日が暮れた頃に噴水広場で合流し、話を聞いた黒ウサギはウサ耳を逆立てて怒っていた。話によるとフォレス・ガロのリーダー接触して喧嘩を売ってしまったらしい。現在は黒ウサギが質問と説教の大嵐を起こしているそして
「「「ムシャクシャしてやった。反省してます」」」
「黙らっしゃい!!!」
誰が言い出したのか、まるで口裏合わせていたのかのような言い訳に激怒する黒ウサギ。
「別にいいじゃねえか。見境がなく選んで喧嘩を売ったわけじゃないんだから許してやれよ」
「十六夜さんは面白ければいいと思っているかも知れませんが、このギフトゲームで得られるものは自己満足だけなんですよ?この"契約書類"を見てください」
"契約書類"とは"主催者権限"を持っていない者たちが"主催者"となってギフトゲームを開催するのに必要なギフトである。そこにゲーム内容、チップ、賞品が書かれていて"主催者"のコミュニティのリーダーが署名することで成立する。
天音は持ってきたiP〇oneの様子を確かめていた、動くが電波が届いておらず、音楽や思い出の写真を見るだけの端末となってしまってた
「(………まぁ、ここでの思い出を記録できるかな)」
そんな事を、端末を見ながら、考える。そんな中話は進んでいく
「はぁ、仕方がありませんね。まぁ、いいです。 フォレス・ガロ相手なら十六夜さんと天音さんがいれば楽勝でしょう」
「何言ってんだ。俺は参加しねえよ」
「あら、分かってるじゃない」
「え?どういう事?」
「だ、駄目ですよ!御三人はコミュニティの仲間なんですからちゃんと協力しないと」
「そういうことじゃねぇよ黒ウサギ」
十六夜が黒ウサギを制す
「これはなこいつらが"売って"ヤツらが"買った喧嘩"だなのに俺と天音が手を出すのは無粋だぜ?」
「あら、分かってるじゃない」
「なるほど……飛鳥、耀、頑張ってね」
「うん、頑張る」
「ありがとう、八神さん必ず勝つわ」
「……。ああもう、好きにしてください」
振り回され続けて疲弊したのか肩を落した。椅子から腰を上げた黒ウサギは、横に置いてあった水樹の苗を抱き上げる、これは蛇神とのギフトゲームで得た戦利品だコホンと咳払いをした黒ウサギは気を取り直し、全員に切り出した
「そろそろ行きましょうか。本当は皆さんを歓迎するために素敵なお店を予約して色々とセッティングしていたのですけれど、不慮の事故続きで、今日は流れとなってしまいました。また後日……」
「いいわよ、無理しなくて。私達のコミュニティって崖っぷちなんでしょう?」
驚いた黒ウサギはジンの方を見た。彼の申し訳なさそうな表情を見てすべてを悟った。ウサ耳まで赤くした黒ウサギは恥ずかしそうに甘た間を下げた。
「も、申し訳ございません。皆さんを騙すのは気が引けたんですが……黒ウサギ達も必死だったのです」
「もういいわ。私は組織の水準なんてどうでもよかったもの。春日部さんは?」
「私も怒ってない。そもそもコミュニティがどうの、というのはどうでも……あ、けど」
「どうぞ、気兼ねなく聞いて下さい。僕らに出来ることなら最低限は用意します」
「そんな大それたものじゃないよ。ただ私は……毎日3食お風呂付きの寝床があれば、と思っただけだから」
ジンの表情が固まる。この箱庭で水を買うか数kmも離れた大河から汲んでくるしかない。その苦労を察したのか耀が取り消そうとしたが、その前に天音が言う
「ジン君だっけ?水なら、私と十六夜が蛇神から水樹を貰ってきたけど」
「はい!天音さんと十六夜さんがこんな大きな水樹を手に入れてくれまそたので、これで水を買う必要がなくなりますし、水路を復活させることもできます!」
一転して明るい表情になる。これには飛鳥も安心したような顔を浮かべた
「じゃあ、今日はコミュニティに帰る?」
「あ、ジン坊ちゃんは先にお帰り下さい。ギフトゲームが明日なら
"サウザンドアイズ"にギフト鑑定をお願いしないと。水樹のこともありますし」
「"サウンドアイズ"?コミニティの名前か?」
「YES。サウザンドアイズは特殊"瞳のギフトを持つ者達の群体コミュニティで、箱庭の東西南北・上層下層の全てに精通する超巨大商業コミュニティです。幸いこの近くに支店がありますし」
「ギフト鑑定というのは?」
「勿論、ギフトの秘めた力や起源などを鑑定することデス。自分の力の正しい形を把握していた方が、引き出せる力はより大きくなります。皆さんも自分の力の出処は気になるでしょう?」
同意を求める黒ウサギだが、4人は複雑な表情で返す、いや天音はヘッドホンを耳にかけている。思う事はそれぞれあるのだろう。だが拒否の声は上がらず、5人はサウンドアイズに向かう
サウンドアイズに向かってる最中町の様子を眺める。日が暮れて月と街灯ランプに照らされている並木道には桜の木があり飛鳥は不思議そうに眺め呟く。
「桜の木……ではないわよね?花弁の形が違うし、真夏になっても
咲き続けるはずがないもの」
「いや、まだ初夏になったばかりだぞ。気合いの入った桜が残っていてもおかしくないだろ」
「……?今は秋だったと思うけど」
「サンタさんが来る季節だから冬だと思うけど」
ん?っと噛み合わない会話をする四人は顔を見合わせ首を傾げる。黒ウサギが笑って説明しようとすると
「多分、私達は異なる時間異なる世界から来たんじゃないかな?だから季節観が違うし」
「なるほど、だから季節がちがうのかーってヘッドホンしてるのに聞こえるのか?」
「まだ曲かけてない……」
「うぅ~、セリフを取られました。はい、その通りです。天音さんが言う通り皆さんは、別の時間軸から呼ばれました。元いた時間軸で歴史や文化、生態系など所々、違いがあるはずですよ」
落ち込みながらも黒ウサギは説明する
「パラレルワールドか?」
「正しくは立体交差並行世界論というものですけど、説明はまたの機会に」
黒ウサギの説明が終わると"サウザンドアイズ"の支店に到着、今まさに店の店員が暖簾を下げるところだった。
「まっ」
「待ったなしですお客様。うちは時間外営業はやっていません」
「なんて、商売っ気のない店なのかしら」
「全くです!閉店時間の五分前に客を締め出すなんて!」
「文句があるなら他所の店へどうぞ。あなた方は今後一切出入りを禁じます。出禁です」
「出禁!?これだけで出禁とか御客様舐めすぎでございますよ!?」
キャーキャーと騒ぐ黒ウサギ。天音はその様子を見てため息をついていた
「(日を改めてというやつかな……閉店なら仕方ないよね)」
そんな事を考えていると
「いぃぃぃぃぃやほおぉぉぉ!久しぶりだ黒ウサギィィィィィ!」
着物を着た真っ白の髪の幼女が黒ウサギにボディーアタックして転がりながら、街道の浅い水路に着水
「おい、店長。この店にはドッキリサービスがあるのか?俺も別バージョンで是非」
「ありません」
「なんなら有料でも」
「やりません」
十六夜の表情は真剣そのもの、店長の目も冷静。黒ウサギに飛びついた(強襲した)白髪幼女は黒ウサギの胸に顔を埋めてなすり付けてる。
「し、白夜叉様!?どうしてこんな下層に!?」
「黒ウサギが来る予感がしたからに決まっとるだろうに!フフ、フホホフホホ!やっぱり黒ウサギは触り心地が違うの!ほれ、ここが良いかここが良いか!」
「ち、ちょっと、離れてください!」
白夜叉を無理やり引きはがし、頭を掴み投げ飛ばす、投げ飛ばした先に十六夜がおり、白夜叉を足で受け止めた。
「てい」
「ゴバァ!お、おんし、飛んできた美少女を足で受け止めるとは何様だ!」
「十六夜様だぜ。以後よろしくな和装ロリ」
ヤハハと笑い自己紹介をする十六夜。一連の流れを呆気に取られていた飛鳥は、思い出したように白夜叉に話しかけた
「貴女はこの店の人?」
「おお、そうだとも。この"サウザンドアイズ"の幹部様で白夜叉様だよご令嬢。仕事の依頼ならおんしの年齢の割に発育がいい胸をワンタッチ生揉みで引き受けるぞ」
「オーナー。それでは売り上げが伸びません。ボスが怒りますよ」
どこまでも冷静な声で女性店員が釘を刺す。
「まあいい。話があるなら店内で聞こう」
「よろしいのですか?彼らは旗も持たない"ノーネーム"のはず。規定では」
「"ノーネーム"だと分かっていながら名を尋ねる、性悪店員に対する詫びだ。身元は私が保証するし、ボスに睨まれても私が責任取る。いいから入れ」
む、っと拗ねるような顔をする彼女からすればルールを守っただけであるからだ。そして黒ウサギ一行は和風の中庭を進み、縁側で足を止める。障子を開けて招かれた場所はお香の様なものが焚かれており、風と共に5人の花をくすぐる。
「改めて、私は、四桁の門、三三四五外門に本拠を構える"サウザンドアイズ"の幹部白夜叉だ。黒ウサギとは少々縁があってな。コミュニティが崩壊してからもちょくちょく手を貸してやっている器の大きな美少女と認識しておいてくれ」
「はいはい、お世話になっております本当に」
投げやりに受け流す黒ウサギ。その隣で耀が小首を傾げて問う
「その外門って何?」
「箱庭の階層を示す外壁にある門ですよ。数字が若いほど都市の中心に近く、同時に強力な力を持つ者達が住んでいるのです」
此処、箱庭の都市は上層から下層まで七つの支配層に分かれており、それに伴ってそれぞれを区切る門には数字が与えられている。外壁から数えて七桁の外門、六桁外門、と内側に行くほど数字は若くなり、同時に強大な力を持つ。四桁の外門ともなれば、名のある修羅神仏が割拠する完全な人外魔境だ。黒ウサギが描いた図を見た4人は
「……玉ねぎかしら?」
「いえ、超巨大バームクーヘンでは無いかしら」
「そうだな。何方かと言えばバームクーヘンだな」
「バームクーヘンにしか見えない」
うん、と頷き合う4人。身も蓋もない感想にガクリと肩を落とす
「ふふ、うまいこと例える。その例えなら今いる七桁の外門はバームクーヘンの一番皮の薄い部分にあたるな。更に説明するなら、東西南北の四つの区切りの東側にあたり、外門のすぐ外は"世界の果て"と向かい合う場所になる。あそこはコミュニティに属してはいないものの、強力なギフトを持ったもの達が住んでおるぞーーーその水樹の持ち主などな」
白夜叉が指すのは滝の蛇神であろう。
「して、いったい誰が、どのようなゲームで勝ったのだ?知恵比べか?勇気を試したのか?」
「いえいえ。この水樹は天音さんと十六夜さんがここに来る前に蛇神様を素手で叩きのめしましたのですよ」
自慢げに黒ウサギが言うと、白夜叉は声を上げて驚いた。
「なんと!?クリアではなく直接的に倒したとな!?ではその二人は神格の持ち主か?」
「十六夜さんはそうは思いませんが、天音さんは神雷らしきものを使用していたのですが、神格かどうかはわかりかねます」
「ところで、白夜叉。あんたの口振りからしてその蛇と知り合いみたいだが、どうなんだ?」
「知ってるもなにも、あれに神格を与えたのは私だぞ。もう何百年にもなる話だがの」
小さな胸を張り、豪快に笑う白夜叉。だがそれを聞いた十六夜は物騒に瞳を光らせて問いただす
「へぇ?じゃあお前はあの蛇より強いわけだな」
「当然だ。私は東側の"階層支配者"だぞ。この東側の四桁以下では並ぶものはいない、最強の主催者だ。」
"最強の主催者"ーーーーーーその言葉に、天音以外の3人は一斉に目を輝かせる。
「そう………。ではつまり、貴女のゲームをクリア出来れば、私達のコミュニティは東側で最強のコミュニティという事になるのかしら?」
「無論、そうなるのかのう」
「そりゃ景気のいい話だ。探す手間が省けた」
「………3人とも止めておいた方がいいよ」
ただ天音だけは、真剣な表情で現状を過ごしている、その声は真剣そのもので冷たく、警告に近く、そこには好奇心旺盛姿は無い。その目は輝いておらず、現実を見ている。
十六夜達は闘争心むき出しで立ち上がり白夜叉を見る
「抜け目が無い童たちだ。依頼しておきながら私にギフトゲームを挑むと?」
「え?ちょ、ちょっと御三人様!?」
「よいよ黒ウサギ。私も遊び相手に飢えている」
「ノリが良いわね。そう言うの好きよ」
「ふふそうか。しかしゲームの前に確認しておくことがある」
白夜叉は着物の裾から"サウザンドアイズ"の旗印の紋が入ったカードを取り出だし、壮絶な笑みで言う
「おんしらが望むのは"挑戦"かもしくは、"決闘"か?」
その瞬間、白夜叉の部屋が崩壊し別のところに投げ出させる。投げ出されたのは白い雪原と凍る湖畔そして水平に太陽が廻る世界。
「今一度名乗り直し、問うかのう
私は"白き夜の魔王"―――太陽と白夜の星霊白夜叉。 おんしらが望むのは試練への"挑戦"か?それとも対等な"決闘"か?」
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PS邪ンヌが来ないよ……