問題児たちと天空の御子が来るそうですよ?   作:皐月の王

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原作三巻開幕です


そう……巨龍召喚
南側の招待


――――― "黒死斑の魔王(ブラック・パーチャ)"との戦いから1ヶ月。天音達は今後の活動方針を話し合うために本拠の大広間に集結していた。大広間の中心に置かれた長机には上座からジン、天音、十六夜、飛鳥、耀、黒ウサギ、メイドのレティシア、年長組のリリの順番で座っている。

"ノーネーム"では会議の際、コミュニティの席次順なのが礼式らしく、天音が次席に座っているのは水神打倒による水源確保 "ペルセウス"戦での活躍、ペスト撃破、その他の活躍などから次席が妥当だろうと満場一致で決まった。だが当の本人は

 

「ねえ、十六夜変わってくれない?なんかここに座るの場違いな気がしてならないんだけど」

 

「何言ってるんだよ。お前が座らなきゃ誰が座るんだよ?」

 

「十六夜だけど」

 

「ヤハハ。寝言は寝てから言え」

 

十六夜は笑いながら天音に指を指し

 

「いいか?ヘビとの戦いで水源を確保した、ペルセウスとのギフトゲームが出来たのは天音が白夜叉から情報を聞いてそれで挑めるようになったしな。結果を見ればレティシア奪還に繋がる。そして魔王のペストの撃破だこれで俺達"ノーネーム"の知名度も上がった。それ以外にもお前がコミュニティにしたことを考慮すれば次席が相応しいという訳だ。俺よりいい席に座ってるんだ。そこはお前の席だぞ」

 

「十六夜君の言う通りよ。天音さんはコミュニティの為によく頑張ってるわ。感謝しきれくらいにね」

 

「うん、だから、天音には次席がふさわしい」

 

「YES!天音さんはもっと堂々と胸を張っていいのですよ!」

 

天音もそこまで言われてクズクズ言う人物では無い。みんながそう言うのならばと言う面持ちで天音は座る事を決める

 

「私も人のこと言えないけどさ、ジン君。少し緊張し過ぎじゃない?」

 

「あ、当たり前ですよ。だってここは旗本の席なんですから」

 

ギュッとローブを掴んでいうジン。コミュニティのリーダーであるジンが旗本の席に座るのは当然の事だ。しかし、また上座にに座る事が出来るのは前提として、"コミュニティの為に試練に参加できるもの"という常識がある。それに加え組織の貢献・献身・影響力などが求められる。それがジン本人は特に戦果を上げてないと言うジンの引け目の原因でもある。

 

「ジン君、私達"ノーネーム"はジン君があってのこその"ノーネーム"だよ。俺達の戦果は全てジンの名前に集約され広まる。これはお前の戦果だ。それに、ペストとの交渉や、ステンドグラス捜索の時には活躍してたしね。ジン君、君が思うより活躍してるし、皆が認めているんだよ。それにそこは君の座るべき場所だよ」

 

「YES!天音さんの言う通りです!事実、この1ヶ月間で届いたギフトゲームの招待状は、すべてジン坊ちゃんの名前でございます!苦節三年……とうとう我々のコミュニティにも、招待状が届くようになりました。それもジン坊ちゃんの名前で!だから堂々と胸を張って上座にお座り下さいな!」

 

「黒ウサギ……天音さん……分かりました! 今日集まってもらった理由は先ほど黒ウサギの紹介がありましたがギフトゲームの招待状の件です。これは皆さんのお陰です。まずはお礼申し上げます」

 

ジンは頭を下げ礼の言葉を述べた

 

「そして、招待状三枚の内一枚は貴賓客としての招待状です。"ノーネーム"としては破格の待遇です」

 

「それで?今日集まった理由はその招待状に付いて話し合うためかしら?」

 

「それもありますが、その前にコミュニティの現状をお伝えしたいと思っています。……黒ウサギ、リリ。報告をお願い」

 

「分かりました」

 

「う、うん。頑張る」

 

そう言ってリリは割烹着の裾を整えて立ち上がる

 

「えっと、備蓄に関しては問題ありません。最低限の生活を営むだけなら二年は持ちます」

 

「へえ?なんで急に?」

 

「1ヶ月前に十六夜様達が戦った"黒死斑の魔王(ブラック・パーチャ)"が推定五桁の魔王に認定されて規定報酬の桁が跳ね上がったからです。白夜叉様からの依頼で戦った事もあり、規定の報酬の桁が跳ね上がったと白夜叉様からご報告がありました。これでしばらくは、みんなお腹一杯食べられます」

 

リリ嬉しそうにパタパタ尻尾を振りながらはにかんで喜ぶリリ。隣に座っていたレティシアは眉をひそめ窘める

 

「こら、リリ。はしたないぞ」

 

「え……あ、す、すみませんっ」

 

リリは自分の発言が露骨だったと気づき、狐耳を真っ赤にして俯いて。自慢の二尾もパタパタと大慌てである。

 

「"推定五桁"ということは、本拠を持たないコミュニティだったんだ?」

 

「は、はい。本来たった三人のコミュニティが五桁認定されることはそう無いみたいですけど、"黒死斑の魔王(ブラック・パーチャ)"が神霊だった事や難度も考慮したことらしいです」

 

「なるほどな、それで報告は以上なのか?」

 

「あ、いえ。五桁の魔王を倒す為に依頼以上の成果を上げた十六夜様達には金銭とは別途にギフトを授かることになりました」

 

「あら、それは本当?」

 

「YES!それについては後から通達があるのでワクワクしながら待ちましょう!」

 

へえ、と十六夜から喜色の籠った声が上がった。他の二人も同様だ、天音だけは予想だけはしていた。いつか話していた魔王の隷属化の話じゃないかと、だが確証を得られていないという事で頭の片隅にとどめといた。

 

「それではリリ。最後に、農園地区の復興状態をお願い」

 

「は、はい!農園の土壌はメルンとディーンの働きのおかげで全体の四分の一はすでに使える状態です。これでコミュニティ内のご飯を確保するのに十二分の土地が用意できました。田園に整備するにはもうちょっとかかりそうですけど、根菜類などを植えれば数か月後には期待が出来ると思います」

 

はしゃぐリリを見て、飛鳥が得意そうに言う

 

「メルンとディーンが休まず頑張ってくれたんだから、復興なんてあっと言う間よ」

 

ふふんと、笑う飛鳥

 

「特にディーンは働き者で飛鳥さんがゲームに出場しているとき以外はずっと土地の整備をしてくれて!メルンが分解した廃材や若木なんかも休まず混ぜてくれて本当に助かりました!」

 

「ふふ。喜んでもらえたようで何よりよ」

 

「人使いが荒いともいうけどな」

 

気分よく微笑む飛鳥の隣で茶化す十六夜。天音は空気が悪くならないうちに

 

「それでどうその農園でなにかするの黒ウサギ?」

 

「そ、そうです!今回の本題なんですが農園区に特殊栽培の特区を設けて、霊樹や霊草を栽培しようと思うんですよ!」

 

「特区?」

 

「マンドラゴラとか?」

 

「マンドレイクとか?」

 

「マンイーターとか?」

 

「ユグドラシルとか?」

 

「YES!って最後の二つおかしいですよね!?マンイーターなんて子供たちには危険ですしユグドラシルなんてそんなもの手に入りませんよ!!それにマンドレイクやマンドラゴラみたいな超危険即死植物も黒ウサギ的にアウトです!」

 

「「「「じゃあ妥協してラビットイーター」」」」

 

「何ですか!その黒ウサギを狙ったダイレクトな嫌がらせは!!」

 

「つまり主達には農園に相応しい牧畜や苗を手に入れてきて欲しいのだ」

 

話が進まないのを見かねて天音達に率直に告げるレティシア

 

「牧畜?ヤギとかヒツジとか牛などの?」

 

「そうだ。都合がいいことに南の"龍角を持つ鷲獅子連盟(ドラコ・グライフ)"から収穫祭の招待状が届いているのだ。連盟主催ということもあり、種牛や珍しい苗を賭けるもの出るはずだ。コミュニティの組織力を高めるには、これ以上無い機会だ」

 

なるほどと頷く問題児四名

 

「今回は前夜祭からの参加を求められたものです。旅費と宿泊費は主催者が全て請け負うという"ノーネーム"の身分では考えられないVIP待遇。場所も南側境界壁にも負けない美しい河川の舞台"アンダーウッドの大瀑布"。皆さんが喜ぶこと間違いございません!」」

 

黒ウサギが自信満々で答えるそこでジンがわざとらしく咳をする。

 

「方針については一通り終わりました。……しかしこの収穫祭は前夜祭を入れると二十五日間にもなります。そこで問題がひとつあります」

 

「問題?」

 

「先程言った通り前夜祭合わせて25日間。約1ヶ月もかかります。この規模のゲームはそう無いので最後まで参加したいのですが。長期間主力が居なくなるのはよくありません。なのでレティシアさんと共に一人は残って……」

 

「「「嫌だ」」」

 

十六夜、飛鳥、耀の三人は即答だった。思わず息を呑むジン、問題児四人は当たり前のようなことを言ったかのように平然としている。

 

「ジン君、私は残ってもいいけd」

 

「天音さんには前夜祭を含めて最後まで参加してもらいます」

 

「ゑ?」

 

天音は頭に?を浮かべてる、問題児三人も同様の反応だ

 

「実は"主催者"側からの要望で八神天音さんには参加してほしいとのことです。何でも"主催者"はかつて天音さんのお父様に命を救われたとのことで、そのお礼を申し上げたいとか。それと、ゲストとして参加もして欲しいとか」

 

「父さんに?」

 

天音は不機嫌な表情になる。目に見えて不機嫌分かる。

 

「(あの人一体箱庭で何してたのよ……そして今は……)」

 

天音気づくと拳を強く握っていた

 

「じゃあ、天音は最後まで参加するんだな」

 

「はい、で、残りの皆さん何ですが、日数を絞るというのはどうでしょう?」

 

「というと?」

 

「はい、前夜祭を二人、オープニングセレモニーからの一週間を全員で、残りの日数を二人。このプランでどうでしょうか?」

 

 

「それだと一人最後まで参加できることになるよね?それはどうするの?」

 

「それは――――」

 

席次順と言うおうとするジンだが思いとどまる。箱庭のコミュニティとしては常識かもしれないが外界から来た三人の常識とは限らない

 

「じゃあさ、ゲームで決めたらいいじゃないかな?誰が何日行くかを」

 

「「「「ゲーム?」」」」

 

十六夜、飛鳥、耀、ジンの四人が天音の意見に耳を傾ける

 

「今日から前夜祭までの期間で一番多くコミュニティに貢献できた人が最後まで参加。後の二人も実績順みたいな感じで前夜祭から参加かオープニングセレモニーからの参加かを決めるなんてどうかな?」

 

「お、いいじぇねえか!面白そうだぜ!」

 

「いいわ。それで行きましょう!」

 

「うん。………絶対に負けない」

 

三人は承諾する。全員の条件は同じ、五分と五分である。こうして問題児は収穫祭に参加すべくゲームを開始するのであった




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