リリカルな戦闘民族 (ドラゴンボールZ×リリカルなのは)   作:顔芸の帝王

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どうも。顔芸です。
結構書き溜めていたのですが、結局時間がかかってしまいました。すいません…

ですが、字数はいつもの倍ぐらいですので、楽しんでいただけると嬉しいてす。


第十五話 休暇

「エリオ!行くよっ!」

「はい!」

 

思念通話で瞬時にコンタクトを取った二人の少年少女は、巻き上がる土煙の中から同時に飛び出してゆく。鋼鉄の拳と瑠璃色の槍が、バーダックの身体に肉薄する。

 

「遅いっ!」

 

しかしどちらも軽くあしらわれ、攻撃したはずの二人は逆に体勢を崩されてしまう。

 

「どうした!四人がかりでこの程度か?」

「くっ…!まだまだぁ!」

 

 

 

「うん。四人共だいぶ様になって来たね」

「ああ。でもいくらなんでもまだちょっと無茶なんじゃねぇか?30分以内にバーダックに一発当てろだなんてさ…これ、一応今の段階の見極めテストなんだろ?」

「その事なんだけどね、確かに皆にはああ言ったけど、今回は目標達成と合否は別にしてあるんだ」

「ふーん…」

「それに…今のあの子達なら…」

 

 

 

 

 

 

「くっ!もう一回…!」

 

『スバル!落ち着きなさい!ヤケになってもあの人に攻撃はあたらないんだから!』

『う、うん…ごめんティア…!』

「幻術であの人の注意を引くから、アンタは一度下がりなさい!」

 

(相手は素の力も経験も全て上…おまけに近接も砲撃も得意分野…まるで隙がない)

 

「そこっ!」

「チッ…また幻術か…!だが俺には通用しねぇぞ!」

 

(おまけに気を読まれるせいで、幻術もすぐに見破られてすぐに消される。それでも──

 

冷静さを取り戻せば取り戻す程に、相手との戦闘力の差を痛感してしまう。それはティアナ以外の三人も同様だった。

 

『エリオ君!大丈夫?』

『うん。でも、同時に攻撃しても掠りもしないなんて…!』

『もうあんまり時間もない…ティア…どうする?』

『…一つ作戦があるわ』

『ほ、本当ですか!?』

『ええ。上手く行けば一発ぐらいは当たってくれるかもしれない。私の幻術を使うんだけど、これは私ひとりじゃ成功しないの。だから皆、今から私の指示通り動いてくれる?』

 

『『はいっ!』』

『うん!』

 

『…ありがとう。それじゃあスバルは───

 

 

 

 

 

 

 

「おりゃぁぁぁっ!」

 

「はぁっ…はぁぁっ!」

 

残り時間は既に一分を切っているが、前線の二人は休むことなく攻撃を仕掛け続けている。一見すると攻撃の手を緩めていない様にも見えるが、バーダックは二人の僅かな戦い方の変化を感じ取っていた。

 

(この二人…少し前からやたら注意を引こうとしてやがる。…何か狙ってやがるな)

 

『二人共!そろそろ行ける!?』

『うん…!いつでも大丈夫!』

『僕も大丈夫です!』

『オッケー…!それじゃあ行くわよ!』

 

「クロスファイア……」

 

 

 

「っ!?なんだ…?」

 

 

異様な気配を感じて辺りを見回すと、武器を構えた幻影達が周囲の林から次々飛び出して来る。

 

「こいつら…いつの間に」

 

「シューーート!」

 

ティアナの声と共に放たれた無数の弾丸達は、まるで豪雨のように全方向から一気にバーダックに襲いかかる。

 

「チッ…あの中に本物を混ぜたって訳か…だが…!」

 

バーダックが感じ取れるのはあくまで気弾のみ。人間が実体か幻術かどうかは判別できるが、魔力弾を使っている限り、弾丸が実体なのかどうかは肉眼で判断しなければならない。

しかし、だからと言ってこの程度の弾幕で攻略できる程この男は甘くはない。五感を研ぎ澄ませ、迫り来る弾丸を軽々と見切っていく。

 

 

「見切られるのは分かってたわ!キャロ!」

「フリードッ!お願い!」

「チッ…炎だと!?邪魔だっ!」

 

タイミングよく放たれたキャロの攻撃だったが、即座に反応したバーダックの気合砲によって受け流されてしまう。だが意味がなかった訳ではない。一瞬ではあるが炎で視界を奪われたバーダックは、先程より明らかに表情を曇らせていた。

 

(こいつら…考えやがったな。だが回避さえ出来れば問題は───

 

「「はあぁぁぁぁっ!」」

 

その時だった。バーダックの視界に、こちらに突っ込んで来るスバルとエリオの姿が映る。

 

(なっ!?こいつら…!この弾幕の中を突っ込んで……という事はこの攻撃は───

 

この弾丸の雨の中では、味方であるスバルやエリオも近づけない。その固定概念がバーダックの判断を遅らせた。

まさか近距離戦を挑んで来るとは思ってもおらず、彼は完全に虚をつかれた形となった。

 

「チッ…やるしかねぇかっ!おりゃぁぁっ!」

 

渾身の力を込めた二人の攻撃と、バーダックの鉄拳のによって周囲に粉塵が巻き上がる。それと同時に模擬戦終了の合図が鳴り響き、これが最後のチャンスであった事を告げる。

 

「やったの…?」

 

しかし、煙の外で待つ者の期待とは裏腹に、煙の中から出てきたのは、平然と立っているバーダックと、膝をつくスバルとエリオの姿だった。

 

(くっ…駄目…だったわね…)

 

「はい。みんなお疲れ様」

「な、なのはさん…あの…私…」

「ティア。よく頑張ったね」

「ありがとうございます…でも攻撃は…」

 

 

「…まさかこの俺が不覚を取るとはな」

「バ、バーダックさん…!」

「もしかしてその傷…」

 

バーダックの頬には大ダメージ…とは言い難いものの、しっかりと攻撃の跡が残っていた。

 

「攻撃が…」

「当たってる…!?」

 

「…そういう事だ」

「おめでとう。みんなの努力、ちゃんと届いたよ」

 

なのはに告げられた言葉でようやく現実味が湧いてきたのか、四人の表情がほっとした表情を見せる。

 

「やったねエリオ君!」

「うん!これもティアさんの作戦のおかげだね!」

「えっ…わ、私は別に…」

「もう…こんな時まで謙遜しなくていいのに!」

 

「ああ。今回の作戦にはアタシも感心した。バーダックが幻術の弾丸を目視以外で察知できない事を利用して、前衛が注意を引いてから幻術と実弾を混ぜた一斉射撃…と思わせて、実は弾は全て幻術。そこに二人が同時に攻撃を仕掛ける…か。それにしてもよく戦闘中に思いついたな」

 

「いえ…本当はセオリー通りに動いて勝てるのが一番なんですけど…戦闘力が違いすぎて、今の私達じゃ無理だって思ったんです。それならどうにかして隙を突きたいって考えたんですけど、小手先の技が通用する相手じゃない。なら戦闘スタイルやポジションは崩さないで、私達が有利な戦い方をしようって考えてたんです」

「うん!いい判断だと思うよ!ティア、よく頑張ったね。他のみんなも頑張ったね」

「あっ、ありがとうございます…!」

「それでね、実はこれが第二段階終了の見極めテストだったんだけど…三人は見ててどうでした?」

「俺は関係ねぇだろう。お前らで判断しろ」

「それじゃあフェイト隊長、ヴィータ副隊長、判断お願いします」

「うん。私は合格かな」

「あたしも同じだ。まっ、あれだけ練習して問題があるようならやべーしな。だけど慢心はすんなよ。明日からはセカンドモードをメインにした訓練だからな」

「はい!って…明日?」

「そっ。明日だ」

「みんな入隊してからずっと訓練だったでしょ?だから、今日は一日お休み。街にでも出て遊んで来るといいよ」

 

久しぶりの休日らしい休日に無邪気に表情を輝かせる四人。こういった一面を見ていると、若くして戦う道を選んだとはいえエリオやキャロは勿論、スバルやティアナもまだまだ遊びたい盛りなのだと改めて感じさせられる。そんな彼女達の雰囲気を察してか、バーダックは一人無言のままこの場を去ろうと歩き出す。

 

「あっ…バーダックさん!」

「あの…今日はありがとうございました。それにこの前の事も…」

「…ティアナ」

「は、はい!」

「…もう面倒をかけるんじゃねぇぞ」

「は、はい…ありがとうございます…?」

 

皮肉にも取れる意味深な言葉を残すと、バーダックは今度こそ訓練所を後にする。

 

「あの…今のってどういう…」

「ふふっ、今のはあの人なりの激励なんだよ」

「そうなんですか?」

「うん。私が小さい頃からずっとああなんだ。普段はぶっきらぼうで優しさを表面に出す人じゃないけど、本当は少し不器用なだけで、私達の事をちゃんと気にかけてくれる人なんだよ」

「あの…フェイトさん。前から気になってたんですけど…」

 

 

「フェイトさんって、バーダックさんとはどういうご関係なんですか?」

 

(キャロ…!)

(この子…聞にくい事をズバッと言うわね…)

(でもちょっと気になるかも…)

 

「えっ…!ええっ…!?」

 

いきなりの爆弾投下に目を丸くする一同。中でもフェイトの慌てぶりは凄まじく、いつもの色白な顔が真っ赤に染まってゆく。

 

「ご、ご関係も何も、別にキャロが思ってるような風じゃないんだよ!?一緒に戦った仲間っていうか…そんな感じの…そ、そもそもバーダックさんとは歳も離れてるし…あっ、でも私は全然気にしないんだけど……って違う!そうじゃなくて…!」

 

「そうなんですか…フェイトさんバーダックさんの事よく楽しそうに話してましたから、私てっきりお付き合いとかしてるんだと思ってました」

 

「お…お…お付きって…違うよ!?違うからね!ほ、ほら!なのは達も何か言ってよ!」

「ははっ、よせよフェイト。もうバレたって」

「えっ、それじゃあやっぱり…」

「も、もうヴィータ!今そういう冗談言わないで…!」

 

あたふたしながら同僚達に助けを求めるフェイトだったが、二人はこの状況を楽しそうに見ているばかり。結局この後、フェイトは誤解を解くために多大な労力を費やすことになるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ…」

 

若い隊員達が行き来する六課のロビーで、パラガスは目が痛くなるほど文字のびっしり詰まった報告書に目を通していた。アグスタで捕らえた魔導師や、バビディの正体、スカウターと思われる装備の解析結果など、その内容はレリックの一件に関わる重要な手がかりになりそうなものばかり。しかし敵の足取りを掴むには至らず、核心に迫れたとは言えなかった。

 

(あれから地上での目立った戦闘も無し…か。それ自体は良い事ではあるが、奴らの手がかりも得られていない。それにブロリーの事も──

 

「あっ、パラガスさん」

「おお、シグナムにシャマル。ん…?今日はヴィータも一緒か」

「ああ。今日は新人達の訓練は休みなんでな」

「そうか…そう言えばそんな事を言っていたな」

「それよりどうした?難しい顔をしていたが…」

「何か悩み事なら、私達に話してくださいね?」

「いや…何でもない。大丈夫だ」

 

口先ではそう言いつつも、パラガスは書類から目を離さずどこか上の空。そんな様子に痺れを切らしたヴィータが不機嫌そうに顔を覗き込む。

 

「おい、パラガス」

「ヴィ、ヴィータ…?」

「そうやって一人で抱え込もうとするの、止めろよな。そんな事してもいい事なんて何も無いのはお前も分かってんだろ?」

 

一瞬呆気に取られたパラガスだったが、ヴィータの棘のある言い方も、自分を気遣っての事だと分かっている。

 

「…そうだな。だが、本当に大したことじゃないんだ」

「…本当だろうな?」

「ああ。心配をさせてすまなかった。ふっ…お前は優しいな」

 

パラガスは笑顔を見せながら、ヴィータの頭をくしゃくしゃと撫でる。

 

「お、おい…」

「ヴィータ。ありがとうな。お前の気遣い、嬉しかったよ」

「あーもうっ!分かった分かった!分かったから撫でるなって…は、恥ずかしいだろ…」

「おっと、すまなかったな」

(クソ…アタシが初めに心配してやったはずなのに……だけどそういう所、ブロリーとそっくりだな…)

 

「さて、ヴィータちゃんのかわいい所も見れたし、朝ごはん食べに行きましょうか!」

「なっ…かわっ…」

「ふっ…主にも見せたかったな」

「う、うっせー!お前ら覚えてろよ!」

 

 

(…こんなやり取りももう何度目だったか。この平和な日々は…俺が守らねばな)

 

「おいパラガス、お前も来るんじゃねーのか?」

「…ああ。今行くさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

「それにしても、新人達はだいぶ成長したのではないか?」

「そうでもねぇさ。まだまだ危なっかしくて、実戦じゃ見てられねぇよ。なぁなのは?」

「確かにまだ荒削りな所はあるけど、四人共根を上げずに頑張ってるし、このまま行けば絶対いい魔導師になるよ」

「そうね。それにヴィータちゃん的にも今日のテストは合格なんでしょ?」

「…次第点だけどな。まぁ何にせよ、あいつらの訓練が無い分今日はゆっくり朝飯が食えそうだ」

「確かに…いつもは時間が無いからって急いで食べてるもんなぁ」

「折角の機会だ。お前達も少し休んだらどうだ?」

「それじゃお言葉に甘えて…と言いたい所なんだけどさ、今日ナカジマ三佐の所の部隊の戦技指導があんだよ。全く…教官資格なんか取らなきゃよかった…」

「私も大丈夫ですよ。出動さえなければある程度休めますし」

「そうか。殊勝なのはいいが無理はするなよ。…ところで一つ聞きたいんだが…」

「はい…?」

 

 

 

 

 

 

『フェイトさんって、バーダックさんとはどういうご関係なんですか?』

 

(考えたことなかった…一緒に戦った仲間?一緒に暮らした家族?で、でも…お、お付き合いとかそういうんじゃ…うん、ないない…そもそも向こうが私の事どう思ってるのか分からないし…)

 

 

 

 

「フェイトは何かあったのか?さっきからため息ばかりついて箸が進んでないじゃないか」

「あはは…あれはですね…」

「ふっふっふっ…私は分かったで。あれは悩める乙女の顔や」

「まぁ、そんなとこだな」

「ふふっ…やっぱり。面白いもんが見れそうやな。ここは私が一つ…」

 

 

 

 

「あっ、バーダックさん!」

「!?」

 

大袈裟に声を上げると、フェイトの体が小さく跳ね上がり、あたふたと周囲を見渡す。しかしどこを探しても目的の人物は見つからず、代わりに目に入ったのは、ニヤニヤとこちらを見つめるはやて達の姿だった。

 

「へへ、なかなかいい反応だったな」

「いやぁ、朝からええもんが見れたなぁ〜」

「は、はやてっ…!そ、そういうんじゃないから…」

「ふふっ…そんなに顔赤くして言っても説得力ないで?」

「えっ…!?いや…これはその…」

「でもフェイトちゃん。人生は何があるか分からへん。真面目な話、何か話したい事があるならちゃんと話しておいた方がええよ。相手がバーダックさんなら尚更や」

「はやて…」

「それに…バーダックさんって案外優しい所あるから、早くしないと誰かに取られて───

「〜〜っ!も、もう!はやてのバカ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エリオ君、あそこのお店美味しそうだよ!」

「うん。僕もらーめんって食べた事ないんだよね。そろそろお昼だし入ってみようか?」

「ねぇねぇ、ブロリー君はどうする?」

 

(さて…どうしたものか…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「休暇?」

「そうや。今日スターズとライトニングの皆は休みやから、一緒に街へ気分転換してきたらどうやと思ってな?」

「はやて…俺は大丈夫だ。それに二人だって俺がいたら嫌だろう」

「そんなことないよ。その証拠にもう二人には伝えてあるんや。二人とも一緒に行こうって言ってくれてたで」

「だが…」

「そんなに気張ることやないよ?ちょっと気分転換するだけや。今日は仕事のことは忘れて、行ってくるとええよ。な?」

「むう…」

 

 

 

 

 

 

 

 

(ああは言っていたが、この前の事を心配したんだろうな。また心配をかけてしまったか…)

 

「ブロリー?」

「ん…ああ。どうした?」

「今難しい顔してたから…何か心配事?」

「いや…そういう訳じゃない。それよりすまなかったな…はやての提案とはいえ、今日は二人の邪魔をしてしまって…」

「邪魔だなんて…!全然そんなことないよ」

「うん。ブロリー君って私達と同い年だけど、今まであんまり話す機会なかったから、こうやって話せて嬉しいよ!」

「そ、そうか…ありがとう」

(そういう意味では無かったんだが…)

「それでお昼の時間だけど…ここはどうかな?」

「ラーメン屋か…そう言えば最近食べていなかったな」

「ブロリーはラーメン食べた事あるの?」

「ああ。ラーメンは俺の育った世界の料理だからな」

「あっ、そうだったんだ。食べたことある人が一緒なら安心して入れるね」

「うん。それじゃあここにしよっか」

 

朱色に塗られた暖簾をくぐると、活気に満ちた声と共に芳しいスープの匂いが三人を包み込む。店員に案内された席に着くと、看板料理の写真が大きくプリントされたメニューに目を通す。

 

「美味しそうだけど…いっぱいあって迷っちゃうね…」

「そうだね…あっ、僕はこれにしようかな」

「じゃあ私もエリオ君と同じのにしようかな。ブロリー君はどうするの?」

「そうだな…ん?これは…」

 

 

「はい。お冷どうぞ。ご注文はもうお決まりですか?」

「すまない、その前に一つ聞きたいんだが、この三十分で食べれば全員分タダになるというのは本当か?」

 

ブロリーが指を指したのは通常の五倍はありそうなどんぶりに、具と麺が山のように盛られた特大ラーメンだった。

 

「はっはっはっ!僕、こういうの頼むのは初めてかな?これはねぇ、君のような子が食べ切れる量じゃないんだ」

「そ、そうだよ。私達もお給料ちゃんと貰ってるから、無理して気を使ってくれなくても大丈夫だよ?」

「この子の言う通りだ。せめてこれはもっと大きくなってから──

「そうなのか…そんなに量があるとは思えないが…」

「そ、そんな訳ないだろう?並のフードファイターじゃ完食すらできないんぐらいなんだよ!?」

「むう…まぁ駄目なら仕方ないな。それならこのページの料理を一つずつ頼む」

「なっ…ふ、ふざけてるのかね君!?そんな無茶苦茶な量頼んで食べられる訳ないだろう!」

「はぁ…じゃあ何をどのぐらいなら頼んでいいんだ?」

「…よし分かった。そこまで言うならもう止めないさ。ただし!もし時間内に食べきれなかったら、お金はきっちり貰うからね!?そこは承知しておくんだよ!」

 

(絶対ハッタリだ。あんな子供があの量を食べ切れる訳が無い。…だがあそこまで言われちゃこっちにも意地がある。絶対に俺のラーメンで驚かせて───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、ありがとう…ございました…」

 

 

サイヤ人の食事情を知っている者ならば、ブロリーが無事に時間内に食べ切れたかどうかは語るまでも無いだろう。店員の力のない挨拶を背に、三人は店を後にする。

 

 

「ふう…なかなか美味かったな」

「う、うん。そ、そうだね…」

「少し急いで食いすぎた気もするが…時間を過ぎても困るしな」

「あ、あの…お腹大丈夫?」

「ああ。これぐらい食べれば夜までは持つぞ」

((そういう心配意味じゃなかったんだけど…))

「ね、ねぇ、ブロリーって結構食べる方だって言われない?」

「まぁ…確かに人よりは少し多く食べている自覚はあるが…親父はもっと食うぞ?」

「ええっ!?パラガスさんもなの!?」

「ああ。普段は抑えてるけどな」

「そうなんだ…あっ、という事はバーダックさんも…」

「ああ。あいつもよく食べるな。サイヤ人というのは皆そうらしい」

「ふふっ、でも店員さん凄く驚いてたね」

「そりゃこんなの見せられたら誰だって驚くよ。しかも僕らが食べ終わる前に食べちゃったんだから」

(…親父がなんで自重しているのか分かった気がする)

 

「ねぇ、この後どうしようか?」

「うーん…特に決まった予定はないから───

 

その時だった。ブロリーの身体にが異質な気を捉える。知っている者の気ではなかったが、直感的にこれは普通ではないと身体が訴えた。

 

「っ…!?二人共待て…!」

「ブロリー?」

「どうしたの…?」

「一瞬だが地下から人間の気を感じた…」

「えっ…それって…」

「地下…?下水の工事をやってるとか?」

「それは分からないが、発している気が弱すぎる…放っておけば恐らく命に関わるぞ…」

「えっ…!」

「とにかく行こう!こっちだ!」

「あっ、ブロリー!」

「エリオ君!私達も!」

「うん!」

 

(クッ…あまりに気が弱すぎる…!これは死にかけているかもしれない…)

 

三人は人混みをかき分け、気の主を探してひた走る。そして三人が辿り着いたのは、人気のないビル同士の隙間の奥だった。

 

「ここだ…この辺りに気の持ち主が──

 

そう言いかけた時だった。足元のマンホールがゴトゴトと揺れ始める。まるでホラー映画のシチュエーションのような出来事に三人は思わず身構える。

 

(そうだ…あまり考えていなかったが、俺達はこいつの正体を知らない。油断するのはまずいな…)

 

「エリオ、キャロ。…開けるぞ」

 

二人が首を縦に振るのを確認すると、ブロリーはゆっくりとマンホールを持ち上げる。すると暗い下水道に光が差し込み、徐々に気の主の姿が明らかになってゆく。

 

「こっ…これは…!?」

「キャロ!すぐはやて達に連絡を!」

「う、うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

機動六課隊舎の屋上。心地よい海風が吹き抜けるこの場所は疲れを癒すには最適なのだが、隊舎の中にきちんとした休憩室があるため昼間でもここに出入りする者はあまりいない。しかし、だからこそバーダックのようなタイプの人間が考え事をするには最適の場所なのだ。

 

「……」

 

バーダックはいつものように何をするでもなく、ただ対岸の景色を見据える。沿岸部に広がる美しい街並みから連想させる言葉は、”平和””未来”。どれも自分とは正反対の言葉だった。

 

(俺は…何の為にここに居る…?)

 

自分は戦闘民族サイヤ人である。それはただ種族の上でという意味だけでなく、心や行動理念もその一部に含まれている。常に戦いの中に身を置き、敵を打ち倒し、さらなる強さを求める。それこそがサイヤ人の生き方であり、そこに善や悪といったものの介入する余地はない。

 

 

しかし、彼女達と出会ってから彼の生活は一変した。惑星ベジータでは経験したことのない穏やかな日々。戦うことはあるにはあったが、サイヤ人達とは違い彼女達は大切なものをを守るために戦場に立つのだ。

 

普通なら相容れないであろうサイヤ人とこの世界の人々。そんな中に身を置き彼女達を見守る事を悪くないと思う自分も確かにいる。しかし彼はパラガスのように器用ではない。サイヤ人としての自分が、地球人に帰化する事を拒んだ。

 

「サイヤ人にもそれ以外にもなりきれねぇとはな。…我ながら情けねぇ話だ」

 

自嘲気味につぶやくバーダック。その声にいつもの覇気や鋭さは無い。そんな折、タイミングを見計らったかのように背後の扉がゆっくりと開かれた。

 

「あ…やっぱりここでしたか」

「…お前か。何か用でもあるのか?」

「い、いえ、そういう訳じゃないんですけど、今日はここで待機なので風にでも当たろうと思って…すみません、お邪魔でしたか?」

「…好きにしろ」

「は、はい!じゃあお言葉に甘えて…」

 

 

そう言ってフェイトはバーダックの隣に立つと、気付かれないようにチラチラと横目で表情を伺う。いつも仏頂面で口数も少ないバーダック。フェイトも決して積極的とは言えない性格のため、二人きりになっても会話が弾むような事は決して多くない。しかし、フェイトにとっては、そんなピリピリとした空気感すらもバーダックの不器用さを感じられるようで心地よいものだった。

しかし、今回だけは少々状況が違う。

 

『フェイトさんって、バーダックさんとはどういうご関係なんですか?』

『早くしないと誰かに取られて───』

 

(っ〜〜!!違う違う!そういうことじゃなくて…!)

 

「…おいフェイト」

「は、はい!」

「はぁ…用事があるならさっさと言ったらどうだ」

「えっ、あっ…あの…すみません…ええっとですね…」

 

(こういう所は昔と変わらねぇな…)

(ど、どうしよう…何を言おうかまだ決まってないけど……よし、とりあえずここは無難に…)

 

「あ、あの…バーダックさん、前からずっと気になってたんですけど、その赤いバンダナいつもつけてますよね?その…何か思い出とかあるんですか?」

 

「……!」

 

「あっ、いえ!?別に深い意味はないんですけど、私もなのはと友達になった時にリボンを交換した事があって、バーダックさんもそういう思い出とか……あっ……」

 

 

しまったと思った時には遅かった。他愛のない事を聞いたつもりだったが、バーダックの過去の事を失念していたのだ。

 

(そうだ…バーダックさんは故郷を無くしてるんだ…家族も友人も…みんなバーダックさんを残して…もしあのバンダナがそういう大切なものだったら…)

 

「あの…ごめんなさい…私…」

「はぁ…別に気にしてねぇよ。もう昔の話だ」

 

口ではそう言っているものの、どことなく悲しさとは違う、何か昔を懐かしむ様な雰囲気をまとっていた。何か言わなければとフェイトが言葉を紡ごうとした──その時だった。

 

「…!全体通信…?キャロからだ…」

「こちらライトニング4!緊急事態につき、現場状況を報告します!」

 

緊急事態を知らせる警報と共に、キャロの深刻そうな声がデバイスから聞こえてくる。

 

この出来事が多くの者の思惑を動かす出来事になるのだご、この時にそれを知る者は誰一人居なかった。

 

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