんと渡り合えるくらい強くなりますから!』

 

『…簡単に言ってくれるじゃねぇか。…だがまぁ…それなら考えてやってもいい』

 

『ふふ…それじゃあ約束ですからね…!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(…随時昔のことを思い出しちまったな)

 

 

「ここに居たか。バーダック」

「パラガス…一体何の用だ」

「いや…お前にしてはずいぶん甘いと思ってな。ティアナも不思議がってわざわざ尋ねて来たぞ?」

「…!くそったれ…てめぇ聞いてやがったな」

「フッ…そう怒るな。偶然聞こえてしまっただけだ」

「…チッ…気を消してやがった癖に…白々しい野郎だ。今はてめぇの無駄話に付き合う気分じゃねぇ。とっとと失せろ」

「まぁ聞け。…真面目な話だ。お前、まだあの時の事を引きずっているのか?」

「………」

「お前に責任は無い…とは言わんが、あれはお前だけの責任では無い。確かに俺も含めてなのはには皆で負担を掛けてしまった事は事実だ。だが、お前が無理矢理修行の相手をさせていた訳ではない。強くなる事や戦うことはあいつ自身も望んでいた事だろう?」

 

先程とは違う真剣味のある声が周囲の空気を静かに震わせる。そんな空気を察し、バーダックはひと呼吸おいてから小さく言葉を発してゆく。

 

「…確かに強くなる事はあいつが望んだ事だ。だがな…あいつは地球人なんだ。どんなに魔力が強かろうがそれは変わらねぇ。…お前も見ただろう。あの時のボロ雑巾みてぇなあいつの姿を────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高町なのは撃墜───

偶然にも当時ミッドチルダを訪れていたバーダックに、その話が飛び込んで来たのはそう遅いことではなかった。

 

「あの馬鹿野郎が…!」

 

日は既に落ちていたが、かつて共に戦った仲間の気を頼りになのはの元へと向かった。そして目的の病院までたどり着くと、バーダックを待っていたパラガスと鉢合わせる。

 

「バーダック!来たか!」

「おい、なのはの奴はどうなった!?」

「詳しい事は歩きながら話す。とりあえず本人の所まで行くぞ」

 

 

 

 

〜〜〜

 

 

 

「まさかこんな形でお前と再会する事になるとはな…」

「それで…?あいつの容態は…」

「とりあえず一命は取り留めた。が、正直ダメージは深刻だ。医者の話だともう空は……いや、歩けるようになるかもわからんそうだ。…それからヴィータとフェイトの二人はかなり精神的に参ってるようでな…」

「どういう事だ?」

 

パラガスは小さくため息をつくと、物憂げな表情で語り始める。

 

「今回のなのはの重症の原因は………疲労だ」

「疲労だと…?」

「ああ。無茶な訓練や度重なる事件で慢性的に疲れが溜まっていたようだ。お前も知っていると思うが、フェイトやヴィータは直接なのはを襲撃した過去がある。それぞれ理由があったにせよ、原因を作ってしまった事に責任を感じているようだ。特にヴィータは一緒に任務を行っていながら守ってやれなかったと酷く落ち込んでいてな…」

(疲労……か)

「っと…着いたぞ。ここがなのはの病室だ」

 

 

引き戸をゆっくりと開きながら、二人は病室へ足を踏み入れる。そこでバーダックが見たなのはの姿は、二年ぶりの再開を果たすにはあまりにも凄惨なものだった。肢体のほぼ全てに巻かれた包帯と繋げられた大量の医療機器が事の重大さを物語っており、会う度にそっけない態度をとっていたバーダックも、今回ばかりはかける言葉が見つからなかった。

 

 

「…あっ…バーダック…さん……」

 

 

バーダックの気配を感じたのか、眠っていたなのはがゆっくりと目を開ける。

 

「来てくれたんですね……ありがとう…ございますっ…うっ…」

「…!馬鹿野郎が。無理に身体を動かすな」

 

律儀に起き上がろうとするなのはを止めると、そのボロボロの身体をベッドの上にそっと寝かせる。

 

「すみません…バーダックさんは元の世界を探さなくちゃいけないのに…迷惑かけちゃって…」

「…謝るな。そんな事、てめぇに心配される覚えはねぇ」

「にゃはは…よかった…いつものバーダックさんだ…」

「………」

 

 

バーダックの知る以前の強く活気に満ち溢れていた姿と比べ、ベッドに横たわり作り笑いを浮かべるなのはの姿はひどく華奢で小さく見えた。

 

 

「…バーダックさん。私ね、病院の先生にもう空は飛べないかもって言われちゃったんだ」

 

「………」

 

「それどころか、もう歩けないかもって…」

 

「………」

 

「バーダックさん…私…私…!」

 

必死に涙を堪えていたなのはだったが、しゃくりあげた拍子に一粒の雫が頬を伝うと、もうその後はとどめがなかった。その姿にいつもの大人びたなのはの面影はなく、どこにでもいる年相応の少女の姿だった。

 

「ありがとうバーダックさん……もう大丈夫…」

 

ひとしきり泣いた後、なのはは目を擦りながらぺこりと頭を下げる。そんな建気な姿に、バーダックの心は締め付けられた。

 

 

「待っててくださいね…怪我なんてすぐ治して、また空に戻ったら…あの時の約束も守りますから」

「…約束?」

「ほら…強くなってまた戦うって…前のお別れの時に…」

(……!)

 

 

バーダックは重症を招いた疲労の責任の一端が自らにあることは十分に理解していた。しかし、サイヤ人として生きてきたバーダックに、気の利いた言葉が掛けられるはずがなかった。

バーダックはそんななのはの姿に対してかける言葉が見つからず、何もしてやれない自分が憎らしかった。そして同時に、この時ばかりは自身がサイヤ人である事を悔やんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いいか。今のあいつらは優れた魔力のおかげで普通の人間より高い戦闘力を持ってる。それどころか下級戦士のサイヤ人なら歯が立たない程にだ。だがな、なのはを含めてここにいる連中の純粋な身体能力なんぞ、俺達からすりゃハッキリ言ってカスみてぇなもんだ。なのはの場合は特にだ。…もう言いたい事は分かるな?」

「なのは達と俺達は姿は似ていても全く別物の種族…という事か?」

「そうだ。サイヤ人は土手っ腹に穴が開こうが全身の骨が折れようがすぐに回復できる。だがあいつらはどうだ?魔法という盾がなけりゃ、吹けば飛ぶような戦闘力しかねぇんだ。そもそも、あいつらは俺達のような血に飢えた種族じゃねぇ。俺は…そんな奴らにサイヤ人の常識を押し付けちまった。その結果があれだ」

 

 

自嘲気味に話すバーダックの表情からはいつものような鋭さは影を潜めており、彼の心境を雄弁に物語っていた。

 

 

「お前がそこまで思案していたとはな。…闘いの好きなお前がここに来てから一度もブロリー以外と組手をしなかったのはそれが理由か」

「フン…もう気は済んだだろ。とっとと失せやがれ」

 

 

 

 

 

 

 

(バーダック…確かにお前の言う事は正しい。俺も八神家の者には平和に暮らしてほしいと思っている。…だがそうやって仲間達から遠ざかり…お前はいつまで孤独なサイヤ人でいるつもりだ…?お前は…あいつらを置いてどこへ向かうつもりだ…俺達の星はもう無いんだぞ?)

 

 

同じ仲間を持つサイヤ人だからこそ痛いほど理解出来るバーダックの心境。しかし、理解出来るが故に気安く励ますことなど出来るはずがなかった。

 

 

パラガスは仕方なく一抹の不安を残しながらもこの場を後にしようとしたその刹那─────

 

 

 

 

「!?おいっ!パラガス!今のは…!」

「なっ…!そんなバカな…」

 

 

 

 

 

巨大な気が二人の身体を駆け巡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へ、へへっ…とんだ局員だね…!今のが市街地なら更地になってるよ…!」

 

 

「ブロリー…?だ、大丈夫───

「だあぁぁぁぁぁっ!!」

「ひっ…!お、おい!僕を守れ〜!」

 

 

フェイトの言葉も意に介さず、バビディに飛びかかるブロリー。しかし、そこへ男が割って入り動きを止める。

 

 

「こいつは気に食わないが、これも命令だ」

「チィッ…雑魚は引っ込んでろっ!」

「うおっ!?このガキ…!」

 

ブロリーの攻撃によって男は海面ギリギリまで吹き飛ばされるが、体勢を整えると同時に光弾を放つ。

 

「フン…こんなものっ!」

「なっ…ブロリー!?」

 

避けるどころか正面切って突っ込むブロリー。当然攻撃は命中し、辺りに噴煙が巻き上がる。

 

 

「自分から当たりに来るとは…馬鹿な奴───

「ふははっ!殺してやるぞ!」

「なっ!馬鹿な!?」

 

 

灰色の煙を引き裂いて現れたのは無傷のまま突撃を止めないブロリー。面食らった男はすぐに防御を固めるが、小柄な身体から放たれたとは思えないほどの破壊力を秘めた拳を防ぐことで精一杯だった。

 

そして突如開始された二人の戦闘を外野から見ている両陣営の魔導師達。こちらもそれぞれ思惑を抱えながら行動に移ろうとしていた。

 

 

 

『おい!聞こえるか?もう偵察は終わりだよ。そいつの相手はもういいぞ!』

『くっ…好き勝手言いおって…!このガキを突き放すまで待て!』

(チッ…あんなガキに苦戦するなんて…と言いたいところだけど、正直こいつの潜在能力は正直予想以上だ。だがこいつはもしかすると────

 

 

 

 

 

 

 

 

(今の内にバビディを捕まえに…!でもブロリーのあの無茶苦茶な戦い方…早く止めないとまずいかもしれない。かといってヴィータを抱えてるなのはは動けないし…クッ…どうする…?)

 

「ゴホッ…はぁ…はぁっ…なのは…フェイト…」

「ヴィータちゃん!大丈夫?今は無理しないで身体を…」

「アタシは大丈夫だ…それよりブロリーを止めねぇと…」

「でも今ブロリーはあの男を押してるし…バビディも捕まえないと…」

「あいつらはまた捕まえりゃいい。でもブロリーはダメだ…!あのまま放っておいたらここらを破壊し尽くすまで暴走し続けちまう…。早く正気に戻してやらねぇと……!」

 

「…わかった。でもヴィータちゃん、無茶はダメだからね?」

「へっ、わかってるての!」

「でもどうする?幾ら何でもあの戦闘に割って入るのは…」

「とりあえずあの男を追い払おう。バビディの言ってた通り二人の目的が本当に偵察なら、危険を冒してまで戦おうとはしないはず…」

「分かった。なら私があの男の注意を引くから、その間に二人はブロリーをお願い」

「ああ。…待ってろよブロリー…今戻してやるからな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻、異常な気を感じ取った二人は、はやての居る管制室にたどり着くとやはり騒然としており、現場の様子が容易に想像できた。

 

「はやてちゃん!二人が来たですよ!」

「あっ…二人共ええ所に!実は少し前から現場と通信が取れんようになって…恐らく戦っている相手に妨害されてるんやと思うんですが…二人も何か感じますか?」

「なのは達の近くにあまり良くない気が二つ…それに──

「ブロリーの気が異常に膨れ上がってやがる。お前の言う通り誰かと戦っているようだが…」

「ブロリーが…!?それじゃあ皆は……早く増援を…!」

「落ち着け。一緒に居るのはなのは達だ。そう簡単にどうにかなったりはせん。それにここからでも気は読める。だから今は様子を───」

 

「何を悠長な事言ってやがる!」

 

はやてを落ち着かせようと説得するパラガスに、後ろで控えていたバーダックの怒号が飛ぶ。

 

「てめぇもブロリーの気を感じただろ!本当にあのエネルギーを使って暴れ回ったら、いくらなのはやフェイトでも死ぬぞ!」

 

「そんな事は分かっている…だが仮に戦っているのがバビディだったとして、奴の能力は洗脳の可能性が高い…!中途半端な戦力で向かえば最悪の事態も有り得るのだ。相手の出方が分からん以上、ここの戦力をそう簡単に減らすわけにはいかん!」

 

「だからあいつらを見捨てるのか!なら俺は───」

 

その時、サイヤ人二人はピタリと言葉を止めると、なのは達の居るであろう方角に体を向ける。

 

「二人共…どうしたですか…?」

 

「ブロリーの気が…戻った…」

「えっ…ほ、ほんまですか!?」

「ああ…それに邪悪な気も消えている…ブロリーが倒したのか?」

 

急激に変化する状況に困惑する一同。そこに、先程まで音信不通だったフェイト達から通信が入って来る。

 

『はやて!皆!聞こえますか?』

「フェイトか!?そっちはどうなってる!」

『数分前にバビディを名乗る魔導師と正体不明の男と交戦。拘束はできませんでしたが、なんとか追い払う事はできました』

「…それでブロリーはどうなった?」

『それが…ですね…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───ここは…どこだ…?

 

 

暗い。寒い。痛い。……憎い。

 

 

一体何が…?

 

 

…分からない…何も…

 

 

 

「はあぁぁぁぁっ!」

 

「くたばれっ!」

 

 

 

誰だ…お前は…?

 

 

この痛みは…お前のせいか?

 

 

「ぐっ…かはぁっ…」

 

 

…フッ…フハハハハッ……!楽しい。もっと苦しめ…。俺を楽しませろ…。カカロットォォッ!

 

 

 

「──い!ブロ──しっかり────!」

 

 

 

…今度は誰だ。また俺を殺しに来たのか?

 

いいだろう。邪魔するならお前も────

 

 

 

「ブロリッー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!?はぁ…はぁ…はぁ…はぁっ…」

 

 

「ブロリーちゃん!」

「気を確かに持って!」

「俺は…うっ…」

「ブロリー!」

 

意識を取り戻して最初に目に入ったのは、心配そうにこちらを覗き込むヴィータ達の姿だった。見慣れた顔に安心する一方で、彼女のバリアジャケットには所々傷がついていた。

そして同時に頭を揺らされるような感覚に襲われ千鳥足になってしまう。そのまま倒れ込みそうになったところで咄嗟にヴィータが肩を担いで身体を支える。

 

 

「おい、大丈夫か!?」

「ヴィータ…か?」

「ああそうだ!ってかもう喋るな!」

「俺は…また暴れて…?」

「っ…それは…後で話す。だから今は…」

「…すまない。俺が不甲斐ないばかりに…」

「謝るなよ……謝っちまったら…お前が悪いみたいじゃねぇかよ…」

「…とにかく今は戻って連絡しよう。きっと皆心配してるだろうから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──という事なんです…』

 

「…状況は分かった。ガジェットとの戦闘はできそうか?」

「うん。そっちは多分大した相手じゃないし、ブロリー以外はまだ戦えるから」

「そうか…。でも気ぃつけてな?」

「ありがとう。戦闘が終わったらまた連絡するよ」

 

通信を切ると、はやて達は全員の無事にひとまず胸を撫で下ろす。そこへ、一人神妙な面持ちのバーダックが声を上げる。

 

 

「おいパラガス。一つ聞きたいことがある。…ブロリーのあの戦闘力…お前もサイヤ人なら心当たりがあるだろう。…あれは──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「伝説の超サイヤ人…そう言いたいのだろう?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




投稿が遅くなってしまい申し訳ないです。本当は十一月の頭には上げようと思ったのですが、色々修正していたらこんなに遅くなってしまいました。
次はなるだけ早くアップできるように頑張ります。

もう一つ、内容に関してお願いです。現状正体を伏せている敵に関しては、ネタバレは避けていただけると有難いです。…まぁ大抵の方はもう察しがついているのかもしれませんが、一応そのような形でお願いします。
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