ゲーム開始から十時間後、勝負は参加者側の勝利に終わった。被害者は無くゲーム終了を迎えれた。サンドラは魔王とのギフトゲームを被害無くクリア出来たことに嬉しく感じていた。ゲーム終了後、白夜叉も封印から解放され、祝勝会を兼ねた生誕祭の続きを行うことになった。
そして、現在はその祝勝会の真っ最中なのだが………………
「…………、」
「…………何か言うことあるか?」
現在、天音は十六夜の説教を受けている。魔王を討ち果たした後、天音は気を失った、精魂果て眠るようにだ、十六夜と飛鳥が駆けつけた時には黒ウサギに抱き抱えられていた。十六夜は黒死病にかかってボロボロなのに何してんだと低く言い、飛鳥は
『天音さん黒死病にかかってるの!?』
と驚く始末だった、黒ウサギはどちらかと助けられた身だからそこまで強く怒れないのと自身も強く止めれなかったという事で、怒れないでいたが。天音が目を覚まし十六夜は天音を正座させて今に至る。
「………ええと、この度は心配させてすいませんでした」
「ああ、全くだ、黒死病にかかってるのに魔王と戦ったみたいだしな、それに俺はしっかり休んどけと言ったよな?」
「はい……」
「休む何処とか、戦いに行くとはどういう了見なんだ?天音」
「ええと、気分が良くて、意識もはっきりして頭もよかったから……」
十六夜はそれを聞いて、呆れたように大きくため息を付き言う
「謎だ、普通そこまで考えれて、自分が黒死病にかかってるのに動き回るなんてなあ、無事だからいいけどなあ」
十六夜はかわいそうな子を見るような目で天音を見ながら言い続ける。
「でも、本当に何ともなくて良かったぜ」
十六夜は心底良かったという表情で言う。天音はその言葉を聞いて顔が赤くなり、鼓動が早くなるのが分かる。そして気づいた、天音は十六夜の事が好きなのだと。咄嗟の時や普通の時でも十六夜がそばに居たらと思うことが多々増えてきたことに思い返せばいっぱいあったと。天音は納得した感じで嬉しそうに微笑んだ。
「心配かけてごめんなさい。それと心配してくれてありがとう、十六夜」
「ああ、あんまり無茶すんなよ?」
「善処する」
「する気ねえだろ」
ヤハハと笑う十六夜、ハハハと笑う天音。そして十六夜は今回の魔王襲来の話をする
「以上でこれが今回のゲームの真相だ」
今回の一件がサンドラを除くサラマンドラ全員によるやらせだったこと
笛吹き道化のステンドガラスが一三〇枚以上あったそれなのにあったということは意図的に見落としたということだろう。今回は死人が出なかったということで万々歳な話だが、
それは、黒死病の中でも天音が戦地に出向き、黒ウサギが早くに勝負を仕掛けたからだ。もし天音が大人しくしていたら、時間稼ぎを狙った作戦から皆殺しに切り替え、ペストが何かをしでかすかもしれない可能性だってあった。
「うん、それで、その話を聞いて十六夜はどう思う?」
「別にどうもしねーよ。別にとやかく言うつもりはねーし、"サラマンドラ"も俺達"ノーネーム"も得したんだ。俺は水を差す必要は無いと思うが天音は?」
「そうだね、みんなが無事で祝勝会してるのに態々白けることする必要性がないものね」
天音は肩をすくませ言う
「そう言えば、十六夜は祝勝会でなくていいの?」
「あ?まぁ何だお前一人だと心細いだろうなぁと言う俺の配慮だ」
「そっか、じゃあ居てもらおうかな」
二人は笑いながら、祝勝会を部屋から見た。
それから、一週間後。天音達は境界壁コミュニティに帰ってきて、早速農園跡地に向かった。そしてメルンの力で農園を元に戻せるかもしれないと飛鳥達と子供たちは心を踊らせる様にメルンの活躍を見に来ていたが
「むり!」
農園を見るなりメルンは首をブンブン振りながら言う。
「………無理?」
「むり!」
即答だった、水が枯れ、土壌が廃れ、砂と砂利しかない土地を前に、メルンは一目でも匙を投げた。
「ごめんなさい。期待させるようなこと言って」
「き、気にしないでください。また機会がありますよ」
「そうだよ、飛鳥。また次のギフトゲームで勝てばいい」
しょんぼりと落ち込む飛鳥を、耀と黒ウサギが励ましている。そんな中、十六夜と天音は冷静に農園の土に触っていた。
「おい、極チビ」
「ごくちび?」
「そ。"極めて小さいメルン"略して極チビ。それより、もしも、土壌や肥しになるものがあったら、それを分解して土地を復活させることは出来るか?」
十六夜の意見にメルンは考えるような仕草をする。ゼロからじゃなく、土壌を復活させるための素材が他にあると言うならばあるいは
「できる!」
「ホント!?」
「かも!」
ガクッ、と飛鳥はやや右肩下がりに気が抜けるしかし、可能性は無いわけじゃない、試してみる価値は十分にある。飛鳥はギフトカードを出しディーンを召喚する
「ディーン!すぐに取り掛かるわよ!年長組も手伝いなさい!」
「「「「分かりました!」」」」
「DeN」
ディーンと年長組ははりきって農園復活の仕事を始めた。天音は背を伸ばし、ヘッドホンから流れる曲を聴き、空を見上げる。周りの声は十分に聞こえ、飽きないこの世界に新たな出会いに感謝して。ポケットにあるペンダントを見ながら呟く
「お父さん、お母さん。私はここに居るよ、この楽しい世界に」
天音はそう言い、手伝いを始めるのであった。
これにて原作2巻終了でございます!
感想、お気に入り登録お願いします