リリカルな戦闘民族 (ドラゴンボールZ×リリカルなのは)   作:顔芸の帝王

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第七話 廻る運命

パラガス…おい!パラガス…!

 

聞き覚えのある声で目を覚ますと、ヴォルケンリッターの四人が心配そうにこちらを見ていた。

 

「…ここは…?」

「よかった…!目が覚めたみたいね」

最初は状況が読み込めず錯乱しているパラガスだったが、気絶していた自分、騎士達と落ち合うと決めた公園、そしてはやて意外の八神家全員を見て状況を思い出す。

「ああそうか……俺はバーダックに負けて……そうだ、あいつらは?」

「ああ、もう大丈夫だ。追跡も振り切った」

「…そうか。…どうやらお前達の足を引っ張ってしまったようだな…すまない…」

「謝る事は無い。お前があの男を引き付けてくれなければ蒐集も上手く行かなかっただろう」

「そうだよ!それにパラガスは万全の状態じゃ無かったんだ!しょうがねえよ…」

「やっぱりアレは止めた方がいいんじゃないかしら…?いくらあなたでも負担が大きすぎるわ。」

「大丈夫だ。…それにアレが無くても俺では奴には勝てなかっただろうからな」

「お前ほどの奴がそこまで言うとはな…バーダックだったか?奴はそんなに強いのか?」

「ああ。奴はサイヤ人の中じゃ有名な奴でな。最下級戦士として生まれながら数々の実戦で力を付け、その実力はベジータ王に匹敵…あるいはそれ以上とも呼ばれていた男だ。直接戦ったのは初めてだが…あれは噂以上の戦闘力だ。…奴が管理局に居るとなると…蒐集は簡単にはいかんな…」

 

パラガスの言葉に全員が静まり返る。

 

「…考えていても仕方ない。あまり遅いと主も心配する。今は早く帰るとしよう」

「そうね…ブロリーちゃんもきっと待ってるわ…。早く帰ってご飯にしましょう」

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

戦闘で負傷したなのはを医療班に引き渡した後、フェイト達四人はアースラの到着を待っていた。

「…助けに来てくれてありがとうございます。それから…こんな形になってしまいましたが、お久しぶりです。バーダックさん」

「…助けたつもりはねえ。それより…なのはどうなったんだ?」

「医療班の人の話だと、なのはの外傷はそんなに酷くなかったんですが…魔導師の力の源のリンカーコアを奪われてしまいました。多分なのは自体は明日には目を覚ますと思うんですが、しばらくは魔法が使えない状態になります…」

「…なるほどな」

「そういえばバーダックさんはこの後どうするんですか?」

「お前らはどうするんだ?」

「私達はこれから本局に行きます。なのはの事も心配だし、バルディッシュの修理とか今回の報告とか色々ありますから…」

「…なら俺も本局とかいう場所に行く。…いくつか知りたい事もあるしな。それにあのガキが居ねえならここにいる意味もない」

「あれ〜?アンタがなのはの事心配するなんて珍しいじゃん?」

「……そんな訳あるか。結界が使える奴がいないんじゃ修行が出来ねえから仕方なく行くだけだ」

「またまた〜そんな事言っちゃって〜」

 

そんな掛け合いを見たフェイトは小さな笑みを浮かべる。

 

(バーダックさんは相変わらずだな……でもちょっと優しくなったかも…)

「…そんな減らず口を叩けるならあいつの代わりに修行に付き合って貰おうじゃねぇか…せいぜい犬鍋にされねぇ様に気をつけるんだな」

 

そう言ってバーダックは指をバキバキと鳴らすバーダック。普通なら冗談で済みそうなものだが、バーダックの目は笑っていなかった。

 

「ちょ…犬鍋って…勘弁しておくれよ…」

(優しくなった……のかな?)

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

「…あれ…ここは……」

 

なのはが目を覚ますと、そこは見慣れない病室だった。

部屋の雰囲気や窓から見える景色を見ると、地球ではない事が分かる。しばらくぼんやりと外を眺めていると、すると部屋の扉が開き、クロノ、フェイトの二人が現れる。

 

「あっ!クロノ君!フェイトちゃん!」

「なのは…よかった…」

「大丈夫そうで何よりだ。…来たばかりですまないが、僕は少し用事があるから行かせてもらうよ。フェイト、あとは頼む」

「えっ…あ、うん」

 

「………」

「………」

 

残された2人に気まずい雰囲気が漂う。よく考えてみれば、こうして落ち着いて二人が会うのは半年ぶりだ。何を話していいのか分からなくなる。特にフェイトはこういう事には慣れていない。しばらく互いに押し黙っていたが、なのはは小さく微笑むと、ゆっくりと話し始める。

「ごめんね…せっかくの再会がこんなで…腕の怪我、大丈夫?」

「う、うん…こんなのは全然平気…。それよりなのはが…」

「私も全然平気。フェイトちゃん達のお陰だよ。元気元気!」

そう言って笑って見せるなのは。しかし、フェイトの表情はぎこちないものだった。

「フェイトちゃん…?」

心配したなのはが立ち上がろうとするが、足元がおぼつかず転びそうになる。

「なのはっ!」

慌ててフェイトが支えに入る。

「あはは…ごめんね?まだちょっとフラフラ…」

「なのは…」

「フェイトちゃん。助けてくれてありがとう。それから…また会えて嬉しいよ」

「うん…私も、なのはに会えて嬉しいよ」

そう言って二人は見つめ合うと、あえなかった半年を取り戻すかの様に、互いをぎゅっと抱きしめる。二人はしばらく抱き合っていたが、お互いに段々と恥ずかしさがこみ上げてくる。そんな空気に耐えられなくなったなのはが話を切り出す。

「そ、そうだ。ユーノ君達やレイジングハートはどこかな?」

「あ、そうだった。クロノが体調がよかったらレイジングハートを見せるから下に来てくれって言ってたよ。皆も多分そこに…それよりさっきふらついてたけど大丈夫?」

「うん。これぐらい大丈夫だよ」

「そっか…。じゃあ行こう。なのは」

 

 

 

***

 

 

 

クロノと合流したなのは達が部屋に入ると、ユーノ、アルフ、そして意外な人物が待っていた。

「なのは!フェイト!」

「アルフさん!ユーノ君も!…あ!バーダックさんまで!」

「なのは!久しぶり!」

「なのは…無事でよかったよ」

「全く…手間かけさせやがって…」

「みんな…」

久しぶりの再開を喜ぶなのはだったが、ふと横を見ると損傷したバルディッシュとレイジングハートがある事に気付く。

「レイジングハート…いっぱい頑張ってくれてありがとうね…」

「バルディッシュ…ごめんね…私の力不足で…」

「……破損状況は…正直あまり良くない…今は自動修復をかけてるけど、基礎構造の修復が済んだら一度再起動して、部品交換しないと…」

「こいつらのデバイスをここまで破壊するとはな……あいつら…なかなかやるじゃねえか」

「あ、その事なんだけどさ。あの連中の魔法ってなんか変じゃなかった?」

「あれは多分…ベルカ式だ」

「ベルカ式?」

「その昔、ミッド式と魔法勢力を二分した魔法体系だよ」

「遠距離攻撃や高範囲攻撃をある程度度外視した分、対人戦闘に特化さた魔法で、優れた術者は騎士と呼ばれてるんだ」

「…確かにあの人、ベルカの騎士って言ってた…。」

「最大の特徴は、デバイスに組み込まれたカートリッジシステムって呼ばれる武装。儀式で圧縮した魔力を込めた弾丸をデバイスに組み込んで、瞬間的に爆発的な破壊力を得るんだ」

「…危険で物騒な代物だな…」

「なるほどね…」

「…それにしてもお前達魔導師ってのはカートリッジがなんだのなんちゃら式だの面倒なことをするもんだな。聞いていても訳が分からんぞ」

「…勘やイメージだけで砲撃やら飛行をする君と一緒にしないでくれ。…そう言えば君と戦ったっていうサイヤ人も気を使って戦うのかい?」

「えーーっ!さ、サイヤ人!?…ってことはバーダックさんと…」

「…そういえばなのはには言ってなかったね。バーダックの話じゃ、あの男もサイヤ人らしいよ。」

「…当然あいつが使っているのも〔気〕だ。戦い方も俺と同じように格闘戦やエネルギー弾を使ってくる。」

「そうか…理由は分からないが、面倒な奴が仲間に加わったな…」

「でもバーダックはそいつより強いんだろ?」

「…今はな。だがサイヤ人ってのは戦闘を重ねたり死にかけるすると戦闘力がぐんと上がるんだ。」

「…ん?実践を重ねてるやつの方が強いのは当たり前じゃないか。」

「経験を積んで強くなるって意味じゃねえ。肉体の強靭さや気の限界値…お前らで言えば魔力そのものが上がるようなもんだ。」

「…へえ…サイヤ人ってのは凄いねえ…」

「君たちはそんな反則技まで持っていたのか…」

「…つまり今回俺と戦って死にかけたあいつは、次に会う時はより強くなってる訳だ。…無論負けるつもりはねえがな」

「…君もしかしてこれからも戦うつもりかい?」

「当然だ。あの野郎…俺に傷を付けやがったからな…。お前らが止めても勝手にやらせてもらうぜ。」

「はぁ…全く君は……でも今は一人でも戦力が欲しい時だ。よろしく頼むよ。…ああそうだフェイト。そろそろ面接の時間だ。それから……なのは。君も…ちょっといいか?」

「私も?いいけど…」

「君たちは適当にくつろいでいてくれ。色々と準備が終わったら、また声をかける」

そう言うと三人は提督の居る部屋へと向かって行った。

 

 

 

***

 

 

 

リンディ達が今回の事件解決への準備を待つ間、バーダック達は近くの自販機までやって来ていた。アルフが買った飲みものを渡そうとすると、バーダックが難しい顔で考え事をしていた。

(…何だったんだ…あの時の違和感は…)

「バーダックどうしたんだい?さっきから難しい顔して……はい。これあんたの」

「…ああ」

その時通りかかったエイミィから声を掛けられる。

「ユーノ君、アルフ、バーダックさん」

「エイミィか、どうしたんだい?」

「レイジングハートとバルディッシュの部品、さっき発注してきたよ。今日明日中には揃えてくれるって」

「本当ですか!ありがとうございます!」

「…それとね…さっき正式に今回の件がウチの担当になったの。」

「え?でもアースラは整備中じゃ…?」

「そうなんだよね…。多分その辺は艦長に何か考えがあると思うんだけど…」

「…おい。ちょっといいか?」

「バーダックさんどうしたの?」

「…お前ら三人少しそこに並んでみろ」

そう言うとバーダックは三人に背を向ける。

「え?急にどうしたんだい?」

「…並べば分かる」

三人は不思議そうに顔を見合わせると、バーダックの言う通りに並ぶ。

「ほら。並んだよ」

「………左からアルフ、ユーノ、エイミィだな。」

「えっ!?ど、どうして分かったんですか?」

「…俺にもよく分からん」

「なんだいそりゃ…」

「…ん…この近づいて来る奴はクロノだな?」

「嘘!?そんな事まで分かるの?」

そして数十秒後、バーダックの言った通りにクロノがやって来た。

「遅くなってすまな──」

「バーダックさん凄い!どうやったんですか?」

「…俺にも分からんと言っただろ。これは説明できるもんじゃねえんだ」

「あんた…クロノと口裏合わせてるんじゃないだろうね?」

「……盛り上がってる所すまないが、艦長が呼んでるから来てくれないか?」

「あ、ああ、ごめんねクロノ君?じゃあ皆、行こっか。」

(…何故俺がこんな技を……だがこれは使いようによっては便利な技になる…)

 

バーダックは自分でも気が付かない内に気を読む事を覚え始めていた。この技術が後にバーダックを助ける事になるのだが、それはまだ先の話である。

 

 

 

***

 

 

 

なのは達を強襲した翌日の朝、パラガスは庭で一人修行を重ねていた。

(もっと…もっと強くならねば…!…奴には対抗できん!)

その傍らでブロリーはパラガスを食い入る見つめていた。

(…やはりブロリーもサイヤ人か…戦闘行為自体には興味があるようだな。)

「あれ、パラガスさんおはようございます。もう起きてはったんですか?」

「ああ、はやてか。おはよう。」

「今温かい飲みもの入れますんで中に入ってください」

「ああ。ありがとう。」

パラガスはブロリーを抱き上げ室内に入る。

「また修行ですか?やるなとは言いまへんけどあんまり無理したらあきまへんよ?」

 

そう言いつつリビングで眠っていたシグナムとザフィーラにシーツをかけていた。

 

「…ああ。程々にしておくよ」

「はい。これホットミルクです。温まりますからどうぞ。ブロリーちゃんはこっちな。…今朝ごはん作りますんで座っといてください」

(……相変わらず優しい子だ)

しばらくするとシグナム達も目を覚ます。

「あ、ごめんな。起こしてしもうたか?」

「あっ…いえ…」

「ちゃんとベッドで寝やなあかんよ?そんなんじゃ風邪ひいてまう」

「す、すみません…」

少したじろぐシグナムを見てはやては少し微笑む。

「シグナム、また昨夜も夜ふかしさんか?」

「あぁ…その…少しばかり…」

「そうか…あんまり無理せんようにな?…はい。ホットミルク。あったまるよ」

「…ありがとう…ございます…」

 

そう言って受け取るシグナムは、普段は見せないとても柔らかな表情をしていた。

 

「すみません!寝坊しました〜!」

 

そんなゆったりとした空気を壊すように、シャマルが部屋に駆け込んでくる。

 

「おはようシャマル」

「おはようございます…あぁ!ごめんなさいはやてちゃん!」

「ええよ〜そんな急がんでも」

それに続いてヴィータも寝室からやって来る。

「おはよ〜」

「おお…めっちゃ眠そうやな…」

「眠い…」

「もう…顔洗ってらっしゃい…」

「ウーアッー」

「ミルク飲んでからに…って痛い痛い痛い!ブロリー髪の毛引っ張るなよ!もう、何度言ったらわかるんだよお前は!」

「あははは!やっぱりヴィータはブロリーに気に入られてしもうたな!」

いつもと変わらない、八神家の日常。惑星ベジータでは決して得ることができなかったものがここにはあった。…そんな暖かさを感じる度に、パラガスは嬉しさの半分、呪われた運命がはやてにつきまとっていることに悔しさとやるせなさを覚える。

 

(…何故…何故よりによってこいつらなんだっ…)

 

 

 

***

 

 

 

 

それは偶然の出来事だった。

いつものように病院での検査を終えたはやては、パラガス、ブロリーと一緒に医師の話を聞きに行った騎士四人を待っていた。

「シグナム達遅いな…どうしたんやろか…?」

「俺が探してこよう。ブロリーを頼めるか?」

「ありがとうパラガスさん。じゃあお願いします。」

 

 

〜〜〜

 

 

(ん…?あいつらの気は病院の外か…。どうしたんだ?)

 

そこでパラガスは聞いてしまった。闇の書の呪いではやての命がもう長くはない事。自分たちが騎士として現れた事で、呪いをさらに進行させてしまっている事。…そしてはやての命を助ける術がある事も。

 

「はやてを…はやてを助けなきゃ!シャマルっ!シャマルは治療系得意なんだろ!?そんな病気くらい…治してよ!!」

「…ごめんなさい…私の力じゃ…どうにも…」

「なんでだ…なんでなんだよ!!うっ…うっ…」

 

悲しさと悔しさで、ヴィータが嗚咽をもらす。

 

「…シグナム」

「我らが出来ることはあまりに少ない…だが…」

「…やるしかない。そうだろう?」

「パ、パラガスさん!?」

「お前…!いつの間に…」

「悪いが話は聞かせてもらった。…俺にも手伝わせてくれ」

「……気持ちは嬉しいが蒐集はそんなに生易しいものではない…。悪い事は言わん。蒐集は私達に…」

「はぁぁッ!!」

 

その時、パラガスの目付きが変わり、体中から深碧の気のオーラが勢いよく湧き上がる。

 

「あまり俺を見くびるなよ?それにお前らの許可がなくても勝手にやらせてもらう。…サイヤ人は目的の為なら手段を選ばんからな」

「パラガス…お前…」

「心配する事はない。なに、五人で集めれば案外早く終わるさ。…だからお前もいつまでも泣くな」

「うっ…うっ…パラガス…」

「パラガスさん…ありがとうございます…」

「…だが良いのか?お前は地球人として生きることを望んでいたはずだ。…蒐集に参加するという事は、お前の嫌っていた戦いを求めるサイヤ人に戻ることになるのだぞ?」

「…そうかもしれんな…。だがそんな事ははやてを見捨てる理由にならん。自分のために恩人見捨てるのは、今の俺が最も忌み嫌う事だ」

「…分かった。…お前の想いはしかと受け取った…。では改めて頼む。…我が主を助けてくれ…パラガス」

 

 

***

 

 

(……あれからもう数ヶ月か…。シグナム達やはやての為、ブロリーの未来の為、負けるわけにはいかんな…)

 

「おい。パラガス」

「ん、ザフィーラか」

「…今日は私とヴィータとお前で蒐集に出かける。頼むぞ」

「…ああ。分かっている」

 

パラガスは笑顔のはやて達やブロリー達を見て拳を強く握りしめる。

そして、彼は穏やかな未来の為、今日も戦地へと赴くのだった。

 




どうも顔芸です。
今回は戦闘後とパラガスが蒐集に参加する経緯のお話でした。
なんだか最近パラガスが主人公みたいになって来たのは多分気のせいですハイ。…これからはもうちょいバーダックの出番を増やしたいと思います。というか必然的に増えると思います。
あとサイヤ人組の現在の気の理解度についてですが…

バーダック→なんとなく気の存在に気付き始める。人の探知も少しなら可能。
パラガス→バーダックよりも気については理解が深い。ここではナメック星でのベジータぐらいなつもり。
私の中ではこんな設定です。公式にその辺の発表がないので、オリジナル要素といえばオリジナル要素です。

…今回はこんな所でしょうか。
これからも読んでくださると嬉しいです。
それでは。
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