俺はみんながイチャコラしてるのを見ていたいだけ 作:ルーニー
「ぶぇっくしっ!」
春の夜、暖かくなってきているとはいえ夜はまだ冷える上に、さらに今夜は異常に冷える日だったらしく今着ている服では寒く感じるせいかもう結構な数のくしゃみをしている。
今日は友達を誘って夜空を見に来ている。と言っても誘った友達の大半は夜に用事があったり今の時間がまぁまぁ遅いせいかほとんどがもう帰っている。まぁあと数人残っているし、みんな満足そうにしてたからやってよかったと思うんだが。
望遠鏡の片づけも終わり、いろんな星を見ていたんだが結構な時間見ていたせいかかなり身体が冷えてしまったようだ。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫大丈夫」
隣でを見ていた黒い髪の少女、大道寺知世ちゃんも何回もくしゃみしている俺が気になったのか心配そうに声をかけてくれる。それに俺はポケットティッシュで鼻をかみながら返事をする。
しかしそれでも気になるのか知世ちゃんの隣で空を見ていた少女、木之本さくらが心配そうな表情で俺に声をかけてくる。
「でも、さっきからくしゃみしてるし、風邪ひいたんじゃいのかな?」
「俺がそうなのにそっちはぴんぴんしているとは、いやはや怪獣の体力は恐ろしいものだ」
「さくら怪獣じゃないもん!」
怪獣と言われるのがそんなにいやなのかポカポカと殴ってくるが全然痛くないしむしろ肩たたきみたいでいい感じに気持ちがいいのでそのままにしておく。
けど、さすがに身体が冷えてきているせいかまた身体が震えだし、再びくしゃみが出る。何度目か分からないくしゃみが出ると怒りより心配が強くなったのか、再び大丈夫?と声をかけられた。それに対して大丈夫だという前に、かぶせられる様に大きめの服が背中からかけられてそれも言えなくなった。
「ったく。んな格好でこんなところにいるからだろうが」
ため息混じりにそう言うのは、長身のイケメンだ。長身のイケメンだ。大事なことなので2回言った。
「ありがとう。いやぁ、今日はいい星見日和じゃない。これは見た方がいいと思って」
「んな中途半端に寒さも防げそうにない恰好でか?ちゃんと考えて服着ろっての」
イケメン、木之本桃矢兄はガシガシと乱暴に頭を撫でまわしてくる。乱暴であるけど、その手を払うようなことをしたくないと思えるほどに大きく暖かなものだった。
ホント、いいお兄さんだよねこの人。超シスコンなのが玉に瑕……いやそうでもないか。むしろ好感度上がるな。チクショウイケメンは何であっても許されるのか!
「ねぇねぇ!今日教えてくれた星以外でどんなのがあるの?」
一応少ない時間とは言えある程度の説明を加えて星座を教えたのだがまだ足りないらしく、もっともっととせがむように目を輝かせて俺の袖を引っ張ってくる。
「ん~っとだな。あそこにひしゃくの形に星がならんでいるだろ?」
「うんうん。あれは北斗七星だよね。北極星を探すのに便利な星で、おおぐま座って星座の一部なんだよね」
「そうそう。説明したように他の星座や星を探すのに便利なんだよ。北極星を探すのとは逆の、持ち手の部分カーブがかってるだろ?それに沿って線を伸ばしてくと明るい星があるだろ?」
「……あっ!本当だ!」
「それをさらに進んでいくと、スピカって名前の星にぶつかるんだ。これはおとめ座の星なんだ」
「ほえ~……そうなんだ~……」
「このおとめ座って、誰がモデルなのかって様々な話があるんだよ。勝利の女神だったり、豊穣の女神だったりとね」
「そうなんだ~」
キラキラした目でおとめ座がある場所を見ている。その様子が受けたのか知世ちゃんはキャーキャーと静かに騒ぎながらさくらを撮り、桃矢兄は感心したような表情で空を見上げていた。
さくらって、なんでもホイホイと信じやすい子ではあるが、同時に聞き手が気持ちのいいと感じるような聞き方を推するということだと、この子に説明をしていると本当にそう思う。
けど嘘言ってもすんなりと信じている分危うすぎやしないかすら思うんだけど。とある男子児童の分かりやすい嘘も信じてた節があったし。
「はぁ~……。さくらちゃん超絶かわいいですわ~……」
……この子も十分に危ないような気がしてならないんだが、大丈夫なんだろうか。いろんな意味で。いや大丈夫じゃなかったか。
「ほら。もう今日は遅いし明日学校だろ?もう終わって寝た方がいいぞ」
説明が一通り終わった後、桃矢さんは腕時計で時間を確認してかばんを持って帰る準備を始める。
「ん~。もうちょっとだけ待ってもいいですかね?」
「ダメだ。特にお前は風邪ひくから早く家に帰れっての」
何度もくしゃみをしたこともあり、咎めるかのように特に俺を見てそう言う桃矢兄。若干、というか結構さくらのこと気にしてるし、そっちの意味でも気を使ってるんだろうな。風邪ひいたら俺が怒られそうだ。
「もうちょっとだけ。もう来てもおかしくないから」
「あ?何がもうちょっとなんだ……」
空を見上げた俺につられるように上を見上げると、そこにあった光景に桃矢兄は一瞬言葉を失った。
「わぁ~!すごいすごい!たくさんの流れ星だぁ!」
キャッキャッと、本当に嬉しそうな表情を浮かべながらはしゃぐさくらの言う通り、そこにはたくさんの流れ星が夜空を行き駆っていた。
「……なるほど。これが見たかったのですね」
「そそ。こと座流星群、綺麗でしょ?」
「流星群か……久々に見たな」
知世ちゃんも桃矢兄も流星群に目を奪われているのか、夜空を見上げてしばらく眺めていた。ただ知世ちゃんのカメラはちゃんとさくらに向けてある辺り訓練されてるなぁと思う。
「あ~っと、え~っと、ん~っと……」
「何かお願いごとでもするのか?」
「うん!えっとね!」
「怪獣の雄叫びなんてものを聞いてもお星さまは困るだけじゃねぇの」
「なんですってぇ!?」
桃矢兄の言葉にさくらちゃんが怒り、そのまま腕をグルグルと回転させて殴りかかろうとするが、さすが高校生と言うべきかあまりの身長差に片腕だけでさくらちゃんを近づけさせないようにしている。
シスコンもあぁなると逆にかわいく見えるんだよなぁ。というか、ツンデレ?なのかねあれ。普段はめっちゃいい人なのになんで妹の前だとあんなに素直じゃないのかねぇ。
とりあえず、流れ星って言うには多すぎる流星群だけどお願いでもしておこうかね。
「しゃおさくが近くで見れますようにしゃおさくが近くで見れますようにしゃおさくが近くで見れますように」
記憶が正しいなら、小学4年生となった今もうすぐクロウカード編が始まる。生まれてから10年近く経っているが、こっちは早く小狼くんとさくらのイチャイチャを生で見たいんだよ!つってもイチャイチャできるようになるまでかなり時間かかるだろうしクロウカードの出来事も分からないだろうけどそれだけはこちとらみたいんだよ!
あ、あと月と桃矢兄の絡みも見たい!つうかあの学校であるイチャイチャは全部みたいんだよ俺は!小学生と教師の恋愛とか禁断過ぎて萌え禿げるっての!せっかくCLAMPの世界に来たのに、しかも原作キャラクターと近いってのにそれを見ないとか言うアホはいねぇ!俺は絶対に見るぞ!
拝むように手を握りしめ、念仏のように流星群が終わるまで願いを言い続ける、俺こと木之本椿ははたから見ればキモいことになっていたんだろう。というか後で見せてもらったビデオでの俺はまぁキモかったのだが、まぁこのときの俺が知る由もないのだが。
早く来い!李小狼!はやくさくらとイチャイチャするんだ!それ見て俺はニヤニヤしたいんだ!