問題児たちと天空の御子が来るそうですよ?   作:皐月の王

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本編10話目突入!


ペルセウスへ挑む為

天音が白夜叉から "ペルセウス"にギフトゲームを挑める方法を聞いて支店を後にして、十六夜達のあとを追いかけて歩いていた。すると、

 

「む、無駄って……どうしてそこまで言われなきゃいけないのですか!!」

 

黒ウサギの叫び声が聞こえる、天音は走り出し、黒ウサギ達に追いつく

 

「コミュニティにとって、仲間は大事です。何物にも勝る、コミュニティの宝でございます。ましてや魂を削ってまでコミュニティの窮地に駆けつけたレティシア様を見捨てては、我々の義が立ちません!」

 

「だけどそれは貴女が身代わりになる事じゃない!そんなの無意味だわ!」

 

「仲間の為の犠牲が無意味なはずが!」

 

「夜中に叫ぶな喧しい」

 

十六夜に押されてガツン!と女性二人の頭がヘッドバットする

 

「「〜〜〜〜〜〜〜っ!」」

 

「お互いの言い分は理解した。理解した上で言わせてもらうと、黒ウサギ。お前が悪い」

 

「ど、どういうことですか!?」

 

「手紙の一件もそうだけどな。レティシアは "ノーネーム"の本拠に来たとき、もう覚悟していたはずだ。あの目が、お前に助けを求めている目だったか?」

 

「そ、それは……いえ、助けを求めてないから助けないのは詭弁でございます!」

 

「それはそうかもしれないけど。場合によるよ」

 

「戻ってきてたか、天音」

 

「天音さん今までどこに」

 

「そうよ、八神さんどこにいたの」

 

天音が戻ってると知ると何処に行ってたかを尋ねるが、天音は

 

「白夜叉と話してただけ。それより話の続き、レティシアがギフトを失った事を黙っていたのは、黒ウサギに身代わりになって欲しくなかったからじゃないの?」

 

レティシアはギフトが失った事を知られたく無かった様子だった。それはレティシアの想いが黒ウサギの重荷になる事を避けたかったからにほかならない。

 

「そうだな、あとお嬢様も言い方が悪い。もっとソフトに自分の気持ちを伝えろよ。『私、黒ウサギの事が心配で堪らないの!お願い、私のそばに居て!』ーーーーとか」

 

「そうなの?飛鳥」

 

「そ、そんなつもりで引き止めていたわけじゃないわ!」

 

だが完全にハズレではないのだろう、耳まで真っ赤になった飛鳥を見て黒ウサギはやや気まずそうに頭を下げる

 

「も、申し訳ありません。気持ちは嬉しいのですが、その黒ウサギにそういう趣味は……」

 

「何故そこで煽るようなことを」

 

天音は口元を抑え笑いをこらえる

 

「ここぞとばかりに曲解かしら?ええ、いいわ天音さん共々受けて差し上げてよこの駄ウサギ!」

 

叫びながら、天音の耳と黒ウサギの耳を掴んで引っ張る、黒ウサギはあられもない悲鳴をあげ、天音は痛い痛いと連呼する。女性3名は戯れて少し落ち着いたのか、同時に大きなため息をつき呟く。

 

「………心配したのは本当よ。だって貴女泣きそうな顔してたもの。天音さんもね。貴女も、黒ウサギの代わりになろうと思ってたでしょ?」

 

「……まぁね、正直に言うとあの時はそう考えたね。黒ウサギがあそこまで尊敬する人だったら私が行ってでもって」

 

「こ、こちらこそ申し訳ありません。冷静さを失ってました。天音さんも心配をおかけしました」

 

今後どうするにしても、ジンや耀とも話をしなければならない。四人は今一度 "ノーネーム" の本拠に戻った、しかし、十六夜は天音の言葉に違和感を感じた

 

「(『あの時はそう考えていた』あの時は……じゃあ今は何らかの打開策を見出したのか?白夜叉と話してきたといい何を考えているかスッゲー気になる!)」

 

十六夜は口角を釣り上げ歩を進める。本拠に着いて、"サウザンドアイズ"で出来事を話した。予想通りに耀もジンも黒ウサギを引き止めた。ジンはコミュニティのリーダーとして耀は新たな友人として引き止めた。互いにカッとなり、さらに飛鳥も参戦し大惨事になった。全員頭を冷やすため謹慎という形になった。そして傍観していた天音と十六夜は外に出ていた。

 

「で、何かあるんだろ? "ペルセウス"がギフトゲームを受けなければならない方法とかな」

 

「どうしてそう思うの?」

 

「本拠に戻る前に、『あの時はそう考えていた』と言っただろ? 今は黒ウサギの代わりに行く考えは少なくとも無いと考えられてな。それに、白夜叉に何かを聞いて活路を見出したと分かる。そこでギフトゲームが出てくるのかと、黒ウサギが『コミュニティの決闘で決着をつけるべきかと』と言っていたからな、お前もそこから考えたんだろ?」

 

天音は息を呑む、あの一言でここまで察しられるとは思ってもみなかった。天音は笑い答える

 

「そうだよ、力のあるコミュニティは自分達の伝説を誇示するために、伝説を再現したギフトゲームを用意することがあるらしいんだ、特定条件を満たしたプレイヤーにのみ、そのギフトゲームを挑めるらしい。それも、伝説と旗印をかけてね」

 

「なるほどな。なら時間との戦いだな、その条件も聞いてきてるんだろ?」

 

十六夜は獰猛な笑顔で天音に問う

 

「勿論、クラーケンとグライアイの打倒だよ、どっち行きたい?」

 

「クラーケンだな!楽しそうだし、じゃあ行くか」

 

「そうだね!」

 

「あの何処に行かれるのですか?」

 

後ろから声が掛かるそこには狐耳の女の子がたっていた。十六夜と天音は

 

「「ちょっくら箱庭で遊んでくる」」

 

と言い本拠を飛び出した、期限は5日、それまでに挑戦権を得る為に。

 

ーーーーーーーー

 

そして三日後

 

「はぁ……まだ蛇神様の方が幾分かマシだった……十六夜も帰ってるだろうし私も急がないと」

 

道を疾風より早く駆ける、本拠の目の前で止まる、そこには十六夜が待っていた

 

「俺の方が速かったみたいだな、戦利品はあるよな?」

 

「勿論、十六夜もちゃんと持ってるよね?」

 

「勿論持ってるぜ、じゃあ行くか」

 

天音と十六夜は黒ウサギの部屋に向かう

 

「クラーケンの手応えはどうだった?」

 

「そこそこ面白かったが、蛇の方がまだマシだった、そっちは?」

 

「同意見だよ、でもなんとか間に合ったね」

 

「だな」

 

黒ウサギの部屋の前につき、十六夜は黒ウサギの部屋の扉を蹴破る

 

「邪魔するぞ」

 

「お邪魔しまーす」

 

「い、十六夜さん! 天音さん!」

 

「もう、どこに行っていたのこんな時に!」

 

「鍵開いていたのに」

 

黒ウサギの部屋には、黒ウサギだけじゃなく飛鳥と耀も居た。

 

「少し野暮用でね、お土産もあるし」

 

耀は不思議そうな眼で大風呂敷を見る

 

「その大風呂敷に何が入ってるの?」

 

「ゲームの戦利品という名の土産だ見るか?」

 

少しだけ二人は大風呂敷を広げ耀に見せる。すると耀は表情が変わる。大人しくて表情の変化に乏しい耀が今は目を見開いて瞳を丸くしている。

 

「ーーーー……これ、どうしたの?」

 

「お土産だよ」

 

「?どうしたの三人とも」

 

今度は飛鳥が覗き込む、はじめは何が入っていたのかが理解出来なかったが。理解すると同時に小さく噴き出す。笑いをこらえるように口元を抑え、半笑いのまま十六夜と天音に話しかける

 

「もしかして、貴方達、手分けして取りに行っていったの?」

 

「最初は黙っておくつもりだったけど、十六夜にバレちゃって時間も無いしでね」

 

「二人で行ってきたんだ」

 

「ふふ、なるほどね。だけどねぇ二人とも、こういう楽しそうなことは次から声をかけること。いいわね?」

 

「次は声かけるぜお嬢様」

 

「うん、次は声をかけさせてもらうよ」

 

三人は悪戯ぽく笑を交わし、大風呂敷を黒ウサギの前に出す

 

「逆転のカードは持ってきたぜ。これでお前も天音も "ペルセウス"に行く必要は無い。あとは黒ウサギ、お前次第だ」

 

「まさか、あの短時間で、本当に?」

 

「そうだよ、ゲームより時間が無いのが問題だったけど、なんとかなったよ」

 

肩を竦めて微笑む天音と軽薄そうに笑う十六夜、だが口にするほど楽な戦いでは無かったはずだ。

 

「ありがとう……ございます、これで胸を張って "ペルセウス"に戦いを挑めます」

 

「礼を言われることじゃねぇさ。むしろここからが面白いからな」

 

「(コミュニティに来たのが、皆さんで本当によかった……!)」

 

大風呂敷を抱きしめてそう思う。中を確かめる必要は無い。黒ウサギには中身がなにかはわかっていた。黒ウサギは四人の顔を見渡し

 

「ペルセウスに宣戦布告します。我等の同士・レティシア様を取り返しましょう」

 

ーーーーーーー

 

「我々、ノーネームはペルセウスに決闘を申し込みます!」

 

「何?」

 

ルイオスの表情が変わる。予想外の言葉に眉を顰めながら

 

「何?そんなつまらないこと言いに来たの?決闘ならしないって言ったじゃん」

 

ルイオスは拍子抜けしたように、つまらなそうに言う。彼は自分達が戦っても負ける事などありえないと思っているが、それでも "箱庭の貴族"。インドラの武具を所持したウサギがいる以上迂闊にゲームを受けるのは危険だ。それに名無しと対等な決闘をするなんて既に屈辱だ

 

「それが用件ならとっとと帰れよ。あーマジうぜぇ。趣味じゃねぇけど、あの吸血鬼で鬱憤でも晴らそうか」

 

そんなルイオスに黒ウサギはあるものを見せる。"ペルセウス"の旗印が描かれた宝石を。

 

「こ、これは、ペルセウスへの挑戦権を示すギフト……!?まさか名無し風情が、海魔とグライアイを打倒したというのか!?」

 

ルイオスの側近の男が驚きの声を上げる。困惑する、 "ペルセウス" 一同。本来なら、挑戦権を得たコミュニティが出た場合、本拠に通達が行くはずなのだが、数日の書類はルイオスの部屋で山積みになっているのだから。

 

「あぁ、あの大タコか?確かに面白かったがあれなら蛇の方がマシだったぜ?」

 

「うん、グライアイも蛇神の方がまだマシだった」

 

首をすくませる十六夜と天音。あの宝玉はペルセウスの伝説に登場する怪物達をギフトゲームで打倒すると得ることが出来るギフトだ。二代目以降から無くそうとしていた矢先のこの事態だ。ルイオスの不快感は絶頂だ

 

「ハッ……いいさ、相手してやるよ。元々このゲームは思い上がったコミュニティに身の程を知らせてやる為のもの。二度と逆らう気が無くなるぐらい徹底的に……徹底的に潰してやる」

 

「我々のコミュニティを踏みにじった数々の無礼。最早言葉は不要でしょう。"ノーネーム"と"ペルセウス"。ギフトゲームによって決着をつけさせていただきます」

 

『ギフトゲーム名:“FAIRYTAIL in PERSEUS”

 ・プレイヤー一覧 逆廻 十六夜

          久遠 飛鳥

          春日部 耀

          八神 天音

 ・"ノーネーム"ゲームマスター ジン=ラッセル

 ・"ペルセウス"ゲームマスター ルイオス=ペルセウス

 

 ・クリア条件 ホスト側のゲームマスターを打倒

 ・敗北条件  プレイヤー側ゲームマスターの降伏・失格

        プレイヤー側が上記の勝利条件を満たせなくなった場合

 

 ・舞台詳細 ルール

  *ホスト側ゲームマスターは本拠・白亜の宮殿の最奥から出てはならない

*ホスト側の参加者は最奥に入ってはならない

 

*プレイヤー達はホスト側の(ゲームマスターを除く)人間に姿を見られてはいけない

 

*失格となったプレイヤーは挑戦資格を失うだけでゲームを続行できる

 

宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、"ノーネーム"はギフトゲームに参加します。

 

"ペルセウス"印』

 

現れた契約書類を読むと視界が代わり白亜の宮殿の門の前に居た。

 

「姿を見られれば失格、か。つまりペルセウスを暗殺しろという事か?」

 

白亜の宮殿を見上げ、心を躍らせる様な声音で十六夜がつぶやく。

 

「伝説通りならルイオスは宮殿の最奥で睡眠中。最もそこまで甘くないだろうね」

 

取りあえず必要なことはジンを連中に見つけられないようにしないと行けないということだ。

 

「YES。そのルイオスは最奥で待ち構えているはず。それにまずは宮殿の攻略が先でございます。伝説のペルセウスと違い、黒ウサギ達はハデスのギフトを持っておりません、不可視のギフトを持たない黒ウサギ達には綿密な作戦が必要です」

 

今回のギフトゲームは、ギリシャ神話のペルセウスの伝説を一部倣ったものだ。宮殿内の最奥まで"主催者"側に気づかれず到達しなければ、戦うまでもなく失格だろう。

 

「見つかった者はゲームマスターへの挑戦権を失ってしまう。同じく私達のゲームマスタージン君が最奥に辿り着けずに失格の場合、プレイヤー側の敗北、なら大きく三つに分かれて役割を分担が必要になるわね」

 

飛鳥の隣で耀が頷く

 

「うん。まず、ジン君と一緒にゲームマスターを倒す役割。次に索敵、見えない敵を感知して撃退する役割。最後に失格覚悟で囮と露払いをする役割」

 

「春日部は鼻が利く。耳もいいし、不可視の敵は任せるぜ」

 

「分かった」

 

「黒ウサギは審判としてしかゲームに参加する事が出来ません。ですからゲームマスターを倒す役割は十六夜さんか天音さんにお願いします」

 

「なら、私は囮と露払いかしら?」

 

飛鳥が不満そうな声を漏らす、だが飛鳥のギフトがルイオスを倒すに至らないことは知られている事だ。何より飛鳥のギフトは複数人を相手する方が発揮できる。しかし分かっていても不満なのは不満だ。少しすねた口ぶりの飛鳥に天音が言う

 

「ごめんね飛鳥。譲ってあげたいけど、この勝負(ゲーム)は勝たなきゃ意味が無い。あのゲームマスターを倒すのは私か十六夜が適任なんだよ」

 

「ふん、いいわ。今回は譲ってあげる。ただし、負けたら承知しないわよ」

 

飛鳥の言葉に天音は任せてと言う。

 

「皆様に一つご注意があります」

 

黒ウサギが神妙な面持ちで話しかけてくる。

 

「いえ、ルイオスさん自身そこまで強くありませんが、問題は彼が所持するギフトです。黒ウサギの推測が正しければ彼のギフトは」

 

「隷属させた元・魔王様」

 

「そう、元・魔王……え?」

 

十六夜の補足に黒ウサギは一瞬言葉を失う

 

「神話通りならゴーゴンの首は戦神アテネに献上されたはずだ、だからこの世界にないはず。にも関わらず、奴は石化のギフトを使っている。ーーー星座として招かれたのが、箱庭の"ペルセウス"。ならさしずめ奴のギフトは」

 

「アルゴルの悪魔だね十六夜」

 

「そういう事だ」

 

「……まさか、箱庭の星々の秘密に……?」

 

「まぁな、星を見上げっときに推測して、ルイオスを見た時にほぼ確信した」

 

「右に同じく、さほど難しくないパズルだよ」

 

「もしかして、十六夜さんも天音さんも意外に知能派でございます?」

 

「何を今さら、俺は根っからの知能派だぜ。黒ウサギの部屋もドアノブを回さずに扉を開けたしな」

 

「それは蹴破っただけじゃない」

 

「いえ、そもそもドアノブは付いていませんでしたから。扉だけです」

 

冷静にツッコミを入れる黒ウサギ。

十六夜はそれに気づき補足する。

 

「そうか。でも、ドアノブが付いていても、ドアノブを回さないで開けれるぜ」

 

「じゃあその方法を参考のためにご教授頂こうかな?十六夜」

 

「ああ良いぜ。見てろよこういうのは……」

 

ヤハハと笑いなが十六夜は宮殿の門の前に立つ。

 

「こうやって開けるに決まってんだろ!」

 

十六夜の蹴りが白亜の宮殿の門を破壊する




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