問題児たちと天空の御子が来るそうですよ?   作:皐月の王

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原作2巻次回がラスト!


VS黒死斑の魔王 ラストゲーム

ゲームが再開されると同時に激しい地鳴りが起こる。宮殿は光に呑み込まれ、激しいプリズムと共に参加者のテリトリーを飲み込む。見上げれば、見たことも無い別の街並みが広がっていた。

 

「なっ……何処だ此処は!?」

 

参加者の誰かが驚愕の声を上げる。見渡せば数多の尖塔郡のアーチは劇的に変化し、木造の街並みに姿を変えている。黄昏時を彷彿とさせるペンダントランプの煌めきは失せ、パステルカラーの建築物が一帯を作り替えている。ステンドガラスの捜索側に回っていたジンは叫ぶ

 

「まさか、ハーメルンの魔導書の力………ならこの舞台はハーメルンの街!?」

 

「何!?」

 

マンドラはその声に振り返る。そのあいだも混乱は広がりを見せ士気高く飛び出した参加者は出鼻をくじかれる。

 

「こ、ここはどこだ!?」

 

「それに今の地鳴りは!?」

 

「まさか魔王の罠か!?」

 

「うろたえるな!各人、振り分けられたステンドグラスの確保に急げ!」

 

マンドラが声を上げ参加者たちに一喝する。

 

「しかし、マンドラ様。地の利も無く、ステンドグラスの配置もどうなっているのかも分からないままでは、」

 

「安心しろ!案内役ならば此処にいる!」

 

そう言ってマンドラはジン君の方を掴む。

 

「知りうる限りで構わん。参加者に状況を説明しろ」

 

「け、けど、僕もそんなに詳しいわけでは」

 

「だから知りうる限りで構わんと言っただろうがッ。貴様が多少情報を持っていることは知りわたっている。貴様の言葉なら信用する者もいるだろう!とにかく働き出さねば二十四時間などすぐに過ぎ去るぞ!」

 

マンドラの言葉にジン君は反論を呑み込む。泳いだ視線は自然に十六夜を探す。十六夜ならば、ハーメルンの地理にも詳しいはずだからだ。しかし見つからない。そして時間制限がある以上、一分一秒を争うのも事実。ジンは意を決して捜索隊の前に立つ。

 

「ま、まずは教会を探してください!ハーメルンの街を舞台にしたゲームなら縁のある場所にステンドグラスが隠されているはずです!"偽りの伝承"か"真実の伝承"かは、発見した後に指示を仰いでください!」

 

ジンの一声で捜索隊が一斉に動き始めた。再び街全体を揺り動かす地鳴りが起きたのは、その直後だ。

 

ーーーーーーーー

 

「………街が変わった?建築様式はルネサンス調、なるほど仕込んだ他わかるというわけね。地殻変動そのものを起こすなんて、凄いね全く」

 

天音は街で高いところから、ハーメルンの街を一帯を見下ろす。直後、再び街全体を揺り動かす地鳴りが起きた

 

「うわっ!?すごい揺れだ……多分十六夜と誰かだろうけど……誰だろう」

 

建物が揺れの発信源の方を見る。ヴェーザー河の近く、十六夜と棍にも似た巨大な笛を持つ軍服の男ヴェーザーがぶつかり合っている。

 

「十六夜……!」

 

天音は今にでも十六夜のところに行き一緒に戦いと思ったが……踏みとどまる。十六夜ならヴェーザーを倒すだろうと思い、十六夜に任せ天音はもう一つの音……雷鳴が轟く場所へと向き飛び出す。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

「私達が、 "主催者権限" を得るに至った功績。この功績には私が……いえ、死の時代に生きてきた人の怨嗟を叶える、特殊なルールを敷ける権利があった。黒死病を世界中に蔓延させ、飢餓や貧困を呼んだ諸悪の根源ーーーーー怠惰な太陽に、復讐する権限が………!!!」

 

感情をあまり表に出さないと思われていたペストは、初めて激怒の口調を強めた、彼女は八〇〇〇万の怨嗟の声に応えるため、神々の箱庭の太陽に挑むのだという。その決意に応えるかのように黒い風は勢いを増し荒れ狂う。黒ウサギは舞い上がる髪を抑えながら、荒れるペストを見定める。

 

「太陽に復讐とは……流石魔王。大きく出たものでございます。太陽の主権を持っている白夜叉様を狙った理由は、そこにあったわけですか」

 

「ど、どうする?」

 

「どうするも何もかも。こちらの力が一切通じないのでは打つ手も何も御座いません」

 

黒ウサギの言葉にサンドラは一層蒼白になる。それでは二人に勝ち目はない。黒ウサギには策が一つあるのだが、それには十六夜の力が必要だった。だが十六夜は神格を得たヴェーザーとぶつかり合っている

 

「(十六夜さん………!まだ片付かないのですか……!?)」

 

状況を把握してる分歯がゆい、彼の性格上格下に遊ぶことは無い。全力でヴェーザーを倒したあと嬉々として魔王に挑むと思っていた。だが彼に相手ヴェーザーは神格を与えられていた。それが原因で作戦が先延ばしになっているのだ。

 

「天音さんが居たら……状況が変わるのに……!」

 

サンドラはここにいない天音の名をにする。黒ウサギは頭に?を浮かべサンドラに尋ねる

 

「サンドラ様天音さんが居たら何かあるのでございますか?」

 

「はい、一週間前の話です。私と天音さん、レティシアさんでペストと応戦してました。その時、天音さんの攻撃だけが、まともに通りあの黒い風も霧散させ、そのスキに私が攻撃してました」

 

その話を聞いて黒ウサギは驚く、だがその天音は今は黒死病で倒れてしまっていて、ここに来ることは無い。

 

「………さ、ゲームを再開しましょ。貴女達二人は特に大事な駒だもの。タイムオーバーのその瞬間まで、たっぷりと遊んであげる」

 

先の熱を消したペストは悠々と構えて薄く笑う。黒ウサギとサンドラは戦慄とともに、絶望のゲームが再開されようとした。その時黒ウサギの耳には聞こえていた、誰かがここに来ることに

 

「ならさ、そのゲーム私の混ぜてもらうよ……!」

 

雷が轟き、ペストに落ちる。ペストは黒い風で球体のように包みそれを防ぐ。直後その球体に一本の白い線が入り、球体は霧散する。ペストは瞬時に誰かが分かる、その直後、日輪の意匠が凝らされた光槍により、地上に向け叩きつけられた。数多の建造物を粉々にしながら吹き飛ぶペスト。黒ウサギとサンドラはその声を聞いたことがある、そして目を疑うそこにいる人物は、黒死病に感染して来れないはずの八神天音がそこにいるのだから。

 

「はぁ……っぅ……!」

 

天音はふらふらと二人のいる屋根に降りる。槍を杖にしてもたれかかるように立ってる。黒ウサギは大声で怒る

 

「何してるんですか天音さん!?天音さんは黒死病にかかってるんですよ!?なのに無理して戦いに来るなんて!」

 

彼女の怒りは最もだ。天音は黒死病に感染して状態は最悪だ、だがその状態で天音は魔王とのゲームに臨んでいる。サンドラも同意見だった

 

「黒ウサギの言う通りです!休んでてください!来てくれたのは嬉しいですが、今の」

 

「黒ウサギ……サンドラ……策は何か無いの?私はやれるよ……!」

 

熱がある顔で問う天音。槍を杖にして辛そうだ。だが、目だけは死ぬどころから、闘志がみなぎってる。その目を見た二人は何も言えない。いや今ここで何を言っても無駄だと悟る

 

「あります、本来は十六夜さんの力が必要でした。ですが、天音さんがいる今なら作戦を開始することができます。天音さん、サンドラ様、作戦の発動には少し時間がかかります、もう少し待ってください。それと天音さん、あの方の槍は出せますか?」

 

サンドラにはその質問の意味がわからなかった、天音は言葉の意味は理解し

 

「大丈夫、自分で出せる。黒ウサギ見せるよ、神々の王の慈悲を」

 

そう言い、天音は黒い風を纏ながら出てくるペストと向き合う。

 

「あら、いつぞやの。その様子じゃ黒死病で満身創痍って感じだけど?」

 

「生憎とまだ少し余裕があるものでね……せっかくの魔王とのゲーム、心が踊って休んでられないってものだよ!」

 

傷を癒し服のほつれをただしペストは天音を見定め、黒い風で攻撃する。天音は前髪から雷撃の火花を散らし、神雷を出し相殺する。サンドラは龍炎を放つ、ペストは黒い風で球体のように自分を包み遮断する。天音はそれを見て、光を拳に集め球体めがけ放つ光は球体を砕きペストの姿が顕になる。天音は槍で攻撃を仕掛けるが、躱され裏拳の要領で殴られ凄まじい勢いで吹っ飛ばされる。直後黒ウサギは金剛杵で接近戦を仕掛ける

 

「今度は貴女が相手?」

 

「太陽とは行きませんが、月の兎も中々ですよ」

 

「そうとは思えないけど」

 

ペストは少し距離を置き、黒い風の衝撃で攻撃する。黒ウサギはそれを横に避け屋根へ着地し、再びペストへ強襲する……がペストはそれを読んでいたかのようにひらりと躱し、手を黒ウサギの目の前に突き出す

 

「私の相手は務まらなかったわね」

 

王手、ペストは黒い風を放とうとする。いくら月の兎でもこの距離では回避は不可能……が

 

「!」

 

速く鋭い紅い閃光がペストに迫る、ペストはその危険を察知しギリギリで躱す、その光は街の外れに着弾し着弾点一帯を消し飛ばし炎が燃え上がる

 

「大丈夫?黒ウサギ」

 

片目が紅く光る天音がたっていた。紅い光り収まり元の青色に戻る。

 

「は、はい大丈夫でございます」

 

黒ウサギ、天音、サンドラは屋根の上でペストと対峙する

 

「あきらめが悪いのね」

 

ペストは両手から黒い風の衝撃を放つ、天音は槍に光を纏わせその光を斬撃として放つ。黒い風は霧散したが衝撃は生き残り三人を別の建物の屋根に吹き飛ばす。

 

「ッ!……黒ウサギ時間もういいじゃないの!?」

 

天音は黒死病にかかりながらも善戦しているが、時間が長引くほど宜しくはない。催促し黒ウサギを見つめる。見つめ返す黒ウサギの瞳にも強い光が宿っていた。黒ウサギは耳で十六夜の勝利、飛鳥がラッテンを倒したのを確認した。

 

「時は満ちました!今から魔王を討ち取ります。今から魔王と天音さんとサンドラ様を纏めて月に招待します♪」

 

白黒のギフトカードの輝きとともに急転直下、周囲の光は暗転し星が巡る。温度は急激に下がり、大気が凍りつくほどの過酷な環境が天音達を襲う。激しい力の奔流が収まり、瞳を開けて天を仰ぐ。天には箱庭の世界が逆さまになって浮いていた。各所に散々する月の神殿を見てペストは蒼白になり叫ぶ。

 

「チャ……"月界神殿(チャンドラ・マハール)"!軍神(インドラ)ではなく、月神(チャンドラ)の神格を持つギフト……!」

 

「YES!このギフトこそ、我々"月の兎"が招かれた神殿!帝釈天様と月神様より譲り受けた "月界神殿"でございます!」

 

「三十八万kmも離れたら魔書の効果も範囲外みたいだね……決着をつけよう黒死斑の魔王(ブラック・パーチャー)!」

 

ペストは二人がやられた時点で時間稼ぎをやめ、皆殺しにするつもりだった。だがそれよりも早く、黒ウサギは勝負を仕掛けた。ペストは黒い風を放出させる

 

「貴女さえ倒せば」

 

対象は天音だ、黒ウサギはその前に立ち叫ぶ。

 

「太陽に復讐を、でございますか?ならばこそ、この輝きを乗り越えてごらんなさい!」

 

黒ウサギがマハーバーラタの紙片を掲げる。溢れた輝きは太陽の黄金の輝きで、黒ウサギを神々しく染め上げる。黄金の鎧を纏い迫る死の風は太陽の光に焼かれ、一瞬で霧散する

 

「そ、そんな……!?」

 

動揺してるスキに飛び金剛杵で黒ウサギはペストを攻撃する、ペストは大きく後退する

 

軍神(インドラ)月神(チャンドラ)太陽神(スーリヤ)……!護法十二天を三天まで操るなんて……この化物!!!」

 

「黒ウサギだけだと思っておいででしたら大間違いですよ?」

 

サンドラはペストが見せた隙に龍炎で拘束する。

 

「今です!天音さん!」

 

黒ウサギが横に避ける。避けた先には似た太陽の光を放つ黄金の鎧を纏う天音が立っていた。槍を前に祈るように持ち言葉を紡ぐ

 

「神々の王の慈悲を知れ……」

 

直後彼女の纏う黄金の鎧は光の粒子となり消える。直後光は日輪の意匠が凝らされた槍に纏い巨大化しする。穂先だけで天音自身の身の丈にを越す大きさだ。

 

「絶滅とは是、この一刺」

 

凄まじい神雷が槍に降り注ぎ、槍からも放たれる。天音は低く構え槍を放つ体制に入る。そして神をも滅ぼすと言われる光槍が放たれる

 

「終わらせる、『日輪よ、死に随え(ヴァサヴィシ・ャクティ)』!! 」

 

槍は天雷を束ねペストを撃ち貫く。死神が死の恩恵を与えるというのであれば軍神が勝利をもたらす武具がこの槍なのだ。天雷は勢いと力を増し、千から万、万から億、衰えること無く、ペストを灼き尽くす

 

「そして……私は、まだ……!」

 

轟と響きを上げ、軍神の槍は圧倒的な熱量で魔王を共に爆ぜる。天音はそれを見届け

 

「 ……是非もなし」

 

一言呟く、体力は元から黒死病で消耗していて、熱もあるということと、緊張の糸が切れ、天音はうつむけに倒れ意識を手放した。

 

そして魔王とのゲームは集結した。




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いよいよ原作2巻も終幕ですw
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