黒死病により倒れてしまった天音はまた一人夢を見る。見るのはやはり戦いの記憶、この世に落とせぬ物ないと言われる弓を持つものと、計略により不死たらしめるよろいを失い、槍を貰い受けたもの。ぶつかり合う二人、戦うたびに互いが分かる、だが戦わなければ成らない。決着は槍を貰い受けた者の戦車が動かなくなるそこまでのはずだった、内通者によってその者は馬車から落ち、車輪を動かそうともがく彼に対して弓を構えた。それは古代〇〇〇での戦士の道義に反するものであったが、今やらなければその者を倒せる機会を失ってしまう。その者も弓を構える際に微笑んでいた。無論、弓を引く者への嘲笑ではなく、ルールを破ってまで己を倒すことへの喜びであった。弓を引いた者はそうしてまで宿敵の打倒を成し遂げ、彼は安堵した。しかし同時に生涯に渡って『悔恨』を抱くことなった。
あの日引いた弓の結末に、"人として"、"戦士として"未練を残すがゆえに―――叫んだ、
『俺はーーーこんな勝ち方などしたくはなかった』
そして、さらに奥……別の者は、息子によって稲妻を奪われ、地に叩きつけられた。叩きつけた人物は、邪龍と対峙する。
夢はここで終わる。熱により目が覚めるが、意識ははっきりとしないし、頭は霞がかかったような感じに鈍い
「(そう言えばたおれたんだっけ?)」
交渉から六日たった今日だ、今日の夕方にはゲームは再開される。夢のせいで自分がどうなってたかをド忘れする
上体を起こして部屋を見る。本が何冊も重なっている。黒ウサギに無理を言い持ってきてもらったのだ。寝てないとダメと言われたが天音は首を縦に振らず黒ウサギが折れて持ってきてもらったものなのだが、やはり発熱より長くは読めないが、あらかた読んで、白夜叉の封印した謎までは解けた、いやペストが黒死病の魔王と知り、黒死病の本とハーメルンの本を見て確信していたのだが、黒死病で倒れ、隔離されているので伝えようがなかったのと、倒れたあとに確証したのだから、誰も来ない部屋でどうしろとと言う状況だ
「(十六夜は謎解けたかなあ………)」
ふと十六夜の事を思い浮かべる。
まっさきにこういう時に十六夜が近くにいたらいいなぁと天音は思った。でもそれは甘えかなあと思う天音も居た。ゲームに期限を言い出したのは天音だ。いくらジンと相談した結果だとしても、あの場で言い出したのは自分だその自分が黒死病によって倒れたとなれば、情けない話だと思う
「(……)」
天音は近くにある本を再び読む。
ペストが白夜叉を封印した謎は、太陽に関係していた。黒死病が最も猛威を奮って八千万人の死者を出したのは、十四世紀から始まる太陽が氷河期に入り世界そのものが寒冷に見舞われた、白夜叉は太陽を運行を司る力と箱庭の太陽主権を持っている。太陽の属性もだ。それらを当てはめると。太陽が力が弱まっていたとされる年代記をなぞってゲームのルールが作られていた。
そしてハーメルンの碑文が一二八四年に対し黒死病の大流行が始まったとされたのが、一三五〇年のことだ、そうつまり時代が合わない。
ハーメルンの碑文は
ーーーー 『一二八四年ヨハネとパウロの日 六月二六日 あらゆる色で着飾った笛吹き男に一三〇人のハーメルン生まれの子供らが誘い出され、丘の近くの処刑場で姿を消した。』
そう本来のハーメルンの碑文にはネズミを操る道化師は出てきていない、ハーメルンの笛吹きにネズミとネズミを操る道化師が現れるのは、黒死病の最盛期である一五〇〇年代からのことだ。これでラッテンと黒死病を表すペストは外される。偽りの伝承は
ネズミを操る道化が描かれているものだ、砕くというのだから、街で見たステンドグラスを砕くのだろう。
「(どう伝えれば……)」
再び微睡が来る、抗ってみるが、意識は落ちる。
ーーーーーーー
その頃十六夜は謎と対峙しながら歩いていた。八割から九割は謎を解いていた、だが決定的なものを見落としている感じがあった
ラッテン=ドイツ語でネズミの意。ネズミと人心を操る悪魔の具現。
ヴェーザー=地災や河の氾濫、地盤の陥没などから生まれた悪魔の具現。
シュトルム=ドイツ語で嵐の意。暴風雨などによる悪魔の具現。
ペスト=斑模様の道化が黒死病の伝染元であったネズミを操ったことから推測。黒死病による具現。
・偽りの伝承・真実の伝承が指す物とは、一二八四年六月二十六日のハーメルンで起きた事実を右記の悪魔から選択するものと考察される
「あーくそ、大体の考察は終わってるのに、だけどそこからの解釈が分かれちまう」
後一歩、あと一手が足りない、答えは直ぐそこなんだが、いまいち届いていない感じだ、それと同時に、ある一人の少女のことが気になってる。
「天音……大丈夫か?少し気になったし行ってみるか、そのあとで春日部の見舞いにでも行くか」
彼にとって八神天音と言う少女は、いつも隣にいて、面白く、興味の対象だった。この箱庭において初めて自分とタメを張れる実力の持ち主に出会えた。それが彼女だ。倒れたと聞いた時、春日部同様心配したが、それとは違う感じもした。
「まだ寝てるだろうから、お忍びで行きますか」
十六夜は天音が隔離されているの部屋に入る。天音は、すうすう っと眠っている、布団の上には本か置かれており、直前まで読まれてた感じだ
「自分が黒死病にかかってるのに無理して謎解きか、思ったより心は大丈夫のようだな」
小さく十六夜は笑う、椅子を近くに起き謎ときのためにハーメルンの本を再度確認し出す。ページを読む手が止まる、袖を天音に掴まれたからだ、十六夜は天音の方を見る、寝返りうってこっちの方を向いていた、額は発熱による汗で濡れていた。十六夜は髪を反対の手で分けてあげた、握る手は少し強くなった
「そんなに握られたら本読めねえよ」
小さく笑いながら呟く、天音まだ眠ってる。寝言なのだろうが、十六夜はハッキリ聞こえた。
「……十六夜……近くに居て……」
十六夜は少し固まった、今までそういう経験がないというのもそうなんだが、気になってる人物にそれをしかも弱々しい今にでも消えそうな感じの状態でだ、何時もの、十六夜が知りうる限りの天音からは考えられない声と言葉だった。新たな一面を知れたと、同時に顔が熱くなるのを感じる、鼓動は早くなる、その言葉を聞いて嬉しい気持ちになったのもある。
「ああ、良いぜ。魔王との戦いが始まるまでそばにいてやるよ」
そう言い、天音を眺めた。天音の手を握り
ーーーーーーー
天音は目を覚ます。暖かい手の温もりと安心感からだ、何となくその人物が誰なのかは分かる。
「……十六夜?」
「お、起きたか?大丈夫か天音」
十六夜の顔は若干赤く見えた天音は
「え?あっ!十六夜黒死病大丈夫!?移ってない!?」
「おいおい、いきなり騒ぐなよ、辛いんだろ?」
十六夜は心配する天音を諭すように宥める
「十六夜様はこの通り健康体そのものですよ。それに俺はいいもの見れたぜ」
「……え……それって私の寝顔?」
「よくわかったな」
「むぅ……」
天音は口を膨らませ怒ったようにする。
「まぁまぁ、そう怒るなよ」
「それより、謎解きはどう?」
十六夜はそれを聞かれ答える。
「まぁ、大体の考察は終わってるのに、だけどそこからの解釈が分かれちまうんだ」
ラッテン=ドイツ語でネズミの意。ネズミと人心を操る悪魔の具現。
ヴェーザー=地災や河の氾濫、地盤の陥没などから生まれた悪魔の具現。
シュトルム=ドイツ語で嵐の意。暴風雨などによる悪魔の具現。
ペスト=斑模様の道化が黒死病の伝染元であったネズミを操ったことから推測。黒死病による具現。
・偽りの伝承・真実の伝承が指す物とは、一二八四年六月二十六日のハーメルンで起きた事実を右記の悪魔から選択するものと考察される
「ここまでは、分かってるんだ、こここまでは」
「うん、黒死病って何時くらいから流行ったんだろうね」
「あ?それは、十四世紀に寒冷期に入って……まて、ハーメルンの碑文に書かれてる年代は?」
十六夜はなにかに気づき天音にハーメルンの碑文の年代を聞く
「気づいた?合わないんだよ、ハーメルンの碑文の年代は一二八四年、黒死病の大流行した時代は一三五〇年以降の話なんだよ」
それを聞いた十六夜はすべてに合点が行った、十六夜は獰猛な笑を浮かべ言う
「そういう事か!黒死病が大流行した寒冷の原因は……太陽が氷河期に入り世界そのものが寒冷期に入ったからだ、つまり太陽の力が弱まったという事それが白夜叉を封印したルールの正体か!なら、連中は一二八四年のハーメルンじゃなく……ああクソッ!完全に騙されたぜ"黒死斑の魔王!お前たちは童話上の"ハーメルンの笛吹き"ではあっても"本物のハーメルンの笛吹きじゃなかったってことか………!!!」
バタン!とドアを勢いよく開け飛び出す、その際に振り返り言う
「天音のおかげで謎が解けた!あとは任せておけ!しっかり休んどけよ!」
そう言い彼は黒ウサギたちのところへ行く。天音はそれを見送った。だがさっきとは違う。意識ははっきりとしないし、頭は霞がかかったような感じに鈍かったさっきとは違い、
意識ははっきりしており、頭は透き通る様に鮮明だ思考も良好。黒死病に感染しており状態は最悪だが、精神的状態は良い。
「(……しっかり休んどけか……悪いけど、ゆっくりも寝てられないよ)」
天音は制服に着替え、ドアを開け決戦のために街に行く。
その瞳は金色にも見えた
今回は少し無茶も入ってます。ご了承ください!
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