リリカルな戦闘民族 (ドラゴンボールZ×リリカルなのは) 作:顔芸の帝王
バーダックやなのは達を含むアースラスタッフは、リンディによってとある一室に集められていた。アースラは比較的アットホームな雰囲気の職場ではあるが、今回は重要なロストロギアに関する事件ということもあり、張り詰めた空気が漂う。
「…さて…私達アースラスタッフは今回、闇の書の捜索及び魔導師襲撃事件の捜査を担当する事になりました。ただ、肝心のアースラが使えない都合上、事件発生地の近隣に臨時作戦本部を置くことになります。分割は、観測スタッフのアレックスとランディ、ギャレットをリーダーとした操作スタッフ一同。司令部は私とクロノ執務官、エイミィ執務官補佐、フェイトさん。以上三組に別れて駐屯します」
スタッフの配置を言い終えると、リンディの表情が柔らかいものになる。
「…ちなみに司令部は…なのはさんの保護を兼ねて、なのはさんのお家のすぐ近所になりま〜す!」
「えっ…ウチの近所って…ほ、本当ですか!?」
「ええ。ちょうど大きな部屋がなのはさんの家の近くに借りていたから、そこに引っ越すことにしたの。」
「やったぁー!!これでいつでもフェイトちゃんと会えるね!」
「う、うん。そうだね…」
無邪気に喜ぶ二人を見て、アルフ達やスタッフ一同も思わず頬が緩む。…一人の例外を除いて。
「…おいリンディ…まさか借りてある部屋ってのは…」
「あれ?言ってなかったかしら。バーダックさんの住んでるマンションよ?」
「………」
バーダックは顔をしかめたが、そう簡単に嫌とは言えなかった。そもそもバーダックはあの部屋に住んでいるだけであって、バーダックの所有物ではない。リンディ達が借りている場所に住んでいる、いわゆる居候状態なのだ。
「そんなに嫌そうな顔しないでください。…まぁバーダックさんがどうしても嫌だって言うなら他の場所を考えますけど…残念ね〜。司令部を置くにあたって機器の持ち込みをするから、その時に結界を使ったトレーニングルームを持ち込もうと思ったんだけど…」
「…っ!…仕方ねえ。好きにしやがれ」
「うふふ…ありがとうバーダックさん」
(バーダックさんが買収されてる…)
(あいつ…単純な奴だねぇ…)
こうして、半ば強引にバーダックの許可を得たリンディ達は、闇の書事件解決に本格的に動き始めるのだった。
***
バーダックがリンディを説得してから数日後、予定通り本部が設置され、ほとんど物も無く静かだったバーダックの部屋は、フェイト達やその関係者で賑わっていた。
「いやーすまないねバーダック。あんたの部屋にみんなで押しかけるみたいになっちゃってさ」
「…全くだ。迷惑極まりないぜ。…まあ今の所は飯と修行用の結界で許してやるがな。……それよりなんだその姿は」
「ふっふっふっ…これぞ新形態子犬フォーム!どうだ、かわいいだろ?」
「…そりゃよかったな」
そう言いつつも、バーダックの冷ややかな視線から微塵も興味が無い事がひしひと伝わって来る。
「…あんたは相変わらずだねぇ…。真面目な話、この姿の方が魔力の消耗が少なくていいんだ。それにフェイトの友達の前ではこの方が都合がいいしね」
「ほう…便利なもんだな」
そんな会話をしつつも、バーダックは奥の部屋へと去っていく。
「また修行かい?好きだねえ…」
「…悪いか。夕飯になったら呼べ」
「はいはい、分かったよ」
***
その後、バーダックが修行を終えトレーニング室から出ると、クロノとエイミィが難しい顔でモニターを見つめていた。
「…また作戦会議か?」
「あ、バーダックさんお疲れ様。冷たい飲みものが冷蔵庫にありますんで、よかったらどうぞ」
「…それで、状況は?」
「…正直、あんまり良くないですね…。今までより遠くの世界で、昨夜も魔導師が十数人、魔力の高い野生動物体も十体以上の被害が出てるんです」
「奴らは何故そんな事をする?」
「バーダックさんも、襲われた魔導師がリンカーコアを奪われているのは知っていますよね?今回の事件の元凶の闇の書は、魔導師の魔力の根源になるリンカーコアを喰って、そのページを増やしていくんです」
「全ページの666ページが埋まると、その魔力を媒介に真の力を発揮する。…次元干渉レベルの巨大な力をね…」
「それで、本体が破壊されるか所有者が死ぬと白紙に戻って、別の世界で再生する…」
「様々な世界を渡り歩き、自らが生み出した守護者に守られ、魔力を喰って永遠を生きる。…破壊しても何度でも再生する、停止させる事の出来ない危険な魔導書だ」
「…それでお前達はどうするつもりなんだ」
「僕達に出来るのは、闇の書の完成前の捕獲…それにはまず、あの騎士達を捕獲して、主を引きずり出さないといけない」
「…要するにぶっ倒せばいいわけだな?わかりやすくて助かるぜ」
「…まあ、物騒な言い方をすればそういう事になるな。…なのはやフェイトが動けない今、君の力が頼りだ。よろしく頼む」
「…へっ…言われなくてもやってやるよ」
そう言ってバーダックは静かな笑みを浮かべると、再び修行へと戻って行った。
***
とある世界、ヴィータ、ザフィーラ、パラガスの三人は今日もはやてを救うために蒐集活動を行っていた。相手取るのは体長数十メートルの巨大な竜。かなりページを稼げそうな相手だが、当然それ相応のリスクを背負うことになる。
「グオオオオオオッ!!」
自分の力を誇示するが如く雄叫びを上げると、目の前に立ちふさがるパラガスに対して凶悪な鉤爪を振りかざす。しかし腕を上げた時には、既にターゲットの姿はない。巨竜がその事実に気付いた時には、彼の拳が自らの腹部にめり込んだ後の事だった。巨竜は先程の激しい咆哮が嘘のようにその場に倒れ込んだ。
「よし…ザフィーラ、蒐集を頼む」
「ああ…任せろ」
「…やっぱパラガスはつえーな。魔力もねぇのにあんなでかいヤツを一撃で倒すなんてすげーじゃんか」
「まぁ、魔力がないと言ってもそれに代わる力はあるからな」
「確か気…だったか?デバイスも無くてあんなに力を出せるとは…なかなか便利なモンだな」
「そうでもないさ。…魔力と違って気はほとんどの場合、単純な破壊にしか使えない力だからな。…それにこの力のせいでブロリーは…」
「………」
「…まぁ、そんな力でもお前達の助けになるならいいさ」
「パラガス…お前…」
少し重くなった空気を断ち切るように、ザフィーラが提案する。
「…そろそろ行くとしようか。夕食までにはまだ時間がある。まだ戦えるか?」
「当たり前だ!一日でも早くはやてを助けないといけないんだからな」
「…そうだな」
守護騎士プログラムである彼女は、普通の人間よりも心も体も強靭なものだが、それにも限界はある。殴られれば痛みを感じるし、切られれば血も出る。悲しい事があれば涙が出て、大事な人が苦しんでいれば自分の胸も痛む。
力強く返事をしたヴィータではあったが、その声からは僅かではあるが覇気が薄れ始めていた。
***
バーダックは今日も一人トレーニングルームに篭もり修行を行っていたが、その内容はいつもとは違っていた。今までは肉体的な修行にほとんどの時間を費やしていたが、パラガスとの戦闘を通じて新たな気の可能性を知ったバーダックは、気を読んだり出力を上下させる修行を行っていた。
(…気にこんな使い方があったとは盲点だった。だが理屈さえ分かってしまえば簡単なもんだ。それにこの修行のせいか心なしか気の消費も抑えられてきている。…こりゃかなりの進歩だな。…ん、もうこんな時間か)
ふと時間を見ると時刻は7時半を過ぎており、もうすぐ夕食の時間だった。普段なら既に食べ始めている頃だが、今日はフェイトとアルフが修理したバルディッシュを受け取りに本局に行っているため、少し遅めの夕食となった。
バーダックは先に食べてしまいたかったが、リンディ曰く「ご飯はみんなで食べた方が美味しい」らしい。初めはくだらないホラ話だと一蹴したが、なんでも科学的に証明されているらしい。そんな事で飯が美味くなるならば、待たない理由などなかった。
(…そろそろ奴らも帰ってくる頃だ。…今日はこの辺りで切り上げるとするか)
そう思いバーダックが部屋を出た瞬間、部屋中に警報が鳴り響くき、リンディから声がかかる。
「これは…!」
「バーダックさん!例の騎士達とサイヤ人を発見したわ。すぐにクロノと一緒に向かって貰えますか?」
「…ああ、任せろ!…へっ…やっと来やがったか」
「すぐになのはさん達にも向かってもらいますから、それまでなんとしても足止めしてください!」
「へっ…誰に物言ってやがる。あいつらが来る前に終わらせてやるよ」
バーダックは思いがけずやって来た再戦の機会に、心を踊らせ戦場へと向かうのだった。
***
「くっ…管理局か…」
同時刻、蒐集を終えたヴィータ、ザフィーラ、パラガスの三人は管理局の武装局員によって包囲されていた。
「でもこいつら大したことない。…返り討ちだ!」
(…確かにこいつらは手こずるような相手では無い…だが…)
その時、パラガス達を囲んでいた武装局員が一斉にその場を離れる。
「えっ…」
「上だ!」
「スティンガーブレード!エクスキューションシフトッ!」
詠唱が終わると同時に、パラガス達の頭上に無数の青い剣が突き立てられる。
「でやぁっ!」
クロノの奇襲攻撃に、ザフィーラはすかさずバリアを展開させ攻撃を防ぐ。
「…くそっ…効いてないか…」
「この程度でどうにかなる程…我らは弱くない!」
「よし、これなら───
反撃を開始しようとしたその時、三人の背後から突然声がかかる。
「…ようパラガス。久しぶりだな」
(こいつ…いつの間に…!)
「…てめぇは…!この前はよくもパラガスを…!今度は私が相手を…」
「待てヴィータ!…こいつは俺に任せろ」
「で、でもよ…」
「…俺一人では役不足な事は分かっている。…だが恐らくこの後も奴らの援軍が来る。そいつらと戦う前にお前が消耗したら為す術がない。…それまではザフィーラと一緒に戦うんだ」
「どうした!怖気付いて逃げ出す参段か!?」
「…その必要はない。お前はここで私に倒されるのだからな!」
そう言い放つとパラガスはバーダックに向かい突進する。
「はああああッ!」
パラガスの右拳がバーダックの顔面に放たれる。しかし、バーダックはパラガスの手首を掴み、ギリギリで拳の勢い止める。
「ぐっ…ぐぐっ…!」
「…ほう…言ってくれるじゃねぇか!」
バーダックがもう一方の腕でパラガスを殴り返し、地面に叩きつける。
「パラガスッ!あの野郎…!」
激昂したヴィータがバーダックに向かおうとするが、ザフィーラがそれを静止させる。
「落ち着けヴィータ!奴はあの程度でやられる奴じゃない!…それよりあれを見ろ」
「あ、あいつら…!」
ザフィーラが示した方向を見ると、バリアジャケットを身にまとったなのはとフェイトがこちらに向かって来ている。それを見たヴィータは武器を構えるが、予想に反してなのは達は近くのビルに降り、対話を求めてきた。
「私達はあなた達と戦いに来たわけじゃない。…まずは話を聞かせて!」
「闇の書の完成を目指してる理由を…!」
「…あのさ…ベルカのことわざにこういうのがあんだよ。"和平の使者なら槍を持たない"ってのがな」
それを聞いたなのはとフェイトだったが、いまいちピンと来ないようで、互いに顔を見合わせる。
「話し合いをしようってのに武器を持って来る奴がいるかバカって意味だよ!バーカ!」
「なっ!い、いきなり有無を言わさずに襲いかかって来た子がそれを言う!?」
「…それにそれはことわざではなく、小話のオチだがな」
「う、うっせえ!いいんだよ細かいことは…!それにお前らの仲間の一人はがっつり戦いを仕掛けてきたぞ!」
その発言を肯定するかのように、タイミング良くバーダックがパラガスに盛大に回し蹴りを食らわせる。
「あ、あの人はその…ちょっと血の気が多いというかなんというか…」
その時、シグナムが外側から結界を突き破り、なのは達の前に降り立つ。その様子にバーダック達も気が付き、戦闘が止まる。
「…シグナム!」
(…ついに全員現れやがったか……いや…この間なのはからリンカーコアを奪った野郎が居ねえ。…またどこかに潜んでいるのか、それとも…)
「…バーダック、一つ聞きたい事がある」
「…なんだ」
「何故奴らの味方をしている?…お前程の奴がなぜ管理局に手を貸すのだ」
「…俺は管理局に手を貸しているつもりはねえ。…俺が手を貸すのは俺の信じた奴だけだ」
「仲間の為…という訳か。…出来ればお前とは別の形で出会いたかったよ」
そういうとパラガスが気を解放し、体に緑色のオーラを纏う。
「へっ…サイヤ人らしくねぇ事いいやがって…」
それに応えるように、バーダックの身体からもから青いオーラが吹き上がる。
「いくぞっ!パラガス!!」
「来い!バーダック!!」
「でりゃああああ!!」
「はあああああああっ!!」
同時に突き出された二人の拳は激しくぶつかり合い、凄まじい衝撃波と轟音を立て、再び二人の戦いが始まった事を周囲に知らしめる。
(くっ…あのバーダックってやつ…パラガスのパワーに正面から渡り合えるなんて…)
(バーダックさんも頑張ってるんだ…私だって!)
しばらく対峙したままだったなのは達も、バーダックとパラガスに焚き付けられたように戦闘を始める。
「へっ…結局やるんじゃねーか」
「私が勝ったら話を聞かせて貰うよ!いいね!?」
「やれるもんなら…やってみろよ!」
***
色とりどりの美しい魔法弾が交錯する中で、バーダックとパラガスの拳が一際大きな轟音を響かせる。
「そこかっ!」
当たると確信して放った一撃だったが、パラガスの一撃は虚しく空を切る。
(っ!消えた!?)
「こっちだぁっ!」
勢いよく振り下ろしたバーダックの肘が、パラガスの脳天に直撃する。
「ぐはぁっ!」
物凄い勢いで真下に吹き飛ばされると、パラガスの叩きつけられたビルが粉々に倒壊する。
最初は互角の戦いを見せていたパラガスだったが、僅かに戦闘力が勝るバーダックに徐々に押され始めていた。
(…やはり以前よりもパワーが増してやがる。だがまだ負けるような相手じゃねえな)
(くっ…以前死にかけた時にかなりパワーアップしたはずだが…それでも奴には及ばんか…。それにこいつ…気が読めるようになったのか…このままでは…)
その時だった。耳をつんざくような雷鳴が響き渡り結界が壊れ始める。
「な、なんだ!?」
(これは…!今しかない!)「はぁっ!!」
バーダックがその事に気を取られている間に、パラガスが気功波を放つ。
「しまっ…」
大した威力の無い技だが、撤退するには十分な時間稼ぎになった。
「バーダック!…この勝負は預けたぞ!」
「くそっ…!待ちやがれ!」
パラガスを追おうとした瞬間、結界を突き破った巨大な稲妻が頭上に降り注ぐ。
「…っ!!」
流石のバーダックにも避ける時間は無く、稲妻はバーダックに直撃すると、巨大な爆発を引き起こし眩い光で辺りを包み込んだ。
「はぁ…危なかった……」
「ありがとうアルフ。おかげで助かったよ」
『なのは、フェイト、アルフ、そっちは大丈夫!?』
『う、うん。ありがとうユーノ君…こっちは全員……あれっ…バーダックさんは?』
「そ、そういやあいつどこに…」
なのは達の脳裏に嫌な予感がよぎる。
「まさかあいつモロに食らったんじゃ…」
「そ、そんな!結界を破るまでに逃げる時間はあったはず…!」
「と、とにかく探してみよう!もし直撃してたら大変だよ!」
思い過ごしであってくれと願いつつ急いで爆心地へ向かうと、まさにちょうど落雷が落ちた場所にバーダックがうつ伏せで倒れていた。
「嘘っ…!バーダックさん!大丈夫ですか!」
「ど、どうしようフェイト…!」
「は、早く医療班を…!リンディさん聞こえますか!」
その時、意識がないと思っていたバーダックから声が聞こえる。
「……うっ……く…くそったれが…」
すると慌てふためくなのは達を他所に、バーダックはあっさりと起き上がる。
「…くそっ…思ったよりすげえ威力だったな…っと、お前ら何してんだ…鳩が豆鉄砲食らったみてえな顔しやがってよ」
「えっ…!だ、だってバーダックさん今あの攻撃を生身で受けたんですよ!?…」
「…何を言ってやがる。あれぐらいで死ぬやつがあるか。…とは言えドドリアの攻撃ぐらいの威力がありやがったな。おかげで意識が飛びかけたぜ…」
そう言うって軽く汚れを払うと、何事も無かったかのようにバーダックは一人で歩き出す。
「…早く帰るぞ。お前らのせいで俺はまだ飯を食えてねえんだからな」
「ああ!ちょっと待ってください!バーダックさん!バーダックさんったら!」
「…やれやれ…心配して損したよ…」
三人は無事でよかったと思う一方、彼の信じられない頑強さに、唖然としてかける言葉が見つからなかった。
どうも顔芸です。
今回はリンディ達の引越しパートでしたが、ちょっと無理やりだったでしょうかね…?
それと数日前、なんとこの作品の評価に色が付きました!
いやー嬉しいですね!しかも黄色ですよ黄色!
…まぁ今後落ちるかも知れませんが…。
評価を入れてくださった皆様、ありがとうございました。
今後も楽しんでいただけるように努力しますので、今後も読んでいただけると幸いです。
さて、話の展開についてですが、前話で戦闘だったのにもう二回目の戦闘?と思った方もいるかもしれません。
そうなんですよね…。ホントはもう少しバーダックの日常パートも入れたかったんですが、いろいろあって端折ってしまいました。ですが、本編でも番外編でも一応どこかでは入れたいと思っていますのでもう暫くお時間を…
まだまだいい訳したい事は山ほどありますが、今回はここまでにしたいと思います。今回も読んでいただきありがとうございました。
それでは。