問題児たちと天空の御子が来るそうですよ?   作:皐月の王

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コラボの方がシリアスだ……なかなかネタに走れないww


ラッテンフェンガー

レティシアに捕まった天音と飛鳥は十六夜達とは反対側の歩廊を歩いていた。走り回って小腹がすいた三人は

出店でクレープを買っていた。飛鳥はそれを珍しそうに見つめ、レティシアと天音はかぶつきながら、そんな飛鳥を不思議そうに見る

 

「飛鳥は食べないの?クレープ」

 

「飛鳥はこう言った食べ物はしならないのか?」

 

「ええ、この温かい皮に包んで、中身は冷たい洋菓子。とても美味しそうなだけど……そのまま齧るりつくというのは少し品が無いわ。どう頑張っても口周りが汚れるもの」

 

「飛鳥と似たようなことを言ってフォークとナイフで食べてた人がいたような……」

 

天音は昔に見たテ〇ルズシリーズのちびキャラのエピソードを思い出していた。

 

「私はこの温かくて柔らかい皮を噛み破いた時に溢れる赤くて甘いドロリとしたソースが、口の中で滑りながら広がる感触は好きなのだが」

 

「レティシアが言うと洒落にならない……」

 

「吸血鬼に言われるとゾッとするわね」

 

似たような感想を述べる二人。天音は苦笑しながらクレープをまたひとくち食べる。飛鳥も意を決して大きく口を開齧り付くーーーだが思いきりが良すぎたクレープの皮の下からバナナとチョコレートムースが派手に溢れてきて口の周りにべっとりとつく。その感触に一瞬不快に思うが口に広がる甘味は悪くないと思う

 

「………美味しいわ」

 

「ほら、飛鳥、口周りにクリーム付いてるよ」

 

天音はポケットからハンカチを取り出し飛鳥の口周りを拭う

 

「あ、ありがとう天音さん」

 

驚いたのか顔を少し赤らめ礼を言う飛鳥

 

「それは良かった。コレぐらいの食べ物で二の足を踏まれたのであれば、南側には絶対に行けないからな」

 

「そ、そう。そんなに凄いの?南側の食事は」

 

「すごいなんてもんじゃないぞ。向こうの料理はとにかくワイルドなんだ。以前に "六本傷"の旗を掲げてるコミュニティの店に入ったのだが、アレは凄かった。斬る!焼く!齧る!の三工程が食事だと説明された時はさすがの私も頭を抱えたよ」

 

遠い目をするレティシア。思い出して小さく身震いした。その姿に苦笑する飛鳥

 

「そりゃ、頭を抱えるでしょうよ……」

 

それを聞いた天音はそれを想像して遠い目をする。

 

「レティシア。あれは……何?」

 

飛鳥が指さす方向にはとんがり帽子のの手のひらサイズの精霊がいた

 

「あれは、精霊か?あのサイズが一人でいるのは珍しいな。 "はぐれ" かな?」

 

「"はぐれ"?」

 

「ああ。 あの類の小精霊は群体精霊だから。単体で行動しているのは滅多に無いんだ」

 

背後から飛鳥と天音の影がかかったのか、とんがり帽子の精霊は驚いて飛鳥達がに振り返る。精霊と二人の視線が自然に交差する。

 

「「「……………」」」

 

途端「ひゃっ!」と愛らしい声を立てて逃げ出す帽子の精霊、天音はクレープを食べきり、飛鳥はクレープをレティシアに預け

 

「わっ、あ、飛鳥!」

 

「残りはあげるわ!ちょっと追いかけてくる!」

 

「私も!」

 

嬉嬉として帽子の精霊を追いかける飛鳥を追いかける天音、レティシアは困ったように笑その背中を見送る

 

しばらくして疲れた帽子の精霊を肩乗せた飛鳥と天音は街道を歩いていた、飛鳥がクッキーを割って分け与えていた

 

「はいコレ。友達の証よ」

 

そのあと飛鳥と精霊は仲良くなり自己紹介もした精霊は

 

「らってんふぇんがー!」

 

「………ラッテンフェンガー?」

 

天音は考え込む、ラッテンフェンガーはドイツ語でネズミを捕る男の名前はだ目の前の精霊がハーメルンの笛吹きに関係あるのか考える。深く考えても仕方ないと割り切り、飛鳥とラッテンフェンガーと名乗る精霊とで洞穴にある展覧会を見て回る事にした。

巨大なペンダントランプがシンボルの街だけあって、出店物には趣向を凝らしたキャンドルグラスやランタンに、大小様々なステンドグラスなどが飾られていた。飛鳥と天音は境界壁の中にある展示会場の岩棚や天井を見渡し、感心したようにつぶやく

 

「凄い数…………こんなに多くのコミュニティが出展しているのね」

 

「飛鳥、これなんか特に凄いよ」

 

天音が展示物を手に取る、綺麗で細工凄いものだ。そして製作者を見る

 

「製作・ "ウィル・オ・ウィスプ"……飛鳥これって」

 

「ええ、あの歩くキャンドルを作ったコミュニティじゃない」

 

巧緻な細工で施された紋様は、旗印をモチーフにしたようなものだろう。燃え上がる炎の印を刻んだ展示物には炎そのものに特別な力があるのだろうか。まるで篝火のように三人を温かく引き寄せるような気持ちにさせる。

 

「(コミュニティの旗印があるのと無いのでは、作品の表現も違うのね……)」

 

やや憂鬱そうな瞳でため息を吐く飛鳥。その指摘は正しい。彼ら "ノーネーム" がこういった芸術の祭典に出展すると、圧倒的な不利を背負うことが多々ある。自己を主張するファクターが個人の名前と技術だけでは、第一印象も違うというものだ。

 

「(将来的に立派な "主催者" を目指すなら、やっぱり旗印が無いと締まりが無いわ。ーーーーーー是非とも魔王から取り戻さないと)」

 

小さく拳を握り気合を入れ直す飛鳥。三人は数多の展示品を見て回る。展示会場は境界壁を洞穴のように掘り進めた回廊にあった為、奥は薄暗く外の光は届かない。しかしそれも、展示品の輝きを浮き彫りにする為の演出なのだろう。暖かい灯火を持つキャンドルスタンドやランタン、それらに照らされたものは、目を見張るほど美しいステンドグラスの数々は、外で見る物よりずっと美麗にはえてみえた。その後三人は大きな空洞に出る。会場の中心に当たる場所だろう。開けた場所出た飛鳥と天音は周囲の雑踏を見渡すことなく、大空洞の中心に飾られたものに目を丸くして驚く

 

「あれは………!」

 

「紅い………紅い鋼の巨人?」

 

「おっき!」

 

大空洞の中心に飾られた、紅い鋼で巨人。その全長がとにかく派手で馬鹿でかいのだ。紅と金の華美な装飾に加え、目測でも身の丈三十尺はあるだろう

 

「す、凄いわね。一体どこのコミュニティが………?」

 

「あすか!らってんふぇんがー!」

 

とんがり帽子の精霊は瞳を輝かせ飛鳥の肩から飛び降りる。展示品の看板には確かに

 

『製作・ラッテンフェンガー 作品名・ディーン』と記されていた。

 

天音は驚き目を見開き、飛鳥は驚いたように声を上げる

 

「まさか、貴女のコミュニティが作ったの?」

 

えっへん!と胸を張る帽子の精霊。どうやらそのようだ。飛鳥はもう一度 『ディーン』と名付けられた鉄人形を見上げる

 

「そう……凄いのね、 "ラッテンフェンガー"のコミュニティは」

 

にはは、とはにかんで笑うとんがり帽子の精霊。天音は直後の異変を勘づいた。灯火を一吹きで全ては消し去り、飛鳥は小さな悲鳴をあげる。他の客も同様に声を上げる混乱が波紋のように浸透する

 

「どうした!?あかりが消えたぞ!」

 

「気をつけろ!悪鬼の類かもしれない!」

 

「身近にある灯り点けるんだ!」

 

大空洞の最奥に不気味な光が宿ったのは、その瞬間だった。

 

『ミツケタ………ヨウヤクミツケタ………!』

 

怨嗟と妄執を交えた怪異的な声が大空洞で反響する。飛鳥と天音は危機感を感じ取りながらも、声の位置から犯人の居場所を特定しようと必死に周囲を見渡すだが反響して居場所が分からない。飛鳥はため息をして

 

「この卑怯者! "姿を隠さず出てきなさい"!」

 

飛鳥の威光の力が働く。しかし犯人からの反応が無い。代わりに五感を刺激する笛の音色と、怪異的な声がひびきわたる

 

『ーーー嗚呼、見ツケタ……! "ラッテンフェンガー" ノ名ヲ騙ル不埒者ッ!!』

 

その大一喝は大空洞を震動させ、一瞬の静寂を呼び、直後ザワザワと洞穴の細部から何千何万匹という赤い瞳の大量の群れが襲いかかってくる途端誰かの絶叫

 

「ね、ネズミだ!?一面すべてがネズミの群れだ!」

 

地面を覆い尽くすほどの大群、見渡す限り全てがネズミだ

 

「で、………出てきなさいと言ったけど、幾ら何でも出てきすぎでしょう!?」

 

「これは本当に出てき過ぎだよ!?」

 

精霊含めた三人は背を向け一目散に逃げ出す。ほかの衆人も同様であるこのままでは大惨事間違いないだろう。悟った飛鳥は踵を返し一人、ネズミの波に立ち向かう

 

「も、もいいわ!"自分達の巣に帰りなさい"!」

 

飛鳥の大一括。しかしネズミの群れは止まる気配を見せず突進する。支配することが出来ず焦る飛鳥。ネズミの群れは飛鳥に向かって跳び掛かる。が

飛鳥にたどり着く前に強烈な風圧が来るその風圧は圧倒的な力でネズミを吹き飛ばす。

 

「仲間に手を出すなんて、小動物でも許せないね……」

 

日輪の意匠が凝らされた槍を手にもう一人の少女、天音がネズミ達に立ちはだかる

 

「天音さん……!」

 

「飛鳥は先に逃げて、この位私一人でどうにでも……」

 

「だめよ!一人だけ置いていけないわ!」

 

「で……でも……迷ってる暇はないか……迎撃しながら逃げよう!」

 

「それでいいわ!」

 

我先にと逃げようとする衆人が悲鳴でひしめき合う。

 

「どけぇぇえ!」

 

「きゃあ!」

 

「ど、どうなってるの!?」

 

「お、俺が先だ!邪魔すんじゃねぇ!」

 

「"いいから協力しあって逃げなさい"!」

 

「「「「分かりましたッ!!!」」」

 

飛鳥の怒りと焦りから出た大一喝混乱は一瞬にしてしずまり一斉に飛鳥に敬礼。一転して一糸乱れぬ動きで洞穴を爆走する。天音と飛鳥は最後尾でネズミを大行軍から逃げのびつつ進んでいた

 

「(支配するギフトが無くなったわけじゃない………! ならどういうことなの………!?)」

 

ネズミ達は一心不乱に飛鳥を追い詰めようとするが

 

「ふぅー」

 

天音が手に炎を出し息を吹きかける、炎は三つに分かれネズミに着弾する、展示品に気を使っているから大火力は使えない。

 

「飛鳥、このネズミひょっとしたらその精霊狙ってるのかも!」

 

「この子が狙われてる!?」

 

飛鳥は気づくネズミたちが頭上から降りかかってくることに、この精霊を方から下ろせば助かるしかし、怯え震えている幼い姿を振り落とすなど飛鳥の誇りが許さない

 

「服の中に入ってなさい。落ちてはダメよ!」

 

飛鳥は意を決してネズミたちで埋まった地面を全力で走る、天音もその跡を追いかける、天音と飛鳥は足などの露出しているところを噛まれる手足は所々出血する。

 

「(あと少し出口までそう無いはず!)」

 

必死に走る飛鳥、ネズミを度々迎撃する天音、しかし次の瞬間、影が這いより、無尽の刃が迸る、刃の竜巻は、ミキサーのように魔性の群れを飲み込みこり裂いていく

 

「ーーーネズミ風情が、我が同胞に牙を突き立てるとは何事だ!?分際を痴れこの畜生共ッ!!」

 

その声には聞き覚えがあった愛らしい少女から、妖艶な香りを纏う女性へと、メイド服は深紅のレザージャケットに変わり、拘束具を彷彿とさせる。影を操っていたのはレティシアだった。

 

 

「術者は何処にいる!?姿を見せろ!往来の場で強襲した以上、相応の覚悟はあるのものだろう!!ならば、我らの御旗の威光、私の牙と爪で刻んでやる!コミュニティの名を晒し、姿を見せて口上を述べよ!」

 

レティシアの一喝が洞窟に響くが誰一人として返事を返すものはいなかった。気配も無い、閑散とした静寂を満たす。

 

「貴女、レティシアなの?」

 

「ああ、それより、飛鳥、天音。何があったんだ?多少数がいたと言え、ネズミ如きに遅れをとるなんてらしく無いぞ」

 

飛鳥の質問にレティシアは普通の口調で答える。

 

「面目もありません、それにしても」

 

「……。こんなに凄かったのねレティシア」

 

小首をかしげてるレティシア。多分飛鳥と天音は褒めているのだろう。レティシアもそれを理解すると

 

「あ、あのな主殿。褒められるのは嬉しいがその反応は流石に失礼だぞ。私はこれでも元・魔王で純血の吸血鬼!誇り高き"箱庭の騎士"だ!神格を失ってるとはいえたかだか、ネズミごときに遅れをとるはずがない」

 

拗ねたように言うレティシアはまるで子供のようだ。

 

「ハハ確かに……」

 

「あすかっ!」

 

キュポンッ!とさっきのとんがり帽子の黄色い精霊が出て来て飛鳥に抱きつ

「あすか!あすかぁ!」

 

「ちょ、ちょっと」

 

精霊は今にも泣き出しそうな、だけど嬉しそうな声を上げて飛鳥に抱き付いている。よく分からないけど懐かれている

 

「やれやれ。日も暮れて危ないし、今日の所はその精霊も連れて帰ろう」

 

「そ、そうね」

 

「うん」

 

天音は一人考えていた、ネズミが飛鳥のギフトが通用しなかったこと、しかし衆人には効いた、ネズミが飛鳥より格上とは考えられないなら考えられるのは、術者が、飛鳥より格上だという事。ラッテンフェンガー……ネズミ捕りの男……ハーメルンこの北側に関係あるのだろうかと




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