あったかいもの食べたいなあと旦那にお願いしたら、コンビニで肉まんのようなものを買ってきてくれた。
あの、パン工場が売り出し中の特別な「まん」らしい。
珍しいもの好きな旦那が、コンビニで買い物をしてきた。
冬である。
あったかいもん食べたいなあとお願いしたら、今売り出し中の、パン工場オリジナルのアツアツまんシリーズを買ってきたと言う。
「なにそのアツアツまんって」
普通の肉まんとか、あんまんじゃないの?
こたつでぬくぬくしながら、ドヤ顔の旦那を見上げた。
旦那は嬉しそうにこたつに入ると、包み紙をこちらによこし、開いてみてくれと言うのだった。
「どうれ」
開いて取り出し、お皿に並べてみる。
なんの変哲もない肉まんだかあんまんじゃないと思ったが。皿に乗せてみたら白い表皮に顔が書いてあったのでびっくりした。
「アンパンまん、カレーパンまん、しょくぱんまん……」
なんと、パン工場の三大ヒーローが表皮に焼き付けてある。
なるほど、パン工場め、考えたものだ。大人気の彼らの顔さえ付けておけば、売れることは間違いなかろう。
「ずるいなー」
ほかほか湯気をあげている三つのまんをみながら、わたしは呟いた。
「これさー、中身普通なんでしょう。連中の顔を焼き付けただけで、今売り出し中とか、せこいよ」
まあ、食べてみようよ。
旦那は言うと、自分はまずアンパンまんを掴んで一口齧ってみせた。うまいよ、これ。言われるので、わたしも一口もらって食べた。
普通のあんまんじゃないか!
「じゃあどうせこのカレーパンまんは、カレーまんなんでしょ」
「いいじゃない、美味しければ」
文句をいいたいわたしと、美味しければ満足の旦那。もういい。食べてやる。
カレーパンまんも、普通のカレーまんである。
確かに美味しい。パン工場の技術を感じる。パンに対する愛を、冬の風物詩にもぶつけた心意気は認めてやろうか。
しかし、そこに至って、わたしははたと気づいたのである。
お皿に残るは、ひとつだけ。
しょくぱんまん。
アンパンまんは、あんまんだった。
カレーパンまんは、カレーまんだった。
じゃあ、しょくぱんまんは。
「食べてみよう」
旦那はどこまでも嬉しそうに、謎のしょくぱんまんを二つに割って、片割れをわたしにくれた。
はぐう、とかぶりつき、旦那は目を細める。うんうまいじゃないか。たまらんね。
それでわたしも食べてみる。
もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ……。
美味しいよ。うん、確かに。さすがパン工場だ。
しかしね。
食べても食べても食べても食べても。
食べても。
「ねえ、これ、中身ないんだけど」
皮ばっかりなんだけど。
既に食べ終えて大満足顔の旦那は、にっこり笑って言うのだった。
「え、だってこれ、しょくぱんまんだし」