リリカルな戦闘民族 (ドラゴンボールZ×リリカルなのは) 作:顔芸の帝王
バーダックが地球に来てから、半年ほどの月日が流れた。辺りはすっかり冷え込んで時折雪がちらつく季節になったが、バーダックは相変わらず打倒フリーザを目標に一日の殆どを修行に費やす生活を送っていた。しかし、徐々に変化してきたこともある。
「どうした!動きが鈍ってるぞ!もうへばったか!?」
バーダックは地上から放たれる無数の光弾を空中で避け続ける。攻撃を仕掛けているのはなのはだったが、息が上がっている彼女に対して、バーダックは汗一つかいていない。
「まだまだ……そこっ!ディバイン…バスタァー!!」
「…!!」
巨大な光がレイジングハートから放たれる。先程の小さな魔法弾で牽制してからの砲撃は、隙の大きい彼女の技を最大限に活かした戦い方と言える。
しかし戦闘経験豊富なバーダックが、これしきの細工を見切れないはずもなく、身体を反らし紙一重で回避されてしまう。
(こいつ…また威力を上げやがったな)
「うう…また避けられちゃった…」
「…とりあえず休憩にするぞ」
最近のバーダックの日課は、もっぱらなのはの魔法の練習に付き合うことである。最初は自分の修行のついで程度だったが、なんだかんだで最近では彼のちょっとした楽しみでもある。
「…はぁ…はぁ…バーダックさん速くて…全然当たらないよ…」
「…当然だ。前より全体的には多少強くなってるが、お前の攻撃は直線的で発射までの時間も長い。弾幕で動きを制限したつもりだろうが…その程度の技だけじゃ俺には当たらん」
「うーん…この前のバインドも千切られちゃったし…やっぱり威力だけじゃ駄目なのかな…もっと威力を下げてでも発射速度とかも考えた技の方がいいんでしょうか…?」
「…お前が何をしようが勝手だが、はっきり言ってそんな中途半端な技なんて戦場では通用しねぇ。ユーノの奴も言ってたがお前の技は威力だけはあるんだ。中途半端な事をするより、今の技に合った戦い方をした方がマシだと思うがな。…まぁその辺りはお前の赤い玉っころと相談して決めるんだな」
「あはは…レイジングハートですよバーダックさん…
でも戦い方はとっても参考になりました!…次こそはバーダックさんに一撃加えられる様に頑張ります!」
「ふんっ…まぁそれは無理だろうがせいぜい努力することだな」
「はい!次にフェイトちゃんやユーノ君に会うときに胸を張れるように頑張ります!…だから…時々でいいのでこれからも特訓に付き合ってくれませんか?」
「…まぁ気が向いたら…考えておいてやる」
「ふふ…ありがとうございます!」
(全く…相変わらず殊勝なガキだ)
***
時を遡ること半年前、バーダックが地球での生活を初めていた裏で、もう一つの運命を変える出会いが起こっていた。それは偶然の出会いではあったが、奇しくも彼らは互いに自らの運命に翻弄される者同士であった。
「…ふぅ…とりあえず二人共回復できたわ」
「こ…これは一体…」
男は驚愕する。先程まで痛みと出血で意識が朦朧としていたはずだったにも関わらず、今では傷はすっかり癒え、体力も完璧とまではいかないがすっかり動けるようになった。
「…そうだ…俺よりも赤ん坊の方を…!」
「大丈夫。もう治療済みやから安心してええですよ」
車椅子の少女が指を指した方を見ると、その赤ん坊は金髪の女性の腕に抱かれていた。
「…それよりお前…何者だ?」
もう一人の赤毛の少女が男を鋭い目で睨みつける。無理もない事だが、どうやら警戒されているようだ。
「その格好…この辺りの人間じゃないな?一体お前らどっから来たんだ?」
(どうなってる…確か俺達は惑星ベジータの爆発に巻き込まれて…そうだ、他の連中はどうなったんだ…?)
「おい、お前…聞いてるのか?」
「あ、ああすまんな……その前にここは何処だ?状況が全く飲み込めないのだが…」
「質問に質問で返すなよ…。まぁいいや…ここは地球の海鳴市って所だ」
「地球…?」
(そんな辺境の星にまで流れ着いたのか…)
「あぁ…その反応だとやっぱり時空漂流者か…うーん…何処から説明すりゃいいんだ…」
ヴィータが頭を抱えていると、はやてが提案する。
「…とりあえず二人共ウチで休んでいきませんか?」
「いいのかはやて?」
魔法で治ったって言うてもさっきまで大怪我しとったんやから…それに家ならゆっくり事情も聞けるやろ?」
「…はやてがいいなら私たちは構わないけど…」
意外な提案に男は迷ったが、自分だけならともかく今は赤ん坊を連れている上に、陽も沈みかけていたため彼女らの提案に乗る事にした。
***
こうして車椅子の少女…八神はやての厚意を受けて、男は八神家へとやって来た。
(一体何が起こってるんだ…確かこいつらは地球と言っていたな。地球と惑星ベジータはかなり離れているはずだ。そんな所まで宇宙を漂っていたということか…?…駄目だ…フリーザの攻撃の後の出来事がどうしても思い出せん…)
「ここが私達の家です。えーっと……あっ、そう言えばお互い名前聞いてませんでしたね。私は八神はやて言います。こっちの二人はシャマルとヴィータ。二人共私の家族です」
「…俺はパラガス。こっちの赤ん坊は息子のブロリーだ。…それよりよかったのか?見ず知らずの俺達を…」
「いいんですよ。この家は広いですし、何より賑やかなのは好きですから」
「………」
そう言うとはやては玄関のドアを開ける。
「ただいま〜!」
玄関を開けると桃色の髪を後ろで束ねたの女性と、一匹の大型の犬が待っていた。
「お帰りなさいませ、主はやて。…そちらはお知り合いの方ですか?」
「うーん…そういうわけやないんやけどな。実はスーパーから帰る時に偶然傷だらけで倒れてるのを見つけたんよ。シャマルが魔法で一応治してくれたんやけど…どうもシャマルとヴィータが言うには時空なんとか…って言う迷子らしいんや」
「もう日も沈みかけてたし、魔法に関係することなら警察に行くわけにもいかないから…とりあえずウチに来てもらう事にしたの」
「そうでしたか…玄関で長話もなんです。とにかく部屋にお入りください」
「せやな。私もご飯作らないとあかんし。パラガスさんもゆっくりしていってな」
「あ、ああ…」
***
その後、パラガスは部屋を一つ借りると、ブロリーを布団に入らせた。彼女達の言う通りブロリーはしっかりと治療されており、気持ち良さそうに寝息を立てながら眠りについていた。
(…しばらくは起きなさそうだな。とりあえずは無事で何よりだった。…奴らには感謝せねば)
しばらくブロリーを見守ると、はやて達の待つ部屋に向かった。
パラガスが部屋に着くと、ヴィータ、シャマル、ザフィーラが座り、すぐ横のキッチンでははやてとシャマルが土鍋を運んでいた。
「あっ、パラガスさん丁度よかった。丁度お鍋ができたところですから、座ってください」
言われた通りパラガスが席に着き、ガスコンロに火が灯ると、ヴィータが口を開く。
「んであんた…パラガスとか言ったな。アンタこの辺りの人間じゃないだろ。一体何者だ?」
「…疑ってかかるようで申し訳ないのだけれど、傷とか尻尾を見るとなんというか…普通の人とは違うわよね…」
「…ああ。そのあたりも話そう。…お前達には恩があるからな」
パラガスはサイヤ人や惑星ベジータでの出来事、…そして自分と息子についての話した。話を聞いた一同は、流石に衝撃を隠せないようで、特にはやては強いショックを受けていたようで、悲しげな顔のまま俯いてしまう。
「そんな…それだけの理由で二人は…」
「…お前のような子供にする話ではなかったな…すまん」
「いいんです。ただもし家族の誰かがそないなったらと思うと私…」
「はやて……」
「はやてちゃん…大丈夫よ」
「…主、話もいいですが早く鍋を食べてしまわんと煮崩れしてしまいますぞ」
「そ、そうだはやて、早く食べよう!」
「…せやな…。パラガスさんも居ることや。美味しい内に食べんとな…!」
表面上とはいえ元気を取り戻したはやてを見て、シグナムは念話を飛ばす。
(…ザフィーラ、気を遣わせてすまんな)
(構わん。これも主のためだ。…それより…)
(ん…どうした…?)
「…お前達はこんな棒を使って食べるのか…?随分と食べにくいが」
ザフィーラの視線の先には、箸を上下逆さまに握りしめた男の姿があった。
「ふふふっ…パラガスさん、それ持ち方逆ですよ」
「シャマルったら…笑ったら…あかんよ…ぷっ…」
笑いを堪える二人だったが、いい大人が大真面目に箸を間違えて持つというシュールな光景に笑いがこみ上げてしまう。
「あっはっはっは!なんだよその持ち方!全然違うぞ!」
「フッ…お前も最近まで間違えていたではないかないか」
「…うるせー!それを言うな!」
「「「あははははは!」」」
「……」
家族が集まり他愛も無い話で笑い合う。そんな光景をパラガスは戸惑いながら見つめるのだった。
***
夕食を終えブロリーの様子を見に部屋に戻ると、ブロリーは夕食前と同様にスヤスヤと眠っていた。
(…とりあえずはブロリーはしばらく大丈夫だな。それにしてもおかしな事もあるものだ…まさかこんなことになるとは……だが…どんな事があっても俺は奴を…)
パラガスは、自分達が助かったことを再認識し安堵すると共に、ベジータ王への復讐を誓いながら眠りに就くのだった。
しかし、それからの二人の生活の激的な変化が、それを許さなかった。
そして同時に、サイヤ人の闘争と殺戮の生活とはかけ離れた、暖かな家族の生活が二人の心を大きく変えていく。
~~~
「まずはベビー用品を買いに行かんとな。それからパラガスさんの服も…」
「いや俺は…」
「遠慮なんかしなくてええんですよ?」
「そうですよ。…それに今の服で外歩いたら目立ってしまいますよ?」
「ん…そ、そうか…」
~~~
「この服のブロリーちゃん可愛いですね!」
「うん、これは買って正解やね!」
「……」
「…なんや、ヴィータも抱っこしてみるか?」
「えっ!?…じ、じゃあちょっとだけ…」
「はい。気をつけて抱っこしてね…」
「あーうー」
(……か、可愛い…な)
「…慣れない服だからか着づらいな」
「安心しろ。すぐに慣れる」
(犬のお前が言っても説得力ないぞ…)
〜〜〜
「パラガス、いきなりで悪いが私と勝負するつもりはないか?」
「ん、なんだ藪から棒に…」
「前に言っていたが、お前は戦闘民族なのだろう?…その実力が見たくてなってな」
「いいだろう…俺も闘いは嫌いではないからな…だが怪我しても知らんぞ?」
「フッ…大した自信じゃないか。私を甘く見るとどうなるか教えてやる…」
「サイヤ人は戦闘種族だ…なめるなよ…」
「…お前達、程々にしておけよ…」
〜〜〜
「今日はスーパーの帰りに借りてきた映画を皆で見るで!」
「はやてはやて!今日は何借りて来たんだ?」
「今日はこれや。結構前に話題になったアニメなんやけどな、私もまだ見てないしブロリーも居るからアニメの方がいいかなーと思ってな」
「ええっと……雪の山のガウシカ……面白そうだし早く観ようよ!」
「せやな。じゃあ皆を呼んできてくれるか?」
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『腐ってやがる…!早すぎたんだ…』
「…ねぇ皆、この声なんかパラガスさんに似てない?」
「そう言われればそんな気も…」
「いや、結構似てるぞ」
「似てる…てかアタシには全く同じように聞こえる気がするんだけど…」
「…そんなに似ているか?」
「ああ…お前の兄弟とかじゃねーのか?」
「…そんな訳あるか」
~~~
「フンフ~ン♪」
「…なぁはやて…なんで今日の夕飯はシャマルが作るんだ?」
「ごめんなヴィータ。この前シャマルと一緒に図書館に行ったら料理の本があってな。それを見たら変なスイッチが入ってしもうて、今日は私が料理しますー言うて聞かなかったんよ」
「そんなぁ…」
「まぁ今回は本を見て作っているんだ。大丈夫だと信じよう…」
「…なぁザフィーラ、シャマルの料理はそんなにその…不味いのか?」
「…お前も食べれば分かる」
~~~
「皆〜出来たわよ〜!今日はアスパラとブロッコリーの塩ゆでパスタよ!」
「見た目は…大丈夫そうだな…」
「油断するなよヴィータ…問題は味だ…」
「…シャマル…私は本の通りやと信じてるで」
「だ、大丈夫ですよ…!今回は本を見て作ったんですから!」
「…とにかく食べてみるとするか」
「頼むぞーシャマルー…」
「…ど、どうかしら…」
「うっ…こ、これは…」
「おえっ…な、なんじゃこりゃ!」
「…シャマル…お前本当に本の通りに作ったのか?」
「もちろんよ!…ただちょっとお塩を入れすぎちゃったから砂糖で中和を…」
「なっ…お前…」
「ブロリーの離乳食が羨ましくなってきた…」
「…シャマルはもう少しお料理勉強せなあかんな…」
「うぅ…あ!でもパラガスさんは美味しそうに食べてるわよ!」
「…まぁ絶品…ではないが普通に食えるな」
「うぅ…パラガスさん…ありがとう…また作りますから…」
「やめろバカ!というかパラガスも余計なこと言うな!」
「いやそう言われてもな…」
「…お前、今までよほど不味い物を食っていたんだな」
「パラガス…無理をする必要はない」
「…腹壊しても知らねーぞ」
「もう!三人共そこまで言わなくてもいいじゃないのよ!」
~~~
見ず知らずの異星人にも関わらず暖かく迎えてくれた八神家一同。ここでの生活は、どんな些細な出来事も二人にとっては新鮮で暖かく、そして優しさに満ち溢れていた。
***
ある夜、パラガスはベランダで星を眺めながら一人考え込んでいた。そんな様子を見て、シグナムとシャマルが声を掛ける。
「…パラガス…何か考え事か?」
「ああ…少し今後の事でな。いつまでもここに厄介になる訳にもいかん」
「…でもパラガスさんの故郷の星は…」
「ああ。分かっている」
「ではどうするつもりだ?」
「…最初は俺達を抹殺しようとした王の息子へ、一生掛けても復讐するつもりだった。だがお前達と暮らすブロリーを見て考えが変わってな…あんなに楽しそうに笑っているブロリーを見たのは初めてだ。もし俺が復讐に乗り出せば、お前達に受けた愛情など忘れ、たちまちブロリーは血と戦闘を好むサイヤ人に立ち戻るだろう。…そんな風にはなって欲しくない。…ブロリーにはサイヤ人としてではなく、地球人として生きてほしいのだ」
「地球人として生きる…か…」
「そうだ。俺は過去に何人もの宇宙人を殺めてきた。…中にはお前達の様に幸せに暮らしていた家族も居たのかもしれん。今さら後悔してもどうにもならんが、思い出す度にやるせない気持ちになる。…ブロリーにはそんな思いをしてほしくないのだ」
「パラガスさん…」
「…似ているな…私達と」
「お前達と…?」
「…前に闇の書の事は話したな。私達は闇の書の主となった者に従い、闇の書を完成させる為に戦う。それだけの存在だった。今までの主は私達を道具として扱い、時には私達を闇の書の糧にすることもあった。私達はその事に何の疑問も抱かなかったし、かつての主を否定するつもりもない。だが私達は戦う為に生まれてきたにも関わらず、主はやての元で静かに暮らすことが…今までで一番幸せを感じられるのだ。…今のお前やブロリーもそうだ。サイヤ人として生まれてきたにも関わらず、地球人のように生きることを望んでいる。だからお前達もきっと…」
「……」
「…ともかく…だ。お前達の今後に私達がとやかく言う気はない。新しい土地に赴くも良し、…主が許可するならここに居てもいい」
「そうやでパラガスさん」
いつの間にかブロリーのお守りをしていたはやて達も集まって来た。
「過去に何があろうと、私達が出会ったのは地球人として生きようとしてる今のパラガスさんや。…だから、そんなに気に病まんでウチでゆっくりして行ってええんですよ」
「はやてちゃんの言う通り、すぐに出ていく必要なんてありませんよ。ブロリーちゃんもきっとそれを望んでるわ。…それに私の料理食べてくれるのはパラガスさんしかいないし…」
「こうして出会ったのも何かの縁だ。我らに出来る事なら力になろう」
「そうだ。だから困った事があったら…っておい、やめろって…!」
綺麗に締めようとしたヴィータだったが、おぶっている ブロリーが、ヴィータの三つ編みを楽しそうに引っ張る。
「痛い痛いっ!ホントにやめろってブロリー!千切れちゃうだろ!?」
「あはははっ!ヴィータはブロリーにすっかり気に入られてしもうたな!」
(…本当にこの世界に来れてよかったな…ブロリー…)
パラガスは騎士達と同様、はやて達やブロリーがずっとこんな風に生きていけるように強く願った。
…しかしそんな願いも虚しく、平穏な日々はもうすぐ終わり、禁断の魔導書「闇の書」を巡る戦いの日々が始まろうとしていた。
後にこの戦いに巻き込まれていく三人のサイヤ人。それは偶然か。それとも戦闘民族としての宿命か。
運命の輪が紡がれる時、鍵は一人の少女に委ねられ、新たな戦いが始まろうとしていた。
どうも。顔芸です。
今回は予定通りパラガス回になりましたが、いかがだっでしょうか?
…一応最初は名前を伏せていましたが…前回でなんとなく察した方もいるかと思います。
さて、ここからはいつもの伝説の超言い訳タイムです。
まずはやての関西弁ですが…私は関西の人間ではないので、不自然な箇所があるかもしれません。コメント等で指摘をしていただけれると有難いです。
もう一つはパラガスのキャラですが…最早これはタグにキャラ崩壊をつけるべきかもしれませんね。
一応映画で息子思いな面を垣間見る部分があったので、悪堕ち前は息子思いのサイヤ人という設定です。
クズ親父ぃや血祭りLoveなブロリーを期待していた方、申し訳ございません…。
こんな出来ですが、次回も見てくださると嬉しいです。
それでは。