問題児たちと天空の御子が来るそうですよ?   作:皐月の王

25 / 44
今月以内に原作2巻頑張って終わらせてやる(フラグ)


対等に持っていくために

ーーーーーーー境界壁・舞台区画。大祭運営本陣営、貴賓室。

 

「ギフトゲーム“The PIED PIPER of HAMELIN”の審議決議、及び交渉を始めます」

 

厳かな声で黒ウサギが告げる。十六夜達の対面には、白黒の斑のワンピースを着た少女が座り、その両隣に軍服のヴェーザーと白装束のネズミが座っている。

 

「(ふぅん?両隣の二人が "ラッテン(ネズミ)" に"ヴェーザー河" あと天音が倒した巨人が "(シュトロム)" だっけ?なら残りの一人は……いや、後でいいか)」

 

ジンに付いてきた十六夜は思考を止める。招かれた部屋は豪華な装飾が施されていた。本来招かれるはずだった来客はゲーム外にいたらしく不在になっている。対等のゲームを定めるための交渉に謁見の間で行うわけにも行かず、貴賓室を使うことになった。

 

「まず"ホスト側"に問います此度のゲームですが」

 

「不備はないわ」

 

斑の少女は黒ウサギの声を遮るように吐き捨てる

 

「今回のゲームに不備・不正は一切ないわ。白夜叉の封印もゲームクリア条件の全て調えた上でのゲーム。審議を問われる謂れはないわ」

 

静かな瞳とは正反対に少女はハッキリと言う

 

「受理してもよろしいので?黒ウサギのウサ耳は箱庭の中枢と繋がっております。嘘をついてもすぐわかってしまいますよ?」

 

「ええ。そして、それを踏まえた上で言うけど私たちは今、無実の疑いでゲームを中断させられてるわ。貴女達は神聖なゲームにつまらない横槍を入れている。言ってることは分かるわよね?」

 

涼やかな瞳でサンドラを見つめる少女。対照的にサンドラは歯噛みした

 

「不正が無かったら主催者側に有利な条件でゲームを再開させろ……と?」

 

「そうよ。新たにルールを加えるかどうかの交渉は後にしましょう」

 

「……わかりました。黒ウサギ」

 

「は、はい」

 

黒ウサギが耳を動かし暫く沈黙が続く。その間に十六夜は小声でマンドラに

 

「なあ。どの程度ならゲームに不正に該当するんだ?」

 

「………。そんなことも知らずに同行したのか、貴様」

 

「私も気になる」

 

「お前もか……」

 

大事なことを知らずに審議の場に居ている二人にため息をと舌打ちをして説明する

 

「貴様らも知っているだろうが、ギフトゲームは参加者側の能力不足・知識不足を不備としない。この場合はクリアに "ハーメルンの笛吹き" の伝承の知識が必要でも、 "知らぬほうが悪い"となる」

 

「そりゃ理不尽だ」

 

「じゃあ今回不備があるとしたら白夜叉の封印だよね? "参加"を明記しておきながら、参加出来ないという事だよね」

 

「ああ、これは看過出来ん。そこには明文化された要因が必要のはず」

 

「しかし記されていたのは『偽りの伝承をを砕き、真実の伝承を掲げよ』この一文のみ、か」

 

そこで3人の会話が途切れる。黒ウサギはしばし瞑想した後気まずそうに

 

「箱庭からの回答が届きました。此度のゲームに不備・不正はありません。白夜叉様の封印も、正当な手段で造られたものです」

 

「当然ね。じゃ、ルールは現状維持。問題は再開の日取りよ」

 

「日取り?日を跨ぐ?」

 

サンドラは意外な声を上げる。周りの人間も同じだ明らか劣勢である参加者側に時間を与えるというのだからだ。状況的には今すぐ再開されてもおかしくない状況だったのだから

 

「ジャッジマスターに問うわ。再開の日取りは最長で何時頃になるの?」

 

「さ、最長ですか?ええと、今回の場合ですと一か月ぐらいでしょうか」

 

「じゃ、それで手を」

 

「待ちな!」

 

「待った!」

 

「待ってください!」

 

ノーネームの面々は同時に声を上げ

その声はこの上なく緊迫してる

 

「何、時間を与えてもらうのが不満?」

 

「いや、ありがたいぜ?だけど場合による。俺は後でいい。御チビ、先に言え、天音もいいだろ?」

 

「うん、良いよ」

 

「はい。主催者側に問います。貴女の両脇に居る男女は"ネズミ"と"ヴェーザー"だと聞きました。そして、もう一体が"(シュトロム)"だと。なら貴女は"黒死病(ペスト)"ではないですか?」

 

「ペストだと!?」

 

一同が驚愕し、斑の少女を見つめる。

黒死病とは十四世紀から始まる寒冷期に大流行した、人類史最悪の疫病である。敗血症を引き起こし、全身に黒い斑点が浮かび死に至る。

グリム童話では "ハーメルンの笛吹き"に現れる道化が斑模様であった事。そして黒死病が大流行した原因である、ネズミを操る道化であったこと、以上の二点から"百三十人の子供は黒死病で亡くなった"という考察が存在した

 

「そうか、だがらギフトネームが"黒死斑の魔王(ブラック・パーチャー)"!」

 

「ああ、間違いない。そうだろ魔王様?」

 

「……ええ。正解よ」

 

涼やかな微笑みで斑の少女ーーーー否、ペストは頷いた

 

「御見事よ、名も知らぬ貴方。貴方の名前とコミュニティの名前を聞いても?」

 

「"ノーネーム"のジン=ラッセルです」

 

コミュニティの名を聞いたペストは驚きで少し目を見開いた

 

「覚えとくわ。……だけと確認が遅かったわね。私達はゲーム再開の日取りを左右できると言質を取ってるわ。勿論、参加者の一部に病原菌を潜伏させている。ロックイーターのような無機生物や悪魔でもない限り発症する、呪いそのものを」

 

その言葉でさっきのゲームが日を跨ぐ意味がわかった。もしも彼女の呪いが黒死病と酷似するというならば、発症は最短で二日、一ヶ月も経てば力無きものは死滅する。今まさに戦わずして参加者側は敗北しようとしていた

 

「ジャ、ジャッジマスター!彼らは意図的にゲームの説明を伏せていた疑いがあります!もう一度審議を、」

 

「ダメだよサンドラ、それの説明する責任は彼女らには無いんだよ、下手をしたら、また彼女らに有利な条件を課せられない、そうなったら勝てる見込みが下がるだけ」

 

サンドラは天音の言葉を聞き悔しそうに受け入れる

 

「此処にいる人たちが参加者側の主戦力と考えていいのかしら?」

 

「ああ、正しいと思うぜ」

 

斑ロリもといペストの言葉にヴェーザーは答える。

 

「なら提案しやすいわ。ねえ、皆さん、ここにいるメンバーと白夜叉。それらが"グリムグリモワール・ハーメルン"の傘下に降るなら、他のコミュニティは見逃してあげるわよ?」

 

「なっ、」

 

「私は貴方達のことが気に入ったわ。サンドラは可愛いし。ジンは頭良いし」

 

「私が捕まえた赤いドレスの子も良い感じですよマスター♪」

 

ネズミが愛嬌たっぷりに言うとノーネームの面々の顔が強張る

 

「なら、その子たちも加えてゲームは手打ち。参加者全員の命と引き換えなら安い物でしょ」

 

微笑みを浮かべ首を傾げるペスト、だが言葉の意味は従わなければ皆殺しと言う意味を持つ。一同はその笑に戸惑う。しかし、十六夜、天音、ジンは違った

 

「これは白夜叉様からの情報ですが。貴方達“グリムグリモワール・ハーメルン”はもしや新興のコミュニティでは無いでしょうか?」

 

「答える義務はないわ」

 

「新興のコミュニティだから優秀な人材が欲しい。どうだ?違うか?」

 

「…………」

 

「そのタイミングでの沈黙は"そうだよ"って言っているようなものだよ?」

 

「だから何?私達が譲る理由は無いわ」

 

「いいえ、あります。何故なら貴女達は僕たちを無傷で手に入れたいはずですから。もしも、一か月も放置されたら、きっと僕たちは死んじゃう……だよねサンドラ」

 

「え?あ、うん」

 

突然話を降られて地の返事で返す。

ジンは続ける

 

 

「"死んでしまえば手に入らない"。だから、貴女はこのタイミングで交渉を持ち掛けた。実際に三十日が過ぎて優秀な人材を失うのを惜しんだんだ」

 

断言として言い切るジン、今回に限って自信が合った。だがペストはそれでも

 

「もう一度言うわ、だから何?私達にはゲームの再開を決める権利があるわ、1ヶ月じゃなくとも二十日後にすればいいだけよ。それなら、病死前の人材を得ることはできるわ」

 

「なら、発症したものを殺す。」

 

声の主マンドラに全員が振り向いた。マンドラの瞳は真剣そのものだ

 

「例外は無い。縦令サンドラだろうと"箱庭の貴族"であろうと私であろうと殺す。"サラマンドラ"の同士に、魔王へ投降する脆弱なものはおらん」

 

絶句する、縦令ブラフだとしても過激な発言だ、だが十六夜は閃きマンドラに続く

 

「黒ウサギ。ルールの改変はまだ可能か?」

 

「へ?………あ、YES!」

 

十六夜が何を考えているの理解したらしく黒ウサギはウサ耳を伸ばして答える。

 

「交渉しようぜ、魔王様。俺達はルールに“自決・同士討ちを禁ずる”を付け加える。だから、ゲーム再開は三日後にしろ」

 

「却下、二週間後よ」

 

即決を下される。理想的な期間は謎解きを加えて1週間以内だ。十六夜は他に材料が無いかと見渡し、黒ウサギと目が合った

 

「今のゲームでは黒ウサギお前の扱いはどうなってんだ?」

 

「黒ウサギは大祭の参加者でありましたが審判の最中だったので十五日間ゲームには参加出来ないことになってます。…………主催者側の許可があれば話は別ですが」

 

「よし、それだ。魔王様、黒ウサギは参加者じゃないからゲームで手に入れられないが、参加者にすれば手に入る。どうだ?」

 

「………十日。これ以上は無理」

 

「ちょ、ちょっとマスター!“箱庭の貴族”に参戦許可を与えは………!」

 

「だって欲しいもの。ウサギさん」

 

素っ気ない返事で返すペスト。十日。あと少し、あと少しで五分にまで持っていける。しかし交渉材料が見当たらない。全員が思考を最速で張り巡らせてる中、一人の少女はジンに確認をとる

 

「ジン君ゲームに期限をつけて、負けたら的の総取りを覚悟する、1週間はギリギリ死者が出ない瀬戸際、あとはわかるよね?」

 

「はい、今後の症状でのパニックを想定した場合、精神的にも体力的にもぎりぎり耐えれるところですね、僕らはそれ以上は耐えれない、だから全コミュニティは無条件降伏を呑む」

 

それを合図に天音は言う

 

「ゲームに期限をつけます!」

 

「何ですって?」

 

「ゲームに期限を付ける。再開は1週間後……ゲーム終了はその二十四時間後。そしてゲーム終了と共に主催者側の勝利とする」

 

ゴクリと黒ウサギや、サンドラ達の息を呑む音が貴賓室に響く

 

「本気?主催者側の総取りを覚悟するというの?」

 

その問にジンが答える

 

「はい。一週間は死者が出ないギリギリのライン。今後現れる症状、パニックを想定した場合、精神的にも肉体的にもギリギリ耐えられる瀬戸際。そして、それ以上は僕たちも耐えられない。だがら、全コミュニティは、無条件降伏を呑みます」

 

ペストは思案した。これは両者にとって得な話である。今後の準備や謎解きの時間が欲しい参加者側と優秀な人材を無傷で確保したい主催者側1週間+二十四時間と言うタイムリミットは理想的な期限だが

 

「(……気に入らない)」

 

一見すれば合理的だが、何もかも参加者側の目論見通りになっているのが気に入らなかった。

 

「ねぇ、ジン。もしも一週間生き残れたら貴方は私に勝てるの?」

 

「勝てます」

 

脊髄反射のような回答、ジン自身、考えて答えたわけじゃない。内心肝が冷えてる。しかしそれでも、自分の同士が勝つと疑っていなかった。

 

「そう、よく分かったわ………宣言するわ。貴女は必ず―――――私の玩具にすると」

 

不機嫌な顔が一転してニッコリと笑うしかし、その瞳は壮絶な怒りを浮かべていた。激しい黒い風が吹き抜け参加者側が顔を庇う中主催者、黒死斑の魔王は消えた。

 

舞台は整った、謎を解き魔王を打倒するだけになった……が……ノーネームのメンバー二人が黒死病により倒れた。倒れたメンバーは、春日部耀と八神天音だ

 

 

 

 




お気に入り登録感想お願いします!

クーフーリンオルタでねぇあと5000円で諦めよう…
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。