リリカルな戦闘民族 (ドラゴンボールZ×リリカルなのは) 作:顔芸の帝王
守護騎士達との戦闘の後、リンディ達の待つ司令部へ戻ったなのは達はバーダックの件を含めた今回の戦闘報告をする。
「…で、何事も無かったかの様に戻って来たと。…全く君はどういう体をしてるんだ…」
「…鍛えていればあのぐらいは当然だろうが。それにあの程度でくたばってたらフリーザにはとても勝てねえからな」
(本当に鍛えてどうにかなるものかしら…?)
「…そんなことはどうでもいいだろ。それより話を戻したらどうだ」
「そ、そうね。…ええっと…彼らが何故闇の書の完成を目指してるのか…だったわね」
「ええ…どうも腑に落ちません。彼らは自分の意思で闇の書の完成を目指してるようにも見えますし…」
「ん?それってなんかおかしいの?闇の書ってのもジュエルシードみたく、すごい力が欲しい人が集めるものなんでしょ?だったら…その力が欲しい人の為にあいつらが頑張るのもおかしくないと思うんだけど…」
「第一に闇の書の力はジュエルシードみたいに自由な制御のできるものじゃない。完成前も完成後も、純粋な破壊にしか使えない。…少なくとも、破壊活動以外に使われたという記録は無いんだ」
「そっか…」
「それからもう一つ…あの騎士達……闇の書の守護者の性質だ。彼らは人間でも使い魔でもない、闇の書に合わせて魔法技術で作られた擬似人格。主の命令を受けて行動する。…ただそれだけのプログラムに過ぎないはずなんだ」
それを聞いたフェイトが悲しげな表情を見せる。
「……あの…人間でも使い魔でもない擬似生命って言うと…私みたいな…」
そう言いかけたフェイトの言葉をリンディが慌てて否定する。
「違うわ!…フェイトさんは、生まれ方が少し違っただけで、ちゃんと命を受けて生み出された人間でしょ?」
「検査の結界でもちゃんとそう出てただろ。変なことを言うもんじゃ……」
「…おい…それはどういう事だ?」
バーダックの一言にリンディ達ははっとする。バーダックはフェイトの生い立ちについては何も知らなかったのだ。
「あっ……そ、それはねバーダックさん…」
上手く誤魔化そうとするリンディだったが、それを見たフェイトは首を横に振った。
「…いいんですリンディさん。いずれは話さなきゃと思ってましたし、一緒に戦ってくれてるのにバーダックさんだけずっと知らないなんて悪いですから」
「…フェイトさん……」
フェイトはバーダックに自分の生い立ちについて少しずつ話し始めた。
〜〜〜
「───ということなんです…」
フェイトはバーダックに自ら過去を話したが、話が終わる頃にはすっかり俯いてしまっていた。それも仕方のないことだった。例の事件から既に半年が経ち、優しく接してくれる人が大勢いると言っても、フェイトはまだ9歳。小学生が背負う運命にしては、あまりにも重すぎる。
「………」
「あ、あのバーダックさん?」
「…なんだ」
「あの…ごめんなさい…こんな話をしてしまって…」
「なんでてめぇが謝る?聞いたのは俺だ。…それに話を聞く限りお前に非はないだろうが」
「そうかも…しれませんけど…」
(チッ…全くこいつらは…いちいち喜んだり悲しんだり面倒な奴らだ)
「…わかった。この話はもういい。…クロノ、闇の書の守護者の話を続けろ」
「…ああ。守護者達は闇の書に内蔵されたプログラムが、人の形をとったもの。闇の書は、転生と再生を繰り返すけど、あの四人は、ずっと闇の書と共に様々な主の下を渡り歩いている」
「意思疎通の対話能力は、過去の事件でも確認されてるんだけど、感情を見せたって例は一度もないのよ」
「…闇の書の蒐集と主の護衛。彼らの役目はそれだけですものね」
「でもあの帽子の子、ヴィータちゃんは怒ったり悲しんだりしてたし…」
「シグナムからもはっきりと人格を感じました。…成すべき事があるって…。それから、仲間と主のためだって…」
「主のため…か」
「…まぁその辺りは捜査にあたっている職員からの情報を待ちましょうか」
「転移頻度から見て、主がこの付近に居るのは確実ですし、案外先に主が捕まるかもしれません」
「あ〜そりゃわかりやすくていいね〜!」
「そうね!闇の書の完成の前なら、持ち主も普通の魔導師だろうし…」
「それにしても、闇の書についてもう少し詳しい情報が欲しい所だが……今は考えていてもしょうがないか」
「そうね。それにもういい時間だし、夕飯にしましょうか」
***
バーダックがベランダで一人星を眺めていると、こそこそとフェイトが近寄ってきた。バーダックはフェイトが何を言おうとしているのかなんとなく察したが、あえて自分からは話しかけなかった。二人はしばらく無言でいたが、フェイトがぽつりと話しはじめる。
「バーダックさん…あの…星…見てるんですか?」
「…そうだ。それがどうかしたのか」
「ああ…ええっと…そのですね…」
「…言いたいことがあるなら早く言いやがれ」
「うっ…」
どうやら図星だったようで、フェイトはうなだれる。しかしすぐに覚悟を決め、震える声でゆっくりと話し始めた。
「……バーダックさん…わ、私がその…作られた人間だって聞いて…どう思いましたか…?」
「…事実を聞かされただけだ。どうもこうもあるか」
「そう…ですか…そうですよね…」
口では納得したような事を言っているが、フェイトの表情は暗いままだった。
「お前がどう生まれようがそんな事はどうでもいいし興味もねぇんだよ。…重要なのはその後だろうが」
「…えっ」
「…お前は他人にどう見られてんのかを気にしてるようだが、そんなもん気にする必要はねぇ。言いたいやつには勝手に言わせておけばいい。自分が自分の生き方を見失わなければそれで十分だ」
そうフェイトに語りかけるバーダックは、普段は見せない昔を懐かしむような遠い目をしていた。
「バーダックさん……」
「…だからその…なんだ、面倒だからいちいち余計な心配をするな!」
フェイトにじっと見られていると、真面目に彼女を励ました事が急に小っ恥ずかしくなり口ごもってしまう。そんな風に狼狽えるバーダックを見て、フェイトは思わず吹き出してしまう。
「うふふっ…バーダックさんが慌ててるの珍しいですね…」
「う、うるせえ!さあもういいだろ、さっさとどっかに行かねえとぶん殴るぞ!」
「あ、ああごめんなさい…!じゃあこれで…」
そう言ってそそくさとドアへ向かうフェイトだったが、途中でバーダックの方を振り向く。背を向けて立つ彼の背中からは、どこか寂しげなオーラが漂っていた。
「あ、あのバーダックさん!…ありがとうございました…。私、なのは達以外の人にこんなこと知られたら嫌われるんじゃないかってすごく怖かったんですけど、バーダックさんには理解してもらえて…あの…すごく…嬉しかったです。それと相談した私がこんなこと言うのは変かもしれませんけど…もし私が助けになれる事があれば言ってくださいね。私にできる範囲なら協力しますから…」
「…てめぇに助けられるほど落ちぶれてねえよ」
「そ、そうですか……あの…それじゃあおやすみなさい…バーダックさん」
「…………」
フェイトの居なくなった部屋は静寂を取り戻し、バーダックは再び空を見上げる。無数の星々を見て思い出すのは、フェイトと同じ歳の頃の仲間達との思い出だった。
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「このガキ!俺たちの言うことが聞けねえってのか!?」
「そうだ!何度も言わすんじゃねえ!この木偶人形が!」
「なんだと!たかが最下級戦士の分際で調子に乗りやがっ……ぐはぁっ!」
そう言ってバーダックに殴りかかろうとした男に、背後から回し蹴りを入れる子供が居た。
「トーマ!それにお前らまで…!」
「へっ!エリートだからって調子に乗りやがって!バーダック!ひと暴れしてやろうぜ!」
「…へっ…余計なことしやがって…てめぇら死んでも知らねえぞ!」
「…このガキ共!…おいお前ら!同族だからって手加減することはねえ!やっちまえ!」
「…くそっ…やっぱりエリート共は強えな…」
「パンブーキン、アンタは油断しすぎなんだよ。一番攻撃食らってたじゃないか」
「チッ…うるせぇ。俺には俺の戦い方ってもんがあんだよ」
「…てめぇらなんで割り込んできやがった。お前らには関係ないだろうが」
「そんなことねえさ。…あいつらは俺も前から気に入らなかったんだ。生まれた時に少し強からってだけで威張りやがってよ!そいつに喧嘩売ってる仲間がいたら助けるのは当然だろ?」
「…てめぇらに助けられるほど落ちぶれてねえよ」
「何意地張ってんだい。私たち五人でかかってやっと引き分けだったくせに」
「…うっせえ。クソ、強くなって見返してやる」
「そうだな……大事なのは生まれじゃなくてその後だ。下級戦士だって強くなれるって所をエリートの野郎どもに見せてやろうぜ!」
〜〜〜
「……………」
幼い頃から生死を共にしてきた仲間達はもう居ない。だが、バーダックはこの世界で新しい仲間と出会うことができた。フェイト達の存在は、バーダック自身も気付かなかった心の穴を満たしていくのだった。
***
管理局の追跡を振り切り帰宅したシグナム達だったが、家に帰るとはやてとブロリーの姿は無く、机には夕食と書き置きが残されていた。なんでも、今夜夕食に誘った友達がいつまでも帰らないシグナム達を見かねて自宅に誘ってくれたらしい。
「…主の様子はどうだった?」
「はやてちゃん今日はすずかちゃんのお家にお泊まりするから心配要らないって……あとブロリーちゃんも一緒だから、パラガスさんに伝えて欲しいって言ってたわ…」
「そうか。…はやてには寂しい思いをさせてしまったな…」
「ええ…そうですね」
「…それにしても、お前を助けたという男は一体何者だ?」
「わからないわ……少なくとも当面の敵ではなさそうだけど…」
「パラガス、お前はどうだ?」
「…俺もわからんな。一度あったことのある奴ならば気でわかるはずだが、あんな気は初めてだ。…だが敵ではないと決めつけるのは少し早計かもしれんぞ」
「…どちらにせよこれで管理局の連中もますます本腰を入れてくるだろうな」
「…もう時間もあまりないのにあの砲撃でだいぶページも減っちゃったし…」
「一刻も早く闇の書の真の保有者になってもらわねば…」
「…そうね……どんな事があっても必ず…」
「…………」
そう言って天を見上げる二人の眼差しからは、何を犠牲にしてでもはやてを助けるという強い意思が感じられた。
(…こいつらに比べて俺には覚悟が足りなかったのかもしれん。…シグナム達がはやての為に命を削るならば…俺がそれを守ってやらねばな)
「シグナム……少し話がある。…すまんがシャマルは少し外してくれ」
「えっ?……いいですけど…じゃあ私、夕食の準備してますね」
「ああ。頼んだ」
そう言ってシャマルが部屋から出ると、二人の目つきが少し鋭くなる。
「……どうやら重要な話の様だな」
「…ああ。管理局に居るあのサイヤ人…バーダックの事だ」
「…あいつか」
「今回は闇の書の力や仮面の男のおかげでなんとか撤退できたが、奴がいる限り次も上手くいくとは限らん…それに時間が限られている以上、もうページを減らして闇の書の力を使うこともできない…。だが奴はサイヤ人の中でもずば抜けて高い戦闘力を持っている。…今の俺ではある程度は抑えられても到底勝ち目がない。…もし次また奴らに出くわしてしまえば最悪の事態になるかもしれん」
「………」
シグナムもその事は理解していた。管理局魔導師だけならば振り切れても、次またバーダックがやって来れば、全員が上手く逃げられる可能性はほとんどないのだ。
「…だが俺に策がある。今奴を倒せる唯一の策が…な」
「そんなものが…」
パラガスは力強くそう告げる。だがこの策というのは、高いリスクを背負う事になる。
そのリスクをシグナムは勿論の事、パラガス自身の想像をも超える物なのだが、この時彼らにそれを知る術はない。
こんにちは。顔芸です。
今回はバーダックの過去の回想がありましたが、あの辺は資料がないので完全に私の妄想ですが、今後公式でも掘り下げてくれるといいなーなんて考えてます。
それと余談ですが、最近皆さんからたくさんコメント頂けて嬉しいです。返信が遅くなってしまうかも知れませんが、しっかりと読ませて頂いてるということをこの場でお伝えしておきます。
次回も見てくださると嬉しいです。
それでは。